カランからお湯を汲み、風呂場に滴った秋葉の尿を排水溝に流した後は、二
人とも石鹸を泡立ててお互いの身体を洗い合う。昨晩から風呂にも入らずに交
わり続け、今し方は排泄行為を行っただけあって、二人とも念入りにお互いの
身体を洗っていった。
石鹸の泡を立てた志貴の指が、後ろから秋葉の陰部を撫でる。
「ここからあんなに出したと思うと、不思議だね」
「あっ、兄さん……」
そんなことを良いながらくにくにと、石鹸と指で内側から洗う志貴の指に秋
葉は声を上げる。そして、秋葉の股間を洗う指は下がっていき、小さく窄まっ
た後ろの蕾の上を石鹸でぬめらせていく。
「兄さん……そっちはお尻の……」
「うん、まぁ、こっちの方は見たいとはさすがに思わないから安心して……で
も、秋葉がこっちでも感じるようにはさせてあげるから」
後ろから抱きつくような格好の志貴であったが、洗われている秋葉もクスリ
と笑って手を伸ばし、お尻に当たっている志貴の股間の逸物を握る。
おうっ、という情けない声を思わず上げてしまった志貴であったが――
「あら、私もしちゃったのを見せたんですから、兄さんがするのも見せて貰っ
てもよろしいのでは?」
「……あー、それは今は遠慮したいなぁ、秋葉」
二人とも、おかしな言い草にくすくすと笑い声を上げる。
秋葉は後ろを振り向くと、志貴の唇を求めた。それに首の角度を変えて応じ
る志貴。
石鹸の味がかすかに交じったキスだった。
二人の唇が離れた後、秋葉は手桶でお湯を汲みながら話し始めた。
「もう、兄さんったら……恥ずかしかったんですよ、私。人前でその、おしっ
こなんかしたことなかったのに、兄さんがあんなことを……もう、しないでく
ださいね!」
秋葉の声には抑揚があり、志貴に向かっての内容は大きく、自分の行為を語
るときには小さく声を下げていた。時折蛇口からのお湯の音にも紛れてしまう
秋葉の声であったが、志貴はそんな秋葉を笑って眺めている。
反省した様子のない志貴に秋葉がむ、と頬を膨らませると、おかしそうな志
貴の声が上がる。
「いや、秋葉……すっかり元に戻ったな」
「……どういうことですか?兄さん」
手桶のお湯で志貴の身体を洗い流しながら秋葉はそう尋ねる。いやなに、と
身体を擦りながら、志貴は話を続ける。
「そうやって俺に怒って見せたりするところが、昔の秋葉に戻ったって。
こっちに戻ってから、お前がずいぶん変わっちゃって、この離れから出てい
かない素振りを見せていたから……それに泣いたり拗ねたりばっかりで、どう
しようかと思ったんだけど……すっかり元に戻ったな、って」
今度はお返しに秋葉の身体を流す志貴はそう言う。
志貴の流すお湯を背中に受け、石鹸の泡を落としていく秋葉には、志貴の言
葉が心の底に染みる。たしかに、志貴に再会したことでずっと我慢していた何
かが、挫けてしまったのだと。
琥珀に返事をしたときの自分は、刹那的な感覚に酔い痴れていた。
だが今は――なんとか、兄と一緒であれば外でもやっていける様な気がする。
「その為に……私にあんな事をさせたんですか?兄さん」
「いや、そこまで考えていた訳じゃないよ。ただ、まぁショック療法というか……
恥ずかしい思いをさせて御免な、秋葉」
そう言って志貴は、秋葉の頭を抱き寄せて頬に軽くキスをする。
唇の感覚を頬に感じた秋葉は、愛しげに手を伸ばして志貴の頬を撫でた。
「いえ……兄さんだったら、恥ずかしいことなんか何もありません……
兄さん?髪を洗いたいので、手伝っていただけますか?」
秋葉はお湯に濡れた長い髪をそっと持ち上げて志貴にお願いをしていた。
志貴は頷いて答えると、なれない手つきで恐る恐る秋葉の長い髪を洗い始める。
しばらくして、二人の長い朝風呂が終わり、脱衣所の戸棚の中のバスタオル
を撒いて志貴と秋葉が和室に戻ってくると――
「あ……」
その光景を見て、思わず秋葉の口から息が漏れる。
そこには、数日間に渡って敷きっぱなしになっていた、二人の愛の褥である
