下弦の月
阿羅本
翡翠の視界の中に、シエルが居た。
小豆色のワンピースに白いエプロン、そして頭の上にはレースのカチューシャ
を載せたシエルは、科学雑巾を片手にふんふんと鼻歌を歌いながら窓を拭いている。
シエルの掃除というのは、翡翠の常識を越えた事がまま起こる。
たとえば、シエルは床に立って手の届く範囲の窓ガラスを拭いていた。だが、
天井の高い遠野家の窓はさらに天井高く伸び、翡翠などは脚立を持ってこない
と上までは拭くことは出来ない。
だが、シエルは違っていた。
窓枠に軽く足をかけたかと思うと、そのままふわりと飛び上がる。さらにも
う片足を上の桟にひっかけ、片手で窓枠の隅に手を添えながらするすると上がっ
ていく。
まるで体重が存在しないかのような振る舞いであった。そうして、窓の桟に
つま先で身体を引っかけ、窓を拭き始める。
翡翠はそれを見て、溜息の一つも漏れる思いであった。
最初にこれを目にしたときに、翡翠は腰をぬかさんがばかりに驚いた。なに
しろ、壁を駆け上がり天井に逆さにぶら下がってシャンデリアを磨いていたの
であるだから。だが、慣れとは恐ろしい物で、翡翠にはもうシエルの行動を見
て驚かなくなっていた。
「あ、翡翠さん。何か御用ですか?」
窓枠ごしに正午の光を受けるシエルが、そう足下の翡翠に呼びかける。
僅かに離れたところでシエルを見上げていた翡翠は、いつもの真面目な表情
で答える。
「いえ、何も……そう、東館の通路が終わったら、西館の床をお願いします」
「はい、分かりました。翡翠さん」
そう答え、シエルは窓を吹き直す。ずいぶんと嬉しそうに仕事をする――
と翡翠は微笑ましく思う。願わくば、もう少し人間として常識的な動きをして
欲しいのだけど。
翡翠はそう思いながらシエルの元から離れようと思ったが、返す踵を止めて
再びシエルを見上げた。
翡翠は冷静な顔を保ったまま、こう尋ねる。
「……シエルさん、よろしいですか?」
「はいはい!なんでしょう!」
「一昨日の夜、離れの和室で何をやってたのですか?」
次の瞬間、シエルは窓の桟から足を踏み外し、真っ逆様に床に落ちていた。
ズダーン!と激しい音を立てシエルは背中から床に叩き付けられていた。明
らかにシエルの身長以上の高さより落ちているので、おそらくは二m半ほどの
高さから落ちていた。下は絨毯敷きとはいえ、その下は石材の床だ。痛くない
筈はない。
翡翠が吃驚しながら見守る中、シエルは腰に手をあててよろよろと起きあがる。
ここで頭でも打ったらぴくりともしないのだろうが、シエル事態は特に怪我はな
いようであった。
だが、顔色には身体の痛みではない焦りの色が満ち満ちている。
翡翠は、そんなシエルの様子を上から下までじろり、と睨む。
「ひ、ひ、翡翠さん……その、何を?」
「……いえ、一昨日の夜に秋葉さまや志貴さま、それに姉さんとシエルさんが
離れにおられたと思いますが……」
「……えーっと、その」
「志貴さまにお伺いしようかとも存じているのですが、昨日は外出されていま
したので」
シエルに言葉はない。というか、口を閉ざして眼鏡越しに目を見開くばかり
である。
志貴は、昨日からこの遠野邸を逃げ出していた。学校に行ったまま、夜に電
話を掛けてきて『有彦の家に泊まってくるから』と言い残し、無断外泊を決め
込んでいる。
シエルには、なんとなくその志貴の気持ちが分かる。
なにしろ、今翡翠が問うているその日は、離れで乱交状態に陥ったのだから
。それが志貴を救うためにはやむなき事態であったにも関わらず、翌日そのメ
ンバーと普通に顔を合わせるには気恥ずかしすぎるものである。
あの日はシエルにとっては生涯の汚点、自分の計画の思わぬ欠陥を突かれ、
それをなんとか誤魔化した余り嬉しくない日であった。内心舌打ちしたい心地
であったが、そんなシエルも志貴とのあの、文字通りとろけるような情交を思
い出すと思わず頬が赤らんでしまう。
――もう、遠野くんったら強引なんだから
などと恋人の廉恥に浸るシエルを、翡翠はじっと見つめている。
目の前で窓枠から落ちたかと思うと、青くなったり赤くなったり忙しいシエ
ルを目の前に、翡翠はどう言葉を掛けるべきか逡巡する。
「……シエルさん?」
「え?あの、その……」
翡翠の視線の中で、シエルは目線を翡翠から外してしばし考えを巡らせてい
る。シエルの横顔に悩みの色を見た翡翠であったが、やがていつもの底の窺い
知れない笑顔に戻る。 シエルは窓から落ちた際の服の乱れを手早く直すと、
にっこり笑って応える。
「翡翠さん、あの日に秋葉さまが外出された件で、いろいろ事後処理のために
話し合っていたんです」
翡翠はシエルの表情を瞬きせずに見つめている。
確かに、シエルの表情から嘘をついている様な素振りは見受けられない。た
