衛宮家予報は小悪魔のち獅子と虎

                                           稀鱗



 「シロウ、凛はまだ治らないですか。」

 居間にいたセイバーは戻ってきた士郎に声をかけた。

 「ああ、熱は殆ど下がったんだけどね。今日寝ていれば明日には治るよ。」
 「そうですか。」

 セイバーは、ほぅ、と息をついた。
 聖杯戦争から2週間。聖杯戦争が終わってから、凛は事後処理に奔走してい
た。協会の後釜の牧師に色々としてもらい、負担は殆ど無かったのだが。
 それが終わった後は、凛が衛宮家に住むと言い始めたのだ。セイバーのマス
ターは今は凛で、凛が遠坂家に戻るのならセイバーも当然の如く付いて来る訳
で…。これは四郎に対する凛なりの配慮だったかもしれない。セイバーは元マ
スターの士郎を慕っており、士郎もまたセイバーのことを慕っている。まぁ、
凛も士郎の傍に居たかったのかも知れないが―――。
 休む暇も無く遠坂家から荷物を運んだりしているうちに、凛は熱を出して寝
込んでしまった。     
それで、夕食前に士郎は凛の様態を見に行き、先ほど居間へと戻ってきた。

 「これから夕食を作るから、セイバーは適当にくつろいでいてくれ。」
 「はい、シロウ。それでは、夕食後に打ち合いをしましょう。」

 そう言って、セイバーは居間でお茶をすすっている。
 士郎は台所で、夕食を作っていた。凛に関しては体調の悪い時には消化にい
い物をということで、あっさりとしたお粥。こちらの夕食に関しては、一定レ
ベル以上のものは作らない。あまりにレベルの高い物を作ってしまうと、それ
以降はそのレベル以上のものを作らないとセイバーの機嫌を損ねてしまうため
である。
 時間を忘れて料理をしていると、どたどたと騒がしい足音を響かせてエンゲ
ル係数を大幅に上昇させている人物が帰って来た。――いや、帰ってきたとい
うのは語弊があるのだが…。

 「ただいまー。」

 と、居間を通り抜け台所まで藤ねぇが入ってくる。

「あ、今日は鶏南蛮なんだ。いいわよねぇ、カリッとジューシーな鳥の唐揚げ
に、甘酸っぱい餡がかかって美味しいのよね〜。」

 と言いつつ、揚げて置いてある唐揚げをひょいっとつまみ、口へと運ぶ。

 「あー、藤ねぇ、何してるんだ。」
 「ん〜、味見―。」

 と、士郎の言葉に耳を貸さず、二つ目を口に運ぼうとする。すると、士郎は、

 「藤ねぇの鶏南蛮、鶏抜きな。それが嫌なら、冷蔵庫に入ってるドラ焼きで
も喰ってろ。」
 「あ、ドラ焼きあるの?そうならそうと早く言えばいいのに。」

 ぱぁっと、明るい笑顔を作り、そう言って元祖食欲魔人は冷蔵庫を漁り、紙
袋に入ったドラ焼きを持って居間へと戻る。
 居間に戻った藤ねぇは袋からドラ焼きを出してほおばっている。

 「あ、セイバーちゃんもドラ焼き一緒に食べる?」
 「はい、いただきます、タイガ。」

 藤ねぇは、獲得したエモノをセイバーに渡す。
そんなやりとりに士郎は料理を作りながら耳を傾ける。

 「で、遠坂さんの様態はどうなの。熱を出して倒れたのを聞いた時はびっく
りしたけど。」
 「心配要りません、タイガ。熱は殆ど下がっているようですから、明日には
治るとシロウが言っていました。」

 と、話題は凛のことみたいだ。が、

 「ふ〜ん、ま、大丈夫そうね。ま、それはそうと……、セイバーちゃんは士
郎とは何処までいってるの?」

 と、唐突に藤ねぇがセイバーに士郎との関係をセイバーに聞く。

 「どこまで、とはどういうことでしょうか、タイガ。」
 「どこまでって、だってどう見てもセイバーちゃんと士郎は恋人同士でしょ。
だから、キスぐらいはしていてもおかしくないでしょ。」

