ニンゲンシッカク
匿名希望のPにお住まいのJさん
季節は夏、地面が熱を持ちアスファルトから陽炎がゆらゆらと立ち上り、蝉
がその命を燃やしながら鳴き続けているいつもと変わらないとある夏の日、我
らが主人公衛宮士郎は、昨日の夜の桜は激しかったよな〜とか考えながら惚け
た顔で庭に水を撒いていた。
すごく平穏で、いつも通りの、ただ何もないことがこの上なく幸福な衛宮邸
の午後。
されど彼を襲う地獄は、唐突なたった一言の言葉より始まった……
「おはようございます、シロウ。実は折り入ってお願いが……」
「あ、ライダーか。どうした?」
ライダーはちょっとだけもじもじと恥じらった後。
「シロウ、チ○ポ貸してください」
「――――はっ!?」
案外とあっさりとそんな事をのたまった。
聞き間違いか!? 目の前にいるボン・キュ・ボンなおねーさま、身長が高
いことがコンプレックスの桜のサーヴァント、ものごっつかわういライダーさ
んがそんなことを……
唐突である、あまりにも唐突である。いきなりライダーは何を言い出すのか、
夏は馬鹿と暑さであっち側にいっちゃった奴らが大量に湧く季節ではあるが、
まさかサーヴァントであるライダーがいきなりそんなものになったりするはず
もなし、いやあの格好からして既にあっち側かもしれないけど……
「え、ちょライダー、何言ってんだよ、正気か?」
みーんみんみん
みーんみんみん
みーんみんみん
――――たった二人の凍り付いた世界で、それでも蝉だけは我関せずと鳴き声
を、その求愛の音を張り上げ続けている。
茹だる様な暑さの縁側で対峙する世界一の馬鹿こと衛宮士郎と、いつものぇ
ろい姿のライダー。
目を白黒させている士郎の問いかけに、ライダーは澄ました顔でそのキチガ
イじみた答えを反復する。
「モチのロン、とっととそのしみったれたチ○ポおっ勃たててくださいとわた
しは言ってるのです」
みーんみんみん
みーんみんみん
みーんみんみん
額から伝ってくるくる汗は、けして暑さからくるものだけではないだろう。
やたら心臓の動悸が速く、喉がカラカラで声が出ない。
士郎の目の前には、変わらぬ姿のライダーがいる。
信じられなかった、まさかライダーはどうかしてしまったのではないかと思
う。いきなりこんな事を言うような人物ではなかったはずだ。
――――ちなみに桜と一緒に「ほ〜ら、ライダーもうこんなになってるわよ。
エロいわねぇ本当に子持ちかしら」とか「ああっ、もう堪忍してくださいシロ
ウォォォー」とかやったことは棚にあげている。
たっぷりと1分経過後。
「なっ、なんでさ」
それだけ言うのが、精一杯だった。鈍い、鈍すぎるVS葛木戦なら100回
は殺されているだろう。だが何故に戦闘になるといきなり鋭くなりますかコイ
ツは。
ライダーは一度だけため息をついて、聖母のような笑みでゆっくりと微笑ん
だ。
「どうせわたしはヨゴレですからっ……!!」
――――はっ?
「油ぎったおっさんに無理やり言い寄られり、シンジには令呪で無理やりSMテ
ィィックなことさせられたり、しかも身長高くて可愛くなんか……!!」
いじいじと影を背負うライダー。
いや身長は関係ないと思うけど、十分以上に綺麗だし。そんなことを思う士
郎を置き去りにますますライダーは加速。
「セイバールートでは子供と一緒に蒸発させられるし、凛ルートでは人間であ
る葛木にさえ負けて……」
一人ナーバス、一人ナーバス、唇をかみ締めつつ女泣き。それに応えねば漢
ではなかろう!!とsCRYe――――いやなんでもない、しかし明らかに尋
常なテンションではなかった。
「と、言うわけで士郎。発情期なのでチ○ポ貸してください」
完全に思考停止、フリーズ、ざんねんえみやのたびはここでおわってしまっ
た。
「え、発情期って。ライダーが」
ごず
あまりにもにぶちんな男にめり込んだ強烈なまでの右フック、はずかし乙女
はのはずかし力は100万パワーだ!!
