責髪
                    阿羅本 景



「……瀬尾ね?入りなさい」

 ドアの向こうから、低く静かな声がする。
 それは浅上女学院高等部の生徒会副会長であり、この学園一、二を争う――
いや、今の生徒会長は残存勢力の力無い抵抗であり、もはや学園を自治方面か
ら支配する遠野秋葉の声であった。
 その声に瀬尾晶は背筋を伸ばす。スカーフの襟元を整えると、引き戸に手を
掛ける。

 晶にとって秋葉は自分に目を掛けて保護してくれるありがたい先輩であった
が、その反面に苦手さを感じることも多い存在であった。時折瀬尾の顔をじろ
っと、なにか内側に妖しい波動を秘めた瞳で見ることがあり、その時に晶はぞ
くりと背筋が冷えるのを感じる。

(もしかして、その、遠野先輩は私を百合の毒牙に掛けようとしているんじゃ……)

 そんな大時代な少女小説ではあるまいに、と瀬尾はおもうのだが、この浅上
女学園の寄宿舎というのが大時代な少女小説の舞台そのものであるのだから質
が悪い。今晶が手を掛けている生徒会の資料室の扉もそんな舞台にふさわしく
古びた木の扉で、引き開けるのに一種のコツがいる。

 晶は噂に敏感で、高等部中等部問わずにいろいろな関係の噂を耳にしていた。
特に高等部のレズビアンな関係の噂は大量にあり、晶の身近な先輩である月姫
蒼香と三澤羽居の関係もいろいろ取り沙汰されていた――生憎というか幸いと
いうか、晶はそれを実際本人に確かめるという愚行を犯さないだけの分別がある。

 それに、放課後に誰もいない資料室に呼び出す――このシチュエーションは
怪しい、怪しすぎる。自分の書いたボーイズラブ小説でも眼鏡でクールな生徒
会副会長がバスケットボール部のキャプテンを個室に呼び出して関係を結ぶも
のを書いたことがあるが、まさかそれが書いた身の上に降りかかって来るとい
うのも皮肉な……

(でも、遠野先輩は……じゃないけどもでも……ぅぅぅぅぅ……)

 晶は扉に指をかけたわずかな時間にも、目まぐるしく思考を巡らせる。
 だが、クールな生徒会副会長である秋葉を慕う後輩は多かったが、秋葉はそ
んな浮いた噂が少ない人物であった。浅上の女スターリン――などという政治
的イメージ先行の秋葉のせいかもしれないが、秋葉は割合ノーマルな性志向の
持ち主であることを晶は知っているからだった。

 いや、それだからさらに質が悪くもある。
 秋葉が恋いこがれるその相手は、同じく晶も惚れ込んでいる男性であると…
…頭の上がらない先輩が三角関係の恋敵になるというのも、まるで恋愛少女小
説の中の恋煩いのようだった。
 ただ、恋愛少女小説の中では恋敵の先輩が、どう見ても人間じゃない戦闘力
を持っていることはない。修羅場になれば勝ち目はない――それよりもそんな
修羅場になること事態御免被る、と。いろいろ世の中ままならない――と晶は
うちひしがれるが。

 えへ、と知らずに晶の頬は緩んでいた。
 そう、その相手こそは甘い声に眼鏡の上に優しい瞳を秘めた遠野志貴であっ
た。危ないところを救ってくれた志貴に晶は惚れ込んでいる、が、そんな志貴
は妹の秋葉にも退っ引きならないほど惚れられているのもまた事実で――

「あら?何か楽しいことがあったようね?瀬尾」

 そんな声が降ってきて、晶ははっと顔を上げる。
 いつの間にか自分は扉を開き、資料室の中に入っていたのだった。壁一面に
本棚がつまり、埃とわずかな黴、そして紙の発する独特の薫りの立ちこめる部
屋。控えめな窓から差し込む午後の光は柔らかく、そしてその中に静かに佇ん
でいるのが――

「!?」

 挨拶する暇もなく、晶はその目を疑った。
 秋葉は机の隅に腰を預けていて、その格好は砕けていて多少行儀悪げであっ
た。窓を背にして戸口に向かい、いつもの高等部の制服姿でわずかに口元を緩
ませて晶を見ている。
 だが、そんな秋葉は普通ではなかった。

「せ、せんぱい、そ、その……!」

 晶が驚きに目を見開き指さす。
 その先にあるのは、いや、その先一面に広がるのは――
 髪だった。秋葉の長い、腰まである髪……いや、いまやその長い髪は腰に止
まらず、床に伸び、広がっている。言うならば秋葉は広がった自分の髪の中に
座っているような、そんな信じがたい光景であった。

 秋葉の髪は長いだけでもなく、その量も異常であった。あまりにも長く伸び
た髪は資料室の床一面を覆い尽くし、それはドアを開けて入ってきた晶の足下
にもみっしりと――

「――――!」

 晶は叫びを上げようと、でも畏敬する先輩にそんな声を浴びせかけるのを躊
躇い、声にならない悲鳴を上げ、口元を押さえる。
 秋葉の髪は黒くはなく、ところどころ赤い斑になっている。それはまるで南
米の猛毒の蛇を床に敷き詰めたような……晶はそれを見間違えだとおもった。

 だが、疑いようがない。秋葉の髪は、蠢いていた。
 ざわざわざわざわと、赤と黒のマーブル模様を変化させながら。
 晶はその光景に本能的な恐怖を覚えた。自分が面している遠野秋葉は、理解
の越えた存在であると。それが晶の身に何をもたらすのか――

 晶は逃げようとした。こんな異様な光景を目の当たりにして、踏みとどまれ
ないことを惰弱と言うのは間違っている、だが、そんな晶に襲いかかったのは――

「――――あ!」

 がくっと、晶の膝が砕け、目を大きく開いて危うく膝を突きそうになる。晶
の目は振り返ろうとした資料室の本棚ではなく、別のモノを視てしまっていた。
 それは晶の希望を打ち砕く、戦慄の光景であった。それが脳裏に焼き付けら
れ、晶の身体の反応を一瞬すべて失わせてしまう。

