このSSは巴祭(三人祭り)の出展作です。
[ 西 秦 亭SEI SOU TEI ]という、しにをさんのサイトにある昼下がりの乙女達の続きという形をとっておりますので、まずは先にこちらをお読み下さいませ。





青い蕾の散華

〜さよなら少年の日々〜



 ぐもった声。
 しめった音。
 ピチャピチャと舐める音。
 そして――。
 そして啼く声。
 か細く震える声。
それが地下牢に響き渡っていた。
 蝋燭の限られた灯りの中、人影が重なっている。
蝋燭の火がゆれるたびに、影達がゆらめき、踊り、舞っていた。

「……ぅぅぅぁあっ」

影たちの中央にいる志貴は裸で、快楽でわなないていた。
天井からつり下げられた荒縄によってそれぞれ手首が縛られ、バンザイのような形で吊されている。
すでに裸で、その若い男の体を曝していた。
 そんな志貴の前に2人の影。
秋葉と琥珀。
その二人はいつもとは違う出で立ちをしている。
 琥珀はてかりのある黒革のベルトスーツに身を包んでいた。
細いベルトは躰を縦横無尽に走っているが、躰を隠すどころかオンナの部分をさらに強調していて、胸を絞り出し、いやらしく尖らせていた。
 秋葉は黒革のコルセットスーツに身を包んでいる。
3つあるベルトのバックルで拘束されるスーツは、妙にそそる。
そしてピンヒールのロングブーツと肘まである同じ黒革の手袋で、女王様のような姿である。
そして股間には巨大なもの。
ディルドとおもわせるほど逞しい男根が反り返っていた。
ほっそりとした秋葉のしなやかな躰におちんちんが生えているのは、妙に変態的な光景であり、おしりをむずむずさせるような、艶めかしい姿であった。
 そんな二人は、志貴を嬲っていた。
 秋葉は薬が効いていてぐったりとしている志貴の股間をそっと撫でる。
薬が効いているというのに、志貴の男性自身は雄々しく反り返って、脈打ちそうなほどであった。
その熱く逞しい陰茎を、その脈打つ熱い塊を、その黒い皮に包まれた指先でそっと撫でる。
黒い皮ごしに熱く跳ねるような感触を覚えて、秋葉はゾクゾクした。
そしてやわやわと撫で回し、握る。
すると圧迫されたためか先からとろりと露がこぼれる。
雄の匂いがする。
志貴のいやらしい牡の臭気。
秋葉はうっとりした表情で、兄さん兄さん、とつぶやいている。
そのまま傷痕のある胸元に顔を寄せる。
そして臭いを嗅ぐ。
牡の臭い。
汗にまみれた雄の臭い。
そして触れていないというのに感じられる体温。
志貴の熱い血流さえも感じられそう。
しかもそれが愛しい兄さんのとわかるだけで、感じるだけで、秋葉の頭はどんどん胡乱となっていく。

「……だ……駄目だよ……」

志貴は弱々しく呟く。
しかしその弱々しさがふたりの女たちを高めていくことも知らずに――。

「兄さん、こんなに大きくさせておいて、何が駄目だというのですか」

熱くうかれた声。熱病にかかったような、そんなねっとりとした声。
そして志貴の胸筋を舐めながら、乳首をぐいっとひねる。
志貴の躰がびくんとうなる。
でもやめない。
秋葉は爪を立ててねじ切るようにしていく。

「……ぁぁあっ」

志貴の口から嬌声と涎が漏れる。

「……駄目だよ……秋葉……兄妹……なのに……」

とたん志貴はいやいやする。
志貴は頭がはっきりしない。胡乱な闇の中、ただ駄目だという思いだけで、嫌がり、首をふっていた。

「ふふふ、志貴さん」

背後から琥珀さんの楽しそうな声。
しゃごみこんでいてお尻を愛撫していた。
両手でそのきゅっとひきしまった尻肉を、ぐいぐい揉む。
志貴は信じられなかった。
たとえ薬の影響があるのにしても、男なのにお尻を撫でられて感じるだなんて……。
否定したかった。
でも感じているのは本当で――ぞわりと肌が粟立つような奇妙な感覚が肌の下をゆっくりと蠢いていた。
琥珀はその指の腹で、手のひらで、やわやわともみ、心地よい疼きを生み出していた。
琥珀のお尻の筋肉を柔らかく柔らかくもみほぐすその指先から伝わってくるおかしな疼き。
それが生み出す奇妙な感覚が志貴の躰と心を嬲っていた。

「志貴さんのお尻ってきゅっと引き締まって格好良いですよ、ふふふ」

本当に楽しそうに微笑むと、ぺろりと舐めた。
おしりがもじもじと揺れる。
口の中にしょっぱい味がひろがる。男の汗の味。
それを舐めるだけで、琥珀さんもゆっくりと高ぶっていく。

「兄さんの乳首……ふふふ……かたく尖っていますよ」

つまみ、つぶし、ひねっていた乳首から手を離し、じっと観察する。
ぷっくりとふくらんだ乳首。
志貴は男なのに、嬲られて感じていて、恥ずかしさを感じていた。

(妹に、女の子に虐められて、ねぶられて、乳首が立つなんて……)

気恥ずかしさが躰をどんどん熱くさせていく。
その熱が下半身に集まり、なぜかあそこを隆起させていく。
そんな志貴を見ながら、その乳首を秋葉は口に含む。
柔らかい唇でそっと挟み込み、ちゅうちゅう吸う。
唇よりちょっと固くざらざらした舌で乳首を転がす。
そうするたびに志貴の躰に甘くむず痒い電気が流れていく。
陽根がびくんびくんとさらに大きく膨れる。
脈打ち、のけぞって、腹を打ちそうなほど。
鈴口からとろとろと感じている先走りの露が切なそうにこぼれていた。
切なさに震える志貴自身に同じぐらい熱いものがふれる。
 秋葉の陰茎だった。
先からとろとろと腺液をながしているそれをこすりあわせる。
 腺液のぬるりとした感触。
 粘膜のつるりとした感触。
秋葉はまるで男の人のように腰をふるって、志貴のにこすりあわせる。
 その熱い感触が、その固い感触が、そのきつい臭いが二人を胡乱にしてしまう。
志貴は兄妹の交わりという背徳的な官能に身を焦がし、秋葉は愛する兄を自分の手中に納め、弄くり嬲っているという加虐の官能に身をよじらせた。

「どうです……わたのおちんちん……」

秋葉は乳首を手で弄りながら、嬲る。
熱いそれを志貴のにこすりつけ、その感触に酔っていた。

(こんなに熱い……兄さんの……兄さんの……)

その熱が、固さが、秋葉の女を刺激していく。
そして自分の生えたそれを志貴のに埋めたくて、挿入したくてたまらない。
そう考えるだけで、秋葉のはびくんとする。
今の志貴を見ると……秋葉は身もだえするばかり。
 黒縁の眼鏡でファニーフェイスの志貴の顔はとろんと快楽にとろけ、目は淫楽で潤み、涙さえうかべている。
 その弱々しい姿を見ると、ふつふつと虐めたいという思いにかられる。
思う存分啼かせて、涙させ、嬲り、めちゃくちゃにしたい。
たまらなく、そうしたい。
志貴をもっと泣かせたくて仕方がなくて。
おしりの穴に、口の穴に入れて、目の前の男を自分の色に染めたい。
だから、尋ねる。

「どうです……この熱くて固くてびんびんな……わたしのが……兄さんの中に入るんですよ……」

うっとりとした加虐の笑みを浮かべ、志貴を嬲る。
志貴はいやいやと首をふる。
嫌がる無力な姿はますます秋葉の心を煽っていく。
そのまま抱きしめて、いやがる兄さんをひぃひぃ言わせたくて、そしてひぃひぃ言っている痴態を思い浮かべて、恍惚にひたる。



「では志貴さんの準備をしないと」

そういって琥珀は尻肉を両手で掴み、ひろげる。

(あぁ)

