柔らかな唇が俺から離れる。
唾液といやらしさが唇と唇を繋ぐ。
甘い吐息。
お互いぼおっとしてしまう――そんな長い口づけ。

「ふふふ、志貴さん」

琥珀さんは楽しそうにしゃべり出す。
こういう琥珀さんは要注意だ。悪戯が大好きな彼女は、よくこういう顔をする。

「どうしたんですか、琥珀さん」

気づかれないようにしゃべって様子をうかがう。
目を細め、なにやら楽しげで――いやいや騙されてはいけない。
いつもこのかわいさに破れ、悪戯されまくっているんだから。
 というか前回のシチュエーションには燃えた俺は何も言うことはできないけどさ。
 まぁ、それでもいいかな、と思う俺もいて、ちょっと苦笑する。
 なんだかんでいって惚れた相手にはとことん甘いらしい。

「今日はですね♪」

るんるんな様子でいう。
たとえ秋葉と反対の場所に部屋があるとはいえ、真夜中に騒ぐのは気が引ける。密会がばれてしまいそうで――あぁなんて小心者なんだろう、俺は。
 しかしそんなことにもかまいもせず、琥珀さんは楽しそう――というかはじけているのか?

「おもしろい趣向を用意してあるのですよ」
「……趣向?」

どう考えてもヤバい。
この喜びよう、はしゃぎようは危険である。

とめようと声をかける前に、琥珀さんは部屋の扉を開ける。
するとそこには――。



華 雅




「……秋……葉……」

そこには翡翠と秋葉がいた。
心臓がとまる。
二人がいたことではない。
秋葉のそのあられもない姿にである。
 黒い目隠しがつけられていて、両耳にはヘッドホンがつけられている。ジャカジャカとここまで聞こえる音からすごいボリュームで聴覚を奪っていることに気づく。
 そしたその肢体は――。
 荒縄で縛られているのだ。
 赤襦袢が乱れ、その上から縛られている姿はあまりにもいやらしかった。
 腕は後ろで縛られ、あのうすい胸に食い込む太い荒縄。
 縄によって、絞り出され強調された乳房が、被虐に震えている。
 目隠しされたその顔で見えるのはその白く細い顎とふっくらとした赤い唇だけで――。
 そのコンストラクトに心臓が締め付けられる。
 首、胸、腕――そして股間をしばりあげ、食い込む荒縄に耐えて震えるその淫靡な姿に、心臓が止まった。
 その首には首輪がつけられ、翡翠がそれから延びる紐を握って、部屋へと導き入れたのだ。

 なにか言おうとすると、そっと柔らかい手が口をふさぐ。
琥珀さんはしぃーと指をたてて口にあてて、しゃべらないように、と指示する。

「……ね、ねぇ……琥珀……」

秋葉がか細くしゃべり出す。語尾は震えて、なんてか弱い。

「もういいでしょう……ここはどこよ……」

ごくりと喉が鳴る。
動悸が速くなる。

「ねぇ……こんな姿、兄さんに見られたら……ねぇ早く……」

体が震えていて、あの気丈な秋葉の怯える姿がなんともいえない――。

(一言もしゃべってはいけませんよ、志貴さん)

琥珀さんはそう小声で俺に注意すると、秋葉からヘッドホンを外す。

「秋葉様、そんなことをいったって駄目ですよ」

すごく楽しそうにいう。

「ほら……こんなにしちゃって……」

そういってかがむと、襦袢の裾をめくり上げて、秋葉の秘所をのぞき込む。

「いや、そんなこと……」
「もぅ……べとべとですよ」

そんな琥珀さんの言葉をいやいやして否定しようとする。
しかし離れて見ている俺にも、秋葉の太股までてらてらに輝いているのが見えた。

「してほしいんでしょう……秋葉様」

そういって琥珀さんは秋葉の長い髪を撫でる。
髪の毛を梳き、そして持ち上げて、さらりと舞わせる。
 月光と星明かりをはらんで、黒髪が艶やかに輝く。
秋葉の肌は羞恥のため赤くなっている。しかし元々肌の白い彼女は薄桃色になるだけで――まるでほのかに輝いているようだった。