しかに、シエルは嘘をついては居ない――ただ、本当のことを全て述べていな
いだけである。
「……朝まで、ですか?」
「はい。ちょっと長引いてしまって……」
「……それでは、シエルさん。もう一つ質問させて貰ってもよろしいですか?」
はい、とシエルが頷くのを確認してから、翡翠は問うた。
「お布団、あんなにたくさん使って何をしていたのですか?」
シエルは固まっていた。まるで頭脳が動作停止した自動人形のように、僅か
に前屈みになったまま、いつもの余裕のある笑いが口の周りでそのまま凍り
付いている。
そんな外見とは裏腹にシエルの頭の中では、必死にいろんな考えが動いていた。
このまま走って逃げることから始まり、強い催眠暗示を掛けて全てを忘れさせ
ることまで様々な行動の選択肢が思い浮かぶ。
だが、翡翠の視線の中で、蛇に睨まれたカエルのように動けない。
目の前にいるのは、あのアルクェイドでもなんでもない一般人なのに、なん
で威圧されているの、私――そう思うシエルであるが、それは己の心の中の疚
しさ故だとは気が付いてはいない。
つ、と冷や汗がシエルの額を伝う。
翡翠はシエルを一瞥すると、くるり、と身を翻す。
無言で自分の前から去っていく翡翠の後ろ姿を見つめ、ほっを胸をなで下ろ
す。いざとなればいくらでもしらばくれる事が出来るシエルではあったが、追
及の手が緩むと思わず安堵の息をもらしてしまう。
翡翠が悄然と廊下から消え去ったのを確認すると、シエルは床に落ちた雑巾
を拾って窓枠に飛び乗り、掃除の仕事を再開する。そして、自分の前から立ち
去っていった翡翠のことを考え、窓を拭く手を止めた。
シエルは、ガラスに映る自分の顔を見つめて、ふと考える。
――やっぱり、仲間はずれにしたのが悪かったのかなぁ
☆ ☆
運転手によって玄関で送迎の車から降ろされた秋葉は、自分を迎える翡翠の
姿を認めるとあら?と声を上げる。
「翡――翠?」
「お帰りなさいませ、秋葉さま」
そう挨拶する翡翠に秋葉は軽く会釈をすると、革の鞄を翡翠に渡す。
鞄を両手で受け取る翡翠に、秋葉は僅かに眉をひそめて尋ねる。
「翡翠。兄さんのことを聞いている?」
昨日から突然無断外泊を決めている志貴の動静を、秋葉は心配がっていた。
いままで志貴の無断外泊というのは何かしらの事件を意味しているのだから。
シエルと違って、秋葉は志貴が乱交状態のあとでばつが悪くなって逃げ出し
た、などと言うことを思いつくほど男心が分かるわけではない。むしろ、その
辺を憶測できるシエルの方が経験豊富だと言うべきだろう。
秋葉が志貴の中から己の魂を取り戻してから、秋葉の体調は完調に戻ってい
た。昨日と本日に浅上女学院に登校し、休みの間の遅れを取り戻そうとしてい
る所であった。
そんな、いつもよりも生き生きとした秋葉を前にして、翡翠はいつもと変わ
らぬ冷徹な面もちで迎えている。
「志貴さま、ですか?」
「そう、兄さんが外泊しているけど、戻ってくるかどうか……翡翠は知らない?」
「志貴さまより夕刻にご連絡がございまして、本日は戻られると……夜には戻
られるとのご連絡です」
「……もう、兄さんったら。今度からこんな事がないように言い含めておかな
いといけないわね。はぁ、相変わらず兄さんはあの調子だし……」
秋葉は溜息混じりに言うのを翡翠は表情一つ変えずに聞いている。送迎の車
が玉砂利の道をざりざりと鳴らしながら去っていく中で、秋葉の言葉は続いて
いる。
「いっそのこと、兄さんを連れ戻しに行った方が良かったかも」
「……それはどうでしょうか?秋葉さま。
もっとも乾さまはお喜びになられるかも知れませんが……」
そうね、と翡翠の言い分を聞いて秋葉が目をそらす。いつもならここで秋葉は
翡翠の管理不行き届きを責める口調になったりするのであるが、ここ数日の所
は機嫌がいい為か、それ以上の詰問の態度を取ろうとしない。
翡翠は鞄を抱え直し、そんな秋葉に尋ねる。
「秋葉さま。僭越かもしれませんが、一つお伺いしてよろしいでしょうか?」
「何?兄さんのこと?」
「いえ、それもあるのですが……一昨日の夜、離れで何をなされていたのですが?」
その言葉を聞いた瞬間、秋葉の顔はかぁぁぁ、と一気に血が上る。
「――ひ、ひ、ひ、ひすいっ!」
秋葉は悲鳴のようなうめき声を上げると、手を頬に当てて自分の動揺を収め
ようとする。が、秋葉の中で蘇る記憶がそれを許さない。
秋葉の中では、今まさにあの日の夜の記憶が蘇っていた。布団の上で絡み合
う体の中で、秋葉はまだ液に濡れたたくましい志貴の逸物に唇を寄せて……
「……秋葉さま?」
――そんな、あれは許されざる兄妹の交わりどころか、人倫にも悖る野合だっ
たのにあのことをまだ私は覚えているだなんて……それに、翡翠にそのことが
発覚しているだなんて!ああ、もうどうやって顔を合わせたらいいのか分から
ない!