「――――娘がです」
壁にめり込んだ士郎を剥がしながら(瀕死)ライダーは頬を染めて言う。
「む……むしゅめ?」
頭蓋骨が陥没して流血しまくっているせいか、発音がおかしかった。
「はい」
ヒヒーン
まがうことなく馬のいななきが後方から重く重く響いてきた来た時、はじめ
てこのにぶちんは現状を悟る。
―――― 獣 姦 ! !
「士郎、いくら若いからって馬とヤるなんて――――そこまで変態だとは思わ
なかったわ!!」
「酷いです先輩、お馬さんさんとやるなんて。わたしじゃ不満なんですか!!
そうですよねわたしなんかじゃ先輩を満足させてあげられませんよね、でも
いいんですよこれからはわたしなしじゃ生きていけないようにしてあげますか
らね、まずは脚から――――(以下削除」
「士郎ー、お馬さんさんとやったんだって〜、だったらトラとやってもいいよ
ね〜(ルパンダイブ」
――――めちゃくちゃやべぇじゃん!?
頭の中の走り去ったあまりにも不吉な妄想に背筋を凍らせた。こうしている
間にもパカラッパカラッと恐怖の獣姦がこちらへと近づいてくる。
「普通のお馬さんではおっきすぎて嫌だって言うんですよあの娘。いやぁ助か
りますシロウ、なかなかこの国では馬でもオッケェィ!!な殿方はいませんか
ら」
ヒヒーンヒヒヒーン
「うぐぅ、むぐ離せライ……」
ごす めきょ ごきり みちみちみち
「ぐえ」
「従順しく、食されてくださいね(はぁと」
――――親馬鹿……め…………
そう士郎は知らなかったのである、見た目からはそーぞーも付かないライダー
の親馬鹿っぷりに!!
数値化するとこんな感じ
馬娘>>>>>>>(越えられない壁)>ねぇさん>>>桜>>>(無限の
境界)>>>慎二
このぐらい親馬鹿だ。まぁ本編では乗り回したりベルレフォーンでひっぱた
いたりかなり散々な扱いではあるけども……
――――うわぁ、ざらざらした生暖かい感触が……
隣に来た馬、もといライダーの娘におもっくそ顔面を嘗め回される。これが
人間ならともかく馬である。やたらパワフルに嘗め回してくる上さっきまで草
を食んでいたのか嘗め回すべとべとの唾のなかになんかちくちくしたものが混
じってる。
「ほら、シロウも悦んでます。あぁ、もう可愛いですね我が娘ながら」
親馬鹿モード全開で馬にラビューンするライダーと、ものすごい勢いで嘗め
回される士郎。かなりものすごい図になっていた。
「うっ……あ、あはん。ちょ、ちょっと待って――――」
いきなし士郎が声があげたのは、ついに馬が士郎の服を咥えてひん剥き始め
たからだった。哀れ士郎はTM初の獣姦した主人公として栄光の歴史を刻むと
思われたが……(ぁ、でも某絶倫超人は猫とヤってますね
「駄目、焦っては台無しですよ」
ライダーが、本当に優しい声で止めに入った。
――――士郎には、このときのライダーが女神のようにも思えたが、しかしこ
れは衛宮士郎の長い長い一日の、始まりにしか過ぎなかったのである。
んで一旦解放され、いつの間にか沸かされていた風呂で汚れを落として今に
至る。
かなり本気で逃亡を考えた士郎であったが、しかしあの震え上がるようなラ
イダーの笑顔を見ては従わざるを得なかった。
「分かっていますね? 士郎」
その声音は酷く優しいのに、心臓を直接捕まれている様な気が狂いそうな恐
怖に襲われて、へたり込んだ。
あとはもう操り人形のように風呂場へ行って、機械的に身体を洗うしか出来
なかった。
いつの間にか、外は激しい夕立が降っている。世界が壊れてしまうのではな
