「先輩〜♪」

 だきっ、ふにふに。

「あんっ、遠野君ってば……女の子の部屋に入って最初にそれですか」

「いや、だって今日は好きなだけ甘えていいって言ったじゃん」

「はい、でも物事には順序ってものがあるでしょう」

 ぺいっ。

 俺は軽々と先輩の胸から引き剥がされ、ベッドに放り投げられる。

「では私は先にシャワーを浴びて来ますから、適当にテレビでも観ていてくだ
さい」

「了解しました隊長殿」

 とことこと風呂場に向かう先輩。
 俺は素直に返事をしつつ、頭ではよからぬことを考えていた。






 ざー……。

「ふぅ……」

 そんな音と声が聞こえる。
 全裸の忍び足で浴室の扉に張り付いた俺。
 恐らく先輩はシャワーに気を取られて、俺の存在には気付いていまい。

 がちゃっ。

「先輩! 一緒に……」

 ずしゃっ。

「そう来ると思っていました、遠野君」

 俺の目の前に突き付けられたのは、第七聖典の切っ先。
 恐ろしいことに、風呂場にまで持ち込んだと言うのか。

「……冗談でしょ、先輩?」

「そう思いますか?」

 にっこり笑いながら、がきんと破滅の音をさせる先輩。

「……し、失礼しました」

「いえ、別に構いませんよ」

 ぽい……がらんがらん。

 第七聖典を俺の背後に放り投げると。
 先輩は俺の服を剥いて、浴室内へ引き込む。

「本当のところ、誘うのが恥ずかしかったので助かりました」

「え?」

「もう、一緒にお風呂に入るのって女の子にとっても夢なんですよ?」

 目を逸らしながら、ボディソープのタンクを手に取る先輩。
 ちゅーっ、とスポンジにそれを吸わせて俺に向き直る。

「はい、じゃぁ遠野君はそこの椅子に座ってください」

「う、うん」

 示されたお風呂椅子に座ると、まずシャワーを全身にかけられて。
 次に、背中をわしゃわしゃとスポンジでこすられて。

「痛くないですか、遠野君」

「うーん、何か物足りないなぁ……」

 わしゃわしゃ。

「え?」

 わしゃわしゃ。

 いや、先輩に身体を洗ってもらえると言うのは至上の幸福だ。
 でも折角なんだから、もっと凄いことをしてもらおう。

「先輩、ちょっと待って」

「はい?」

 俺は振り向いて先輩の手からスポンジを奪い取る。
 それはその辺に放り投げて、ボディソープのタンクを手に取り。

「先輩、どうせなら身体で洗ってくれよ」

「え?」

 ちゅちゅーっ、と何度もポンプを動かし。
 どろどろの液体を、先輩の十分過ぎるくらい育った胸にかけて。

「さぁ、その胸がスポンジ代わりだ! 思う存分洗ってくれ!」

「は、はぁ……」

 またお風呂椅子に座り直した俺の背中に、先輩はそっと触れる。
 手先ではなくて、胸で。

 ぬるるん。

「おひょう」

「んっ……こんな感じですか、遠野君?」

「うん。さすがは先輩の胸だなぁ」

「こ、こんなのは初めてなんですけど……」

 そう言いながらも、身体を上下に動かす先輩。
 その度に、むにゅぅと潰れた双丘の感触が俺を虜にする。

 ぬるるるん。

「う……気持ちよくて元気になって来ちゃった」

 俺の言葉に、先輩は俺の股間を覗き込む。

「まぁ……そんなによかったですか、私の胸」

「見ればわかるでしょ」

「じゃぁ、特別サービスしちゃいますね」

 それと同時に、俺の息子がにゅるんと握られた感触。
 ボディソープが潤滑油となって、先輩の手が上下に滑らかに動かされて。
 その間にも、背中は先輩の胸で洗われていて。