などと想いに駆られる秋葉は、目の前の翡翠の冷たい瞳が糾弾の色を帯びて
いるように感じ始める。実際の所、翡翠はその気はないのだが、妄想の域に達
し始めた秋葉は止まるところを知らない。
――きっと、私を兄と交わる汚らわしく淫猥な女だと見なしているに違いな
い。それもいやいやではなく、兄に抱かれたがっている不潔で淫らで不道徳な
女だと翡翠はきっと私を嘲っているに違いないわ。私、人間失格なのね、太宰
治なのね、盛りのついた雌猫だと公衆の面前で嘲られるのね……
「秋葉さま?いかがなされまし――」
その言葉が言い終わらない内に、秋葉は身を翻して走り去ってしまった。
秋葉がもの凄い勢いで玄関の絨毯を蹴立て、館の奥に消えていった秋葉の背
中を目で追いながら、翡翠は呆然と立ち尽くすのみである
自分の手に残された秋葉の鞄を眺めながら、翡翠は軽く頭を振るばかりであった。
☆ ☆
「翡翠ちゃん、どうしたの?」
遠野家のキッチンの主、琥珀は洗い場の前から振り返って尋ねる。
キッチンのドアを音もなく押し開けて入ってきた翡翠は、そんな姉の姿を見
てどう、自分が話を切り出したらいいものかと悩む。
「姉さん……その」
翡翠が話を切りだしあぐねていると、琥珀は流しの水道栓を止め、布巾で手
を拭って振り返る。和服の袖を襷で後ろに纏め、白い腕を露わにしている琥珀
はそんな翡翠の顔を小首を傾げて眺める。
琥珀は何も言わずに洗い場からまだ濡れたマグカップを取り出すと、布巾で
拭って人工大理石のキッチンスペースに置く。そして、珈琲の落としてあるデ
カンタを手にして、とぽとぽとマグに黒い珈琲を注ぐ。
琥珀はマグカップを両手に翡翠に歩み寄ると、片手のマグカップを差し出す。
愛用の青紫の釉薬のマグカップを両手で受け取ると、翡翠は琥珀に進められる
ままキッチンの背のない丸椅子に腰を下ろす。
「すこし休憩しましょう、翡翠ちゃん」
「姉さん……いただきます」
料理机の挟んで反対側に座る琥珀は、翡翠が両手でマグを握って珈琲をこく
んこくんと飲むのを眺めていた。琥珀は袖を止めていた襷を外し、袖の向きを
直しながらそれとなく尋ねる。
「シエルさんもそろそろ休憩しないと……今、どちらに?」
「お風呂場の掃除だと思います。呼んできます?姉さん」
そう、その後でね、と答える琥珀であったが、翡翠の調子が今ひとつ違うこ
とに気が付き、姿勢をわずかにただして聞いた。
「翡翠ちゃん、何か……聞きたいことがあるの?」
そう問い返されて、翡翠はマグカップを傾ける手を止める。
翡翠はマグカップを置くと、膝の上に手を置いてしばらくもじもじしている
様であった。琥珀の目線に促されると、軽く頷いてしゃべり始める。
「姉さん、その、一昨日のことで……」
その言葉を耳にした琥珀は、表情一つ変えなかった。いや、もともと変える
表情の持ち合わせの少ない琥珀であったが、内心の動きを悟らせる挙動を一つ
たりとも取らなかった。
動揺の余り窓枠から滑り落ちたシエルとは大違いである。
「一昨日の事……秋葉さまが外出されたこと?」
思えば、あの後にシエルとの対峙があり、人生の一つの転換点ともなる出来
事があった。あそこでシエルに完敗した琥珀は、完敗したからこそまだ生き続
けていくことが出来るのであった。まだ長い人生を、志貴や翡翠のために生き
るとその時に決めたのだから。
ごく穏やかな表情の琥珀は、かけがえのない双子の妹である翡翠を見つめている。
「そのこともあるけど、姉さん……夜の離れで、何をされてたのです?」
それは乱交ですねー、と思わず口走りそうになった琥珀は慌てて自分の言葉
を喉奥に押し込める。翡翠の窺うような目線の中で、琥珀はぽん、と手を叩い
て頷く。
「あ、あの時の事……呼びに行こうかと思ったんだけど、翡翠ちゃんが先に眠っ
ているから邪魔しちゃいけない、と思って。御免ね、あの日はいろいろ迷惑掛
けちゃって」