いかと言うほどの地面を叩く激しい雨音と、時折落ちる雷の轟音。
そのなかで時を刻む時計の音だけが、やけに神経質にカチカチと時を刻んで
いる。
このまま時が止まってしまえばいいのに……と本気でそんな事を思い始めた
時。余りにも艶かしい声が聞こえた。
「士郎……」
振り向いた先に――――
「――――あ」
魔眼封じの眼帯と黒いハイソックスだけを纏ったライダーの――――
「余所見……しないでください」
白い白い、あまりにも白い裸体があった。
意識が飛ぶ、あまりにもあまりにも美しすぎて惚ける。いつもみているはず
のに全然慣れないのは、多分士郎の責任じゃない。
ライダーが美しすぎるから、海の神さえ魅了したその美貌にただの人間が魅
了されないはずがない。
「わたしは前座ですけれど、士郎がその気になってくれないと意味がない」
――――そうだった、それが主目的だったんだ。
一瞬萎えた士郎であるが、しかしそんなことライダーは許さない。
「ふっ、あ。ちょライ……ダー」
萎えかけた士郎の肉棒に、まるで蛇のように指を絡ませるライダー。そのま
ま、ゆっくりと扱きあげる。
ライダーのテクは見事の一言に尽きた、先走りの液を指に絡めて雁首をコリ
コリとしたり、緩急をつけて扱いたり、時折不意打ちで鈴口をいじめる。
「ここが、好きなんですよね」
扱くのを続けながらも、空いて手で袋を持ち上げて裏側を舌でなぞる。ぞく
ぞくした感覚が背筋を駆けていく。
脚の先に当たる潰れた乳房が柔らかい。吐く息さえもが蜜のように甘い気が
する。まるで酔っているみたいに視点が定まらない。目前の淫らなライダーの
姿に溺れていく。
「けど駄目ですよ、イかせてあげません」
「――――っ」
陶酔から一気に醒めたのは、びくびくと今にもイきそうだった状態で爪を食
い込まされたから。塞き止められた欲望は身体の奥へと戻っていって身を焦が
す。
ひたすら焦らして焦らして、快感を与える癖にけして最後までは到達させな
い酷く残酷なライダーの行為。
それを気が狂いそうなほど、幾度も幾度も繰り返す。
――――本当に気が狂いそうだった。
「ライダー、お願いだから……」
「イきたいんですよね、シロウ? 汚らしいチ○ポから精液吐き出してすっき
りしたいんですよね。いいですよ、けど……」
ライダーが立ち上がる、いいですよ来なさいと言う声が聞こえる。
――――音もなくふすまが開いた。
「あ……えと、その……」
「――――え?」
そこに立っていたのは、白のレースで身体を縁取った可愛らしい女の子だっ
た。
「あの、あの……」
もじもじと恥らう姿が堪らなく愛らしい、イリヤよりはいくつか年上だと思
うが、セイバーよりは幼いと思う。
「おっ、お兄ちゃんのぶっといオ○ンチンくださいっ」
「なっ、なんでさーーーーーーーーーーーー」
叫んでいた、思わず心から叫んで居た。つか可憐な美少女がぶっとい(ピー)
とか言っちゃいけません。
「む、シロウはわたしの自慢の娘が気に入らないとでも?」
ライダーの視線に棘が混じる、いや眼帯してるんだけども、それでも痛いを
通り越して石になってしまいそうだった。
「あっ、あれっ? おかあさんわたしなにかおかしなこと言ったかな〜」
見れば、半分涙目で女の子はライダーに縋っている。
――――少し、心が痛んだ。
「そんなことありません、貴方の魅力にメロメロにならないそこの馬鹿が超が
付くほど鈍いだけです」
「えぇ、でも……」
「自信を持ちなさい……貴方はわたしと違って可愛いのですから」