 などと、藤ねぇはセイバーにとんでもないことを聞いている。セイバーは顔
を紅くしながら恥ずかしそうに、

 「そ、そ、そんな事はありません。その、シロウとはそういう関係ではない
ですし。そんな、キスなど私には…。」

 と、俯いて答える。
 というか、助け舟を出さなければ、このまま藤ねぇのペースに巻き込まれか
ねない。士郎は台所から藤ねぇに向かって、

 「藤ねぇ、俺とセイバーはそんな関係じゃないって。その、キス何かしたこ
と無いし、手を繋いだことも、その、数えるほどしか…。」

 ――――だって、俺には遠坂が

 という、台詞はぐっと堪える。士郎の答えに、藤ねぇは、

 「ふ〜ん、士郎ってやっぱり奥手なんだ。まぁ、士郎らしいといえば士郎ら
しいけど。でも、折角、こんなに可愛い子がいるんだからもっと積極的になっ
てもいいんじゃない。セイバーちゃんも士郎は可愛い子に弱いから、夜這いで
もすれば士郎を自分のモノに出来るわよ。」

 と、藤ねぇは頭を抱えたくなるような台詞ばかり吐く。
 セイバーはというと、

 「そ、その、…よ、夜這いなど、そんなこと……。」

…ますます顔を紅くして俯いている。
 士郎は藤ねぇの言葉を無視して、出来た料理を運ぶ。テーブルの上には鶏南
蛮を始め、サラダなどの料理を並べる。ちなみに凛の分は士郎が既にお粥(鮭
風味)を作ってある。
 料理が並ぶと、先ほどの話は何処へやら。藤ねぇの眼には目の前の料理しか
興味は無い。

 「それじゃ、いただきまーす。」
 「い、いただきます。」

 セイバー、藤ねぇ、士郎の3人はテーブルを囲んで夕食を食べる。黙々と食
べる二人の活躍でテーブルに並べられた料理が驚くほどのスピードで無くなっ
ていく。

 「おかわりー。」
 「シロウ、私もおかわり。」

 二人は空になった茶碗をほぼ同時に差し出す。しぶしぶと、士郎は二人の茶
碗にご飯を盛る。この二人にかかれば、4合や、5合ぐらいのご飯ははあっさ
りと平らげるだろう。それにしても、藤ねぇの底なしの食欲はどうにかならな
いものか。

 「………」

 茶碗を渡そうとセイバーの方を振り向くと、セイバーが士郎の鶏南蛮を、じーー
っと、もの欲しそうに見ている。その視線に気が付いたのか、士郎は、

 「ん、セイバー、これいるか?」

 とセイバーに鳥南蛮が盛られた皿を差し出す。

 「い、いえ、べ、別に欲しいと言うのではなくてですね。その、シロウのほ
うがおいしそうだなぁと…。」

 隣の芝生は青く見えるのだろうか、セイバーはいつも士郎の残っているおか
ずをもの欲しそうに見る。そしていつも、士郎はセイバーに残っているおかず
を渡す。

 「セイバーちゃんにだけずるい。士郎、私も貰うね。」

 と、藤ねぇが士郎のおかずをひょいひょいと取っていく。まぁ、いつものこ
となのだが…。
 
 ――――だれかこの食欲魔人コンビを何とかしてくれ…

 と、士郎は心の中で呟いた。





 夕食が終わると、士郎は作っておいたお粥を温めて凛の寝ている部屋へと向
かった。
 離れた客間のドアをノックする。

 「遠坂、入るぞ。」

 士郎は断って凛の寝ている部屋へと入る。

 「大丈夫か?遠坂。」

 士郎は凛の寝ているベッドの傍まで行き、凛を覗き込む。

 「うん、大丈夫。これしきのことで風邪をひくなんて、我ながら情けないわ。」

 いつもの覇気は何処へやら、凛はベッドに横たわって少し熱を帯びた視線を
士郎に向ける。
 その姿はまるで、か弱い女の子。いつのも破天荒な凛とのギャップに士郎は
思わず顔を紅くする。
 士郎はそのことを悟られないように凛が横になっているベッドの横に腰をお
ろす。