柔らかい口調で翡翠に謝る琥珀が、よもやそんな翡翠に一服盛った張本人で
あるとは余人には信じられまい。そんな姉のグレーな領域を知っているつもり
の翡翠ではあったが、このように柔らかい態度の琥珀にはいつでも切り込みに
くい。
「でも、姉さん……」
「なに?」
「昨日、干していたあのたくさんの布団とシーツは一体……」
翡翠は琥珀が物干場で、いつもはほとんど手を着けられていない和室の離れ
の布団が干されているのを目撃していた。
いつもなら布団の虫干し、ということで何とも思わないのであるが、その日
の朝に志貴が離れから飛んでくるように部屋に戻り、そのまま学校に飛び去っ
てしまった上に、どうも翡翠を除く全員が前夜そこにいたとなれば、翡翠でなく
ても疑いたくもなる。
「ああ、あれのこと……翡翠ちゃん」
翡翠は笑顔を顔に浮かべたまま、それとなく目をそらして言葉を探している。
先ほどのシエルや秋葉の慌て方といい、姉の歯切れの悪さといい、翡翠にはど
うにも自分の尋ねていることに良い予感がしない。
翡翠の前でしばらく口を閉じていた軽く琥珀は、背を捩って答え始める。
「うーん、志貴さまと秋葉さまをお助けするために、ちょっと込み入ったこと
があって、それでお布団を使ったの」
「……?」
「ちょっと、あれは翡翠ちゃんには刺激が強すぎるかなー、とか思ったから…
…あははは」
姉の空々しい笑い顔を見留ながら、翡翠はその言葉の意味を探る。布団と、
刺激が強すぎることという意味、そして夜……さらに、自分と琥珀の身の上を
考えて、翡翠はある一つのことに思い当たる。
だが、その考えは翡翠にとっては赤面せずには居られないことであった。
もしかして、志貴さまと姉さんが――そう思うと、申し訳ないような恥ずか
しいような感情に身を苛まれ、膝の上で手を握りしめて俯いてしまう翡翠であった。
「ね、姉さん、その……」
「どうしたの?翡翠ちゃん」
「そ、その、ねねね、姉さんと志貴さまが、その……」
そこまで言うのが翡翠の限界であった。あとは翡翠の中で言葉が言葉の意味
を為さなくなり、顎を引いて視界をテーブルだけで埋め尽くし、俯いて琥珀か
ら目を逸らそうとする。
そんな妹を優しく見守る琥珀の暖かい視線の中で、翡翠は心の中で呟く。
――そんな、姉さんと志貴さまが……シエルさんという恋人がいらっしゃる
のに……でも、シエルさんもきっと姉さんを悪く思わないはずだし、秋葉さま
はシエルさんより姉さんの方がいいと思われるかもしれないし
……などと、取り留めのない思考が翡翠の中で渦巻いている。
真っ赤な翡翠を見つめる琥珀は、椅子から立ち上がると袖口の中を探りなが
ら翡翠の方に歩み寄る。そして、膝の上に手を押しつけてかすかに震える翡翠
の傍らにしゃがみ込むと、目線を翡翠に合わせる。
琥珀の瞳を見つめ、翡翠はびくり、と身を震わせる。琥珀は指先に探り当て
たそのものを手に取り、それを翡翠の手の中に握らせる。
「翡翠ちゃん、いい?」
それは、薄いグレーのピルケースだった。手の中のケースとそれを握らせた
琥珀を交互に見つめる翡翠に、優しく語りかける。
「あの日の夜の事は、志貴さまに直接伺ったほうがいいわね。その時に、この
ケースの中のカプセルを二粒飲むと……きっと、翡翠ちゃんも何が起こったか
分かると思うの」
いい?と念を押された翡翠は、知らず頷いてしまう。
頷く翡翠に満足すると、琥珀は腰を上げてテーブルの上の空のマグを流しに
片づけ、そのまま軽く手を振ってをしてキッチンのドアから身を滑らせていった。
一人残された翡翠は、ピルケースを握りしめていた。
そんな姉さん――言葉にならない思いに駆られる一方で、翡翠は思う。
でも――なんで、姉さんと志貴さまだけであんなに布団を使うのか?と
《続く》
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