志貴は絶望の吐息を漏らす。
琥珀の視線が自分のおしりに、不浄な窄まりに注がれていることを感じる。
羞恥で身を焦がしそうなほど。
躰をくねらせてやめさせようとするが、琥珀はやめるどころか窄まりにそっと触れてきた。

「こ……琥珀さん……や……やめろ……」

でも菊門をいじる指の勢いはとまるどころか、さらに激しくなる。

「綺麗ですよ、志貴さん」

琥珀もうっとりした声でいう。
肌の色より少し濃い皺の寄り集まりといった不浄な門をそっと指の腹で押す。
ぷっくりとふくらんだそこは、呼吸にあわせて微かにうごき、ひくついていた。

「そして可愛らしいですよ」

そういってぐちゅぐちゅと音をたてて、なじませていく。
固い蕾をゆっくりとゆっくりと丹念に柔らかくほぐしていく。
志貴は自分の躰が信じられなかった。
こんな不浄なところをいじられて、腰をふってしまうような爛れた快感が走るだなんて。
でも、そこから走る快感は確実に志貴の思考力を奪っていく。ただ胡乱ないやらしい粘液質の海へと突き落としてしまう。
 産毛がそそり立つような感じ。
内蔵が勝手に蠢いてしまって、暴れてしまって、志貴の躰はくねっていってしまう。
痺れるような悦楽が、じんじんとした疼きとなって、股間のものをさらにそそり立たせる。

「……駄目……駄目だよ……」

志貴は涙を流しふるふると震えながらも、やめさせようとする。
しかしその声はあまりにも弱く、か細い――。



「瀬尾」

秋葉はそっと地下牢の片隅を一瞥する。
そこには翡翠と晶が手を取り合って真っ赤になって、志貴の嬌態を見つめていた。

「……あ、は、はいっ!」

晶は突然名を呼ばれて驚きながら、秋葉の方を見る。
一方、翡翠は志貴の頬を紅潮させてふるふると打ち震える様を、淫らに啼く様を、じいっと瞬きもせずに見つめていた。
その色っぽい艶やかな嬌態に、心から魅入られていた。

「……志貴様……志貴様……」

とうなされたかのように、主人の名を繰り返し呟いていた。
 そんな翡翠をおいて、秋葉はそっと瀬尾を手招きする。
こくり、とうなづき、恐る恐る近寄る。

「な、なんですか……先輩……」

そう言いながらも、晶の視線は志貴の股間から離れない。
真っ赤にふくれあがった男のもの。
よくよむ同人誌で書かれていたものとそっくりで。
でもその臭いとひくつく様は、同人誌にはなくて――。
晶のまだ幼い女は高ぶりはじめていた。

「見て――」

そういって秋葉は志貴のものを握る。
あぁ、とうめく志貴。
そしてゆっくりとゆっくりとしごき始める。
鈴口からとろりとした腺液が漏れて、ほっそりとした秋葉の指を汚していく。
その強い牡の臭いに、晶は目眩さえ覚えていた。

「これが男の人のよ」
「これが男の人……」

晶の視線はしごかれている男のものに注がれていた。
生唾を飲む。
晶の躰も火照ってきた。
腰のあたりがむず痒いような、妙な感覚。

「ほら、これがおちんちん」
「おちん……ちん……」

オウム返しでつぶやき返す晶。
両手を握りしめたまま合わせて、口の前にまでもっていく。

「……み、見ないで……晶……ちゃん……」

息も絶え絶えに懇願するが、晶ちゃんはふらふらと秋葉に近づき、志貴のものが脈打ち、ぬめり、こすられ、快楽にわななくところをじいっと見続けていた。

「……瀬尾、触ってみる?」

秋葉の声にびくりとする晶。

(これが……おちんちん)

また生唾を飲み込む。 喉はからからでひりつくぐらい。
躰の奥の芯からなにかちろちろと燃え上がるような――そんな不思議な感覚。
痺れるような、肌の舌をはいずり回るような、そんな未知の感覚に、晶はおののいていた。
でも――。
でも、その目は志貴の逞しい男根から離れない。離すことができない。
近くによればよるほど感じられる、鼻の奥をつーんとさせる男の臭い。
いやらしい男の臭い。
上を見れば、志貴は涙をして、顔を赤らめ、いやいやしている。
なんていやらしい顔をしているんだろう、と思う。
志貴さんってなんて……。
前に読んだボーイズラブの同人誌のシーンが脳裏に蘇る。
官能にわななく志貴の姿はまさにそれで――感じきってとろとろにとろけて嬲られる少年そのものだった。
 そう思うと晶の躰に突然波が走った。
甘美な波。
びくんと躰が震えてしまうほどの、たまらなく甘い波。
ボーイズラブを読んでいて感じる――あの乱れてしまう感じ。
その波にさらされた神経はイヤに高ぶっていく。
 いつしか晶は鼻にかかった吐息を漏らしながら、知らずのうちに太股をこすりあわせていた。



「ひゃ!」

志貴は啼いた。

「駄目、琥珀さん……駄目……だった……ら……」

しかしその声は歓喜に震えていて、色っぽい。
低い志貴の声が甘く響き、子宮どころか腰骨までとかしそうなほど。

「でも、気持ちいいでしょー」

琥珀さんは志貴の不浄なところを舐めていた。
ぬらぬらとはわせ、その皺の集まりをねぶっていた。

(……バ……バカ……な……)

志貴は混乱していた。
自分はホモでない。変態ではない。女の子が好きないたってノーマルな男だと信じていた。
なのに、おしりをねぶられるだけでこんなに気持ちいいなんて……。
その快楽で涙がこぼれてしまうほど。
口から切ない喘ぎを漏らしてしまうほど。
琥珀さんの舌はぬるぬるとしていて、暖かくて、淫らに動き回って、志貴の肛門をやわやわとほぐしていた。
 そこに舌がはいずり回り、舌先がぬりゅりと入ってくるだけで、志貴の脳髄は爛れていった。
むず痒いような快感はいつしか強い刺激となり、息もできないほどの快楽を生み出していた。
認めたくない背徳的な疼きが全身をちろちろと舐めつくし、躰をのけ反らせてしまいそうなほど。

「志貴さん、頑張ってますねー」

口のまわりをベタベタにした琥珀さんが言う。
口を離しても、指先はアナルをやんわりと刺激し続けていた。

「翡翠ちゃん、ちょっとー」
「……志貴様……志貴様……」
「もぅ翡翠ちゃんったら……ねぇ 翡翠ちゃん !
「は、はい!」

ようやく我に返った翡翠は琥珀を見ると、こっちこっちと手招きしている。
その目はどうみても何か企んでいて……。
でも翡翠は志貴に心が奪われたまま、呼ばれるままに近づいていく。

「翡翠ちゃんもほら」

近寄ってきた翡翠の手をつかむとしゃがませる。
翡翠の目の高さが志貴のお尻と、アナルと同じ高さになる。

(志貴様のおしり……)

翡翠はまじまじとみてしまう。
心臓がとくんという。
そして次はどくんといい、
今はドクドクと早鐘を打つかのよう。

(これが……志貴様の……おしりの……穴……)

翡翠はその唾液で濡れぼそり、てらてらとしたおしりとその穴をじいっと見る。
ぷっくりとふくらんでいて、時々ひくつくのがわかる。
かっと熱くなる。
まるで直接血液にアルコールを入れたかのよう。
突然酔っぱらってしまったかのような、この熱さ。
聞こえてくる志貴の切なそうな喘ぎ声が、翡翠の理性を溶かしていく。



「琥珀、少し降ろして」
「はい、秋葉様」

ハンドルをまわすと、滑車に止められていた荒縄がゆるみ、志貴は跪いたような形になる。
でもその手はまだひっぱられていて、バンザイしたまま。
 志貴の目の前に秋葉の陽物があった。
こちらもびくんびくんとしている。
赤い粘膜がてらてらしていて、とてもいやらしい。

