Fate/All Reload vol4


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1: 666番目の破滅 (2004/04/16 19:32:29)[ferunesu at yahoo.co.jp]

  ロ ー
「熾天覆う―――」

 ジェネラルがアイアスを召還するのを感じ取りながら、俺は盾を丘から引きずり上げる。

 通常、俺の盾ではあの乖離剣には届かない。防ぐことなどできない。だが―――
       ア イ ア ス
「――――七つの円環!!!」

 7枚の花弁が展開する。その盾を、アイアスが支えた。

 衝突、拮抗。『本物』の担い手によって支えられた贋作の盾は、今こそ、真に本物を超える―――








Fate/All Reload
第十六 夜の終わり







 しかし、さすがは乖離剣。天地を裂いたというだけのことはある。徐々に………盾にひびがはいっていく。

1枚。

2枚。
3枚。

4枚。

5枚。

次々と砕かれていく盾。まさに暴威と呼ぶにふさわしいその威力に、盾を制御するアイアスまでもが軋みをあげる。

 6枚。

 だが、乖離剣とて無敵ではない。完全無欠な存在など、この世にはありえない。いや―――

 そして7枚。最後の、最も強固な守りである一枚が、徐々にひび割れていく。

 しかし、割れない。最後の一枚は、徐々にその存在を削られながら、それでも俺たちを守る。

 この状況、少しでも気を抜けば乖離剣に吹き飛ばされるこの場面において、やることは一つしかない。

 たとえ乖離剣が完全無欠であろうとも、その操り手たる英雄王は違う。ならば、方法はある。―――やられる前にやってしまえばいいのだ。
 トレース    フラタクル
「投影―――重装」

 盾の維持と、更なる投影。体中が軋みをあげ、あちこちの毛細血管が破裂する。

 俺の意図を察したジェネラルが、召還を開始するのがわかる。ならば俺は―――
  トレースオフ         ブ レ イ ド フ ィ ー ル ド
「投影開放。――――――<担い手よ、戦場に在れ>」

 ギルガメッシュを囲むようにして現れる8の剣。その一つ一つを、仮初の担い手たちが執る。

 もう俺には、投影した剣を飛ばすほどの魔力は残っていない。だが、召還された担い手たちがその剣を執れば、俺が使うよりも遥かに効果的に敵を討つ。

「おわりだ、英雄王」

「――――――――――――――――――――!!!!」

 何事かギルガメッシュが叫んでいるような気もするが、暴風で聞こえない。ただ、乖離剣の光の向こうで、英雄王が八の剣に貫かれるのが見えた―――




「あーーーーーー、終わった」

 ギルガメッシュが消滅するのを見届けながら、俺はその場に座り込む。

 もう魔力なんて、これっぽっちも残っていやしない。爪楊枝だって強化できないぞ。

「助かったよ、ジェネラル。正直来てくれなかったらやばかった」

「いえ、それはこちらも同じです。私だけでは乖離剣の前に屈することになっていたでしょう。ですから、礼を言うのはこちらです」

 ジェネラルのほうも満身創痍といった体なのだが、無表情にそんなことを答えてくる。

「私はこれからマスターの加勢に行きます。貴方は、おとなしく家に帰るように」

「ん―――ああ、さすがにもう手伝えそうにないや。気をつけてな」

 本当なら俺も行きたいところだが、桜のこともあるし、何より今の状態では足手まといにしかならない。

 ふと、自分の姿を見る。服のあちこちは裂け、強引な魔術行使の反動か、血が全身からにじみ出まくっている。

 まぁ、死にはしないだろう。あんまり痛くはないし。―――あれ、痛くないってのは余計にまずいのか?