「うん、わたし頑張る。でもおかあさんも可愛いよ」
あっ。ライダーひしっとかやってる。あの二人の間だけ既に別の世界を形成
していたり。
「えと……」
少女が、士郎の方を振り返る。余程恥ずかしいのか、雪のように白い肌が今
は上気して真っ赤だった。ハァハァと荒い呼吸で意を決したように……
「わたしじゃ、嫌……ですか?」
「あ……う…………」
反則だ、そんな顔でそんな風にされたら男がNoといえるはずがないじゃな
いか。
「ふふ、士郎も収まりが付かないでしょう? いいのですよ素直になって。幸
い今日はサクラは帰ってきません」
激しい雨音と、雷の轟音。未だ目の前には成長しきってない少女の痴態。噎
せるような熱気のなかで頭のどこかが痺れている。
少女が近寄ってくる、荒い吐息。甘い汗の匂い。レースのショーツは既に染
みでは収まらないくらい濡れそぼっている。
「っ、はぁ」
柔らかな口付け、求めてくる舌に舌で応えた。酷く淫らな妖精は、土の香り
を纏っている。
互いに唇を啄ばみ、歯茎をねぶる。徹底的にいつもしてもらうように、相手
に気持ちよく成って貰う為に。酸素が足りなくて喘ぐ、呆とした頭のなかでな
にかが分かった気がした。
「君、もしかして……」
――――さっきの馬が、こんな可愛い女の子になっただなんて信じられなかっ
た
「はい、さっきはすいませんでした……」
少女は必死で照れる、そのさまがまた破壊的に可愛らしかった。
「いや、こっちこそさっきはごめん――――」
少女が傍へと寄ってくる、抱き上げた時感じた汗ばんだ肌の感覚がやばいく
らい蟲惑的だった。
「お兄ちゃんの身体、おっきくて抱かれてると安心できます」
「そうかな? 俺はまだまだ全然だと思うんだけど」
「そんなことない、おとうさんてこんな感じかなって思うもん」
「え?」
「ううん、なんでもない。ではお願いしますお兄ちゃん」
「あ、いや。こちらこそお願いします」
なんか変な気分だけど、覚悟を決めてとにかく始めることにした。
と言っても、俺のもガチガチで荒い吐息を吐く少女のものも俺の脚をべとべ
とにするほど濡れていて前戯の必要なんてない。
とろんとした瞳で俺を見つめてくる少女の期待に応えて、少女に俺のモノを
宛がった。
「――――いくよ」
「はい」
ゆっくりと、少女の胎内へと挿入って行く。酷く狭い割に濡れに濡れていた
せいか挿入は意外と簡単だった。けれど――――
「うぁあぁ!?」
引きちぎられるかと思うほどの、物凄い締め付けが来た。むしろ快感という
より痛みのほうが強かった。
「っはぁはぁ、お、お兄ちゃん」
やわやわと包まれて、ギチギチとものすごくきつく締め付けられる。最初の
凄いのは収まったけれど、尋常な締め付け方が尋常ではないさすが馬。
その感覚はすさまじかった、まるで全て吸い搾られてしまいそうな程ぐいぐ
いを士郎自身を包み込んで離さない。普段とはその快感は思わず舌を噛んでし
まいそうなほど気持ちよかった。
そしてもうひとつ士郎を興奮させているのは、自分の上で少女が必死に自分
を求めてくれていると言う事だった。
少女が酔っている、その幼い躯で腰をくねらせて盛っている。その小さな身
体一杯に悦びを湛えて自分の上で啼いている。
そのことがなによりも、士郎を燃えさせる。桜との変態ティックなプレイで
色々を耐性はついている士郎だったが、やはり根っこの人の良さは変わらない。
ただ純粋に淫乱で
ただ純粋に求めてくれている
そのことが士郎の心を深く深く少女との行為に捕らえる、深く深く溺れてい
く。
