月姫 15禁SS
I give you nightmare
ハァ、ハァ・・・ハァ・・・・。
獣のような、醜い、荒い息・・・。夜になると、いつもこうだ・・・。
床に転がっているものを見る。
オレが、犯し尽くして、ブッ壊した女が・・・
薄気味悪く笑っている。
───アタマが・・・
痛い・・・。
血・・・
血を
見せろ
相変わらず女は、笑っている。
止めろ・・・。
笑っている・・・虚ろに・・・。
止めろ・・・。やめろ・・・。
笑う・・・。何もないのに・・・。自分が犯されたのに・・・。
空っぽに・・・・・。
ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
ヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロヤメロ
──気付けば、その女の体中に穴を・・・。大きな穴を開けていた。
しかし、顔は、まだ、虚ろな笑みを浮かべている。
「もう、ヤメロって言ってるだろう!!!」
怒りに任せ、その女の顔を踏み潰す・・・。
潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す
潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す
潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す
ぐしゃ、ベキ、グチャ・・・などという、水気を含んだ音が聞こえる。
この女はもう動かない。笑わない・・・。
ホッとした。いつもそうだ。コイツのような、あの虚ろな笑いを見ると
あの女を思い出す。いつもあの能面のような笑みを浮かべる琥珀色の目を
した女を。
オレは八年もの間、地下牢に放り込まれていた。あの親父を憎んだ。
あの日、真っ赤な衝動に駆られて、アイツを、志貴を殺したことで、
地下牢に。
どうしてだろう?あの、七夜の子供だぞ。どうしてだ?オレがやったことは
遠野の家にとって正しいことのはずじゃないか?!
そう、親父に言っても、やはり聞いてはくれなかった。
そこから、地下牢でのオレの生活が始まった。
そのオレの生活を見ていたのは、琥珀という女だった。
あの女はいつもいつも笑っていた。
───気味が悪い・・・。
───泣かせてやろうと思った。喚かせてやろうと思った。
ある日、オレは食事を持ってきた琥珀を、犯した。
欲望に任せて、琥珀の体を蹂躙した。
しかし、そんな時でもアイツは、、、琥珀は笑っていた。
オレは琥珀の腕を、いきなり掴み、そして、服を引き裂いた。
普通ならば、女という生き物はここで、悲鳴を上げ、うずくまるはずだ・・・。
しかし、アイツはそれでも笑っていた。
───ムショウに腹が立った。
オレは、汚い言葉を吐きながら、琥珀の濡れていない股ぐらに、オレのモノを
思い切りねじ込んでやった。これで、泣くかと見たら、アイツは澄ました顔をして
オレの行為を見ている。
オレは急速に萎えた。
そして、それから、同じようなことを繰り返して、八年が過ぎた。
ある日、琥珀は、オレを地下牢から、出した。
そして、オレの復讐の手伝いをしましょう。
などと言った。
そう、気付けば、「遠野四季」は、この世には居なくなって、
「遠野志貴」が、この世にいるのだから。
琥珀に、志貴をどんなヤツか調べさせた。
しかし、アイツが持ってくる情報はすべて関係ない人間ばかりだった。
その度に琥珀を犯す。オレが、自分を確認するために。
しかし、関係ない人間を殺していたオレは、或るものに「味」を覚えた。
そう、「人間の血」だ。しかも、若い女の血。
アレは甘い。とんでもなく、美味い。
こんなものがあるのだ。殺すことは止められない。
───そして、オレの腕を見る。
さっきの女の血が、ついていた。
女からも、血が出ている。
オレは、その女に
むしゃぶりついた。
甘い味だ。
この味はやめられない。
たとえ死んでも、
この味をいつまでも味わいたい。
なにやら、気配が、ここに入ってきた。誰だ・・・。
二人・・・?
片方は、琥珀・・・。もう一人は・・・、秋葉か!
「くっくっくっ」
笑いがこみ上げてくる。
秋葉が、迎えにくるとは。そんなにオレに会いたかったのか。
兄としては、嬉しいよ。秋葉。
しかし、この死体は邪魔だな。
足元にある、干からびた、穴だらけの死体を見る。
ここは、三階。窓から放り出せばいいか。窓を開けて、放り出す。
感動的な妹との再会だからな。
─コツ、コツ、コツ、─
足音が、近づいてくる。もうすぐだよ、秋葉。兄が待ってる教室まで。
─がらっ─
秋葉がいた。隣には、琥珀もいる。秋葉の表情が心なしか、硬い。
オレから声をかけようか、
「秋葉、久々だな。兄がいなくて、随分と寂しかったんじゃないのか?
オマエのことをずっと八年の間、忘れたことはなかったぞ」
秋葉の表情が険しくなった。そして、信じられないことを言った。
「貴方に覚えていてほしいと思ったことなどありません。
貴方が、遠野の血に目覚めて、街で何人もの人を殺したのは知っています。
だから、私が遠野家の当主として、貴方を・・・
殺します」
オレの周りを、何か熱を帯びたものが、包み込もうとする。
オレは寸でのところで、よけた。
そして、教室を飛び出す。
次は廊下で、秋葉と対峙した。
秋葉が言った。
「さすがは、遠野家の血。すごい運動神経ね。
私の視界から一気に消えるようなマネが出来るなんて」
オレにはまだ、信じられない。
だが、生物としてのオレはこの女を「敵」と認識している。
「秋葉、オマエはまだ甘い。
この場にいて、オレにさっきの攻撃を仕掛けないのだからな」
今のオレには不利だ。距離がありすぎる。
右を見れば、階段がある。これで、凌ごうと考えた。
「じゃあ、そうして差し上げます。」
再び、オレの周りに熱が発生する。
しかし、横っ飛びで、オレは階段を飛び降り、もう一階飛び降りた。
「はっ?」
上から、秋葉の声が聞こえる。不意に左足が動かなくなった。見ると、火傷をおった
ように見える。しかし、実際、熱を奪われてしまったようだ。
教室に隠れる。
─コツ、コツ、コツ、─
足音が近づいてくる。
通り過ぎてから、後ろから、殺してやろうと思った・・・。
のに、どうして、オレの体は動かないんだ。
ガラスの向こうを見ると秋葉が、いた。こちらを睨んで。
オレの体温がなくなっていく。
このまま殺される・・・?
怖くなった。秋葉に殺される、というからではない。
「不死」の能力を持つ、このオレが死ぬ、ということに恐怖した。
しかし、もう、逃れられない。
ふと、思い出した。さっきの甘い味を。
アレを、もっと味わいたい。アレは手放したくない。
考えた。秋葉は、オレから、熱を奪っている。
ならば、この、オレの能力も、奪えるはず。
ならば、秋葉の中に入るオレは、ずっとあの「味」を秋葉として楽しむことが出来る。
そうなれば、志貴も、殺されるはずだ。
アイツへの、復讐がこんなところで出来るとはな。ならば、こう死ぬのもいいだろう。
オレの周りにあった、「赤い流れ」が引いていく。秋葉にオレの熱が奪われたらしい。
ふと、オレを見下す視線に気付く。
こうなっても、死ににくいのは、「不死」の能力のお陰だろう。
そこには、琥珀色の瞳をした女が立っていた。そして、オレを見て、
クスッと笑った・・・。
そこで、オレの意識は途切れた。
しかし、オレの、能力は秋葉にいった。
志貴、オマエへの復讐は、済ませたぞ・・・悪夢を見るがいい。
遠野四季の体は、灰になり、そして、消えていった。
〜E N D〜
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