 と、なにやら複雑な表情で、ジェネラルがこちらを見ているのに気付く。

「ジェネラル?」

「―――貴方は」

「ん?」

「いえ、何でもありません」

「なんだそれ。気になることがあるならいってくれ。わかんないから」

 そう言うと、逡巡しながら、それでも彼女は答えてくれた。

「貴方は何故戦うのですか? このような戦いを続けた先にあるのが―――」

「ああ、その話か……………」

 ほんの数時間前にも言われたこと。そして、その事実としている、あのアーチャー。もしかしたら俺はまた、アイツと同じになるのかもしれない。けど―――

「俺さ、先が見えてるってことなら、ここでなにがあったとか、これから先になにがあるのかとか、知ってるんだ」

「―――は?」

「だから、聖杯戦争が始まって、俺が戦うことを選んで、その先の可能性がアーチャー。ということもあるって言うのも知ってた」

「もしかしたら、俺はまたアーチャーになるのかもしれない。でも違うかもしれない。………そんなことはさ、関係がないんだ」

「貴方は―――!!」

「だってさ、助けられるなら助けたほうがいいだろ。守れるなら守ったほうがいい。出来るのにそれをしないなんて、やっぱり俺には出来ないよ」

 これは、セイバーにも指摘された矛盾。その目的のためならば何をしてもいいのか―――

 聞かれれば俺は否と答える。でも、それでも俺は―――

「放っておけばまずいことになるって知ってるのに、それを見捨てるなんて、それこそやっちゃいけないと思うんだ」

「それで貴方はどうなるんですか!? また世界と契約して!! 裏切られて死ぬのですか!?」

 少女の叫び。それに、いくつかを思い出す。

「いや、そうとも限らないんじゃないかな」

「なにを―――」

 誰かとの別れ。誰かが、俺の側に居てくれたこと。もしくは、誰か一人のために俺がいたこと―――

「うん。おれは、戦い続けてもアーチャーにはならない。そうなる理由がないから」

「なにを言って―――」

「誰が言ったのか、一人なのか、もっとたくさんいたのかわからないけどさ、聞いたんだ。正義の味方なら、自分もひっくるめてハッピーエンドに到達できなきゃ嘘だって」

 まぁ、実際にそういわれたわけじゃないけど、多分そんな感じ。

 犠牲を出さないつもりなら、自分も犠牲になるなとか。ひどく無茶を言ってくれたものだ。

 でも、その言葉があるから、俺はやっていける。そう、思う。

「俺自身、踏み越えてきちゃった人たちとか居るけどさ。そういった人達の分も、俺はどうにかしなくちゃいけないんだと思う」

 それは自分勝手な都合なのかもしれない。でも、俺はそれしか知らない。…………そういうふうに変えてくれた誰かが、確かにいたんだ。

「貴方は―――馬鹿ですか」

「さっきも言ったような気がするけど、よく言われる」

 俺は大真面目なんだが。

「はぁ…………もういいです、好きにしてください」

 なにやらあきれたような口調。ちょっと本気で傷つきそうなんだが、俺。

「いや、言われなくてもそうするけど」

「あなた自身も幸福を得る。それが最低条件です」

 ……………?

「なにを…………」

「貴方がそれを見失わない限り、私は貴方と敵対はしません」

 それはつまり……………

「…………話が長くなりました。では―――」

 そう言って少女が何処かへと駆けて行く姿を眺めながら、俺は呟く。

「認めて、くれたのかな」




「傷はそれほど深刻ではない。足の傷も、運良く腱を避けて刺さっていたらしい。すぐにでも歩けるようになるだろう」

 桜をおぶって家に戻って、滅茶苦茶に怒られた。おもにライダーとイリヤに。

 というかライダー、傷だらけで帰ってきたのは君も同じなのだが。

 眠ったままの桜をアーチャーが手当てした。…………現在の面子、俺、アーチャー、ライダー、イリヤの中で、まともな手当てが出来るのなんて俺とアーチャーくらいのものだ。

「それよりも気になるのは………士郎、さっきの話は本当か?」

 桜が燕返しを使っていたこと、だ。

「ああ、間違いない。あれはたしかに多重次元屈折現象だった」

「どういうことだ…………? 間桐桜にそのようなスキルはないはずだが」

「桜がどうのっていうより、アサシンがどうしたのかって感じだと思うけど」

 桜が使ったのは、間違いなく本物の物干し竿だ。俺のように投影したものではなく、サーヴァントの武器として在る刀。

 それが一体、どういうことなのか。

「シロウ、それについて耳に入れておきたいことが」

「ライダー?」

「実は、サクラの魔力量が異常に上がっているのです。それも2度」

「それって………」

「一度目は、サクラに契約が戻ったあのときに。二度目は、つい先ほどです」

 ………………原因は、一つしかないだろう。一度目は恐らくバゼット達が倒したアサシン。そして、今夜のバーサーカー。

「桜にサーヴァントが…………? でも桜には!!」

 もう聖杯の媒体となる蟲がない。なのに―――

「そのことなんだけどね、シロウ」

「イリヤ?」

「さっき気付いたの。サクラが聖杯になってる。それも…………私よりも自然な形で」

「な……………………んで」

 なんで、桜はもう大丈夫じゃなかったのか? それがいきなりなんで…………

「落ち着け。おそらくは、タイミングの問題だろう」

「なんだよそれ」

「アサシンが消えたのはあの魔術師の話を信じるならば土曜の夜だ。対して桜より蟲が取り除かれたのは日曜の夜。どういうことかは知らんが、アサシンの魂とかそういったものは、蟲ではなく桜のほうに残ったのだろう」