激しい雨の音と降り注ぐ落雷と、そしてライダーの荒い吐息を聴きながら士
郎は少女の体を貪るように犯す。
「ごめん動くね、お兄ちゃん」
「え? ちょ……」
まさか女の子の方からそんな台詞を聴くだなんて、生まれてこの方予想だに
してしていなかっただろう。
「っうっっはぁぁ……ぁぁあ゛ぁ゛」
ばずんばずんと肉を打ち付ける音が響く。華奢な白い腰を激しくグラインド
させて、豪快に士郎のモノを胎内へと飲み込む少女の姿は、まさしく獣と形容
するのがぴったりだった。
「ぁぁ゛ぁ゛ぁあああ あぉぁあああ あぉぁあああ あぉ ぁあああ あぉぉは
ぁぁ゛ぁ゛ぁぁ゛ぁ゛゛ぁぁ゛ぁ゛゛気持ちいぃぃーよーお゙ぉおォおん゙ぉお゙
ぉおォおんォお゙ぉおォおんん兄ひゃぁぁ゛ぁ゛ん
」
――――って、ちょっと待てーーーー!?
よりにもよってみ○くらだった。まごうことなきみさ○ら喘ぎだった。助け
てー○さくら友の会のエロい人〜
「なんで……」
さーと叫ぶ前に、ライダーのハリセンが飛んできた。
「いひゃい……」
「どこでそんな言葉覚えてきたんです!? おかあさんは悲しいですよ」
いや、あのお二人さん。俺の上で喧嘩されても、ね?
「だって……こうすると男の人喜ぶって」
士郎の上で未だあれこれやってる二人に、士郎は何処か遠くを見るような目
を向けていた。ああ、なんで俺こんなことしてるだろうって、そんな悲哀を湛
えた漢の目だ。
「いえ、しょうがないですね。予め教えていなかったわたしが悪いのです……」
すっくと立ち上がったライダーは……
「こんなこともあろうかと!!」
ライダーがぱちんと指を鳴らすと同時に――――ぇ?
「なんでさー!?」
美綴綾子――――俺が所属していた弓道部の気風のいい女主将、てか何故此
処に美綴が、しかも“みつづり”って名札のついたスク水でーーーー!?
ああ、しかし美綴って弓道着の上からじゃ分からなかったけどけっこう良い
体してるな、適度に鍛えられてむちっとした太股とか、丁度俺の手のひらに治
まるくらいの丁度良い大きさのおっぱいとか、白いうなじにエロスを感じてし
まう俺は変態だろうかじゅるり――――――――おっと!? 俺は何考えてる
んだ何を。
「既に彼女――――美綴嬢はわたしの手の内です、さぁ可愛らしいお嬢ちゃん
シロウを再びその気にさせてあげてください」
ライダーが壊れていく、てか何故かスクール水着の美綴が俺の側へと寄って
くる。そして頬を染めてゆっくりと着ている水着を脱ぎ……
「待って…」
美綴が肩をはだけた姿勢のままで文字通りビデオの一時停止のように停まる。
スクール水着の隙間から覗く鍛えられた健康的な肢体がムッハーだったするが、
士郎からは半泣きになった少女しか見えなかった。
「わたしが……する…………」
母と娘の、視線が絡み合う。
「――――そうですか、分かりました」
ライダーは一度だけ優しい優しい母親の顔で微笑んで、そして少女の額に口
吻をした。そのとき小さく何事か呟いた内容は聞き取れなかったけれど、少女
はただ一言「はい」と応じた。
ただですら裸身そのものだった少女が、その白いレースを一枚一枚落として
いく。
柔らかな太股を覆っていたストッキングも、なだらかな腹部から汗ばんだ背
中にかかるウエストも、細やかな意匠が施された小さな指を包む手袋も、髪を
結んでいた大きなリボンも。
――――そして特殊なデザインでそれらが隠していた物があらわになる。
「――――羽根?」
さっと広がる純白の色彩。一つ一つが柔らかな天鵞絨のようなその美しさ。
