或る、日常。
                  斉木 雅人

口に含んだものを強く吸う。舌を絡めて頭を上下させる。雁首の部分を軽く噛
んだまま頭を回す。
「あうっ…シ…エル…」
志貴くんが”もっと”とでも言うように頭を押さえてくる。それに応えて奥ま
で呑み込み、喉で先を刺激しながら手で袋を撫でる。
「くぅ…はっ…」
一度口から出して根元の方から舐め上げる。裏筋の部分を唇で啄ばむように刺
激しながら先を指でこねくりまわす。
「んっ…ちょっ…シエル、もう…」
根元をしっかり押さえて出せないようにする。そのまま口に含み、ほっぺたの
中で先を擦るようにした。
「ううっ…ね、シエル、もう出させて…」
志貴くんの声がせっぱつまってくる。まぁお願いもされたし、今日は許してあ
げましょうか。
押さえていた指を離し、唇をすぼめて頭を上下させて志貴くんのをしごく。
「う…出すよ、シエルっ!」
びくん、と志貴くんのが口の中で跳ね、大量に濃いものが吐き出された。
少しずつ口の中に溜まったものを飲み下す。飲み込むたびに志貴くんの腰が跳
ねる。
最後に強く吸って、全部飲み込んでから顔を上げた。
「気持ちよかったですか、遠野くん」
「うん…シエル先輩…すごくよかった…」

…少し落ち着いてきてモノをズボンに仕舞う。
今は昼休み。予鈴までは10分くらいある。ここは茶道室。先輩は向かいでお
茶を啜ってたりする。
「今日も凄く濃かったですね、遠野くん」
「あー…いや…」
真顔でそんなことを言われて、頬が熱くなるのがわかる。
「でも安心しました」
「え?安心したって何が?」
「他で無駄遣いしてないってことですから」
「あ…うん、まあ…」
ここのところ、学校がある日は毎日シエル先輩としている。
昼休みに口で一回、放課後に二回か三回。
…気持ちいいからいいんだけど。
「その、さ。なんで最近こんなにしてくれるの?」
「遠野くんは嫌でしたか?」
「いや、嫌じゃないけど。先輩の気持ちいいし…」
「それならいいじゃありませんか」
これは、何かねだられてるんだろうか。例えばアクセサリーとか、旅行とか。
「遠野くん?何考えてるんですか?」
「あ、いや…その、先輩、なんか欲しいの?」
「何か頂けるんですか?」
「ええと、そうじゃなくて…いつも気持ちよくしてくれるから、お礼っていう
か…」
先輩はくすりと笑う。…何か変なこと言ったかな。
「そんなこと考えなくていいんですよ。私が遠野くんにしてあげたいんですか
ら」
「でも、さ。何か…その、欲しいものがあれば言ってくれれば」
「うーん、遠野くんさえいてくれればいいんですけど」
どうしましょうか、って感じで首を傾げてくる。と、なんか思いついたのかに
っこり笑った。
「遠野くん、それじゃ一つお願いがあるんですけど」
「ええと、なんでしょうか」
「今日はお腹の中で出してください」
微笑みながらそんなことを言ってくる。…って、ちょっと待って。
「え、あの…先輩今日は大丈夫な日?」
「どうだったでしょうね。忘れちゃいました」
「い、いや、それはまずいだろ先輩」
「別にまずくはないですよ。遠野くんのですから」
「だってもし妊娠とかしちゃったら…」
「私は構いませんけど。遠野くんは嫌なんですか?」
「嫌っていうか…その、困る」
高校生のうちに父親ってのは勘弁して欲しい。
「大丈夫ですよ。責任とってくれなんて言いませんから。それとも欲しいもの
をくれるっていうのは嘘だったんですか?」
「嘘じゃ、ないけど」
「それじゃください。卒業したら、こうやって学校で会うこともできなくなる
んですから」
…そうだ。もう先輩は今年で卒業で…
「…わかった。その代わり覚悟してよ。俺もするから」
「そんなに構えなくていいですよ」
そうなんだろうけど。もしもそんなことになったら、秋葉を説得するっていう
最悪の難事が待っている。さすがにそれは俺にとっては凄く覚悟がいることだ。
キーンコーンカーンコーン…
「あ、予鈴鳴っちゃいましたね。それじゃ、放課後楽しみにしてますから」
「…うん。それじゃ放課後に、先輩」