 そのタイムラグが、致命的であった。

「あら?どうしたの?瀬尾」

 秋葉の言葉にはっとなって晶は振り向こうとした。今晶が見たモノが彼女の
判断を狂わせた。一目散に逃げ出せば良かったのかもしれない、だけども――
 晶が視たのは黒赤の髪の海から立ち上がる、髪の鞭だった。

「うぁ!」

 襲いかかる鞭に、晶は顔を覆うようにして防ごうとする。その手の隙間から、
秋葉がうっすらと笑いを浮かべているのが目に見えた――それは、晶が視てし
まった光景に重なる。 
 それに、もう一人の淫らな笑いが重なっていて――

 晶の身体は、襲いかかる打撃に身体を硬くして堪えようとする。
 だが、その鞭はただの鞭ではなかった。空気を切る鋭い音を立てるが、その
動きはまるで指先のように器用という信じられない動きをする。髪の鞭は晶を
打ち据えず、寸前で真っ二つに分かれて晶の手首に絡みつく。

「きゃ!」

 まるで縄に縛られるような、そんな感触を晶は覚える。
 はじき飛ばされる程の打撃が到来しなかったことに安堵を覚えはするが、手
首に絡みついた髪はあまりにも気味が悪かった。それも、ロープで縛って引っ
張るような直線的な感触ではなく、ロープの中に別の力が宿り、内側から動か
しているかのような動きをする。
 そんな髪が、しっかりと――手首に絡みつくのを晶は見た。
 そして、足下に踏んだ髪も盛り上がり、しっかと晶のソックスの足首を捕ら
える。

 秋葉の髪は、晶の四肢を捕らえる。
 そして、わずかに撓めをつくったかと思うと、その髪の鞭はたちまちに外側
へと――

「きゃぅかあああああ!」

 晶の口から悲鳴が漏れる。
 それと同時に、がらりと晶の背中でドアが締まる。晶は資料室の中に閉じこ
められ、両手両足を広げさせられ、まるで磔にさえられるような格好にされて
しまう。
 晶の四肢に巻き付く髪は、ぎしぎしと晶の身体を外へと引っ張る。

「……ふぅ、まだ慣れないわね。このままだと脱臼させてしまうわ」

 秋葉は軽くため息をつくと、腰掛けていた机の上から床に降り立つ。
 それに、秋葉の背中の長い髪が付き従う。秋葉の髪が、というよりも秋葉に
付き従う、無形の黒い従者を背後と膝下に付き従えているかのような。
 あまりにも奇異な、先輩である秋葉の変わりよう。

 秋葉に言われるように、危うく秋葉の関節を引き抜きかねない勢いで引っ張
る髪は動きを止めるが、今度はまるで鉄筋に縛られたようにぴくりとも動かな
い。両手を高く掲げ、両足も肩幅より遥かにひろがった姿勢で晶は身動き一つ
取れない。

 そんな晶に静かに歩み寄る秋葉。その顔にあるのは、鼠を捕らえた狐か猫の
ような優越感を隠しきれない、内に捕食の意図を秘めたぞっとする笑いであった。
 怖い。いつもの先輩である秋葉の怖さではなく、秋葉の形をした全く別の怪
物に襲われる、そんな身体の随から震える恐怖。

 それをさらに駆り立てるのは、晶の見てしまった――未来視の光景。
 それを変えることはできるのかもしれない、だが、あまりにも差し迫りすぎ、
あまりにも手の内にある力がない……絶望にうちひしがれる程の、その戦慄。

 晶は迫り来る秋葉を見つめられなかった。目をつぶり、震える声で秋葉に口
を開くのが精一杯であった。

「な……なんでこんなことをするんですか……遠野先輩」
「あら……そもそもなぜ私がこんなことになったのかを聞くべきじゃないの?
瀬尾」

 ひたり、と真っ正面に秋葉が立つ感覚がする。至近距離からの秋葉の声であ
った。
 その声色には、わずかな苛立ちを感じさせる。もう少しこの苛立ちが掻き立
てられれば、秋葉は自分の腕一本を引き抜きかねない――そんな予感に晶は恐
怖する。

「ぁぅ……ごめんなさい……」
「あら、謝ることはないわ。こうなってしまったのもこうしたのも瀬尾にはな
んの責任もないのだから……驚いているわね?それに……怖れているわね?瀬尾」

 秋葉の声は静かに晶を問いつめる。
 目をつぶり、俯いてその目の前の存在から逃げようとする晶のほおを、ざら
りとなにか触った。それは秋葉の手触りではない。まるで麻のハンカチで撫で
られたような荒い感触。

 その感触は、濡れたように冷たかった。
 晶は目を硬く閉じ、顔をなで回す何かに怯える。見なくても分かる、これは
秋葉の髪であると……

「……無理もないわ。私だってこうなったのは驚いているんだもの。まったく、
アルクェイドと関係していると碌なことがないわね」
「あぅ……ひぃ……そ、その、アルクェイドさんって、志貴さんの……くぅ!」

 晶がおそるおそる聞いた口は、すぐに苦痛の呻きに掻き消される。
 秋葉は足を固定したまま、晶の腕を引き上げたのであった。まるで拷問台で
引き延ばされる罪人のごとく……だが、秋葉はすぐに力を緩め、晶の足は地面
に着く。

「……まったく兄さんに着いている虫は多い……そうね、瀬尾、あなたも兄さ
んのお気に入りだったわね」
「す、すいません、でもでも志貴さんとは何も……ふぃいいあ!」

 必死に秋葉に謝ろうとしたことが弁明の色を帯び、秋葉の逆鱗に触れたかと
晶は怖れた。
 だが、それに対して下されたのは手足を戒める拷問台の苦痛ではなく――頬
に触れていた何かが、ずるりと襟元から体の中にこぼれ落ちる気味の悪い感触
であった。