陳腐な例えだがまるで天使のようだと思った。それ以外に例えようがないじゃ
ないか、これだけ彼女が美しかったなら。
「あんまり……じろじろ見られると恥ずかしい……」
真っ赤になって俯いたその姿は、見惚れるくらいに愛らしかった。
よく見れば、ふさふさとしたしっぽが内心の動揺を示すかのように左右に揺
れている。
それを見ていた、既に俺の下半身は再充填完了、突撃せよ!! な状況にあ
りながら、酷く穏やかな気持ちで彼女を見守っていた。
「――――――――っ」
唐突にぞくりと震えた、いきなり首筋に走ったぬるりとした感触に振り返る。
「う……あ、みっ……みつづ…………り」
とろんとまるで眠っているかのような微睡んだ瞳で、美綴綾子は士郎への愛
撫を開始した。その手付きはとてもあの美綴のものとは思えないほど扇情的だ
った。
「わたしが、しっかりと仕込んであげましたからね」
クスクスと笑って、ライダーが美綴の隣へと。
「え!? ちょっ!?」
驚く、いきなり美綴が俺の腋を舐め上げてきた。ちろちろと舌先で擽って、
わさわさとした毛を口に含む――――こんな汗だくで盛ってるからきっとすご
く汗臭いはず、美綴はもろともしない。
逆に舐めやすいように俺の腕をしっかりと掴んで離さない、いつの間にかラ
イダーにまで空いた方の腋と乳首を嬲られて、俺は丁度万歳をしたような格好
で腋をはむはむされている。
ふたりの美女が俺の体全体を蹂躙していく、舐めて、吸って、爪弾かれる。
胸板や太腿を撫でていく指の感触がすごく気持ちいい。ただちゅちゅと付けら
れた口づけの痕だけは、後で桜に知られたらどうしよう……とか胡乱な頭の片
隅で考える。
そして羽根に抱きしめられる。
幼い白い羽根までもが俺を拙い技術で愛撫している。そのことにすごくすご
く吐きそうなくらいに頭がどうかしている。
「今度は……優しくする、ね」
――――やっぱり科白が逆だよなぁ。
そう苦笑して、少女を抱きしめる。もう既にはち切れそうなくらい俺自身は
張りつめていて痛いくらい。
精一杯優しく微笑んでから、俺は少女のその小さな小さな――――
「先輩……」
――――背筋が凍った。
ギギギと壊れたキカイになったみたいに、後ろを振り返る。
――――そこには
「随分とお楽しみのようですね……」
――――滴る水滴を拭いもせず
「わたしがいないと思って、こんな……」
――――気が触れたように落ちる雷を背負った
「――――あはぁ」
――――鬼が居た
「サ……クラ……」
この程戦慄は、以前の聖杯戦争以来。いやそれ以上だった。
ずぶ濡れの桜の目は雨を吸った髪が張り付いて見えなかったが、なんか全身
から湯気でも出そうなほどのオーラとか魔力とかエロパワーとか色々放出して
いた。
怒っている、これ以上ないほど怒っているっているのに――――桜は笑って
いた。
「先輩……」
全身の血がふつふつと沸騰しながら冷えていく、まるで血管の中にドライア
イスでも放り込まれたみたいだった。
「ライ…ダ」
見下ろしてくる視線があまりにも痛すぎて振り返った先で……
「では失礼します」
アディオス、といつの間にか服を着ていたライダーが白馬に跨って飛び去っ
ていった。
――――ひでぇ!?
「とりあえず先輩、まずは美綴さんが何故裸で転がっているところから説明し
て頂きましょうか」
――――ああ本当に、今日は永い永い夜になりそうだ。
《おしまい》
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