「いや、でも―――」

「桜の体には蟲の痕跡がある。そしてサーヴァント一体の吸収だ。恐らく、傷が直っていく過程で体が聖杯としての役割を覚えたのだろう」

 そんなことが起こりうるのだろうか。でも実際、桜にはアサシンとバーサーカーが………

「体のほうは大丈夫なのか?」

「うん。どうもほんとに自然体みたいで、体の機能に影響はまったく出てないみたい。多分このままサーヴァントを取り込み続けても、私みたいに人間でなくなっちゃうようなことはないよ」

「それ故なのだろうな、桜が燕返しを再現したというのは」

「ん―――?」

「サーヴァントがほぼ純粋な状態で補完されているのだ。間桐と遠坂の魔術の特性を考えれば、サーヴァントの力を自分が活用するというのも考えられる」

 まぁ…………その辺の話はどうでもいい。とりあえず桜に影響がないのであれば―――と、

「ああ、そんなわけのわからねぇ話ししてたってしょうがねぇだろ。とりあえず小僧、お前これからどうするつもりだ?」

 ……………………………………………えっと、ランサー?

「ってなんでお前!?」

「ランサー、逃げたかと思えばまた現われるとは!! いいでしょう、今度こそ決着を―――」

 いきなり現われたランサーに、慌てて立ち上がる俺たち。イリヤとアーチャーは落ち着いて座ったままだが。

「ああ、まてまて、今俺敵じゃないから」

「なにを世迷言を―――」

「本当よ、ライダー」

「………イリヤ?」

 一体どういう……………

「契約が切れて消えそうだったから拾ったの。出来るだけサーヴァントは消さないほうがいいんでしょう?」

 ああ、なるほど………………って。

「つまり今はイリヤがランサーのマスター?」

「そういうこと。バーサーカーの代わりにはならないけどね」

「わかってくれたか、小僧。これからは仲良く行こうぜ」

 ……………まぁ、わかった。わかったが。

「俺、お前に殺されてるんだが」

「細かいことは気にするな。今を楽しく生きようぜ」

 細かいのか?

「イリヤスフィール」

「なに、ライダー!!!?」

 ライダーの形相(私服Verにつき眼鏡)を見て、イリヤが硬直する。…………使ってないだろな、魔眼。

「少々ランサーを貸していただきたいのですがよろしいでしょうか」

「あああああああ、いいよ、ううん」

 可愛そうに、イリヤがおびえている。

「では―――」

 イリヤの許可を得てライダーはランサーを睨む…………って魔眼!!

「お…………? 動けねぇぞ」

 ちょっと待て。抗魔力はどうしたランサー。

「さて、貴方はこちらに、ランサー。これまでの侮辱の数々、後悔させて差し上げます」

 言って、ずるずると居間の外にランサーを引きずっていく。そして、戸が閉まる


『おめぇいったいなにを…………』

『すぐに解ります』

『って服!! 何で服を脱がすんだ!?』

『やめろ!! 俺が悪かった!!! だからやめ―――――』

『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!』


 断末魔っぽい悲鳴が聞こえた後、ライダーだけが戻ってくる。

「あの、ライダーさん? なにを」

「たいしたことではありません。サーヴァントは本来精神体。たとえどのような欠損、損傷であろうと、魔力さえあれば修復は可能です」

「いや、あの」

「それに、サーヴァントにはあのような器官は本来必要ありませんし、直らなくても誰も困りません」

「なにしたんだ、ランサーに」

「聞きたいですか」

「いや…………いい」

 怖くて聞けない。……………一体ライダーになにを言ったんだ、ランサー……………









あとがき

 まぁ、わかってはいましたが将軍目立ちすぎ…………っていうか殺すタイミング外した………

 どうも、どんどんまずくなってるのに止められない破滅666です。こんにちは。

 さて、遂にギル死亡。セリフがないあたりどうなのよ・・・・・・・・・

 そしてジェネラル。そもそも士郎のオプション兵装だったはずだが何で………

 ランサー…………一体何言って何されたんでしょうね。

 さて、とりあえず告知とお詫び。

 これ以降、ラストシーンに向けて実は結構近づいているのですが、かなりやばいです。人によっては原作のイメージを崩すことになりかねないので、そういったものが我慢ならない方にはそろそろきついところです。