 「ほら、夕食だ。少しでも食べないと治りが遅くなるぞ。一人で食べれるか?」

 そう言って士郎は、椅子の上に土鍋を乗せたお盆を置く。
 それを見た凛は身体を起こし、士郎のほうを見て、顔を紅く染めて、

「うん。あ、あのね…まだ、ぼうっとしてて、一人じゃ食べれそうにないから、
その……士郎に食べさせて…欲しいな…。」

と、呟く。

「えっ?」

士郎は凛の言ったことが理解できない。理解できないので、順番を追って頭で
整理しようとして――

ええと、遠坂は熱を出して寝込んでいる。
で、いま夕食を持ってきている。
遠坂曰く、一人では食べれそうに無いことを言っている。
でも、遠坂は食べたいのであって、食べさせるには誰かの力を借りなければい
けないわけで……。
つまり、その―――
 
 「食べさせて欲しいのか?遠坂…。」
 「もう、さっきからそう言っているでしょ。」

 凛は、む〜という表情で士郎を見る。凛の拗ねたような表情に士郎は仕方な
く、レンゲを取る。
 土鍋のふたを開けると、溜まった湯気が空気中へと舞う。
 士郎はレンゲでお粥をすくう。そして、それを凛の口元へと持っていく。

 「ん、ちゅ――。」

 凛は小さな口で、ちゅる、と音を立てながらレンゲのお粥を口内へと収めて
いく。ゆっくりと咀嚼し、喉を鳴らしながら飲み込んでいく。

 「少し熱い。」

 一口目を飲み込んだ凛はそう言うと、士郎に向けて

 ――士郎が冷まして

 という視線を送る。
 士郎はその視線の意味を汲み取ったのか、

 「ば…、そんなことできるわけ無いだろう。そんなに俺をからかって楽しい
のか、遠坂は。」

 凛は視線を落として残念そうに、

「いや、なの?」

と、小声で呟く。

「べ、別に、嫌じゃないけど…」
「もしかして、恥ずかしいの?」

と、凛は士郎を見て笑った。士郎は、諦めたように、

「食べさせて欲しいなら、ちゃんとどうして欲しいかまで言え。そうでもしな
きゃ、いちいち文句つけるだろ、遠坂は。」

と、凛に言い放った。

「本当に、言ったことをしてくれるの?」

凛は半信半疑で士郎を見る。それを見た士郎は、

「やらなきゃ、後が怖いし。それに、遠坂には借りがあるからな。」

そのことを聞くと凛は小悪魔的な笑みを浮かべ、士郎に向かっていった。
「それじゃ、お粥を食べやすい熱さまで冷ましてくれて、食べさせる時に“あ
〜ん”てして食べさせて。」
「は?」

思考が止まる。いくら何でもそれは恥ずかしすぎる、と、士郎は頭の中で考え
る。他の案で代用しようとも思うのだが、いかんせん相手は凛。足元をすくわ
れかねない。

「やらなきゃ駄目か、遠坂。」
「してくれるって言ったでしょ。それとも、やめる?」

にこやかに微笑みながら、凛は士郎を見ている。凛がにこやかに笑う時は後で
何か失うことぐらいは覚悟しなければならない。士郎は半ば、ヤケクソになり
ながら、

「わかったよ。やれば良いんだろ、やれば。」

士郎はお粥を掬い、冷ました後、「あ〜ん」と、恥ずかしがりながらも、凛の
口へと運ぶ。凛はそれを、先ほどと同じように小さな口で受け止める。お粥を
吸い上げる凛の小さな口に士郎の視線はずっと、釘付けになっていた。