「瀬尾」
「はい」
「こういうのをよく読んでいたわね」

そういって秋葉は志貴の顔に手をあてて固定すると、志貴の口に自分のを押しつけた。
首をひねっていやがる志貴。
顔が秋葉の先走りによってぬらぬらと汚れていく。
あの黒縁の眼鏡も汚れ、曇ってしまう。
でも首をひねるたびに、そのざらついた髭が、柔らかい唇が、秋葉のものを刺激する。
顔をひねっていやいやするたびに、びくんと甘い快楽の電流がそこから走り、秋葉はもっともっとと押しつける。
志貴はその熱い感触に、苦しんでいた。
その顔を汚す粘つく液に、
その鼻につく秋葉の臭いに、
その真っ赤に充血しきった秋葉のそれに、
吐き気さえ覚えていた。
絶対に口に含みたくなかった。
たとえ秋葉のもので、もともとは女性のものだといっても、そんなものは口に含んではいけない。
それを含んだら……自分の何かが折れてしまう。失ってはならない何かを失ってしまう。
秋葉のそれは志貴の可愛らしい顔を汚していく。
先走りの腺液で、志貴の顔も眼鏡も、てらてらになっていく。
上気した頬をして、呻き、いやらしい液でてらてらとしている細面の青年の顔に、晶は見入ってしまう。
 そして秋葉の熱く脈打つものは、固く閉じた志貴の唇をこじあけ、歯と歯茎を犯す。
志貴は顎を閉じて、それ以上入らないように耐えていた。
熱いそれが歯茎をこすり上げる。
にゅるにゅるとした液が口の中へ伝わってくる。
それが泡立ち、歯を、歯茎を汚していく。犯していく。
口ばかりか自尊心まで犯されてしまう。
気持ち悪い。
思わず吐きたくなる。
しかし口を開けるわけにはいかず、ただ耐えるだけ。
鼻からはいる空気には秋葉の熱い体温と匂いが含まれている。
強く、熱く――そしていやらしい匂い。
秋葉の高ぶったオンナからしたたりおちる愛液の匂い。
その匂いと口の中の味で志貴は頭はおかしくなってしまいそうなほど。
とろとろとした液が、唾液と混じり合い、つい飲み込んでしまう。
いやだと思っても唾液は食道をとおって、胃へと落ちていく。
いやらしい味。
たまらなく淫らな味に、志貴の神経はバラバラになっていく。
何かが喉元からせり上がってくる。
それを奥歯でかみ締めて殺す。
喉が震えて嗚咽を漏らしそう。

(感じてなど……いない……)

志貴はめいいっぱいの克己心で、躰のわななきを否定した。



「ほら、翡翠ちゃん」

琥珀はひくつくアナルを指さし、翡翠の指をそこへと導いた。
翡翠はそっと近づける。
まだふれていないのに、そこから熱気が感じられた。
そして感じられる志貴の体臭。
ドキドキした。
全身が心臓になったよう。

(志貴様の不浄な、このような場所に……)

 志貴のそこ。
 おしりの肉の間にある小さなおしりの穴。
 その下にぶらさがる皺だらけの玉袋。
 ちらちらと見える陰毛。
 そして時折見える陰茎。
 志貴の男としてのすべて。
そこにあるものすべてが翡翠のオンナをひどく疼かせた。

(志貴様……わたしのご主人様……)

翡翠はぶつぶつと志貴様とつぶやきながら、その指を肛門に近づけていく。
そのほっそりとした指がおしりにふれた時、その暖かさに妙な感動してしまった。

「ほら翡翠ちゃん、早くしないと」
「う……うん……姉さん」

こくりと頷くと、翡翠は遠慮なしに指を入れた。


突然、おしりが熱くなり、志貴は声を上げた。
熱くて、痛くて、でもむずむずした感じ。
その声にあるかすな熱い粘り。
志貴の頭の中は溶けてしまっていた。
突然、走った甘美で淫らな刺激に、喘ぎを漏らしてしまった。
その開けた口に秋葉は突っ込む。
喉の奥をつかれてむせかえる。
嘔吐感がこみあげてくる。

(俺の……俺の口の中に……秋葉のが……)

志貴の目の前は真っ暗になった。
何かが折れた。
男としての矜持。雄としてのなにか。
それが消え去ってしまったような、そんな感覚。
口の中はえぐい味がひろがる。
鼻の奥をくすぐるようなむず痒いつーんとさせる臭いと味。
それは、志貴が初めて味わった牡の味。
舌を、口蓋を、歯茎を、喉を、粘膜を、すべて、志貴の頭を秋葉によって犯されている。
鼻で息をすると、匂いでくらくらしそうなほど、いっぱいになる。
脳までも、魂さえも犯されて、蹂躙されていく。
だた乱されて、狂わされてしまう。
あのとげとげしい秋葉にこうして蹂躙されてしまうと、躰がビクンと震えてしまった。
喉奥にそれが突っ込まれるたびに、脳が外に押し出されてしまっているかのよう。
かわりに秋葉の熱いそれがどんどん残っていって、溜まっていってしまって。
自分が秋葉のものになった、とわかってしまった。
 志貴は何かを諦めたかのように、目をゆっくりと閉じた。



(志貴さんが……男の人が……おちんちんをくわえている……)

晶はその姿に、同人誌の挿し絵でしかみたことがない、このいやらしい構図を目のあたりにして動揺していた。

(志貴さんの口があんなにひろがって……口から涎をながして……)

目が離せなかった。
一度目にしたかったボーイズラブのワンシーン。
憧れのシーン。男の人が男のを受け入れたシーン。
それが目の前で繰り広げられていた。

(あんなに遠野先輩は気持ちよさそう……)

じんわりとした湿り気を自分のあそこに感じてしまった。
疼くような、かゆいようなヘンな感覚。
太股をこすりあわせてもそれは消えず、さらに広がっていく。

「瀬尾」

秋葉の方を虚ろな目で見る。
そのときの晶の目は欲情で潤んでいて、頬は薄桃色どころか赤色に染まり、鼻がかすかにひくついていた。
秋葉は目をつぶり、志貴の口蓋の粘膜を味わいながら、囁く。

「兄さんのあそこはどうなっているの?」
「あ……はい」

ドキドキしながら、うずくまり、下から覗き込んでみると、そこには真っ赤に固くなった逸物が反り返っていた。
 先の切っ先からトロトロと何かをこぼし、時折びくっと動く。
晶はそっと手を伸ばす。
つかんでみると、熱かった。
こんなに熱くていいのかと思うぐらい熱かった。

「遠野先輩……熱くて……熱くて……」

晶はうわごとのようにくりかえす。

「先から雫がこぼれていて、脈打っていて、まるで生き物のようです……」

悲鳴にも似たかすれた声。
実際に晶は悲鳴をあげているようなものだった。
頭の中がこのおちんちんでいっぱいになっていく。

(こんなにも……こんなにも……熱くて……太くて……固いおちんちん……)

触れているだけで、溶けていきそう。
もじもじと腰を動かしてしまう。

(これが男の人の……初めて触ったけど……こんなに……)

腰の奥からの疼きが甘美な電流となって幼い晶の躰を目覚めさせていく。
いやらしいオンナへと開花させていく。
志貴の切なそうな喘ぎ声が、この逸物の熱さが、思考を、理性を淫蕩に沈めていく。
 初めて見た男性のフェラチオ
 初めて見た男性のおちんちん
 初めて見た男性のよがった顔
あまりにも強すぎる刺激に、晶の心は押し止めることができない。
 男の臭い
 牡の匂い
 雄の香り
それらが入り交じっていって、晶の鼻孔をくすぐり、とろかしていく。
ゆっくりとした疼きの波が奥から広がっていくのを、晶は実感した。

(わたし……感じているんだ……志貴さんを見て……感じているんだ……)

そう自覚したとたん、あそこがひくつき、とりと雫がこぼれた。

(……濡れてるんだ……わたし……わたし……)

晶の頭の中はすべてそれだけになっていく。
ただ触っているだけで、愛撫も刺激もなにもないというのに、頭が真っ白になっていく。
びくん、と躰がよじれる。
あまりにも性感が高まっていって、志貴のをつかんでいるだけでいきそうだった。

(すごい……こんなに……こんなに!)

