ボ ク と 魔 王 の 物 語
BBS








君は他の人と話したかい?

人間は独りでは生きられない、可哀想な生命体、だからね。
人間になりたいのならば、話さないと、ね。
































話すといったって
いるのは、魔王、あなただけだ。

あなたが、ボクの話し相手に、なってくれる――の?
































わたしと話したい――。

わたしだけで、いいのかな?
世界は広い。

 それでもいいのならば。
































それでも構わない。
魔王、あなたと話がしたい。
































ではなにを話そう?
世界の破滅か?
冥界のことか?
それとも――お前の死のことか?
































ボクの死って……。
ボク、死んでいるの?
































死んでる?
死ぬというのは“生物”に使う言葉だ。
キミはただの機械仕掛け。
ただの、からくり、なのだろう――?































ボクはやはり、からくり、なの?
生きてはいないんだね。
































では、聞くが――。
なにをもって“生きている”とする?
































少し考えて、ボクはこう答えた。

心――震わせること、と。
































 では、今、心を震わせているのか?
 きちんと――生きているのか?
































 ボクは……。
 ボクは……生きていない。
 だって、機械仕掛け、だから。
































 だから望むのだろう。
 誰しも、持っていないものを望む。
 誰しもが、無い物ねだりなのだ、よ。

 さあ、願うがよい。
 心、震わせたい、と――。
































 じゃ……じゃあ……
 ボクは……ボクは……
































でも恐かった。
そして、怖かったんだ。

あんなに望んでいたのに、
あんなに願っていたのに、
臆病だったんだ、ボクは。