 襟元の広い、セーラー服が災いした。
 晶は堪えきれなくなって頭を振り、自分の首を見てしまう。そこには地面か
ら伸びたうぞうぞと長い髪の束がまとわりつき、まるで何条も蛇の束をねじ込
まれたようにも見える。それは波打ち、幾条にも分かれて襟元から服の中に忍
び込み、その筆先のような先端が晶の肌をくすぐる。

「ひゃぁ!ふぁ!ひぃ!ごめんさないごめんなさい、秋葉先輩許してください!」
「許す……兄さんと瀬尾との関係を私に許して欲しいと言うのね?瀬尾」
「違います、私はそんな……はぁぁひゃかか!」

 秋葉の髪の束は、晶の服の隙間に進んでいく。それは冷たく湿り、肌の上を
這うとぬるりと跡を残すような気にさせる。晶は服に侵入を続ける秋葉の髪か
ら逆に目を離せなくなって仕舞っていた。それは波打ち、うねり、まるで晶の
襟口が排水口であるかのように次々に流れ込んでいく。
 冷たい髪が晶の体温を奪い、ぶるり、と身震いをさせた。

「……あっ、はっ、はぁ……ふぁあ!」

 そして、秋葉の髪の先が晶の肌をくすぐり始める。
 晶の脇の下や脇腹などに達した髪の先は、たっぷり墨を浸した筆先のように
柔軟性を帯びてまとまっていた。それが指先よりも遥かに細かく晶の弱点をく
すぐり始めるのだ。
 こちょりこちょりと動いたかと思うと、やおら何条にも分かれて無数の小筆
となって動き始める。そこから晶の身体に伝わるのは、限界を越えたくすぐっ
たさ――

「あっ、うは、うひゃ、ひぁ、あ、あはっはぅ、ひぃう、はぁ!」

 それが一気に押し寄せるのだから、むしろ笑いではなく、横隔膜を痛めつけ
る暴走した神経の苦痛であった。磔にされてくすぐられ、抵抗も出来ない――
これも立派な拷問の一種であった。なまじ慣れやすい痛覚に訴えないだけ悪質
ですらある。

「あっ、はぁ、あははぃ!遠野先輩、許してぇぇ……はぁぁっぁあ!」

 それは笑っている――のだが、目を見開き肺活量の限界を使い果たし、体力
の消耗を強いて涙もよだれも垂れ流しにさせる様相は、泣き顔よりも凄惨です
らあった。
 そんな晶の顔を、秋葉は瞬き一つせず静かに観察していた。やがて、感に堪
えかねたように――

「……あら、だらしないわね」

 ぴたり、と晶の身体をくすぐる筆先責めはぴたり、と止まる。 
 晶の首ががくりと折れ、荒い息を絶え間なく吐く吊されたセーラーの姿は痛々
しい。急激な運動で湯気が出そうなほど暖められた晶の身体の熱は、秋葉に奪
われていく。
 熱を奪う赤い筋が、晶の身体から秋葉へと赤い波動となって髪の上に伝わる。

 秋葉は晶の前でハンカチを取り出すと、磔にされた晶の顔を拭いだした。

「浅上女学院中等部の未来を担う瀬尾が、こんなに垂れ流しでいたらみっとも
ないわよ」
「はぁぃ……先輩……ありがとうございますぅ……」

 さんざん自分の身体を弄んだのが秋葉なのに、そういって感謝の言葉を述べ
てしまう――まるで奴隷のような自分に晶は情けなさと、その裏返しの虐げら
れる快感を覚える。ゆっくりと顔を上げると、間近に秋葉の顔がある。

 ハンカチを片手に、秋葉はまるで手の掛かる妹をあやすように笑っていた。
 だが、晶の瞳には薄く開いた秋葉の唇の奥に、暗い笑いが宿っているのを感
じる。そして秋葉の得体の知れない瞳は、晶の瞳を抉るように射る。

 それは、晶の脳裏を焦がす紅い閃光に射抜かれるような――晶の身体は視線
を感じると、それだけで逃げるようによじる。

「ふふふ……面白いわね、いつも真面目な瀬尾がよだれを垂らして笑うだなん
て……生徒会の皆に見せてあげたいくらい」

 秋葉のからかいの言葉がゆっくりと流れる。そしてそれに眠りを覚まされた
ように、晶の上半身に巻き付いた髪が蠢き出す。ゆっくりと、波打つように。
 身体の伝うその波動に、晶は身を固くする。もう一度この髪の筆が動きだし、
敏感な急所をくすぐり始めたら今度は気が狂ってしまうのではないかと――そ
んな狂う自分の痴態を秋葉はじっくりと観察し続けるのではないのかと。

 そんな恐怖が、晶の口を勝手に動かし、哀願の言葉を吐かせる

「ひっ……ひぃ……やぁ……やだ、やめてください先輩」
「あら。さっきみたいな真似はしないわ。せっかく瀬尾を可愛がってあげるの
に……ふふふ、そうね、こんな風に」
「あっ」

 背中に回り込んだ髪の一部が、ぷちんと――晶の背中のホックを外す。
 ぶらんと肩にブラジャーがぶら下がり、ずれるのを晶は覚える。そして、胸
の隙間にざわざわと髪の筆先が、幾重にも重なり乳房の麓からその頂上へと攻
め上がる――

「はっ、はぁ……ふっ、あああ!」

 制服の下の晶の胸が、渦巻く髪に覆われる。たた被さるのではなく、何重に
もロープで縛り、巻き付けたかのように。だが縛るのと違うのは縄自体が意志
を持って動き、晶の乳房をもみ上げることであった。
 乳首に巻き付いた髪は、くすぐるように晶のその敏感な先端をくすぐる。そ
の甘酸っぱい刺激に、晶の口から吐息が漏れる。

