空想科学月姫 〜その1〜
(注意)
このお話は物語性以前に、理系の解釈で書いているので少々難しいかもしれません。
分かりやすく書いたつもりですが、文系の方・中学校生以下の方、ゴメンナサイ。
(掲載者注:良い子の中学生は月姫をやってはいけません(笑))
教えて!!知得留先生 空想科学月姫編
「ニーハオ!皆様お元気ですか〜?これから始まる「空想科学月姫」につい
て、ここで先生から簡単な注意かがありますよ〜」
「いきなりニーハオとは不気味にゃ。何か企んでいるにゃ」
「はい、しばらく出番のない亜種は黙って下さいね〜」
「ぶーぶー」
「空想科学月姫は、作者が空想科学読本シリーズに影響を受けて、月姫世
界の様々な現象を科学的に考察するSSシリーズです。ですが!」
「ですにゃ?」
「ここで述べられている現象の考察・計算結果は、作者の独自の仮説による
ものです。出来る限り作中の表現を生かして考察を行っていますが、明らか
になっていない部分等は、作者が勝手に設定した数値等を使用しています。
あくまで「仮説」でしかありませんので、細かいところは大目に見てやってください」
「それは作者の知識不足や計算の不正確さを擁護しているようにしか聞こえ
ないにゃ」
「……」
パン!パン!!
「ぎにゃぁ〜!!銃器!銃器!!」
「はい、五月蠅い家畜は黙ってなさいね〜」
「作者さんとしては、結果はなるべく分かりやすく、突拍子もないものを希望
しているので、そう言う設定にしてしまっている部分が多数あるそうです。で
すから、一つのくだらない読み物としてお読み下さい。もし明らかに間違って
いる部分がありましたら、作者にメール等でお知らせ下さい。それでは、ほん
の少しだけお付き合いしてあげてくださいね〜」
「あちしよりも、多分あっちの方が出番が少ないにゃ」
§ §
「どうして兄さんはそう意固地なんですか」
ティーカップを持つ秋葉の手には力がこもっている。
「…そう言う秋葉こそ、認めたらどうだよ」
俺もポケットに手を入れ、ナイフの存在を確かめている。
「…」
沈黙が走る。さっきから部屋の隅では翡翠が震えながら事の様子を見守って
いる。
「とにかく、私の方が上です」
「い〜や、俺の方だ」
一触即発、そんな言葉がお似合いな状況だ。
「あらあら、秋葉様に志貴さん、一体どうしちゃったんですか?」
が、ぱたぱたと食事の片付けを終えた琥珀さんがいつも通りに現れて、秋葉
はぷいと顔を背ける。
「何でもありません」
秋葉はそう言うが、明らかにご機嫌斜めな顔だ。
「まぁ、気が立っちゃうのも仕方ないですね。もうじきセンター試験ですし」
琥珀さんはやれやれ、と言った顔をする。
秋葉に命を返した後。
体が回復するまでの間は学校を休んでいた所為もあり、俺は留年した。そし
て幸か不幸か、秋葉と同じ学年になったわけだ。
ちなみにクラスも一緒なのだが、こればかりは助かったと思っている。何し
ろ今まで「先輩」と思っていた人が同じ学年に「下がって」くるのだ。遠慮し
ているクラスメイトとのコミュニケーションは、ほぼ不可能に近いモノがある。
こればかりは留年しないとワカラナイ悩みだろう。
そこに秋葉がいたお陰で、「秋葉のお兄さん」という1つのきっかけが生ま
れ、クラスの輪に入る事が出来た。まぁ、男子のほとんどは複雑な視線を向け
ていたが。
秋葉とは流石に学校で「恋人同士」なんて振る舞うわけにもいかなかったが、
「仲の良い兄妹」と言った感じで過ごせたと思う。
で、学園生活最終最大のイベントと言えば受験なわけで、俺達は今来るべき
センター試験のために、正月明けにもかかわらず最後の追い込みをかけていた。
流石に日程も押し迫ると心に余裕が無くなる。共に進学への成績は問題ない
だろうが、ピリピリしがちだった。
で、些細な事で喧嘩になってしまうのである。お互い分かっていても、抑え