「……琥……珀……」

秋葉はただ全身をねっとりとした脂汗をかき、震えた声を紡ぐ。
そして琥珀さんはそっと裾の間、股間へと手を伸ばす。
びくりと震える秋葉。
こちらまで聞こえてくる淫水の音。
あの赤い唇を半開きにし、喘ぎ声をあげる。

「もぅこんなにしてしまいまして……志貴さんに見られたら……」
「あぁ……言わないで」

でも琥珀さんの嬲りは続く。

「ほら」

手が大きく上下に動く。
秋葉は長い髪をなびかせていやいやをする。

「もぅここも」

こちらからははっきりとは見えない。
ただ目の前の痴態を胡乱な頭で見つめるだけ――。
裾をわっていじり、嬲る琥珀さんは、その手のペースを早める。

「こんなにふくらませて」

嬲られている秋葉の膝はがくがくとふるえ、琥珀さんに寄りかかるようにしている。しかしそれは自分の秘所を押しつけているかのようで、自ら求めているようであった。
 荒い呼吸と喘ぐ声、そして淫水の音だけが響く。

「いやらしい匂いがしますよ、秋葉様」

琥珀さんはからかうように、謡うように嬲る。
秋葉の白い躰は官能に火照って真っ赤になり、桃色どころか赤くなり始めている。
 頬は羞恥に染まり、唇から嗚咽と舌が淫らに見え隠れし、ただ、兄さん――と紡ぐのみ。


   ――――兄さん


その声に、その嬌声に、淫らで背徳的な響きがたまらなかった。


すると、翡翠がそっと側にまでやってくると、跪く。
つい先日のことを思い出す。
 翡翠も赤くなりながら、俺のスボンのジッパーを降ろす。

(……し、志貴様……)

小声の翡翠の声はこわばっていた。
翡翠の喉が大きく動く。

(ご……ご奉仕いたします……)

そういって、奥から俺のを引っ張り出すと、その白い指先で俺のモノをしごき始めた。
 淫らに喘ぐ秋葉を見ながら、逸物をいじられて気持ちいい。
 とてもやってはいけないことだと思うのに、思っているというのに――でも躰も心も反応せず、ただこの愉悦に溺れていった。

 しごかれているうちに鈴口からとろりと雫があふれ出す。その雫を指先ですくうと、翡翠は口に含む。

「志貴様の……味……」

陶酔しきったような声で翡翠は、さらにしごき上げる。
その雫を亀頭に塗りたくる。そのこすり上げる感触に思わず声が漏れる。

荒い息をしながら翡翠は、

「ダメです、志貴様……声を出さずに」

と上目使いでそっと淫らに微笑む。
俺は歯を食いしばり、声を漏れないようにする。
鼻からもれる荒い息。
そうすると、翡翠はもっと俺の急所を攻め立てる。
俺の声を出させようとしているのかのように、責めてたててくる。
ほっそりとした指先は、劣情でたぎる逸物を、人差し指で袋のところから裏スジをつつっとなで上げる。
そして先端をこする。
 たまらない。
俺も首をふって、腰の奥から響くあつくたぎるものから逃れようとする。
でも、翡翠は逃がしてくれない。
上目遣いで俺を見て、俺の痴態を眺めて、もっともっと俺の快楽を引き出そうとするのだ。

「……兄さん、兄さん……」

秋葉の声が頭をかき乱す。
考えるところがとけてしまい、本能だけがのこっていく感じ――。

 見てみると、秋葉と琥珀さんは舌を絡めて口づけをしていた。
いや口づけというものではない。
舌を突き出し、互いの舌に絡み、ねぶっていて――。  ぴちゃり、と。
 音をたてて、唾液がしたたり落ちる。
 それでもやめない。
 舌を絡め合い、唾液どころか互いの息をも啜りあっていた。