布団は既に片づけられていた。部屋の片隅に几帳面に角を揃えて畳まれた布団
と、枕が積んである。
そして、部屋の真ん中にはこれもきれいに折り畳まれた、秋葉の服と志貴の
服が置いてある。さらに、それに合わせるように並べられた、二組の朝食のお膳。
「……琥珀さんと……翡翠が来ていたんだな。
来ているんなら一声掛けていってもよかったのに」
障子は開け放たれ、朝の光と爽やかな空気が流れ込んでいる。
あの、爛れた薫りのした和室がここであったのがまるで嘘のように。
秋葉は、目敏くお膳のお椀に隠すように折り畳まれた、四つ折りの紙を見つ
けだしていた。まだバスタオルを撒いたままの格好であったが、秋葉はお膳に
にじり寄り、その紙を手に取り、開く。
そこにあったのは、琥珀の見慣れた筆跡であった。
志貴は、秋葉が畳の上に座り込んで、その紙にじっと目を注ぐのを眺めてい
た。やがて、秋葉は紙片を畳み直し、じっと胸に当てて目を閉じるていたと思
うと――
すぅ、と一筋の涙が秋葉の目尻からこぼれ落ち、柔らかな頬を伝う。
「どうした?秋葉?」
「……琥珀も、翡翠も私のことを心配してくれて……ごめんなさい、二人とも……」
そう言うのが秋葉の精一杯のところであった。志貴は秋葉の側に寄ると、励
ますように肩ををぽんぽん、と撫でる。
「そう、お前のことを心配しているのは俺だけじゃないから……大丈夫、秋葉
ならやっていけるって。
そうそう、せっかく琥珀さんが朝ご飯を持ってきてくれるているんだ、冷め
ない内に食べないか?」
秋葉は指でそっと涙を拭うと、まるで――大輪の華が綻ぶような顔で笑う。
そして、秋葉は心の底から、愛しい人に呼びかけた。
「はい、兄さん」
〈Fin〉
《後書き》
どうも、阿羅本です。
秋葉祭りの第二弾目です……第一弾目は秋葉緊縛陵辱でその、後ろの方
にいろんなことをしちゃいましたけれども、今回は心機一転してらぶらぶなも
のを書いてみようかと思ったんですけれども……
……なぜこう、尿になるのかなぁ、と(笑)
いや、でもこれを書く前にしにをさんの『清冽な奔流』で秋葉のお小水ネタ
をやられてしまって、こう、つい「うわぁぁ、先に秋葉で尿をやられたニョー、
悔しいニョー」と叫びながら……書き上げました(笑)
いや、私はその、尿マニアじゃないですよ、もちろん(笑)
あと、お尻関係もやたらに多いのですが、気にしちゃダメだよ、シエル先輩!(謎)
でもあれですね、妹で純愛とくれば「尿」であるというのは、『まほろまん
てぃっく』で世間を偽っているぢたま某先生の提示した真理ではないのかと(笑)
こちらにもよくSSを投稿していただいている某F氏と
阿「やはり、秋葉は妹だから……」
F「そうすると、尿なのか。確かにそれは正しい」
阿「なので、もしあの怪ゲーム『シスタープリンセス』も、十二人の妹の中で
一人の妹に愛を誓い、その証としてマイシスターの尿を飲むという話だっ
たら感動的かつすんごくえろちーくな話になったと思わないか!」
F「確かにHよりもエロいけど、病的だな、それ」(笑)
……などという会話が交わされていたのはひみちゅです、ええ、ひみちゅ。
……何度も言いますけども、私は尿マニアではないと(以下略:笑)
とにもかくにも、秋葉エンディングとして個人的にはこんな感じががトゥルー
アフターだったらいいなぁ、などと思いながら書いていました。いや、尿は関
係ないですよ、もちろん(爆)。
そういうわけで、あれです、『宵待閑話』には非準拠ですので(笑)
個人的には志貴無しでは生きていけないと泣く秋葉をいろいろ調教する、と
いう毒で鬼畜な考えもなきにしもあらずですが、こういう清々しいのも書いて
いてよかったなぁ、と……似合わないとかなんとか言われそうですけども(笑)
兎にも角にも、お付き合いいただきありがとうございました。
ご感想がありましたらよろしくお願いいたします〜
でわでわ!!
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