が効かなかった。
「志貴さん、何を揉めてたんですか?」
「いやぁ、まあ大したことじゃないんだけど…」
俺も言葉を濁らせる。
「隠し事はいけませんよー。体に毒ですからね」
琥珀さんが言う「毒」と言う言葉は何とも重みがある。実際秘密にしていた
ら、自白剤あたりを一服盛られていつの間にか白状していた、なんて事があり
得るだろうし。
「姉さん」
今まで黙っていた翡翠が漸く口を開きながらこちらをジト目で見ている。先
程まで神経のすり減る思いをさせられた仕返しなのか、以外とこういうところ
は正直な翡翠だと思う。
「お二人は、『どちらの能力の方が優れているか』について議論していました」
それを聞くと、琥珀さんは
「あらあら、また答えの出なさそうなお話ですねー」
と、笑いながら答えた。
「だから、こうなっちゃったんだよ」
俺は困り顔で秋葉を見やる。秋葉は相変わらず怒り顔でそっぽを向いていたが、
漸くこちらを見直した。
「兄さんの攻撃は一撃必殺で、攻撃力の高さは認めますよ。でもそれは「点に
触れれば」という条件下ですから、私には敵わないんですよ」
「しかし、おまえの檻髪も「視界に捉えれば」という条件下だろ?状況は同じ
さ。不意打ちで背後から忍び寄られた場合、勝つ手段がない」
不意打ちという言葉に、秋葉はむっとして
「能力比較の戦闘で、不意打ちは存在しません。正々堂々と正面から闘うのです」
そう反論する。
「しかし、その正々堂々の「間合い」だと比較以前に勝負にならない、一方的
にこっちが不利だ。何せおまえの間合いだからな」
「そうです。だから私の方が優れてます。兄さんと私じゃ、ナイフと散弾銃位
の力差がありますね」
秋葉は自分の攻撃範囲の広さに勝ち誇ったように俺を見る。
「いや、仮に百歩譲って、その間合いである瞬間に「戦闘」が始まるとして、
その時から共に攻撃態勢に移れるとしよう。おまえが檻髪を展開させる瞬間ま
でに、俺はその視界から外れればいいわけだな。七夜の血なら生死のかかる戦
いではそれも可能に違いない。となると避ける方向は右か左か上しかない。が、
おまえが目で追い続けられる方向は1つだ。つまり、3分の2の確率で俺はお
まえを仕留められる、という計算になる。そうすれば俺の方が有利だぞ?」
俺は劣性を感じて反論するが、秋葉は一笑に付するだけだ。
「確率論ですか?でもそれは条件付き確率で、大本が示されていません。まず
大前提に私がどう動くかも入れていただかないと。私が飛び上がりでもしたら
どうします?正面か下か、という選択肢になれば確率は半分ですよ。更に後ろ
に飛び上がれば私は兄さんの射程範囲から外れます。その時点で兄さんの勝ち
はあり得ません」
「くっ…」
「有効射程の長い方が強い、銃器の発達した理由も考えれば至極当然ですよ。
兄さんは長篠の合戦の武田軍、私は織田・徳川連合軍と言ったところですね」
随所に勉強の名残が見える。数学に歴史か。こんな時でも結局はテストに毒
されている気がして、ため息が出る。
「ふぅ…琥珀さん、秋葉に何とか言ってくれません?」
俺は、さっきから二人の会話を面白そうに聞いていた琥珀さんに話しかける
「あら兄さん、一人じゃ敵わないと見て助け船ですか。情けないですね」
正直悔しいが、単純な比較では攻撃力のみでしか優れない俺が不利なのは明
らかだ。ここは琥珀さんを味方に付けて、何とか反撃の糸口を見つけたかった。
「『直視の魔眼』に『略奪の檻髪』ですか〜。そうですねー」
口に手を当てて、琥珀さんは少し考えた後
「私は、どっちも大したこと無いと思いますけどね〜」
と、あっさりと双方を敵に回すような事を言ってくれた。
「琥珀」
秋葉は睨むように琥珀さんを見ながら、
「何かそう言える根拠でもあるわけ?まさかあの吸血鬼達を比較対照としてる