未知の快感に、晶は怯える。しかし躰はその快楽を求めて、いつしかぎゅっと志貴のをにぎりしめていく。こすりあげていく。
 そのぬるりとした感触、熱く脈打つ様、つるつるとした先の粘膜、そして志貴の匂いとたまらない熱気。
これらにどろどろに犯されていく。
まだキスどころか初恋もまだの純真な晶の心を酷く淫らに犯していってしまう。
目はとろんと惚かしたまま、口をかすかにあけて、物欲しそうにもじもじして、志貴のを眺めている。
 そして残った左手で、セーラー服の上からその未発達な胸をそっと揉み始めた。



(……志貴様……凄いです……)

熱病に浮かされたかのように、翡翠はおしりの穴を弄んでいた。
いれた中指を引き抜くたびに、また入れるたびに志貴の躰は震え、感じていることを教えていた。

そして入れた指をぎゅっと締め付けてぐいぐいと飲み込もうとする肛門に、翡翠は飢えを感じていた。

(さっき……姉さんは……)

てらてらと唾液でひかるお尻を見て、ごくりと唾を飲み込む。

(姉さんは……口をつけて……舌を……)

指をいれたまま、志貴のおしりの口づけした。
震える唇が志貴の汗ばんだおしりにくっつくと、しょっぱい汗の味がした。
でもその味はとても志貴を、男を感じさせて、もっと味わいたくなってしまう。
舌をぬらりと這わせてみると、志貴は感じているのか、アナルがぎゅっとひきしまって、指を飲み込もうとする。

(志貴様が……志貴様が……わたしので……感じてくれる……)

志貴が感じてくれるということで、翡翠はもっと大胆に舌をはわせる。
尾てい骨を舐め、おしりにいれた指を大きく上下左右に動かし、そのつるりとした腸壁を感じる。
そして指を入れながら、肛門を舌で弄くる。
ぷにっとした感触、ちょっとした苦みとえぐみ、そしていがらっぽい舌を刺激する腸液。
でも、それがすべて志貴のものだと思うと、翡翠は逆に愛おしささえ感じてしまう。
つい声にならない吐息が唇がら知らずのうちに漏れてしまう。
翡翠の躰の中にたまった熱がすべてでてしまったかと思えるほど、熱くねっとりしていた。

 琥珀はそんな妹の姿を目を細めて嬉しそうにみる。
そして、志貴の背中に口づけをする。
手はそのまま、誰もまだ弄っていない陰嚢へと延びる。
背中に幾度も口づけし、跡をつけ、そしてかたくしこった袋をやわやわと揉む。
強く弱く――琥珀の知っているべての娼妓を用いて。
睾丸をかるく掴み、ひっぱり、手の中で揺らしてみる。
そして時にはきゅっとつまみ、ぬりゅんと逃げたそれを追いかけて、またつかむ。
そうするたびに志貴の躰に痙攣に似たものが走り、躰をくねらせている。



(まだまだですからねー志貴さん)

琥珀さんは虚ろな笑みを浮かべて、自身の身で覚えた性妓を披露した。
そのまま陰嚢から手を離すと、耳に息をふきかける。
そしてぬるりとした舌をいれて、筋をなぶる。
一度、二度と往復させるたびに、志貴はいやいやする。
でも琥珀はやめない。
そして耳たぶを甘噛みし、そのまま舌で口の中にはいった耳を嬲る。
充分右の耳を味わうと、次は左の耳。
そのあと、うなじをなめ、背中越しに、志貴の乳首を抓む。
ピンとたっている。

(志貴さんったら……)

そして乳首をそっと、優しく撫でる。
他の者の自分の欲望に溺れた強い刺激ではなく、やんわりとした甘い刺激。
とろとろにとけそうになるような微弱な官能の火。
指の腹で肌を撫で、乳首をこすり、志貴の躰が震える箇所を的確に探し出していく。
胸板、わき、首筋、意外に感じてくれた上腕。
そこを撫でて、とても柔らかい疼きを引き出していく。



 鳥肌が立つ感覚。
丹念に快楽に悦楽を重ね、神経をただ性悦に沈めていく、淫らな行為。
志貴の感じる神経すべてが情欲だけに染まってしまう。浸りきってしまう。
とめどなく、感じてしまう。
 女たちの獣欲にさらされて、こんなにも嬲られて、こんなにもいじられて、こんなにももてあそばれて、ただただ快感にむせび泣かさせてしまう。
神経がむき出しにされていく感覚。
ちょっと刺激でも敏感に感じ、幾倍もの淫靡な波が志貴の躰を妖しくうねらせてしまう。ただその波に溺れて、息もできないまま、口から涎を、男性自身からあつい雫をこぼしてしまう。
志貴自身を握りこすられ、おしりの穴をいじられて、口の中に入れられて、乳首をつままれて、陰嚢をもまれて、感じてしまう。
よがってしまう。
乱れてしまう。 女のように。
男なのに。
 でも口にはいる秋葉の熱さはじんじんと痺れさせてくれて。
粘膜をこすられて、唇が熱くなっていく。
つい――つい舌を這わせてしまった。
秋葉のそれに舌を這わせると、秋葉の味が濃くなっていく。
それがまるで毒のようで、神経を爛れさせていく。
男しておかしいことをしているという感覚がなくなってしまう。
その秋葉の味をもっと感じたくて、啜りたくて――だからしゃぶってしまう。
男なのに、しゃぶって、ねぶって、舌をはわせてしまう。
こんなにも。
まるで――いつもやってもらっている時のように。
 男なのに。
 どうして。
 男なのに。
 でも――気持ちいい。
男なのに、と思って否定すればするほど、躰の奥にある火はどんどん燃えさかっていく。
細胞も血管もアルコールで浸したかのように熱くなっていく。
淫らに、ふるえるように、こんなに神経が悲鳴をあげる。嬌声をあげて啼く。
それがそのまま志貴のを固く強くしていく。
こんなにも熱く、こんなにも雄々しくさせてしまう。
そしてそこをこすられる手の感触、陰嚢を揉まれる愉悦、お尻を弄られる被虐。
それらがまじりあって、どろどろになって、志貴のすべてをとかしていく。
真っ白に。
ここまで真っ白に。
こんなにも真っ白に。
男だというのに。
女のようにここまで乱れて。
何も考えられないほど。
狂おしいほど。
男の尊厳をすべてズタズタにして、嬲られていくこの虐められていく、たまらない感覚。
この感覚だけに。
ただ真っ白に。
だた染まっていく。
染まっていってしまって――残るのは淫らに蠢く女たちの柔肌とさらけ出された獣欲だけ。

「もっと!」

志貴は秋葉の男根から口を離すと叫んだ。
切ない喘ぎを漏らし、震える鼻にかかった声で、尊厳もなにもなく、ただ求めた。

「……頼む……もっと、もっと!」

そして自分から秋葉のにむしゃぶりつく。
その熱い脈動が心地よい。
口の内いっぱいに暴れる秋葉のもの。
秋葉のおちんちん。
こうして男なのにおちんちんを舐める自分はただの変態だと……。
志貴は身震いと快感ともに受け入れた。
 そして舌を丹念に這わせる。
こうしてもらうのが気持ちよかったとわかっているから――。
鈴口に舌をあててえぐり、えらに舌を絡め、粘膜に軽く歯をたてる。
こんなにもに淫らに舌をはわせ、啜ってしまう。

 志貴の言葉に4名はさらに激しく嬲り始める。
 翡翠の指はずぼすぼと音をたてて出し入れされ、そのまわりを丹念にねぶっていく。
ふやけて、おしりの穴がひろがってしまうほど、舐め尽くしていく。

 秋葉は志貴の頭をおさえ固定して、突き動かす。
ただ本能に従って、ただこのいやらしいゆらぎに従って。
腰を志貴のに突きだしてしまう。
志貴の舌のざらっとした感触が、ぬるっとした口蓋の粘膜が、とろりとした唾液で気持ちよくて。
だからどんどん突っ込んでしまう。
志貴がむせかえるのも構わず、

