『鮮花開眼! 「おねえさまって呼んでもいいですか?」
女学院のいけない放課後』
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(※編者注:本作品はhiroto様site [ Pledge Letter ] にて開催された空衣装祭で掲載されている、「岩戸」「天鈿女命」の続編となっておりますので、まずはそちらを御覧になってください) 「黒桐さん」 「え?ええ、何の話だったかしら」 クラスメイトから声をかけられ、我に返る。 「どうしたの?黒桐さん今日はなんだかうわの空よ」 そう、あの出会いの後。気になって仕方が無いのだ。 黒桐幹也。 彼女の血を分けた兄。 何の因果か、実の兄の『女装』を目撃してしまったのだ。 それは兄の特殊な趣味ではなく。橙子氏の依頼による調査で、女子高へ潜入する為の変装だったのだが…。 それで感じた物が嫌悪感ならまだよかった。 しかし、実際に彼女の胸を占めるのは恋慕の思い。 だめだわ。今日は早めに熱いシャワーでも浴びて寝てしまおう。 一日中うわの空で、時間だけを消化して帰ろうとする鮮花の視界に入ってきた美少女。 長いストレートヘア、知性を思わせるシンプルな眼鏡。 きわめて薄く施されたナチュラルなメイクは、素材その物の美しさを引きたてている。 そして何より、彼女のやさしげな表情は見る者に癒しを与えるかの様だ。 「まだ居たんだ、兄さん…」 見なかったふりをしようと思っているのだが、鮮花の足は幹也の後を尾いていった。 「待ってください」 人が少なくなった所で声をかけると、幹也が振り返る 「もう終わったの?」 薄く口紅の引かれた艶かしい唇で、語りかけてくる。 「調査は終わったんですか?」 高鳴る鼓動を感じながら声を出す。 「ええ、調査は終わったのよ。でも、怪しまれずに敷地から出るには下校時間を待った方がいいかと思って」 「兄さん。言葉使いが女性化してます」 「あっ、いや、つい癖になっちゃって…」 鮮花はあたふたと取り繕う幹也の腕を掴むと、歩き出す。 「ちょっと待って、鮮花」 幹也は待つ様に言うが、鮮花の歩みは止まらない。 「(止まるはずが無い。もう、自分でも止められないのに)」 人気の無い旧校舎の理科準備室。 二人はそこに入ると、扉を閉めた。 当然の事だが部屋の中はおろか、廊下や周囲の部屋にも鮮花と幹也の他は居ない。 「あの、兄さん…」 「何?」 「お、お、お、」 「お?」 「お姉様って呼んでもいいですか?」 ……… 「ええ!?」 「もう、我慢できません。 昼に兄さんを見てからおかしいんです。 私、ずっと兄さんの事ばかり考えてる。 兄さんの、いえ、お姉様の事が頭から離れないの」 「おい、鮮花。落ちつけ」 「私は落ちついてます」 「落ちついてる奴は、そんなに荒い息はしてないもんだぞ」 「ハアハア、それはお姉様のせいですわ」 そう言うが早いか、鮮花は幹也に抱きつくと、その胸に顔を埋める。 「ああ、お姉様♪ やわらかい」 ? 「やわらかい? って、胸がある!!!」 鮮花の顔に当たるやわらかい物。 幹也の胸。Bカップはあるだろうか、女性であることを主張する二つのふくらみ。 「わ、私よりある。橙子さんね。人形や義眼が作れるんだから、複雑な構造をしていない胸ぐらい簡単なはずね」 「お、おい。鮮花、ちょっと待て」 「まあ、お姉様なら胸はあった方が良いわね。幸い市販の偽造胸と違って、揉み心地は良いし」 モミモミ 「ああん。 揉むな、鮮花」 「神経まで通ってるの? さすが橙子さん。仕事に手を抜かないわね」 もみもみ 「いやん。 だからやめろって」 「ここまできて止められますか」 さらに幹也の胸に顔を埋めて堪能する鮮花の肩を掴んで引き離す。 「レズの近親相姦だけでも背徳的なのに、相手が女装の兄なんて三重苦だぞ、鮮花」 正面から真っ直ぐに鮮花の瞳を捉えて諭す幹也。 「三重苦…」 「そうだ。三重苦だ。三つも良くない事が重なってるんだ」 「そうですわね」 俯いて肩を震わせる鮮花。 可哀想な様子でもあるが、納得してくれた様でほっとする幹也。 「うふふふ」 肩を震わせていた鮮花の唇から笑い声がもれる。 「あははははっ。三重苦。なんて甘美な響きなんでしょう。 三重の禁忌。ああっ♪」 悲しみに震えていたのではなく、歓喜に震えていたのだ。 後ずさりする幹也を押し倒すと、その首筋に舌を這わせる。 「ああっ、鮮花っやめて」 「へっへっへっ、ウブなネンネじゃあるまいし。おとなしくしな」 「あざっかっ、なにを、やめっ」 「お姉様、感度良いんですね」 鮮花の指が、幹也の体を這い回る。 頬から顎、首筋を伝って胸へ。 胸の縁から円を描くように中心へ向かう。 みぞおちを抜けて下腹部をなぞり、スカートの中へと入る。 むにゅっ 「あうっ」 すでに準備万端な息子を握られて悶える幹也。 「あ…」 対する鮮花は何かを考え込むようにこねくり回す。 それからしばらく、じっくりたっぷりこねくり回して、 スカートから手を引き抜く。 「…橙子氏。 橙子氏の所へ行くわよ、お姉様」 「あ、え、ええ?」 ものすごい勢いで立ち上がると、まだ快感に浸っている幹也に言い放つ! 「その邪魔な物をちょん切ってもらうのよ!」 まだ床に座っている幹也の襟首を「がしっ」っと掴むと歩き出す。 当然幹也は引きずられるわけだが、そんな事は気にも止めない。 「私の『お姉様』にはそんな物は必要無いわ」 そう言った鮮花の顔には狂気を孕んだ笑みが…。 「いやだー!式、助けてー」 ―――― 了 ――――
あとがき
えっと、あんまりエッチじゃないです。 こんな私の拙い文でも、面白いと思って頂けるのなら嬉しいです。 お付合い頂き、ありがとうございました。 2003/05/16 you
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