訳じゃないでしょうね?」
自分を否定された怒りを見せる。しかし琥珀さんは
「そんな事無いですよ〜。ちゃんとお二人の間だけでの比較で考えた結論です。
ちゃんと根拠もありますよ」
秋葉の言動に動じずいつもどおりやんわりと否定して、あっと良い事を思い
ついたようにぽんと手をついた。
「そうだ。説明するだけではお二人とも納得できないと思うので、実験してみ
ましょう。そうすれば分かっていただける筈ですよ」
「「実験?」」
俺と秋葉は同じように返してしまった。唐突に実験って、何をするのか皆目見
当が付かなかった。
「ちょっと待っていてくださいね〜」
そう言うと、琥珀さんは何故かぱたぱたと台所に去ってしまった。
俺と秋葉と…先程から何も言わない翡翠の3人は、琥珀さんの意図が読めず、
ただ頭に?マークを浮かべながら待つしかなかった。
「お待たせしました〜」
僅か後、琥珀さんが手に持ってきたのは…何故か食卓塩のビンだった。
「これを使いましょう」
と、琥珀さんはテーブルにとんと、食塩を置いた。
「これって……」
秋葉がキョトンとした目で手に取る。
「ええ、食塩です」
琥珀さんは嬉しそうにさも当たり前の事を答える。
「そんな事は分かってます。……でも、能力比較に塩なんて関係ないわよ」
落ち着きを取り戻していた秋葉だが、的を得ない答えにまた苛立ち始めていた。
「それが大いに関係あるんですよ〜」
琥珀さんは既に教育テレビのお姉さんの気分だ。指をふりふり楽しそうに解説
をはじめる。
「はい、じゃまず志貴さん。食塩の化学式と式量は?」
「えっ…!?」
唐突に振られて、俺は焦った。正直化学は得意な方ではない。考えるのが高
じて文系になった訳で、科学は案外だった。
「えーと……食塩は塩化ナトリウムだから、化学式はNaClで、式量は……」
そこで言葉を詰まらせる。
……式量って何だ?
秋葉を見ると分かっているみたいで冷たい目が俺を襲う。翡翠は……ちゃん
とした教育ってしてないのだろうから、聞くのは失礼か。
弱った目で琥珀さんをみると、琥珀さんは、困った顔をして俺を覗き込む
「もう、ダメですよ志貴さん。センターまで日が無いんですから、これくらい
答えて貰わないと。これでも砂糖とか持ってこなかっただけ、マシだと思って
くださいね〜」
「はい……」
流石に薬学を心得ているだけ合って、化学では琥珀さんに敵うわけがない。
正直にうなだれてしまった。
「式量は、分子量と同じですよ。ただ塩化ナトリウムはイオン結晶だから分子
じゃないので、呼び方として式量と言うだけです。式量は分子を構成する物質
の原子量の和だから、Naの原子量が23、Clが35.5なので、和を取って5
8.5が式量になります。分かりました、志貴さん?」
「…はい」
正直、暗号を並べられている気がしてならない。
「もう、兄さんはこれで大学行く気ですか?遠野家の者として一通りの学問は
会得して貰わないと、私と釣り合いが取れないじゃないですか……」
すこしあきれ加減の秋葉に言われて、兄として、恋人として情けなくなりそ
うだった。
「まぁ、そこが本題じゃないので続けますよ〜。このビンは正味60グラム、
この前開けたばっかですけど、ちょっと使ったので大体式量と同じグラムだけ
の食塩が入ってると仮定できますね」
「えっと…、つまり1モルの食塩、と考えていいんだね?」
「そうです。志貴さん、やれば出来るじゃないですか〜」
「あら兄さん、ようやく思い出したようですね」
涙が出そうになった。俺はどう見られているかが分かった気がする。翡翠
は…そんな哀れむ目で俺を見ないで欲しいな……
「……で琥珀さん、これをどうするんですか?」
「ええ簡単ですよ。お二人の能力をこの食塩に使って頂くんです」
「「?」」
先程と同じ?マークが飛ぶ。能力をこれに…?