突然の刺激に、声が思わず漏れる。
翡翠は大きく口を開けて陰茎を咥えていた。
先だけを口に含み、舌と頬と歯で刺激する。
茎を両手で掴み、下から上へと何かを送るようにこすり上げる。
舌は鈴口をつつき、こじ開けるように蠢く。
そして再び舌を絡ませながら、強烈に吸い上げた。

 たまらない。

翡翠の手が根元をさすりながら時々きゅっと握る。
口の中に入りきらないいきりたったものをその柔らかな唇でしごくように吸い上げる翡翠の頭が股間で動いていて、とてもいやらしく、淫らに見える。
 濡れた舌のまとわりつく感覚と、それよりも少し固い唇で絞り取られるような感覚が混じりあって、体の中身が全部そこに集まっていく。
 恥骨の奥にあるたぎったものがどろどろにとけて、体中を覆っていくような感覚。
 小さな口に入りきらない逸物を頬張りながら、翡翠の
 その唇が
 その舌が
 その指が
 その掌が
淫らに奉仕し、官能の炎を高ぶらせていく。


「ほら……秋葉様……」

琥珀は秋葉の秘所を嬲りながら、口づけする。

「こんなに淫らに」

右手は荒縄でひしゃげた乳房をにぎり、痛いほど尖った乳首をつまむ。
そのたびに淫蕩な声が聞こえる。
秋葉のあの声が部屋に響き渡る。

「いつも……わたしが志貴様のお情けを受けているからと言って……」

琥珀さんの声も熱く高ぶっていく。
ねっとりと熱い声。

「だからこのようなことをわたしに命じるなんて……」
「あぁ……いわないで……」
「ふふふ、なんてやらしいのでしょうね――遠野家の当主様」

 冷たい言葉で嬲られるごとに、秋葉がいやいやと首をふるうたびに、何かが蕩けていくようであった。
 かけられる言葉が冷たく、羞恥を刺激すればするほど、秋葉はもだえ、喘ぎ、高ぶっていく。

 ――秋葉……。

乱れる秋葉のその姿に、荒縄で縛られたいやらしい肢体に目も、心も奪われていく。
 しなやかな指が触れるたびに、
 熱い唇が濡れた肌をなぞるごとに、
乱れて高ぶっていく秋葉の姿はとても艶やかで、そのオンナの、その牝の匂いが漂ってきて――あぁ。

「兄さん」

秋葉ははっきりと俺のことを呼ぶ。
 なにを思って高ぶっているのか、なにを感じているのか、その息も絶え絶えに言葉を紡ぐ。

「兄さん……兄さん……あぁ……兄さん……わたしは、秋葉はこんなにいやらしいオンナなのです……」

 その言葉が引き金だった。
 躰の中に熱い昂ぶりが腰に集まって押し寄せてきて、苦しいほどに勃起した亀頭がなおさらに膨れ上がる。
 それでも翡翠は奉仕をやめず、すすり上げる。
 欲望が爆ぜる。
 躰に震えが走る。

 翡翠の口に……口の中に……

 幾度もわけて放出する。
あのどろりとした白濁液を口一杯に受けた翡翠は、眉を八の字にひそめながらも、受け止めてくれる。
 細い喉を嚥下していくのを見るたびに、熱い高ぶりが蘇ってくる。
敏感になったそこを翡翠は舐め、そして啜る。
そして残滓をすべて清めきった後、口を離す。
そしてねっとりとした体温をすべて吐き出すような吐息をいやらしく吐く。
 唇から白濁液が少しこぼれ落ちる。
 頬を紅潮させて、潤んだ瞳のまま、翡翠は頭を下げる。

「お情け……ありがとうございました……」
 

「……さぁさぁ、いっちゃいなさい、秋葉様」

琥珀さんは秋葉の秘所を大胆にこすり上げ、乳首をつまみ、快楽を更なる高みに登らせようと刺激する。
 秋葉はすでに息も絶え絶えで、跪き、絨毯を淫水で汚していた。
口からは涎を流し、目隠しの舌から涙が伝わっていた。