「……気持ちいいの?瀬尾?」
「はぁ……はぃ……ふぅ……あ……」

 高く掲げられて戒められた晶の手が、なんども握ったり開いたりを繰り返す。
それは胸に伝わる感触におぼれてしまわないように、必死に泳ぎあがいている
かのような。晶の顔は目を閉じ、鼻がひくひくと動く。そんな可愛らしくもあ
る反応を、秋葉はじっと眺めていた。
 長い髪を床一面に多い、晶を磔にし、その髪で晶の身体を弄びながら――秋
葉はうっすらと笑っていた。手の内に納めた愛玩動物の仕草を観察するように。

 晶は秋葉の前であられもない声を上げるのを我慢している。もし、恥ずかし
い声をあげてしまったら先輩に侮蔑されるかも知れない、今自分は試されてい
るのかも――そんな想いが晶を駆けめぐる。
 だが、胸を、そして脇から背中まで回り込んだ髪が揉むように動き出し、そ
の感触は晶の身体を犯していく。快感だった、髪に強くくすぐられるのは苦痛
でしかないが、こうしてゆっくり優しく刺激されるのは何とも言えない快感で――

 はぁ、と長い息が晶の口から漏れる。
 首が上下し、押し寄せる快感に晶は反応する。ささやかながらも盛り上がっ
た胸はじんじんと熱く疼くようで、その先端もまるで指先に弄られるように刺
激されると、自然に血液と感触が集まってそこを立ってしまう――

 自分の指で慰めたことはある。
 でも、こんな風にすぐに立っちゃうことはなかったのに……晶は敏感になっ
た先端がびくびくと千切れそうに熱く感じた。

 唇を噛んで、晶は堪える。
 でも、その身体の隠しきれない反応を秋葉にはまるで掌を指すように容易に――

「……あら、立ってるわね、瀬尾の乳首は」
「や……やだ……そんな、恥ずかしいです、遠野先輩」
「恥ずかしがることはないわ。これが女の子の身体だもの……そうね、なら、
こっちの方も女の子らしくなっているか、確かめてあげるわ」
「え――あ……やっ!」

 胸を刺激されて、その感触に酔っていた晶は急に驚きの声を上げる。
 足首を掴むだけだった髪が、螺旋を描くように晶のふくらはぎを、太股を駆
け上がっていく。髪は冷たく、無数の蛇が足下からスカートの中に駆け上がっ
て行くかのような。

 晶は膝を合わせて、それを咄嗟に拒もうとする。
 だが、膝と膝が合う前に、秋葉の髪は恐るべき速度で昇り上がっていた。膝
はまるでギプスに固められたかのように動けなくなり、秋葉の髪は白くすべら
かな晶の太股を侵攻する。

 内太股を蠢き上がる、無数の秋葉の髪。

「やっ……やっ、やぁぁ!」
「おやおや、胸は良くても瀬尾のココは駄目だって言うの?そんなことないは
ずよ……ふふ、すぐに瀬尾も気持ちよくなって、してくださいって言うように
なるわ……」

 晶の腕がぐっと力を込めて歪ませるが、びくりとともするものではない。
 秋葉は軽く腰に手を当てて呻く晶の姿を眺めていたが、やがて何かを思いつ
いたかのか、その場にゆっくりとしゃがみこむ。

 秋葉の目の前にあるのは顔ではなく、晶のスカートになる。浅上女学院の紺
色のプリーツスカートは膝丈より下なので、今秋葉の髪に縛られたその足は直
接目には入らない。

 だが、秋葉がしゃがみこむと同時に、床から二本の髪の鞭が生まれ、持ち上
がる。
 それは晶のスカートの裾を巻き付けて掴む。
 目の前の秋葉の気配が無くなったことに気が付き、晶は薄目を開けて目の前
にしゃがみこんでいる秋葉を見つめる。

「先輩……な、なにを……するんですかぁ……」
「そうねぇ、直接確かめてあげようと思ったの……瀬尾のここをね」

 秋葉はとん、と指で晶の足の付け根を叩く。
 太股に上がってくる髪、スカートを掴む髪、そして腰の前に構える秋葉――
その全てを合計し、何が起こるかを想像すると、晶は堪らずに叫ぶ。

 恥ずかしい――そんなのは恥ずかしすぎる……

「やっ、やだっ、やめてっ、それだけは許してください!先輩!」
「…………人間って不思議なものでね、そういうことを言われると余計にやり
たくなるモノなのよ……そうね、瀬尾。覚悟を決めなさい」

 秋葉は静かに決断を強いる。
 でも、晶は首を振るだけだった。顔を赤くしてぎゅっと目を閉じ、その隙間
から涙を滲ませるばかり。弱々しい晶の様子が、より一層秋葉の嗜虐心を刺激
することを知らないように。
 秋葉はその沈黙を、回答と取った。髪は晶に容赦することなくめくりあげ、
そしてショーツの最後の一線を踏み越える。

「やっ、やぁぁぁっぁぁ!」

 晶の悲鳴がこだました。
 秋葉の目の前では、へそまでスカートがまくり上げられ、白いショーツと日
焼けのしていない滑らかな瀬尾の肌が晒される。年頃の少女らしく無駄のない
肉付きだが、柔らかさを感じる足。でもそれは形を見えるだけで、すっかり秋
葉の赤黒の髪に覆われている。

 そして、太股の上からその髪が前と後ろに何本も別れ、まるで触手のように
晶のショーツラインの中に忍び込んでいた。
 白いショーツは蚯蚓腫れを起こしたように筋を書いて盛り上がる。そしてそ
の様子を、間近で秋葉は目に焼き付けている。

 それはごそごそと布の下で身をよじる蛇のように――

「……あら、残念」

 秋葉はほんの少し、気落ちしたような口調で呟いた。だが、その言葉に愉快
さを秘めていて、まるで残念であることすらも次のお楽しみに繋がることを知
っているかのように。
 秋葉は髪の触れた感触で、その中を察していた。だが、殊更に晶を辱めよう
と髪を動かすとショーツのウェストに引っかけ、そのまま――