「ああっ」

「ふふふ……遠野君のそういう声って、可愛いです」

 遊んでいる。
 この人は、俺を玩具にして遊び始めたのだ。

「んっ、んっ……」

 必死になっているのか、首筋に先輩の熱い吐息がかかる。
 そして身体と手とを、ぬるるるるんと動かして俺に快楽を与えてくれる。

「うぁ……気持ちいいよ」

「そう、ですか……よかったです」

 無理な体勢で身体に負担がかかっているのだろう、先輩の声は少し苦しそう。
 でも、そんなことは無視してしまえるくらいにその行為は気持ちがよかった。

「んっ、はぁっ……」

「先輩、俺……もう我慢が限界突破」

「え……きゃっ」

 いきなり振り向いて、先輩の身体を抱きしめる。
 ボディソープのぬるぬる感は、ただそれだけでも快感を与えてくれて。

「今度は俺の番だ……覚悟してくれ」

「え、ええっ?」

 膝の上に先輩を座らせ、その胸を丹念に揉む。
 ただひたすら揉む。ぬりゃんぬりゃんと揉む。

「と、遠野君……っ」

「え? 胸だけ洗ってても駄目って? しょうがないなぁ」

 片手が先輩の股間に伸びる。
 最初は外側をなでるように洗い。
 段々と、中へと指を侵入させて行く。

「あっ……」

 そこは既にボディソープ以外の液体でぬめっていた。
 先輩ってば、いつの間にかこんなにして。

「さてと、先輩も準備オッケーみたいだし……」

 シャワーで、先輩と自分の身体のボディソープを全部洗い流す俺。
 本当ならこのぬめぬめ感は惜しいが、どっかで石鹸の成分は粘膜によくない
と聞いたことがあった。

「先輩、ほら」

 と、俺の脚にまたがるように促す。
 先輩はその意味を悟ったようで、顔を真っ赤にしながらもゆっくりと。

「んっ……」

 ぬずっ。

 一気に先輩の中に挿入る俺。
 多少早かったか。ちょっと苦痛に歪む先輩の表情を見て、そう思ったが……
もう、止まる予定はない。

 ずっ、ずっ……。

 その表情も、すぐに悦楽へと変わることだろう。
 俺は確信にも似た気持ちで、上に乗った先輩を動かす。

「あっ、あっ」

 幸い、ここはお風呂場。後始末のことは考えなくていいな。
 先輩の胸を吸い上げながら、俺はそんなことを考えていた。






「……くちゅん」

 先輩の可愛いくしゃみが部屋に響く。

「うー……ごめんね先輩って、ぶへっくしょい! だー、畜生」

 今度は俺の可愛げの欠片もないくしゃみが響く。
 やり過ぎた。いや色んな意味で。
 濡れた身体で長時間過ごすのはよくないらしい。
 何らかの運動をしていても、だ。 

「くちゅん」

 俺達は仲よく揃って風邪を引いてしまったわけで。
 折角のお泊りだってのに、調子に乗り過ぎた罰か。

「うーん、熱はないみたいだし薬飲んで寝れば朝には治ってるかな」

「そうですね、お風呂場で散々しちゃったことですし……今晩はもう大人しく
寝ましょうか」

 そう言った先輩の頬が赤いのは、風邪のせいか否か。
 風邪薬を受け取って、水で流し込む。
 その後俺が押し入れから、布団を引っ張り出そうとすると。

「あ、遠野君」

「え?」

「折角お風呂も風邪も一緒だったんだし……最後までご一緒しませんか?」

 くい、と俺の寝衣の袖を引っ張り。
 目線で、ベッドで一緒に寝ようと言う先輩。

「そうだな、そっちがいいな」

 先輩を抱っこして、ベッドまで運ぶ。
 ぽふっと一緒にベッドに倒れ込み、先輩に腕枕を。

「ふふふ、こーいうのって何だかいいですね」

「うん」

 そしてちゅっと、軽い口付けを交わし。
 心地よい温もりを感じながら……俺達は抱き合うようにして一緒に眠りへと
落ちて行くのだった。






<続きません>