「志貴さんにこんないやらしい人だと報告しましょうか、秋葉様」
「い、いや……やめて」
「ふふふ、ダメですよ……本当のコトですから」

 乳首を含み、舌で転がしている。

「秋葉様は、兄である志貴さんを思ってこんなに乱れるいやらしい妹だって……」


 くびをふる秋葉はイヤなのか、それとも乱れているのか――わからない。

その冷たい嬲る言葉に反応し喘ぐ秋葉に、出したばかりだというのに反応していた。
 翡翠は再び、熱く潤んだ瞳で見つめながら俺のをこすり始める。


「ああ!」

ひときわ大きな声があがる。

「ああ……駄目……い……いきま……すぅ」

秋葉が躰が大きく震えようとした時――。
琥珀さんはすっと離れる。
躰を支えるものを失い、絨毯に倒れ込む秋葉。

秋葉は足りないのか、太股をこすり上げ、躰をよじる。

「ああ……琥珀……お願い……」

求めて、女の声で嘆願する。

琥珀さんは濡れた指先をそっと這いつくばる秋葉の顔の前にもっていく。
それを秋葉は口にふくみ、しゃぶる。

「……どうです、ご自分の味は?」

嬲るように琥珀さんはいう。その琥珀色の瞳には加虐の愉悦で煌めいていた。主人を嬲る使用人――そのいつもと違う姿に、魅入られてしまう。背筋にぞくぞくとした熱い高ぶりが走る。腰が自然に動いてしまう。

 指をしゃぶる淫らな音だけが聞こえる。
 秋葉は琥珀さんの指をさもおいしそうになめる。舌をからめる。口に含む。

「……いいでしょう……琥珀……」

秋葉は懇願する。

「ねぇ……イカせて……」

含み笑いをする琥珀さん。でもその貌はとても淫らで――。

「いいですよ、秋葉様」

そしてこちらの方を見る。
すると翡翠は頷き、俺を立たせる。
そしてそのまま秋葉まで案内する。

 ――これは、いったい……でも、しかし……あぁ。

琥珀さんの説明は続く。

「今回は特別なバイブを用意しましたよ」

愉悦に満ちた声。

「さぁお尻を上げてください」

もじもじと目の前におしりがあがってく。
襦袢がたぐり上げられ、そこには秋葉のオンナが淫らに咲き誇っていた。
 とろりと露を含んだ赤い花がひっそりと咲いていた。
 そして漂うオンナの香り。
 その鼻を隠すように、またいたぶるようにある荒縄の結び目。
 思わず、ごくり、と喉がなる。
しかし琥珀さんはそのお尻を手を這わせると、オンナではなく、その上にあるすぼまりをなで始めた。
荒縄の結び目をどけ、そのすぼまりをそっといじり始める。
 その指先は舌から愛液をすくい上げては塗りたくり、てらてらと輝く。
 初めてでないのか、そこはすぐにほぐれていく。
 鼻にかかった甘い吐息が漏れ始める。

「前は愛しい志貴さんのためにとってあるのですからね……ふふなんて可愛らしい」

そして琥珀さんは、指の腹で窄まりを優しくもみほぐし始める。
 びくんと大きくその白い尻が揺れる。
 指をいれ、ゆっくりと大きく動かす。
 切なそうな声がもれる。
 震えるような快感に喘いでいる。
 後ろの窄まり、というアブノーマルなところをいじるその姿に背徳的な快感を覚えてしまう。
 変態的な、変質的なその姿にソソられる。

「ふふふ……もうこんなに感じてしまわれて……秋葉様ったら……」

 指が抜かれるたびに外にまくれ、入れられるたびに巻き込まれるその器官の淫靡な姿に魅入られていた。
そして俺を前に押しやる。
 そして指を引き抜く。
 肛門がぷっくりふくらんで、指が抜かれると、ゆっくりと閉じていく。

(さぁ、志貴さん)