 ずるりと太股に一気に下がるショーツ。そのまま足首まで下ろされる。
 秋葉の目の前に自分の秘所を晒している――身動きも出来ず、嬲られるまま
に。
 晶は震える声で、聞き入れられることのない縋り付くような願いを口にした。

「先輩、お願いです……見ないでください……や……」

 それに秋葉は首を振っただけだった。
 秋葉の目の前にあるのは、晶の陰毛の茂みと慎ましやかな秘裂であった。黒
く縮れた陰毛の中に、いくつもの筋になった秋葉のまっすぐな髪の束が蠢き、
足の付け根の女性の割れ目に向かって伸びている。それは前からだけではなく、
お尻の方からも。
 その先端は、すでに晶の割れ目の中に達している。まるで筆で探られるかの
ような、くすぐったい感触。

「はっ……ぁぁあ……あぅ、はぁ……」
「ふぅん……これだとよく見えないわね、ならば……」

 秋葉はしゃがみこみ、睫毛と晶の陰毛が触るほどに顔を近づけている。よく
見えない筈はないのに、晶の恥ずかしさをより一層、快感をより一層掻き立て
ようと心に決めた秋葉が軽く指を鳴らす。
 それを合図に、床に縛り付けられていた晶の足首が緩む。解放された――一
瞬晶は誤解するが、実際は――残酷であった。

「ああっ!やっ、ひぃ!」

 今度は、足首が持ち上がっていく。
 秋葉の髪に今度は、四肢を吊り上げられる様な形になる。手は背中に向かっ
て倒れ、足は逆に上がっていく。それも足を開いたままの格好で、秋葉の目の
前に股間の奥底を晒して横たわるかのような姿勢に変わる。

 まるで産婦人科の診察台に据えられるみたい。一瞬晶は思う。
 だが、それが秋葉の目的なのだ。秋葉は晶の女陰を解剖できるほど目の前に
広げ、自分をさらに辱めようと――

「やっ、やめてっ、先輩、お願いしますぅ、はぁ、やっ、やだぁぁ!」

 そんな晶が顔を真っ赤にして叫ぶ言葉は、秋葉の耳には全く入っていないか
のように振る舞う。目の前に四肢を釣られて横たわり、真っ赤な顔で屈辱と快
感に涙を流す晶の腰の前に陣取り、アルファベットのMを書くように広げられ
た晶の足の付け根を凝視する。

「あっ……あぁぁ……ぅ、は……ああ」

 晶の秘裂は、まるで花のつぼみのようであった。
 内側から襞がはみ出ることもなく、大陰唇はぷっくりと膨れて綺麗な一本の
筋を描いている。陰毛も手入れをされていて脇やお尻にはなく、少女の綺麗な
筋そのものであった。
 だが、そんな汚れを知らぬ晶の秘裂に、忍び寄る秋葉の黒い髪の蛇たちがあ
る。

「……じっくりと私が見て、確かめてあげるわ――瀬尾の、おまんこを」
「先輩……だっ、だめぇぇぇぇ!」

 四肢を吊り上げられ、軋む肩が悲鳴を上げるのにも構わず晶は身体を振り、
露出の辱めから逃げようとする。だが、秋葉はすでに晶の抵抗を奪い、その生
殺与奪を手にしているのだった。
 それに、足の付け根ですでに時今や遅しと待ちかまえている黒い触手立ちを
排除する手段を、晶は何も持ち合わせていない。

 ただ、哀れに泣き、秋葉の憐憫を誘うだけ――そして、秋葉は晶の身体を弄
び、辱め、そして快感に沈める決意を秘めていて――

「やぅ、やあ、やぁぁぁぁあああああ!」

 激しく頭を振りながら、晶が悲鳴を上げる。
 それをきっかけにしてか、これがきっかけだったのか、秋葉の髪が晶の神聖
な秘所、女性の核に侵攻を開始した。鉛筆ほどの細さの髪の束が晶の秘裂の中
に埋め込み、鉤のように襞の内側を引っかけ、容赦なく外側に押し広げる。

「やっ、やだっ、広げないでぇ、先輩、見ないでぇぇ!」
「無理ね、瀬尾」

 秋葉の嘲笑う声。晶の女陰の中に3対の髪が埋め込まれ、一気に晶の粘膜の
花を開かせる。むわっと女性の身体の薫りが立つかのような、秋葉の目の前で
広げられ、解剖され、晒される晶の女性器そのもの――

 「だって、今もうあなたのおまんこを観察しているんだから……濡れてない
わね、瀬尾」

 髪の鉤によって広げられた襞の中を覗き込み、秋葉は診断する。
 薄ピンク色の粘膜が襞の中につるんと伸び、控えめな襞がくしゃっとした膣
口の凹みと尿道口の凹みを飾っている。そしてその襞の上には小さく皮をかぶ
ったクリトリス、そしてその上は柔らかく茂った陰毛の丘。
 晶は首を反らせ、唇を噛んで秋葉の視線の刺さる屈辱に耐える。秋葉の寄せ
た顔の掛かる息を感じ、弄ばれ続ける乳首よりも敏感な刺激を脊髄に伝えてく
る。

 秋葉の言葉の通り、粘膜はわずかな湿り気しか帯びていない。
 秋葉は指を伸ばすとそのピンクの粘膜に触れる。身体の奥底の敏感な襞に指
を触れられた瞬間に、晶のお尻がぎゅっと強張る。

「ぅ……ぅぅぅ……あああ……」

 秋葉は無言で晶の秘裂を指で探る。丹念に襞の奥まで、まるで産婦人科医の
診断のように襞を左右に押して無慈悲に晶の秘所を点検する。そして、その指
をぺろりと赤い唇で舐めると、晶のひくつくつ女性の花弁に向かって話しかけ
る。

「……濡れてないとつらいわ……私がたっぷり濡らしてあげる、瀬尾。喜びな
さい?」
「そ……そんな……ああああぅ!」

 秋葉は目の前の女陰に口づけを――した。
 唇の粘膜と晶の秘裂の粘膜が触れ合い、秋葉の唾液が晶の襞を浸す。
 内太股の筋肉が何度もびくびく震えるのを手で触りながら、秋葉は晶の女陰
に舌を這わせる。指でしたときよりも丹念に、優しくすらあるほどに。