―――――



「ふぅ、美味しかった。有難う、士郎。」
「あ、ああ、どう致しまして。」

凛は全部食べ終えて満足したようだ。
当の士郎はと言うと、凛に食べさせる恥ずかしさと、お粥を食べる凛の口元の
色っぽさに精神的にダメージを受けていた。

「ん〜、士郎〜。」

と、凛が甘い声を出していきなり士郎へと抱きつく。片付けをしていた士郎は、
何事かと思い凛の方を向いた。

「!!」

振り向いた士郎の目の前には、凛の顔があって、士郎の唇には何かしら温かい
湿り気を帯びたものが触れている。
両目を閉じた凛の息が少し荒くなる。それは、決して病気だからと言うわけで
はない。士郎には、凛の顔がほんのりと赤く染まっている事がはっきりと見て
取れた。
 士郎はと言うと、固まって動けない。目の前の凛を見るだけで精一杯で、何
が起こっているのかを考える余裕など全く無かった。
 やがて、凛はゆっくりと重ねあった唇を離す。
 つつ…、と、凛と士郎の唇を透明の橋が渡される。それを、凛は切らせまい
と、もう一度士郎の唇を塞ぎ、唾液を舐めとって再び離れる。

 「士郎…。」
 「と、遠坂…。」

 凛は士郎を、士郎は凛を、お互いに見つめあう。その時は刹那。しかし、二
人の間に流れる時は粘りを帯びゆっくりと流れる。やがて――

 「士郎、私は…士郎の事が……」
 「遠坂、俺は…お前が…」

 二人の口が同じように動く。そして、お互いの心にある気持ちを…

 「好…」
 「す…」



 「くおぉぉぉぉらぁぁぁぁ、士郎、いつまで待たせるのよ!!」

 
と威勢のいい声と共に、どかーーーーーーーーーん、と、凛の部屋のドアが打
ち破られ…もとい、開けられた。
ドアの外、そこには虎竹刀を持った藤ねぇとセイバーがいた。

「こら、士郎。あんた今日はセイバーちゃんと打ち合いするって約束したでし
ょ。どれだけ時間が経っていると思っているの。」
「シロウ、そこまで顔を近づけて凛と何をしていたのですか。」

明らかに不機嫌な二人。特にセイバーに至っては、やんわりとした口調でにこ
やかに微笑みながら士郎のほうを見ている。

「士郎、まさかあんた…。遠坂さんに変なことをしようとしたんじゃないでし
ょうね。」

藤ねぇはセイバーの言葉で状況を理解したのか、


ごあーーーーーーーーーーーーーー


と、バックに虎を背負いながら叫ぶ。
セイバーはあくまで冷静に、

「タイガ、変なこととはどういうことでしょう。」

と、藤ねぇに聞いている。そして、それに真面目に答える藤ねぇ。

「いい、セイバーちゃん。変なことというのはね、例えば士郎が遠坂さんがあ
んまりにも可愛いくて、それで病気で動けないからっていって押し倒して、抵
抗できない遠坂さんの服を破いて襲っちゃったりすることなのよ。」
「なるほど、本当ですかシロウ。」

と、藤ねぇの台詞を真に受けてセイバーは士郎に尋ねた。

「そ、そんなわけあるか。大体、遠坂を見れば分かるだろ。俺は何もしていな
いし、ただ自分で食べれないからお粥を食べさせてあげただけだ。な、遠坂も
ちゃんと言ってくれ。」

 士郎は、凛の方を向いて助けを求める。しかし凛は、

 「……」

 顔を紅くして布団の中から潤んだ瞳で士郎を見ている。

 「お、おい、遠坂、ちゃんと言ってくれ、俺は何もやましいことはしていな
いって。」

 士郎の言葉に、凛は、

 「ひどい、あんなに恥ずかしい思いをさせたくせに。自分は何もやっていな
いだなんて酷すぎるわ、衛宮くん。」

 と、布団を被り、しくしくと肩を震わせて泣いている。――いや、士郎には
それが笑っているというのは一目瞭然なのだが。しかし、藤ねぇとセイバーの
二人は、

 「士郎。」
 「シロウ。」

 と、凛には目もくれずじりじりと士郎の方へと歩み寄ってくる。

 「ちょ、ちょっと待て、遠坂。冗談は程々にしろ。ちゃんと説明しろって。」
 「結局、私との関係は遊びだったのね。酷い、酷いわ!」

 と、相変わらず布団の中から小さく、くくく、と笑い声が聞こえる。
 その笑い声に全く気が付かない、藤ねぇとセイバー。

 「士郎、責任をちゃんと取らないなんて、お姉ちゃんはそんな子に育てた覚
えは無いわよ。」
 「シロウ、女性に手を出し、挙句の果てにないがしろにするとは、見損ない
ました。」