俺はたぎったそれをそこに押し当てる。
 妹を犯すということが、気づいていない秋葉を犯すことに興奮しきっていた。
 先の感触を味わって、そして貫いた。

 熱い腸壁が心地よい。
入り口がぎゅっと狭まって、俺のをしごく。
 秋葉は感極まった嬌声を上げる。
 長く、魂を吐き出すような声。

「どうです、特別製のバイブは」
「……いい……いい」

秋葉はただそれを繰り返すばかり。
爛れていく快感にせき立てられ、何度も挿入する。
翡翠が口づけを求めてくる。
その可憐な唇が俺の唇と舌をすする。

「もぅ自分だけ、ずるいですよ、秋葉様」

そういって秋葉の前にたった琥珀さんは、自らのオンナを秋葉の顔に押しつける。

秋葉はそれを舐めながら、喘ぐ。
翡翠は横で押し殺した甘い喘ぎをあげている。
琥珀さんは淫らに笑い――。
そして俺は妹の後ろを犯している。

 ――あぁ

 妹と交わる、交わっているという、さもしい自分の行為をハッキリと意識する。その事がそれまで経験したことがない性感のうねりとなった。

「どうです、秋葉様」

琥珀さんが囁くようにしゃべる。

「特製のバイブの味は?」

秋葉は答えない。答えられない。

「どうです?」
「……はぁ……と、とても……いいわ……」
荒い息混じりに答え始める。

「太くて、えぐって……あぁ…………たまら……ない……」

その言葉に興奮する。いきりたつ。強く押し込む。そしてぎりぎりまで引き抜く。

「ああ!! すごいぃ、すごいいぃ……」

秋葉は涎を流しながら喜ぶ。

全員がその劣情に魅入られていた。
秋葉は内蔵をえぐられる被虐の悦びの虜となり、
翡翠は淫らな女の貌で喘ぎ、
琥珀さんは奉仕すべき主人からの愛撫に我を忘れていた。
俺は翡翠の秘所と乳房を弄び、
翡翠は俺の耳を舐め、甘噛みし、
秋葉はただ悦楽の虜となりはて、
琥珀さんは秋葉の貌を自分に押しつけていた。

淫らに咲きほこる赤い3つの華の蜜に溺れていく――それが今の俺だった。
 より激しい快楽を求めて、
 腰をふる。
 口づけする。
 揉む。
 揉まれる。
 舐める。
 舐められる。
 すする。
 すすられる。
 からめる。
 からめられる。
 嬌声と、押し殺した甘い吐息と、被虐に打ち震える歓喜の声と、オンナの鼻にかかった喘ぎ声だけが響き渡る。
 求めてやまないオンナたちの甘い声と荒い息のみがこの場を支配していた。
 ドロドロとなった愉悦が、
 とろとろになった法悦が、
 熱く喘ぐ。

昂ぶる男根、いや全身から波打つ官能の波は、次第に大きくなり、間隔を短くして、連続した流れとなっていき、四人に襲いかかる。

 全身がどころか思考までもどろどろと溶けていく。
 肉体だけではなく、思考までもが快感を求めてわななく性器になり、
 休む事なく肛門を貫く男根だけでなく、
 荒い呼吸、
 甘い声、
 空気に満ちるオンナの匂い、
 その全てが性感を刺激し、感覚を高ぶらせ、乱れさせる。
 乱れてしまう。
 乱れて――いく。

 快感が腰をとろかし、圧力が高まっていく。
 腰からぐつぐつとたぎったそれが腰をもっと早くとせき立てる。
 それを感じた琥珀さんは、秋葉の前から離れ、俺の前にきてかがむ。
 翡翠も崩れるようにかがむ。

 たぎったそれが解放されそうになった時、
琥珀さんは俺のをつかんで、秋葉から引き抜く。
その勢いで秋葉は感極まった嬌声をあげる。
その淫らなお尻は悦楽にうち震え、躰をびくんびくんと震えさせている。
 そして絨毯に倒れ込む。