「使うって、どうやって?」
「まぁ志貴さん、それはこれからです。ところでこの食塩の結晶に死の線は見
えますか?」
「えっ?」
意味が分からなかったが、とにかくやってみる事とした。ビンを手に取り手
のひらに食塩をひと降り、そして眼鏡を外す。そのままではとても「死の線」
を視る事は出来ないから、粒を睨むようにする。一瞬の強い頭痛の後、確かに
食塩の結晶には僅かな点と線が浮かんでいるのが確認できた。
「見えたよ。で、これをどうするんですか?」
眼鏡をかけ直しながら、俺は琥珀さんに尋ねる。
「なら簡単です。この食塩の「存在を殺して」下さい」
「……そんなことでいいんですか?」
「ええ」
にっこりと、琥珀さんは微笑む。俺はもう一度右手で眼鏡を置き、そのまま
ポケットのナイフを取り出して、その針の先にも似た点に突き刺した……筈だっ
た。
「!?」
自分の「眼」を、本当に疑った。確かに点は消えたけど、替わりににそこに
残ったのは、2つに割れた食塩の粒。それぞれにまた「点」をちゃんと持っていた。
「これって…」
俺が焦る様子を見て、琥珀さんはいつも通りの笑顔で答えた。
「そうです。食塩の存在自体を殺すとなれば、それは分子としての存在を消す
までやらなきゃダメですよ。人間みたいに1個体の存在意義を殺す事は出来る
かも知れませんが、単純な物資なら、それぞれを全て殺さないと」
と、そこまで説明した後、琥珀さんは秋葉の方を見て
「秋葉様、1モルにはいくつの分子がありますか?」
秋葉はさも当然のように
「アボガドロ定数、つまり6.02×10の23乗個ね」
あっさりと答えた。
「それってつまり……」
俺は何となく理解しかけた。
「その数だけ、点を突けって事?」
「そういうことになりますね〜」
……そんな天文学的な数の点、突く前に俺の頭が焼き切れちゃう。というか、
どんなスピードで突いても、死んじゃいます。
「直視の魔眼でも、食塩1モルの存在さえも消せないのか…」
俺はガックリきてしまった。攻撃力が強くても、数が多けりゃ話にならない、
そう言う訳だったとは…
「だから言ったでしょう。私の方が優れてるって」
秋葉は勝ち誇ったように告げた。
……言い返せない。秋葉だったら高々食塩の塊、ちょっと「視る」だけで消
せそうだというのに…
「そうでもないですよ、秋葉様」
「!?」
「!?どういう事?琥珀。説明しなさい」
驚く俺と秋葉を交互に眺めながら、琥珀さんは話を続けた。
「ええ、今度はちょっと物理で攻めてみましょうか。秋葉様、特殊相対論はご
存じですか?」
「まぁ、話には聞いてるわ。確か、光速度が不変とか、物質は光速まで加速で
きないとか…」
さすがの秋葉でも少し首を捻りながら答えてる。俺にとっては、全く未知の
領域だったりする訳だ。
「十分ですよ。その中でも有名なエネルギーと質量の関係式、分かりますか?」
「確か、エネルギーは質量かける光速度の二乗、って式ね」
二人のやりとりはとてもこの年代の人がする話じゃない。俺は目を回してし
まいそうだ。翡翠は既に我関せずとじっと無表情でこちらを見ている。
「正解です。では秋葉様、この食塩全て「略奪」して下さいますか?」
琥珀さんにそう言われ、秋葉も流石に呆れる。
「それとその式、何の関係があるのよ…!?」
と思ったが、実際やりかけた秋葉の手が止まった。
「なるほど、それは到底無理な話ね」
秋葉はすっぱり諦めたようだった。
「何故?教えてくれ秋葉」
俺には全くワカラナイ。
「もう、兄さんも少しは自分の頭で考えてください」
「まぁまぁ、これは文系の志貴さんには仕方ありませんよ」
「私も文系よ」
「まぁ、積み上げたものが違いますからね〜」
「……ゴメンナサイ、教えてください」
「あら、泣かないで兄さん」
「志貴さん、今ちゃんと説明してあげますから〜」
この時ほど首をくくりたいと思った事はなかった。