その日の授業は、予想通り何も手につかなかった。
放課後になって茶道室へ向かう。まだ先輩は来てないようだ。
…なんだか初めてのときみたいにどきどきする。
「あら、早かったんですね遠野くん。そんなに待ちきれませんでしたか?」
「あ、いや、そういうわけじゃないんですけど」
「それじゃ、今日はよろしくお願いしますね」
正座をして、礼をしてくる先輩。心臓が、どくんと跳ねた。
「あ、ああ」
「遠野くんどうしました?やっぱり、私じゃ嫌ですか…?」
「そんなことない!その、なんだか可愛いっていうか、ああ俺何言ってるんだ
ろ」
「そう言ってくれると、うれしいです」
軽くキスをしてくれる。それで完全に箍が外れて、押し倒して強く唇を奪う。
眼鏡同士がぶつかってかちりと音を立てた。
舌を口腔内にさしのべると、シエル先輩も応えてくれる。
そのまま舌を絡めて、先輩の唾液を味わう。手を胸に回し、服の上から揉む。
「…制服」
唇を離したときに、先輩が何か呟いた。
「え、何、先輩?」
「制服、皺になっちゃいますから。私も脱ぎますから、遠野くんも脱いでくだ
さい」
「あ、うん、そうだね」
服を脱ぐ。なんか気ばかり焦ってうまくベルトが緩められない。
「そんなに慌てなくていいですよ。私は逃げませんから」
「あ、いや…」
一度、目を閉じて深呼吸をする。このままだと暴発してしまいそうだし。
少しは落ち着いて、ベルトを外し一気に脱ぐ。
先輩も服を脱ぎ終わっていて、二人とも全裸になっている。
「ええと、遠野くんは眼鏡は外さない方がいいんでしたよね」
「ええ、できれば」
「それじゃ、今日は私が遠野くんにしてあげます。仰向けになってくださいね」

自分の胸を遠野くんの胸板に押し付けながらキスをする。
一度唇を離し、舌先で唇に触れるように舐める。肩の肉付きを確かめるように
掌を滑らせながら、舌を頬から耳に移し、耳たぶを口に含む。
「ん…シエル…」
「遠野くん耳弱いですね…」
耳元で囁くと、お腹に押し付けられている遠野くんのモノがびくっと跳ねる。
唇を胸元の傷に滑らせる。脇腹を指でくすぐりながら、右手を下に伸ばし、先
から溢れ出した雫を先に塗りたくるように指でいじる。
「くっ…そこ…シエル…」
乳首を円を描くように舌先で舐め上げながら、左手で体重を支えて遠野くんの
を右手で掴み、自分のをこすり付けるように腰を動かす。と、遠野くんがお尻
を掴んできた。
「どうしたんですか、遠野くん?」
「その…シエル先輩、そろそろ…」
「我慢できなくなっちゃいましたか?」
腰を前後に揺らす。遠野くんの裏側が私のに擦れる。
「んっ…もう入れたいんだ…」
「本当に我慢がきかないんですね」
「いじわるしないで…」
両手でお尻を掴んで固定してくる。それじゃ、しましょうか。
「そんなに握られちゃ入れられませんけど」
「あ…ご、ごめん」
慌てて手を放す遠野くん。なんかいじめたくなっちゃいます。
手で遠野くんのを支えて、先だけを自分の中に入れてあげる。
「あっ…シエル、早く…」
その声を無視して腰を上げ、浅い抜き差しを繰り返す。
「シエル…その、気持ちいいんだけど…もっと奥まで…」
気にせずに、入り口で先だけを刺激し続ける。
「ん…こういうの、好きなんです…遠野くんは嫌いですか…?」
「嫌いじゃないけど…なんだか…」
せつなげにしかめられた顔が私の嗜虐心をそそる。抜けないくらいに円を描く
ように腰を動かした。
「ん…ふ…志貴くぅん…」
「シエル…んっ…」
私の方がもう高まってきちゃったみたいで。志貴くんの顔を見てるだけであふ
れ出てくる。
「!んあっ!」
志貴くんの指がクリトリスをはじく。その衝撃で手足の力が抜けて―
「あああぁっ!」
一気に、奥まで。どん、という衝撃と共に全部志貴くんのが私の中に。
頭が真っ白になって、軽くイっちゃった感じ。
「志貴くん…こんな、こんなの…」
「シエル、気持ちいいの?」
そのまま志貴くんが下から突き上げ出す。お腹の奥にどん、どんと衝撃が走る。
「はぁっ…はい…気持ちいいです…」
「奥もいいだろ?」
「あ…ああっ…」
躯が勝手に志貴くんのを締め付ける。身体が熱くなる。
「良さそうだね…それじゃ、自分で動いてごらん」
「は、はい…」
志貴くんの動きが止まる。志貴くんのお腹に手をついて、ゆっくりと動き出し
た。
抜ける寸前まで腰を上げる。一拍おいて、奥まで入れていく。
「はあぁぁ…」
奥まで入れたまま、ぐりぐりと腰を動かす。
「志貴くぅん…好き…」
「俺もだよ…シエル…」
上半身を志貴くんの上半身に密着させ、キスをする。
腰を動かしながら。
舌を絡めながら、志貴くんも私に応えて動き出す。
「んふぅ…」
じゅぷ、じゅぷと下半身から音がする。
捻りを加えながら腰を上下させる。あちこちに志貴くんのがあたる。
「くっ…シエル、そろそろ出るから…」
「駄目です、今日は中に…」
「…ああ、そうだったな」
志貴くんの腰の動きが激しくなる。こちらに何も考えさせないかのように、激
しく、強く。
「はぁっ…!志貴くん…」
「シエル…出すぞ…」
「来て、来てください!」
私の中で、志貴くんのがさらに大きくなる。次の瞬間に、奥に激しく液体が当
たった。
「ああっ!志貴くん、イっちゃいますっ!」
「シエル…っ!」
志貴くんのが、中に、いっぱい…
なんだか幸せになって、目を閉じた。