「兄さん……兄さんの口の中は暖かくて……もっと、もっと吸ってください。そうです兄さん!」

腰を動かし続けた。

 晶は熱いとろみと粘りを股間に感じてもじもじと太股をこすり合わせる。
でも志貴のをいじるのはやめない。
強く握って、ぐいぐいしごく。
先からとろとろとでる腺液にその幼い手が汚れても構わず、淫らな音を立てながら、こすり上げていく。
 その手に感じる熱さに、逞しさに負けないように、強く、早く。

(志貴さんのおちんちん……おちんちんが……)

同人誌で得た知識を総動員して、志貴を虐める。
指で鈴口をえぐり、えらの部分をきゅっきゅっとこすりあげ、裏筋をつつっと撫でる。
そのたびににぎっているそれが、びくんびくんと快楽で揺れ動き、晶の頭をいやらしい志貴の男根でいっぱいにしてしまう。
 そのいっぱいになったものがとけて衝動となってこぼれ落ちていく。
衝動のままに、晶の細い指は、暖かい手のひらは、綺麗な爪は、志貴のをいじくりまわしていく。

 琥珀は志貴の乳首をぐいっとひっぱり快感にわななかせる。
首筋に舌をはわせべとべとにしていく。
てらてらになったそこに歯を立てる。
軽く――でもちょっときつく。
ふるえてむせぶ志貴の姿に愉悦を感じながら、もっと噛んでしまう。

(わたしってそのケがありましたっけ?)

琥珀はふとそんな疑問が浮かぶ。
今までは槙久にも四季にも一方的な関係だけ。
こうして愛しい人を嬲るということに……琥珀にゾクゾクする快感を覚え始めていた。
 志貴の震える唇からしたたりおちる涎。
 まなじりから流れおちる涙。
 躰がわなわなと悦楽に耐えて震える姿。
 嗚咽をこらえて飲み込み、顔を真っ赤にしていやいやする男の姿。
そして女に嬲られて感じている志貴の姿。
その倒錯的な宴に、琥珀ははじめてあそこを濡らしてしまった。
熱く爛れた蜜の中。
息もできないほどのつまった蜜。
とろとろになっていて、そんな中に溺れていく、このいやらしい快感。
ねっとりとした蜜が口だけではなく、目から耳から鼻から、女陰から菊門から入ってくる、そんな感覚。
すべてが犯されて、蜜で爛れていく、この体がのけぞってしまうほどの――。

浮かれたように、志貴の乳首を、背中を、首筋をもてあそんでいく。
 そんなたまらない遊戯に溺れていってしまう。


「兄さん……兄さん」

秋葉の動きが早くなる。
どんどん秋葉の味が強くなる。
 いくんだ、とわかると、志貴の頭は真っ白になる。
精液が出される。
男の精液を口に出されてしまう。
いやなのに――感じてしまって躰が熱い。
早く出して欲しいと頬がへこむぐらいすすり上げる。

「駄目です! あぁ気持ちいい、兄さんの口が……あぁ!」

秋葉はくねらせながら、腰をふる。
喉の奥をどんどんつく。
熱い塊が喉をえぐって、志貴は苦しかった。
でもその痛みが心地よく、口の中がじんじんと痺れてきて。
何も考えられないまま、自分の腰を動かす。
たまらなくて、本能的に動かしてしまう。
熱いとろみが全身を爛れさせながら腰の奥から昇ってくる。
あそこがさらにふくらむ感じ。
躰かふるえ、そしてびくんと痙攣が走る。
志貴はもう限界だった。
晶が粘ついた声を上げる。

「出てます……志貴さんが出しています。あぁこんなに。こんなに!」

こすっているそれの先が少し大きくなったかと思うと、白濁した粘液を出す。
精液がでる瞬間を間近で見て、晶の躰は大きく震えてしまう。
その青臭い匂い、手のひらが熱い汁でねとねとになっていく。手のひらが、指先がやけどしてまうほど、熱い。

(こんなに出るなんて……)

その鼻の奥を刺激する匂いを大きく吸い込むと、あそこから熱いとろみが全身にひろがっていく。
びくんと震えて、躰を丸めてしまう。
 晶はびくんびくんとふるえるおちんちをつかんだまま、うまれて初めて、いく、というここまでいやらしい官能の只中に浸った。



(……あぁ……志貴……様……)

おしりにいれていた指がぐいっと飲まれていく。
そしてぎゅっと引き締まって、翡翠の真っ白な指を食いちぎるほど。
志貴が達したのだと知って、翡翠はわななく。
てらてらな舌で肛門を舐める。
するとさらに腰が揺れ動き、指を締め付けてくる。
目の前で志貴が達したということを、官能の渦で、自分の指の弄りでいったことに、翡翠は感激してしまう。

(志貴様は……達せられたのですね……)

翡翠の頭は快楽に溺れて、涙する志貴の姿でいっぱいになっていく。

(わたしの指で……わたしの舌で……あぁ……志貴様……)

 志貴がいくのを見て、愛おしさがこみ上げてくる。
そんな女の愛欲に、翡翠はもっと淫らになっていく。もっといやらしくなっていく。
だからもっと感じて欲しいと、ひくつく肛門に舌をはわせ、腸を、肛門を指でさらにもてあそぶのであった。



 琥珀は嬲られて達してしまった志貴を見て、あそこから波が広がってくるのを感じた。
皮膚の下をはいずりまわるような、この感覚。
舌でずっと舐められている、この感覚。
 つい息を吐いてしまう。
粘ついた息を吐きながら、秋葉のものを口に含み、官能に躰を真っ赤にしている志貴の姿に、身をよじるような快感を感じてしまう。
 あそこから露がこぼれおちるのが感じられる。内股をぬるぬると流れ落ちる感覚に、躰がびくりと反応して――。
涙し、嬲られている志貴の姿に、琥珀はなぜか深い満足を得ていた。



「兄さん……いきます、いきます!」

そして喉のもっとも深いところまで押し入れると、何かが腰骨から昇ってくるのを解き放った。
ずっと我慢していた自分の獣欲を解き放つ感覚。出しているという愉悦。
腰の中にあったぐずついてどろどろになったものを吐き出す、この快楽。
そしてそれを志貴が口で受け止めてくれる。
兄さんが、わたしのを口で!
そう思うだけで躰がさらに熱く、ふるえてしまう。

「兄さん……わたしのを……わたしのを飲んでください!」

秋葉は叫んでいた。

「わたしのを飲んで、胃も腸も、躰の中すべて、秋葉のものになってください!」

秋葉は恍惚の表情をうかべ、出すという、注ぐという男の快感に浸りきっていた。


 志貴の口の中で何かが爆発したようだった。
押さえつけられて動けない口の中で、肉棒は暴れ、まき散らかされていく。

(……出されているんだ……口の中に精液が……)

 青臭い味がひろがる。
粘ついてしつこく、喉にからむつぶしたゼリーみたいな触感。
いやに生ぬるい温度で口を汚していく。
男なのに、男なのに、出されている。注がれている。
出されて、口の中が精液でいっぱいだというのに。
志貴はぼおっとしてしまう。
汚されて、蹂躙されて、強姦されて、陵辱されているというのに――。
たまらなかった。
これほど感じたことはなかった。
こんなに手ひどくいじられて、もてあそばれて、男なのに女のようにいたぶられたというのに。
だというのに。
あぁ!
口の中で広がる酸っぱいようなしょっぱいような気持ち悪い味。
でも――これが秋葉のもの。秋葉の味。
そう考えるだけで熱くなっていく。
いっばかりだというのに、あそこがびくんと動いてしまう。
そして飲んでくださいという秋葉の命令に、その甘い声に唆されて――。

ごくん

と飲み込む。
喉にからみついて、のみづらい。
でもかまわない。
喉を鳴らして飲み干す。
かまわず、何度かに分けて、飲み干す。
幾度も喉が鳴る。

(あぁ……兄さんが……兄さんが……わたしのはしたなくいやらしい液を飲んでくれている!)