「ひゃっ、はぁっ、んんっ、あああん!」

 秋葉の舌は身体を戒め、吊り上げ、まさぐる髪と違って、暖かかった。
 秋葉の髪は自分の身体からどんどん熱を奪う中で熱い秋葉の舌が触れると、
そこが融けてしまいそうに感じる。その熱が移るかのように、腰の奥が熱くな
り、なんどもお尻と膣口の筋肉を締める動きをしてしまう。
 秋葉は腰を抱え込んで、唇と指と髪で晶を愛撫する。髪によって広げられた
膣前庭から舌を這い上げ、皺の中に埋もれたクリトリスをその舌先で掘り起こ
すように探ると――

「ひぅ、あん……あぅ……やぁ……」
「あら、瀬尾?あなたこういうことをされるのは初めて……ふぅん、その筈ね、
瀬尾の入り口にこんなに可愛い処女膜があるんですもの」

 秋葉の指が、晶の膣口を狭めるように着いている襞を撫でる。指で引っかけ
る様な秋葉の指の動きに、晶は首を反らせて声を上げた。

「や……そこだけは……ゆるして、遠野先輩……ひいう!」
「んぷちゅ……奥まで舐めてあげるわ、瀬尾」

 秋葉が舌を尖らせると、その巻くの真ん中に開いた隙間にねじ込むように押
し当てる。
 秋葉の舌には酸っぱい、瀬尾の味が伝わっている。舌で舐め、感じるところ
を探り当てている内に、晶の内側から蜜がしたたってくるのを感じていた。そ
の蜜を舐め取りながら、秋葉はその奥の未開地を探ろうとするが――

 秋葉はふっと舌を止め、ゆびでくにくにとその膜を弄りながら囁く。

「瀬尾?そんなに……ここが大事なの?」
「だ、だって……好きな人がそれを気にするかも知れない……ふぅあ……だか
ら……」
「……そうねぇ……」

 指の腹でくりくりと晶の膣口が弄ばれる。晶の膣口はもともと小さな造りな
のと、その入り口を塞ぐ膜によって細い秋葉の指でも中に入れるのが難しそう
に思えた。
 いや、指で破瓜を強いれば無理ではないかも知れない。だが、秋葉の指はそ
れを強行することなく、膣口の柔らかな肉をなぞっている。

 秋葉は口元を歪ませると、おかしそうに晶の身体に尋ねる。

「……ここを、瀬尾の処女を兄さんに――志貴兄さんに捧げたいの?」
「ごめんなさい!ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……ふぅぁああああ
あ!」

 志貴の名前が秋葉の口から漏れると、途端に晶は堰を切ったようにごめんな
さいを繰り返す。その繰り返される言葉を遮る為に、秋葉は晶の襞を吸い上げ
る。
 ちゅう、と秋葉の唇に柔らかな秘肉を吸い上げられ、晶の誤りの言葉は快感
に遮られた。

 秋葉は唇でクリトリスを甘噛みし、それを持ち上げるような仕草すらしてみ
せる。陰部を食いちぎられるのではないのか――そんな恐怖にふと蝕まれ、悲
鳴を上げる晶。
 唇から離れる柔肉。桃色の粘膜がすっかり唾液と愛液に濡れたことを確かめ
るように、秋葉は開かれた筋の中に指を上下させる。

「ひぅぅ……ごめんなさい、先輩、そんなつもりは……」
「瀬尾がそう思うのは大事よ、それに兄さんも……ふ、そうね、かわいそうだ
からここは止めてあげるわ。でも、それじゃぁつまらないわね……」

 秋葉がそう優しく声を掛けると、晶がほっと安堵の息を漏らすのが分かる。
 だが、秋葉はそれですべてを終わらせる訳ではなかった。秋葉の秘所を弄る
指は未だに止まらない。たっぷりと透明な液体にまみれた指は、晶の股間をお
尻に向かって降りていく。

 秋葉の髪の鉤が解け、ゆるゆると割れ目が口を閉じようとする。だが、秋葉
の指と舌に弄られた小陰唇は腫れ、ぴったりと合わさった晶の割れ目から顔を
覗かせ、なんとも淫らな形を作る。

 そんな晶の女陰に舌を這わせながら、秋葉はゆっくりと口を開く。

「なら……瀬尾のもう一つの穴で愉しませて貰うわ」
「もう一つ……え……ああああああ!」

 にゅりゅん、とそこに指が差し込まれる。
 それは晶の女陰の舌、足とお尻の付け根に宿る、ピンクの蕾だった。 
 晶のお尻の穴に宛われた秋葉の指は、きつい抵抗を押し破ってその肉門の中
に侵入を果たすはずであった。だが、その抵抗はなかった――唇で緩く締めつ
ける程度にぴったりと指を飲み込んで、くわえている。

 秋葉は第二関節まですんなりと飲み込んだ自分の指を、驚きを隠せない瞳で
眺めていた。晶の直腸は焼けるように熱く、肛門に締め付けられる指が勝手に
震え出すほどの不思議な空間を内側に秘めていてる。
 やがて秋葉は全てを納得したかのように頷き、肛門を犯される快感に目を見
開く晶に語りかけてくる。

「……やっとわかったわ。瀬尾がそんなに処女にこだわる理由が……瀬尾、あ
なたの身体はもうアナルで感じる嫌らしい身体になっているのね?一人で肛門
を慰めていたいただなんて」
「嫌っ、遠野先輩、言わないで!」
「いやらしい――こんなに瀬尾の身体が嫌らしかった知らなかったわ」
「あっ、ああっ、ああああああああ!」

 秋葉は侮蔑の言葉を投げると、指をぐちゃぐちゃと肛門で掻き回す。
 指が鉤を描き、吊り上げられた晶の身体の奥底を蹂躙する。指による肛門を
えぐるような動きは苦痛しか与えないはずであった、あったのにあきらは――