「つまり、この食塩1モルを全て略奪するならば、この式通りしなくてはいけ
ないのですよ」
と、琥珀さんはE=mc^2と紙に書きながら説明してくれる。横には秋葉がいて、
折角だから復習しているらしい。
「cは光速度です。物質の持つ全エネルギーは、この2乗ですから、mを1グ
ラムとして計算してみてください」
「光速度は秒速30万キロだから…2乗して全エネルギーは…90兆ジュール!?」
「そうよ。それが58.5倍されるから、量も半端じゃないわ。ところで兄さ
ん、これ、どのくらいの熱量か知ってます?」
途中から講師が秋葉にバトンタッチした。慈しむような目で俺を見ているが、
言っている事は手厳しい。
「さぁ?」
「1グラムで広島原発2発分、といえば分かるかしら?」
「なっ…!?」
「つまり、私は117個分の広島原発を体に抱え込まないといけないんですよ。
エネルギーが50%熱、40%運動、10%音に変わったとしても、私の体は熱
で沸騰して消滅するか、分子運動の加速で体中の分子の結合が全て解けてプラズ
マになるか、音の衝撃波で体ごと吹き飛ぶか、そんな末路しかないんです。まぁ、
そんな略奪は到底無理ですけど」
しれっと言うが、とてつもない話だ。それをあっさり提案した琥珀さんも恐るべし。
「結局」
秋葉は琥珀さんを見て軽く微笑む。
「そんな些細な事で喧嘩するより勉強しなさいって事ね」
「そう言う事です。特に志貴さん、弱点が分かって良かったじゃないですか〜」
琥珀さんも喜んで答えた。
「はぁ…」
俺は結局、狐につままれたように話をはぐらかされたとしか思えない。ただ
2つ言える事は、俺は科学がまずい事と、大学じゃ科学の授業を取らないとい
う事くらいだった。
「志貴様」
翡翠が見計らったように声をかける
「そろそろ勉強の方を始められた方が」
「ああ……」
俺はそう言うと、ゆっくり立ち上がった。なんか、貧血ではないのにフラッ
ときていた。
「琥珀さん」
翡翠に促されて部屋を出る直前、何となく琥珀さんに聞いた。
「琥珀さんは、誰が一番強いと思います?」
すると、自信ありげに琥珀さんは答えた。
「そりゃ、私ですよ〜」
「その理由は?」
間髪入れずに答えたから相当自信があると思い、その理由を聞いた途端に、
琥珀さんの笑顔が、あの能面のような笑顔に変わった。
「だって、私だけ抗体を打って毒ガス蒔けば、皆さんイチコロですからね。知
ってます志貴さん?毒ガスの致死量って5ミリグラムとかなんですよ。しかも
皮膚に触れた瞬間に死にますから、避けようがないんです……」
「じゃ、じゃぁ!おやすみ琥珀さん!!」
これ以上聞くのは、俺の七夜の血が拒否した。
俺は脱兎の如く逃げだして、自分の部屋に戻った。
結局しばらく化学式を見るのが恐くて理科の本は開けなかったりする自分がいた。
後書き
裏姫&嬢祭の前にウォーミングアップという事で短編を…のつもりが以外と長
くなりました。
高校生の頃、「空想科学読本」を読んで電車の中で爆笑した自分がいました。
そう言う話を書いてみたい!とは理系人間で物書きとして一つの野望だったりしました。
今回はセンター試験直前、受験生応援企画と言う事で「月姫で覚える科学講座!」
てな具合でお送りしました。
自分も受験生の頃はほとんど意味が分からなかったんですが、通過すると何の事
無い式だったんだなぁと思わされるばかりです。
これを読んでセンター試験でマークが塗れた!という方が一人でもいたら幸いです。
え?受験生の年齢じゃほとんど月姫は出来ないって??なら「月姫で覚える科学
講座!留年・浪人生向け」ということでお許し下さい(爆
次は「四季の血の剣」について科学しましょうか?(笑
というか、この時期にこんなの見ている暇あるならば勉強しましょう。自分もね…(ぉ
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