「えーと、シエル?大丈夫か?」
シエルは目を閉じたまま。息は荒いくらいだから大丈夫だとは思うのだけれど。
「…あ、ごめんなさい志貴くん。ちょっと、…ひたってました」
「ひたってたって、何に?」
「志貴くんのがいっぱい出てて…これって、気持ちよかったからですよね…?」
そう言うと、シエルは自分の股間に手を遣り、俺のを指に絡みつかせて、口に
手を持っていき、舐めた。
「ん…昼と同じくらい濃いです…」
その姿はなんだかとても淫靡で。さっき出したばかりなのにまた俺のモノに力
が漲るのがわかる。
「シエル。後ろ向いて」
「あ…はい」
いつもしているから、素直に後ろを向いてお尻を突き上げるシエル。
そのお尻の穴を指でそっと撫ぜる。
「ああっ…」
「こっちもして欲しいんだよね、シエルは」
「はい…お願いします…」
その言葉に応えるように、親指をぐっと穴の中に押し込む。少し抵抗があるけ
ど、すぐに根元まで飲み込まれる。
「はぁん…」
「全くシエルのココはやらしいな。指じゃ満足できなさそうだね」
「いや…志貴くん…恥ずかしいです…」
指を曲げてぐりぐりと動かす。それだけで、新しい蜜がその下の唇からたれて
くる。
「ふぅ…んんっ…」
「恥ずかしいのに感じてるんだ、シエルは」
「だって…」
人差し指も入れ、お尻の穴を広げる。伸びきった皺を舌で丹念に舐め回す。
「あっ…あああぁっ…」
「気持ち良さそうだね、シエル」
「はい…気持ちいいです…」
さっきまでとは異なり、シエルはとても素直だ。それが可愛い。
「お尻の穴の方が気持ちいいんだ。変態だね、シエルは」
「そんな…そんなことないです…んあっ…」
手首を捻るようにして刺激を加え続ける。愛液は膝まで垂れてきていて、それ
に俺がさっき出した白濁液が混ざる。
「何がそんなことないの?こんなにしてるのに」
「言わないで…くだ…んんっ!」
指を抜いて自分のモノをあてがう。それだけで、その穴はゆるみきっているの
がわかる。
「それじゃ、もっと太いものあげるよ」
「はい、お願いします…」
ゆっくりと腰を進める。先が直腸の壁に当たり、少し角度を変えるとどこまで
も呑み込まれていく。
「はぁ…志貴くぅん…」
「んっ…やっぱりシエルのお尻は気持ちいいよ…」
「はい…ありがと…う…ございます…」
後ろから覆いかぶさるようにして背中に舌を這わせ、胸を揉む。
「はっ…んん…」
乳首を刺激するたびにお尻の穴がきゅっと締まる。片手をついて、腰を動かす。
「あんっ…ん、あ、ふ…」
「シエル…いいよ…」
「ああぅ…ふぅっ…」
動きを激しくしていくと、時々腸壁が当たって擦られる。それが、例えようも
なく気持ちいい。
「あっ…んんっ…し、志貴くん…」
「くっ…シエル…」
ラストスパートをするように腰を打ち付ける。
「ああっ!もう駄目です…志貴くん…もう…」
「俺も…行くぞ、シエル!」
「あああああぁっ!」
穴が強く収縮する。それに合わせて、今日三回目の精を解き放った。

「…ふぅ」
お互い裸のまま、軽く抱き合う。シエルの身体はまだ小刻みに痙攣していて、
とても可愛い。
「…気持ちよかったです…」
「満足した?」
「はい」
「好きだよ、シエル」
軽くキスをする。
「私も…志貴くんのこと、凄く好きです」
「もう…シエルのいない生活なんて考えられないよ…」
「私も…志貴くんとずっといっしょにいたいです…」
「いっしょにいられるよ。二人ともそう思ってるんだ、できないことなんてな
いよ」
「そうですね…」
それは、とても幸せな時間。
これからもずっと続く、幸せな時間―

後始末をして、茶道室を出る。
もう校舎内は真っ暗だ。その中を手を繋ぎながらゆっくりと歩く。
「先輩のアパートがうちの近くにあればいいのにな」
「そうですね。逆方向だから校門までしかいっしょに行けませんし」
「ずっといっしょにいたいよ、俺は」
「駄々をこねないで下さい。また明日会えるじゃないですか」
「先輩は冷静だね。さっきまではあんなに乱れてたのに」
「…!!遠野くん、それを持ち出すのは反則です!」
「はい、すみません」
「わかってくれればいいです」
顔を向き合わせてクスリ、と笑いあう。
本当に。
この時間が、ずっと続いていけばいいと思う。

 

 


後書き。
2作目、シエル×志貴です。
最初の構想段階では「Triangle」というタイトルで、アルクも出てくる予定で
した。
ただ前回ラブラブと18禁との二足の草鞋になってしまった感があったので、
アルクの登場はすっぱり止めました。
三角関係ものはまた後日に書いてみたいと思います。