「あああっ、先輩……いやぁっ、いい!そんな……ひぃぃぃああああ!」
「クリトリスよりアナルの方が感じるのね、瀬尾……いやらしい、肛門でこん
な感じるだなんてまるっきり変態ね、そんな瀬尾を清純な浅上女学院生だと思
って扱った私が馬鹿たったわ」
「ああああぅ……ぐぁ……はぁぁ……」

 指にこびり付いた唾液と愛液が、腸液と混じり合い泡立つのではないのかと
思うほどの激しい秋葉の指の挿入と、怒りと侮蔑のませ合わせられた秋葉の声
が晶を打つ。晶はそんな先輩の声に、ただ……頭を振り、お尻の穴で指を締め
付け、より快感を増大させてしまう業な自分の身体を呪いながら――

「ひぃぃぁああ!うんぅ!あっ、やぁぁ!いっひぁぁぁぁ!」
「まったく、私の指をこんなに締め付けて、それ何に処女を兄さんに奪われた
い……こんな変態娘だって兄さんに教えてあげたい位だわ!」
「やだっ、先輩、それだけは、それだけは止めてください!」

 肛虐に我を失い賭けていた晶だが、志貴の名前が出てくると正気を取り戻し
て叫ぶ。
 秋葉は憎々しげに指を抜く。肛門を引っかける様に指を曲げるが、それが吐
き出される時に晶はだらしなく悦楽の声を漏らす。
 腸液にまみれた己の指を、秋葉は苦々しげに眺める。そしてその瞳がぎらり
と晶のひくつく肛門を凝視した。
 その途端――

「ああっ!」

 四肢を吊り上げる、秋葉の髪の力が急激に失われた。
 腕で吊り上げられていた身体が、どしんと腰から落ちる。髪は晶の身体を吊
り上げはしないが、未だに手首と足に絡みついたままだった。だが、蟒蛇に巻
かれたような強さがなく、紐に縛り付けられたような感触。
 秋葉は仰向けに転がり、立ち上がって自分を冷たい瞳で見下ろす秋葉を見上
げ――られなかった。秋葉は穢れなく高貴な無垢の女王であり、自分は肛門を
弄られて喜ぶ雌奴隷、その足下に跪いて靴を舐めても許してはもらえない――
そう、晶は打ちひしがれるほどの存在感の差。
 秋葉は片手を上げると、その上に一条の髪が乗る。それは内側に何かの筒を
包んだかのように形作り、まるで蛇かホースを握っているかのような形になっ
た。

 秋葉は仰向けになる晶の乱れた制服姿を眺め、苛立たしげに立ち尽くしてい
たが――その黒い髪のチューブを握り、太さを確かめると――

「瀬尾?そうねぇ……私があなたを愉しませてあげようかとおもったけれども、
その必要もないみたいね……ならば、これであなたが愉しむところを私に見せ
なさい」

 秋葉は晶にむかって手首を翻し、その手に握られた黒いチューブを投げる。
 晶のお腹の上に、その髪のチューブが乗る。黒い髪で渦を描くように出来た
それはつるんとした先端を持ち、晶の手の中でぶにぶにと柔らかく感じる。
 晶は秋葉を見上げ、その手の中にある黒い髪のチューブを見、そして秋葉の
言葉の意味を考える。その全てが晶の中で組立った時、彼女に出来たのは……

「……先輩……先輩、みてください……私が先輩の慈悲で、お尻で感じるとこ
ろを……」

 手首足首の戒めは弱い。晶は弱々しく囁くと俯せになり、膝を立てて腰を高
く上げる。つるりとした綺麗な晶のお尻が足から伸び、その間にあるぐずぐず
に液にまみれた秘部と菊門を秋葉の目の前に晒す。
 晶は涙を堪えながら、片手でお尻を割り広げる。

 秋葉の目の前に、今度は自分の手で中身を割り広げる。
 お尻の肉に指を食い込ませながら、晶は目一杯肉を割り広げた。まだ秋葉の
指の荒々しく犯していった感覚の残る肛門に、黒い髪のチューブを押し当てる。

 まるで堅めのゼリーのような、そのチューブを晶はゆっくりと、肛門の中に
押し込む。
 肛門の皺が伸び、指よりも遥かに太いチューブを飲み込んでいこうとする。

「あ……はぁ……ひぃぁ……ふぁ、あああ……」

 目を半ば白目に剥き、舌を伸ばして息を吐き、肛門に自らの手で異物を混入
しようとする苦痛を和らげようとする。だが、苦痛よりも目一杯に広げられる
肛門は、まるで快感の槍で背筋を串刺しにするかのように晶の内側を貫く――

「ああっ、ぐぁ……あ、あがはぁ……ひぃ、ふぁ……」

 晶の口から漏れる声は、言葉を為していない。
 秋葉の視線を注がれる陰門からは、内股をぴしゃぴしゃと濡らすほど愛液が
したたっている。秋葉の舌で嬲られるよりも、秋葉の髪を肛門に招き入れる方
が晶を遥かに感じさせている。ぴゅっぴゅと潮のように愛液を吹き、喜ぶ晶の
身体を秋葉は見つめる。

 そして、秋葉の筒を、晶の肛門は飲み込んでいた。
 手で押し広げられた肛門に割り言っていく螺旋模様の黒い筒は、そのまま尻
尾のように伸びて晶の手に握られ、床の髪の海に没している。晶はその太い筒
を、身体の中に押し込んでいく……

「私は……いやらしい娘です、先輩。こんなに肛門で感じるのに前は処女で、
志貴さんにされたがっている悪い娘です……」
「兄さんにも肛門に入れて欲しいと思っているのね?フケツよ」
「そんなことは……でも……やぁ……あんあん……」