 二人は、それぞれ背中に虎と獅子を背負い、これ異常ない殺気で士郎に迫る。
 士郎は今まさに、蛇に睨まれた蛙、猛獣と化した二人の前に一歩も動くこと
は出来ない。もし逃げ出そうものなら、鬼気迫る藤ねぇとにこやかに微笑むセ
イバーに殺されかねない。

 「さあてと、どうするセイバーちゃん。」

 藤ねぇは意味ありげな笑いを口元に浮かべながらセイバーのほうをちらっと
見る。

 「これからのことを考えると、士郎の根性を叩きなおした方がよいかと。」

 セイバーは微笑み、動けなくなった士郎を見ている。

 ―――やばい、こ、殺される。

 士郎の頭の中にその言葉のみが繰り返しリピートされる。しかし、退路を断
たれた鼠は部屋の隅でガクガクブルブル震えるしかない。

 「さぁ、士郎いらっしゃい。」
 「シロウ、道場の方にいきましょう。」

 二人は士郎の両腕をしっかり持ち、引きずって道場の方へと消えていく。

 「二人とも、誤解だ。俺は何もしていない、本当だって。え、聞く耳持たな
い?そ、そうだ、今度ドラ焼きを一人5個…、いや、10個。何なら、一番高
い煎茶も付ける。な、頼む、許してくれ。え?今はそんな事は関係ない…って、
何でセイバー本気モードになってるんだ。やばい、それはやばいって、二人同
時なんて、絶対に死ぬって!え?俺みたいな奴は一回死んで来いだって?え、
え、え、え、あああああああああああ、と、とおさか、助けてくれえええええ
えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。」
 


 士郎の声がだんだんと小さくなっていく、
 声が聞こえなくなると、凛は布団から顔を出す。

 「あっはははははははは……あ〜、面白かった。」

 さすが、天性の悪魔っ娘というべきか。今のような状況でも、士郎を困らせ
ようとするのはもはや、天才の域ではないだろうか。

 「あ〜あ、でも……言いそびれちゃったな。私の本当の気持ちだったのに。
ほんと、いつももうちょっとの所で駄目になっちゃうなぁ。」

 はぁ、と溜息をつき、残念そうに呟く。
 さっき言いかけたのは士郎への本当の気持ち。
聖杯戦争の時、身体を重ねあった時に芽生えた士郎への思い。
やっと、日常が落ち着いて来て、二人きりの時に言おうと思って仮病まで使っ
たのに、と、凛は天井の一角を見つめる。
やがてそれも馬鹿らしくなり、

「ま、いっか。これから先にもいくらでも言える機会があるし、それに士郎の
方からこういうことはちゃんと言ってもらわないと。ふふ…そうだ、明日は朝
ご飯を作って士郎を起こしに行ってあげよう。そして、そこで…」

そう言って、ベッドに横になり、凛はそっと目を閉じた。


―――いつまでも、士郎と私とセイバーで仲良く暮らせますように。


 その思いを胸に、彼女は浅い眠りについた。

                                   
  [了]

 

 

 

 

 

 

 

 


 
 
――――あとがき

ども、稀鱗です。
Fate、初のSS、凛Good後のお話です。えーと、いかがだったでしょう。
当初は士郎と凛のラブラブ、熱々のお話にするつもりだったのですが、どこを
どう間違ったのか後半は士郎が3人(?)に虐められる結果になってしましま
した。…本当に何でだろう。
でも、凛は“好きだから、虐めたい”みたいな属性がありそうな気が…。ま、
戯言なので聞き流しちゃってください。
あと、凛の不意打ちキスはデフォでしょう。やりたかったこのネタは出来たの
ですが…。
個人的に凛はFateの中でもトップクラスです。というか、上位3人が横一
線に並んでおりますので…。
 至らないところだらけですが、少しでも楽しんでいただければ。
                                それで
は。


(To Be Continued....)