喉仏がごくりと動く姿に、秋葉はさらに深い満足感と征服感に、恍惚の極みにただ浸った。

 志貴は、口の中も、食道も、胃も秋葉ので犯されていく。
なのに、口の中でなお痙攣し続ける欲望の肉棒を、そのまましゃぶり続ける。
いつもやってもらっているように、吸い尽くし、最後の一滴まで絞り出すために。
気持ちわるい味だというのに、生臭くどろりとして飲めたものではないというのに――。
志貴はそれを愛おしそうになめ、しゃぶり、唇でしごき、その味を、匂いを、固さを味わい、しばし口の中で余韻に浸る。
その暖かく生臭い秋葉の熱い肉棒を、なま暖かい精液を堪能する。
志貴の腰から一気に背骨をえもいえむ妖しいゾクリとした心地よさが駆け抜け、脳髄を乱していく。
口にある青臭い味がどんどん広がって、ただそれだけの秋葉のいやらしい汁がいっぱいにつまった淫らな皮袋になってしまったかのよう。  そしてゆっくりと口から引き抜かれていく。
その引き抜かれていくのが、名残惜しくて、舌を絡めてしまう。
ちゅっぽんと音をたてて離れ、白く濁った涎で口とおちんちんが淫らに糸をひいて繋がり、そして切れる。
 ようやく志貴は精液臭い粘ついた息を吐くと、秋葉を見上げる。
美しい黒髪が乱れ、汗をかいてぬれた肌にはりつき、頬は上気し、淫乱に輝く濡れた目で見つめ返してくる。
ぼんやりとした、でも艶やかで色っぽい顔。
いやらしい秋葉の恍惚にひたった顔に、志貴はさらに感じてしまった。
そして秋葉はそっと志貴の頬に手をあてると、囁いた。

「これからが……本番ですからね……兄さん」



 志貴のうしろに秋葉が回り込む。

そして背中から覆い被さるようにして、志貴の耳もとに息をふきかける。
その甘い吐息に志貴の躰は反応する。
そんな様子を見ながら、秋葉の熱いそれは志貴のおしりにぴったりと張りついていた。
その熱さに志貴はくらくらする。
熱く逞しいそれ。
今までいじられ、もてあそばれ、広げられたおしりの穴にこれが入ってくる。
そう思うだけで、たまらない。
志貴の陰茎はびくりと跳ねる。

「……兄さん」

秋葉は志貴の耳を舐めながら、ゆっくりと熱いそれをこすりつけてくる。

「……兄さんはわたしのものです……わたしのものになるんです……」
「……秋葉……」

志貴は達したためまだ敏感な躰をくねらせながら、秋葉のものにおしりを押しつける。

「……兄さんの初めてを……ください……」

そういって志貴の首をねじらせ、口づけする。
その艶やかに色づく唇が近づき、志貴の唇を強引に奪う。
お互いの吐息がかかりあい、さらに高ぶっていく。
唇のその柔らかさに身震いする。
志貴の牡の匂いと秋葉の牝の匂い。
いやらしい性獣の匂い。
唇が吸われ、舌が吸われ、絡み合う。
志貴の舌をなぞるように、秋葉の舌は蠢く。
前から置くへ、そらざらつく表面をなぜ、次はつるりとした裏側を。
そして舌を絡めてねじ回す。円を描き、舌どうしをよじれさせていく。

 ……じゅぶ、ぢゅ、ちゅう、ちうう、ちゅ、ちゅぷ、びちゅ、ちゅう、ちゅぷぷ、っゅぷ……。

いやらしい音が地下牢に響き渡る。
舌を差し入れ、舌を絡め合う音。
唇を、舌を、唾液を貪り合う行為。
唾液が、唇からもれ、したたり落ちる。
顎をつたわって、ポタポタと落ちていく。
そして秋葉は志貴の舌を自分の口に吸い込み、ちゅうちゅっと吸う。吸い上げてねぶる。
そしてゆっくりと離れる。
互いの熱い吐息と喘ぎを掛け合いながら。

そして腰のあたりに怒張は、志貴の菊門にふれる。
今まで翡翠にねぶられ、いじられたそこはするりと入ってしまいそう。

「……いきますよ……兄さん……」

ゆっくりと入ってくる。
括約筋を押し広げ、ゆっくりとゆっくりと志貴の躰を分け入ってくる。
内蔵を広げられていくような感覚に志貴は頭が真っ白になる。
先がはいっただけだというのに、そこに灼熱の棒を突っ込まれたかのよう。

「……入ってくる……入ってくるよ……秋葉……」

志貴は内蔵を圧迫される奇妙な感覚に、躰をよじらせていた。

きつきつなそこを、秋葉は悦びにうち震えながら、挿入していく。
少し、また少しと入っていく感触にわなないてしまう。
きゅっとしまった入り口をぬけると、熱い粘膜。
入れた秋葉のものがそのままとろけていきそうなほど熱くて、たまらない。
とろとろなそこにゆっくりと肉棒を沈めていくだけで、官能が迸って、背中をそり返したくなる。
そしてとうとうすべて志貴のおしりの入れきった。
根本がぐいぐいしめつけられ、中はどろりとしていて、きゅっきゅっと締め上げてきて……苦しいほど。
「入りましたよ……兄さん……これで兄さんはわたしのです……わたしのものなんです……」

 初めての感覚に、秋葉は苦しいほどだった。
きつい締め付けをするくせに、中は滑ってしまいそうなほどぬるぬるだった。
こんな感覚は女の秋葉には初めてだった。
狂おしいほどの苦しみに、ただ感じてしまうだけだった。
 初めての挿入感に、志貴は苦しかった。
 喉から内蔵が飛び出てしまうような感覚。
胃を、腸を直接おされ、いじられる、この感覚。
身の毛のよだつようなこの快楽。
そしてゆっくりと抜かれる。
頭の中がバチバチはじける。
直接脳を舌で舐めまわされるような感覚。

「ああぁぁぁぁぁっっっっっ」

漏らしてしまう。
漏れてしまう。
細く長い喘ぎを漏らして、この快感を外に出さないと、駄目になってしまう。
志貴は始めて女の気持ちがちょっとだけわかった。

「駄目……駄目……」

志貴はいやいやしながら、その感覚を吐き出そうと喘ぐ。
どんどんあついものがびくんびくんと背筋を駆け抜けて、脳をとろかしていく。
そこは不浄な箇所でこうして使われる場所ではけっしてないというのに、まるで淫路のようにだたれた快感を志貴に与え続けていた。
はいってくる期待感と圧迫感による愉悦。
入りきったみっちりとした感覚。秋葉のもので躰がいっぱいになってしまうこの感覚。
そして抜かれていく時の身がよじれるような痺れる感覚。淫らなとろみ。
 それらに志貴は蹂躙されていく。
激しい情欲の波に、志貴はただもてあそばれるだけでだった。
潤んだ目からは喜悦の涙。
爛れた官能の雰囲気の中、志貴は喘ぎ、打ち震え、舌さえ突き出し、感じていた。
感じきっていた。
こんなにも。
秋葉のでいっぱいとなって。
こんなにもいっぱいになって。
おしりの穴からはむずかゆい快楽が幾度となく走り、躰をふるわせてねじ曲げていく。ねじ曲げられてしまう。
酷いほど興奮する。
興奮しきって、何も考えられない。
性の悦楽だけに、いやらしい性感だけになってしまう。



「お邪魔しますねー」

琥珀さんはそういって、ハンドルを回す。
縄がゆるみ、志貴の躰は床へと投げ出される。
そのまま、秋葉は後ろから志貴の躰を抱きしめ、座位で交わる。
 琥珀の前に志貴の躰がさらされる。
後ろから秋葉に抱きしめられて、つっこまれて、喘いでいる痴態。
志貴のものはびくんびくんとうごめき赤黒くなって、雫をたらたらとたらし、濡れていた。
まるで女の人のように濡らしていた。
そこにそっと琥珀は近寄ると、それをつかむ。
つかんだだけではじけそうなほど。
そしてベルトをずらして、女陰をさらす。
すでに陰毛もべっとりするほど濡れ、もっちりとした質感の陰唇が愛液で濡れきっていた。
陰花は、すっかり熟れきっていて、開き切り、奥まで見えていた。
二対の陰唇も、肉鞘も、真っ赤に充血していた。
どろどろで、とろとろで、粘膜が不規則にひくつき、淫臭を漂わせていた。
 熟れきったそこを、志貴のにあてる。
それだけで志貴のはびくんとする。
そこに琥珀はゆっくりと腰を沈めていく。
わずかな粘液の音をさせて、志貴のが秘裂を割っていく。
ぬるぬるのそこに飲まれていく快感に志貴は叫んでいた。
その充足感に、志貴は目を閉じ、悩ましい艶声を途切れ途切れに発している。
挿入されながら、挿入するという行為に、もう幾つも絶頂に達したかのように、陶酔していた。