 俺も出す。
 たまらない甘くむず痒いうずきが腰奥からつたわって吐き出される。
 2回目の放出のくせに、それは大きく震えると、白濁した液を放出する。
それを受け止める琥珀さんと翡翠――いや二輪の華。
 たまらなく、腰を揺する。
 握られた手でしごかれる。
 幾度も放出する。
 それは翡翠と琥珀さんの貌を、割烹着を、エプロンを、着物を、ワンピースを汚していく。
 どろりと濃いそれは、彼女たちの貌を犯していく。
その端麗な貌を白い液が汚していく様は――。
 それだけであそこがびくんと反応してしまう。
 あの青臭い匂いが広がる。
それを楽しむように琥珀さんは陰茎をこすりあげ、最後の一滴まで絞り出そうとしている。
 出したばかりのそこをいじり、痛いほどの性悦が走る。
 思わずのけぞってしまう。
 翡翠は目をつぶって、その暖かく粘っこい感触に、官能に打ち震えていた。
 魂まで放出してしまった俺は、ベットへと寝転がる。
 立っていられない。
 ベットには魔物が住んでいるのか、横になった途端、意識は暗転して、闇に飲まれていく――。


    お疲れさまでした、志貴さん


 疲労と官能に埋没しようとする意識に滑り込んできた声、だった……。
















 いつもの朝の優雅なティータイム。
 なのに違うのは――みんな眠そうなこと。
秋葉も翡翠も少し眠そうにしている。
琥珀さんはいつものように元気に動き回っている。
かくいう俺も――眠い。

昨日のことが夢なのかどうかはっりしない。
起きてみるときちんと寝間着をきて、寝ていたからだ。
でも秋葉とあんなことを……。
そえ思うだけで顔が赤くなってしまう。

「どうしたんですか、兄さん」

いつもと変わりない秋葉の声にほっとする。
このまま小言を聞きたくないので、先に突っ込むことにした。

「なぁ秋葉」
「なんです――兄さん?」
「眠そうだけど……どうしたのかなって」

途端、ぷいっと横を向く。見間違いじゃなければ顔が赤い。

「昨日、ちょっと運動したからですわ」

 それ以上聞くのは、とても危険だと思った。

「そ……そうか……」

われながら渇いた声だなぁと思う笑いをして、日本茶を飲む。

「兄さんは……そのぅ……」

秋葉の声が小さくなる。

「なんだい、秋葉?」
「いえ、兄さんも眠そうだなと思って……」

どきり

「い、いやぁ、ほ、ほら、俺は体力ないからつけようと運動してさ……」
秋葉もそれ以上つっこむのは危険だと思ったのか、それ以上何も言わなかった。

 重い沈黙。

「……あぁもうこな時間」

秋葉は時計を見ていう。

「琥珀、支度して」
「はい」

そういってぱたぱたと用意を始める琥珀さん。
秋葉がいなくなってようやく空気も軽くなる。
 思わずため息が漏れてしまった。

「……大丈夫ですか……志貴様?」

翡翠が心配そうに見つめてくる。

「なに、いつものこと」

と軽く受け流す。

「それよりもカバン用意して」
「はい、かしこまりました」

翡翠は頭を下げて出ていく。

すると琥珀さんが、そおっと入ってくる。

「ふふふ……志貴さん」

ちょっと甘えるような、からかうようなそんな声。

「今度は3日後ですからね」

 …………。
 …………。
 …………。
 …………なんとおっしゃりました、琥珀さん。

思わず琥珀さんを見てしまうと、あはは、というあの屈託のない笑みを浮かべていた。

「もぅ志貴さんったら、毎日だったら腎虚になっちゃいますよ」

 ――あ、あのぅ琥珀さん、それって……もしかして……。

 どんどん怖い考えになっていく。
 脂汗が流れ落ちる。

 そして琥珀さんは俺にかるくキスする。
 呆然としていると、

「……お楽しみにしていてくださいね♪」

そういって出ていってしまった。

 ……あれは、夢、だろ……。

そう言いたかったが、眠そうな秋葉に眠そうな翡翠、そして今の琥珀さんの言葉に――。
 俺は自信がもてなかった。


   ――3日後ですよ


という琥珀さんの言葉に、ドキドキし続けていた。




華雅魅――あるいは遠野家ハーレム物語――

17th. May. 2002
#27