 秋葉の声に侮蔑されながら、晶は喘ぎ声を上げる。お尻を志貴に犯されたい、
本当は女の子の方をえっちされたいのに、お尻の穴がこんなに欲しがっていて
――晶はぎゅっと黒いチューブを握りしめ、ぐいぐいと押し込む。
 晶は秋葉の目の前で、黒いチューブでピストン運動を始めようとする、と。

「あっああ、ああああぅああ!」

 チューブが内側から、どくんどくんと脈打ち始める。
 晶は指からそのチューブを取り落としてしまう。が、髪は意志を持って動き、
その表面の模様を回転させながら、晶の肛門の中に沈み込んでいく――

「ひぁぁぁ!あああぅ!ひゃぐあ!先輩、そんなぁぁ!」
「本当はこうしたいんでしょう?本当に瀬尾、手が焼けるわね――」

 秋葉は嘲笑いながら、髪を操り――晶の肛門を犯す。
 ぐりぐりと秋葉の髪が晶の身体の中を沈み、その可憐な口を醜く広げていく。
晶が両手で髪の肛虐者を引き抜こうと手を掛けるが――

「ああぅ!いぁああ!えぎゃぅ……」

 秋葉の手首を縛る髪が、それを許さない。またしても磔にするように、強く
左右に引き延ばされ、晶は腰だけを高く掲げた四つんばいのポーズを強いられ
る。
 それも、お尻の穴に黒い尻尾を生やし――それがびくびくと赤黒い模様を発
しながら晶の体内から熱を奪い、直腸の中を犯す。
 
「あっ、あぅぁああ!いい、いいのぉ……はぅ、ひいいいい!」

 秋葉の先端が、直腸越しに子宮に押し当たる。
 体の中を弄り回され、肛門をぐちゅぐちゅと音を立てながら髪のチューブに
犯される――晶は目を裏返らせ、唾液を垂らしながら叫ぶことしかできない。
 晶をすさまじい肛虐の快感が襲う。腰が爆発し淫らな快感の液体を辺り一面
に飛び散らせるかと思うほどの、身体を揺さぶる快感。

「感じてるのね?瀬尾の肛門で!私の髪で!」
「感じてますぅ、私の卑しい肛門が先輩の髪にぐりゅぐりゅされて、ダメです、
あああああ!」
「いいわよ……あなたの身体の熱さが伝わってくるわ……瀬尾?イかせてあげ
る」

 秋葉はそう、自信を持って宣告した。
 その瞬間、晶の体内にある髪がいくつもに分岐し、内側からまるで、手で掴
み上げるかのように直腸壁から子宮口と奥に向かい、掴み上げるかのような激
しい一撃。
 瀬尾の目の後ろで真っ白な光がスパークし、脊髄と延髄がショートする。何
も考えられない、真っ白で圧倒的で、瀬尾晶という存在を洗い流すほどの快感。

 これだった。
 私が見たのは、先輩の髪に縛られ、犯され、そして快感に仰け反る私だった。
 
 瀬尾は、未来視の内容をあらためて悟った。
 逃れようのない未来だった。それが現実になり、それを厭うことなく、身体
が悦楽と現実を受け入れ、身体の中を溶かされてしまって、もう、ダメになる――

「あああっうぁああああ、あああああああああああああああああああぁぁぁ〜!」

 野獣のような晶の叫び。
 髪を振り乱し、背筋を弓なりに反らせ、舌と唾液に出して白目を剥いて――

 そのまま、晶はぐったりと動かなくなった。
 強すぎる快感が、晶の意識を飛ばしてしまった。その身体から意志と力が抜
け、ただお尻の穴に刺さったチューブで腰を引っかけ上げられたようにぐった
りとする。

 秋葉は興奮に息を早くし、肩で息をしていた。
 目の前で絶頂に達し、気絶した晶の身体を見下ろし、口に垂れた微かな唾を
指で拭う。黒髪を背負う彼女は、妖艶な美しさを発している。それは、人より
も魔を魅せる――

「……ふふふ……なかなか面白かったわよ?瀬尾……今度も愉しませてあげる」

 秋葉は低く呟くと、ぬるんと――晶の肛門から髪のチューブが抜ける。
 べとべとの液にまみれた髪は、肛門から離れた瞬間にまるで霜に枯れた枝の
ように凍り、ほどけていく。晶の四肢を縛る髪も床に消え、そしてその長い髪
も徐々に面積を縮めていく。

 秋葉はポケットから薬包を取り出すと、その中の錠剤を口に含む。水も飲ま
ずにかみ砕き、荒い息を吐きながら目を閉じ――

「……いいわね……これは……使えると分かったわ……アルクェイドにも感謝
しても良いくらいね……ふふふふふ」

 不穏な笑いが秋葉の口から漏れる。
 下半身を汚し気絶する晶の前で、秋葉は高らかに――

「あはは……いいわ……次は誰にしようかしら。アルクェイドにお返ししなき
ゃ行けないかしら、それとも琥珀、兄さんも良いわ――そうね、誰でも良いわ、
愉しませてよ、私を、喜ばせて、奪わせて――!」

 そんな秋葉の髪は、すでに朱に転じていて――
 それを誰も見るモノはいなかった。

 ただ、赤い髪の略奪者は嗤う。                                 
                          《END》


【あとがき】

 どうも、阿羅本です。
 和姦主義者を謳う割には身も蓋もなくダークで陵辱で触手でえっちなSSを書いてみました
……というか、こういうのも書けるのです、はい、阿羅本は。でも月姫のキャラでこういうのを
やれそうなカップルを捜すと阿羅本はつい「秋葉により瀬尾晶いじめ」に走ってしまう……
ほら、四季と琥珀さんとか心苦しくて(笑)

 このSSは(仮)のASHさんの触手SS・CG企画に参加させて頂いた際の作品になります。
この企画は参加者クローズドの公開であった為に、ASHさんにお願いしてMoongazer上でも
公開させて頂くことと相成りました。ASHさん、許可を頂き有難うございました。

 しかし、触手って……難しいものですね……(笑)

 でわでわ!!