「どうです……志貴さん」

少し鼻にかかった甘ったるい声。

「前も後ろもこう責められると、たまらないでょう?」

琥珀は淫らな笑みをうかべると、腰をふる。
琥珀の体重がかかった分、秋葉のはより深く入り込み、えぐられていく。

「……志貴様」

横でただ見ていた翡翠は琥珀が参入したのを見て、いてもいられず近づいてきた。

「翡翠ちゃん……」
「姉さん……」

琥珀は首をひねって、翡翠と口づけする。
ちゃぶちゃぶと舌を絡め合い、ただ乱れていく。
そしてそのまま志貴の口を二人で貪り合う。
荒い吐息のまま、志貴の舌を、唇を、歯を、粘膜を貪り奪い合っていく。

「姉さんの……こんなに熱い……」
「翡翠ちゃんの……もぅこんなに……」

ふたりでお互いを弄り合う。
そして縛られた志貴の手はゆっくりと翡翠の胸にさわる。
小豆色のエプロンドレスのメイド服の上から皺になるのも構わず揉む。
自分の躰の中で荒れ狂う性悦の嵐を外へ出すために、その激しさに従って、翡翠の胸をもてあそぶ。
翡翠は喘ぎ、志貴の首に手を回す。
顔は真っ赤で、目をつむり、まつげがひくひくと動いている。
清楚な翡翠からも、爛れたいやらしとい女の匂いが漂っていた。
かび臭い地下牢は、いやらしくオンナの香りで充満していた。
息をする度に、オンナたちの嬌声と匂いが体の中に入ってきて、溺れてしまうほど。
3人の柔肌に志貴は溺れていった。
 翡翠は首に回した手に力を入れて、志貴を自分の胸に埋める。
メイド服がしわくちゃになってしまうぐらい、強くぎゅっと抱きしめる。

「……志貴様……志貴様……」
「兄さん……あぁぁ……兄さん……」
「志貴さん……」

三人のかすかに震える粘ついた声がぐもって反響し、こだまする。

 翡翠は自分のあそこがとろとろでたまらなかった。
つい……つい志貴の躰におそこを、いやらしい密をしたたらせているあそこをこすりつけてしまう。
スカートごしの優しい刺激だというのに、志貴の躰にこすりつけているということが、どんどん翡翠をたまらなくさせていく。
そして志貴の顔を舌で舐める。
この感じを、この思いを、このいやらしく啼くオンナを、愛する志貴に半分でも、4分の1でも伝えたくて。
もどかしい思いを、舌で伝えるために、ねぶっていた。
その汚れた眼鏡を、
その紅潮した頬を、
汗ばんだ額を、
その喘ぐ唇を、
幾度もねぶってしまう。
こんなにも愛していると伝えたくて。
身の奥からこんこんとわきあがってくるこの焦燥感にかられて。
その胸を、
とがった乳首を、
ほっそりとした腰を、
ぬれたあそこを、
志貴に押しつけてしまう。
いやらしく、ただ淫らに、こんなにも押しつけてしまう。
それに答えるように志貴は翡翠の愛撫を受け止めていた。
唇が吸われてわななき、まぶたはピクヒクとし、口から切ない声が漏れる。



 琥珀は激しく腰を動かしてしまう。
太いそれでこすりあげ、ざらざらとした気持ちいいところをこすり上げていく。
自分ではきゅっと締め上げているつもりなのに、ゆるんでしまう。
とろとろな密が志貴の腰にしたたり、いやらしい音をたててしまう。
腰を深く沈めてはこね回し、その熱い肉棒を感じる。
押しつけてクリトリスを圧迫する。
何も考えられなくなる。
こんなのは初めてだった。
槙久に抱かれた時も、四季に抱かれた時もそうでなかった。
腰の奥をこすりつけていくたびにそこがとろけていく感覚。
そこがとけて流れ落ちていく感覚。
愛液どんどんこぼれていく。
堪らず声をあげてしまう。
いやらしい声だと琥珀は思うが、止めようがない。
こんな初めての快感に、背中がのけ反っていってしまう。
主人である秋葉がいて、愛する志貴がいて、そしてもう一人の自分である翡翠ともに躰を交える、このたまらない愉悦。
 その愉悦に、ただただ感じてしまう。
こんなにも、乱れてしまう。
志貴のおちんちんが子宮口をコツンとたたく。
ジンと痺れる。
再び叩く。
じゅんと痺れる。
そこがノックされるたびに、疼き、お腹の中で何かが暴れているよう。
いやらしいオンナの肉が快楽にのたうち回っているよう。
自分であそこがひくつくのがわかる。
もっとこの欲望に忠実になってほしいと、琥珀のオンナが泣き喚く。

(翡翠ちゃん……志貴さん……秋葉様……あぁ……)

百戦錬磨の琥珀でも制御できない、荒々しいものがうまれては躰を突き動かしていく。
次々に躰の奥でうまれて、わき上がり、衝動となっていく。
頭の先から脚の先までそれしか考えられないいやらしいオンナになってしまう。

「駄目です……志貴さん……ぁぁあっ!」

琥珀はただの女になって、その女の悦びに息も絶え絶えだった。



 3人の女性が一人の男性を嬲り、おもちゃにしてもてあそぶ光景。
こんなも赤裸々で、こんなにも猥褻な光景を目のあたりにして、たまらず晶は自分を慰めていた。

(……こんなに……こんなに……)

自分の秘所は濡れていた。
手をはわせると熱く、ぐんにゃりしている。
でも触れると、そこからいやらしい刺激がはしって、声を漏らしてしまう。

(……お気に入りなのに……せっかく……)

晶は今自分のはいているお気に入りのショーツが愛液でしとどに濡れてしまっているのがわかった。
染みになっちゃう、と思いながらも、脱ぐのさえもどかしく、指を這わせてしまう。
狂ってしまうぐらい。
そのくらい指が激しく動く。
晶はあんまりいじったことはなかった。
怖かったからだ。
でも――。
たまらなくて慰めてしまった。
指が触れるだけで甘美な刺激が駆けめぐり、快楽を知ってしまった若い躰は、押しとどめることなどできなかった。
まだ恥毛も生えていない、すじしかないそこをゆっくりとこする。
じんじんとしたうずきが広がっていく。
腰に力が入らない。
脚にも力が入らない。
下半身がなくなってしまったよう。
このやらしい刺激にとけてしまったよう。
神経がうまくつながらない。
息さえできない。
どんどんつまっていく。
でもやめることばてきない。
指を弄ることを止めることなどできずに――いじってしまう。
浅上のセーラー服が、紺色のスカートが汚れ、皺になってしまうのもかまわず、ただ手淫に浸る。
 そして上の小さな突起にふれると、はじける。
神経が耐えきれないほどの刺激。
か細い神経にながれる大容量の快楽。
流れきれない快楽が手を、目を、肌を、口を、心を、刺激する。
まだ幼いあそこをひろげ、指で強くこする。
ちょっとだけ入れてみる。
入らない。
でもじんわりとした電気が走り抜ける。
そしていじりまわす。
 ちらりと3名を見る。
 秋葉は後ろから志貴のおしりを犯している。
あんなに乱れて気持ちよさそうに喘いでいる。
 琥珀が前から志貴を抱いている。あそこにおちんちんを納めて腰をゆすっている。
切なそうに鼻のかかった声を漏らしている。
 翡翠は志貴をょ胸にかき抱いて、目をつぶって、ただ打ち震えている。
口から時々もれる粘ついた吐息。

(……すごい……こんなの……本でしか……見たこと……ない……)

そしてぐいっと柔らかい陰核をつぶす。
 ふわふわしてしまう。
空を漂っているような感覚。
溶けて、空気へと広がっていくような感覚。
もの凄い。
こんなになっちゃう。
ヘンになっちゃう。
イっちゃう。
初めてなのに……イっちゃう。
何度も頭の中が白くなっていく。
駄目。
どっと愛液を流し、制服のスカートを濡らして、晶は達した。
躰が痙攣し、丸まってしまう。
ねっとりとした汗の膜に包まれたかのよう。
熱が逃げず、躰を燃やしていく。
心臓も、脳髄も、心も、精神もなにもかも燃やし尽くしてしまって――。
残るのは肉の悦びだけ。それだけになってしまった。
晶の躰から力が抜けてぐったりと、とろとろとなってしまった。



 秋葉はこの快感に耐えられなかった。
愛する志貴の躰に自分の欲望を埋めていく、挿入しているという快楽は、耐えられなかった。

「駄目です……兄さんのおしり……すごくて……こんなにも!」

秋葉はそれでも腰をふるのをやめない。
しめあげ、さらりとしてでもぐにぐにと動く腸壁が気持ちよすぎた。
自分の女からとろとろと淫液がこぼれてしまう。
琥珀が動くたびに、さらに奥へと押し込まれていく。
志貴の躰にすべてが飲まれていくような、この感覚。
切なさと愛おしさと欲望が入り交じる。

「兄さん……兄さん」

柔らかくしなやかなこの男の体に溺れてしまう感触。
爛れていく感触。
とても淫らで、とてもいやらしくて、とても気持ちよくて。
志貴が淫靡に啼く声にただ悶えてしまう。
志貴の躰に入っているという甘美な感触に、
秋葉は感じきっていた。
そして、男なのに、括約筋と腸壁が、秋葉のを締め付け、撫であげ、こすり、しごいていた。
 兄さん。
 兄さん。
 兄さん。
 兄さんがこんなにいやらしいだなんて――。
腰を振り続けた。
気持ちよくて、たまらなくて。
志貴の背中に口づけする。
その胸を揉む。
熱く、とろけていく。
淫らに、蕩けていく。
秋葉はただただとろとろになっていって。
快感が腰から脊髄を駆け抜け、脳髄を灼く。
 とまらない。
とめたくないし、とめることができない。
もっと味わいたい。

「兄さんってこんなに……いやらしい……顔をして……」

目を潤め、いやいやする志貴。
でもその痴態に、感じきって甘く啼いてしまう志貴が可愛らしくて、いやらしくて。
貪ってしまう。
こんなにも。
激しく。
こんなにも。
いやらしく。
涙をうかべ、こちらを見る志貴の顔。愛しい兄さんの顔。
薄桃色だった顔は興奮して真っ赤となり、潤んだ瞳で、その黒縁の眼鏡の奥から見ていた。
頭が真っ白になってくる。
めちゃくちゃにしたい。
もっとなかせたい。
もっといじめたい。
もっといじくりたい。
全身が熱く震える。
腰の奥がむずむずする。
むず痒い痛みがたまってくる。
それがたまらなくて、我慢する。
我慢すればするぼと、むず痒くなり、それが気持ちよい。
甘い吐息が耳に聞こえる。
筋肉質な躰を抱きしめる。
淫らなおしりを貫き、快楽に浸る。
腰の奥にだんだんとたまってきて
その圧力に背を押されて。
気持ちよくて。
わからなくて。
何を考えているのかわからない。
思考の焦点が定まらない。
秋葉の頭は志貴だけになっていく。
志貴のこのいやらしい体だけになっていく。
 甘く啼く志貴の声。
 震える顔。
 耐えている顔。
 涙ぐみ、哀願しているような、そんな瞳。
耐えられない。

「兄さんに……たっぷりと……注いであげます……」

秋葉の息は上がっていく。

「兄さんの……体すべてに……秋葉の匂いを、染みこませてあげます!」

そして志貴の腸を深くえぐる。
そして放つ。
どくんと音をたてて、志貴の中に放出する。
びくんと跳ねて、数度にわけて志貴の胎内を犯していく。
どろどろなものでいっぱいになるまで、犯していく。
兄さんの躰に秋葉のが注がれていると思うと、頭が痺れてしまう。
上の口も下の口も、秋葉のでいっぱいになる志貴を思い描いて、わなわなと震える。
秋葉は何度も気をやってしまう。
何度も頭が白くなって、堪らず、女の子の叫びを上げていた。



 秋葉のがむずりと動き、はじけ、志貴の体の中に注がれた。
ねっとり熱いものが広がっていく感触に、志貴はわななく。

(……出されている……秋葉に……出されている……)

堪らなかった。
熱い液が下半身に広がっていく。
淫虐の悦びに志貴は堪えられない。

「……いく……いくよ、秋葉……琥珀さん……あぁ!」

志貴も出していた。
琥珀の中に大量に放出していた。
琥珀の深部へと精液を放っていっぱいに満たす。
自分の男としてのすべてを出してしまう感じ。
牡として、雄として失っていく、出していく感覚に、志貴は嗚咽を漏らす。漏らしてしまう。
 それでも、3人女の体温、匂いを感じ、喘ぎ声を聞き、這いまわる指先や柔肌に志貴は惑わされていった。

「んうぅ!」

うれしそうに琥珀さんは囁く。いつもの、あのあはーっとしたいやらしい琥珀の顔で。

「 ああ、たくさん出てます……志貴さんのでお腹がいっぱいに……」

志貴の体から力が抜けて弛緩し、そのまま後ろの秋葉へと寄りかかる。
感極まり、淫虐の悦びにとろけきった喜悦を浮かべた顔。
惚けて、なにもかも蕩けてしまったかのような顔。
そんな志貴の顔をまだ翡翠は丹念にねぶり続けるのであった……。
































「兄さんはいつもそうです」

秋葉はいつものように志貴を叱っていた。
だらしない兄さんをしかる妹というこの光景は遠野家ではごくありふれたものだった。
でも――ここでひとつ追加されたことがあった。
それは――。

「あ……秋葉」

志貴の喉はごくりと鳴る。

「でしょ……兄さんは可愛くて麗しい妹の云うことを素直に良く聞くやさしい方ですものね」

そういって秋葉は隣にたつ琥珀にふる。

「ねぇそう思うでしょ、琥珀?」
「えぇ志貴さんはとっても素直な方ですから。ね、翡翠ちゃん?」
「……はい、姉さん」
「今日、浅上の帰りに瀬尾も連れてきますから」

にっこりと笑う秋葉。

「…………」

志貴は黙ってしまう。
それは志貴が4名に嬲られる合図。
秋葉に翡翠に琥珀、そして晶に嬲られて、いじめられて、快楽にただ涙して感じきって、浸るということ。
いやらしい性の宴の開幕を告げる声。

「あぁ……そうだよ、秋葉……」

ごく自然に答えた。
しかし答えるときには志貴はすでに熱くなっていた。
志貴は門限までに帰るのは決定だった。
四人でどのように嬲られるのか、それを思うだけで志貴は熱くなってしまうのだった……。

あとがき


 1週間かかってしまいました。
18禁って重いです。
もう書きたくないほど、重かったです。

 いつもの瑞香ならぱ重要視する論理性は無視です。
どうして秋葉にあれが生えたのかはこの際、無視、です。
琥珀さんの薬のせいかな? と思う描写っぽいところはあったんですけど、無視、です。
だから今でも生えているのでしょう(笑)

 ただ、だた、18禁で押し切りました(笑)
 力業です。パワープレイですとも、えぇ。
華娥魅でわたしを嬲り、ただただ淫らに嬌声をあげさせた、しにをさんへの全力のジョルト・カウンターです。
 ノックダウンどころか殺すつもりで、たたきつけてみました。
……結果はどうなんでしょうか? わくわくドキドキものです。

 それではみなさん、啼き叫び、乱れる志貴くんの痴態を堪能してくださいませ。

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19th. August. 2002 #56