 ラスボスのくだりがすさまじく危ないんですよ。曖昧なものではあるんですけど、やっていいのかな、と。
 設定面で崩さないようには心がけていたつもりですが、ふと気付いたら、ラストはこれ以外に考え付かないわけで、一直線です。伏線張っといて回収できないのは最悪ですし。

 あと、オリジナルキャラ。すみません、本気で目立たせすぎです。その上キャスターとかがないがしろにされる始末。何を言われてもしょうがないところだと思います。

 とりあえず今回はこの辺でさようなら。

2: 666番目の破滅 (2004/04/18 18:30:51)[ferunesu at yahoo.co.jp]





 一度、セイバーに聞いてみたことがあった。

 ―――後悔していないのかと。

『それは、なにについてですか?』

 そう、彼女は答えた。………実際、私は何について聞いたのだろう。

 王となったことだろうか。それても王として決断してきた犠牲の数々か、世界との契約のことか―――それとも、あのお人好しとの決別についてだろうか。

 きっと、全部だ。そう答えたら彼女は、

『いま、此処にいることこそが答えです』

 その答えの意味を、私は正しく理解できているだろうか。そして―――

『私からも問います。―――リンは何か後悔しているのですか?』

 そんなことはない。私は後悔するような選択肢は絶対に選ばない。そう断言することが、私には出来る。

 でも何故、あの馬鹿どもの顔が脳裏をよぎったりするんだろう。








Fate/All Reload
第十七 セット・ポジション








『ランサ子です。シロウさん、よろしくお願いします』

 なんでだ。何でランサーに胸があったりスカート履いてたりするんだ。よろしくって何だ。まて、近寄るな、せまるな。

『うふ、照れちゃってかわいんだ』

 怯えてるだけだ。・・・……っていうか去れ。俺の前から消えろ。

『私に任せてくれればいいんですよ』

 何をだ。っていうかやめろ、ちかづくな、スネ毛が………スネ…………




「うわぁぁぁぁぁぁぁスネ毛ぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」





 ……………ハッ。夢か。

「よかった………夢で」

 本当によかった、夢ですんで。俺はあんな世界に目覚めたくなんてない。

首が痛い。俺が居るのは居間。どうやらあの後、大した相談もなしに寝てしまったらしい。

 ふと、辺りを見回す。すると、

「スネ毛とはまた妙な夢だな少年。何か嫌なことでもあったか?」

 などと聞きながらコーヒー飲んでるバゼット女史と、

「うう、小僧。何でこの女が此処にいるんだ」

 その下で人間椅子をやらされているランサーの姿があった。

「ってなんで…………」

「ああ、これか? 裏切り者には相応の罰を、といったところだ」

 ランサーを指して、言う。

 …………あ、ランサー泣いてる。享年27歳には辛いなぁ…………

「いや、そうでなくて」

「言峰なら死んだぞ。まったく、変に手ごわいものだからこちらもボロボロだ。みろ、この姿を」

 見るとバゼット、はいつものスーツ姿ではなく、上半身をを包帯でぐるぐる巻きにしていた。

 茶化したように言ってはいるが、激戦だったのだろう。あまりにその姿は痛々しい。

「…………あいつ、死んだのか」

 今回、アイツとはまったく話さなかったがそれでもやはり、知った人間の死と言うのは重い。それが敵であろうとも。

 そも、あいつは本来ならとうに死んでいる。親父が殺した。でも、アンリマユと聖杯の力で生き延びていたのだ。

 たとえ、聖杯を壊せばあいつが確実に死ぬとわかっていても、そう簡単に割り切れない。死とは、あまりに絶望的すぎるから。

「ああ、死んだ。墓くらいは作ってやろうと思ったのだがな。絶命した直後に、得体の知れない黒いものに飲み込まれた」

 な―――!?

「なにを………」

「昨日の夜、そのことで話があるからと来たのだがな。少年が寝ているものだから、こうして待っていたというわけだ」

 …………って言うことは、ランサー昨日からこのまんま?




 で、朝食の準備をしながら全員がそろうのを待った。

 順番に、なぜかガレキの始末をしていてくれたらしいジェネラル、俺が起きたことに気付いたアーチャー、桜とライダーが一緒に来て、イリヤが一番最後だ。

 ………余談ではあるが、ジェネラルが準備を手伝ってくれた。実力はというと、食材の切り分けなどはうまいものだったが、調味料は任せない方がよいことが判明した。豪快すぎる。

 ともかく、一段と人口密度の増した居間で朝食を食べる。………あのマーボーをうまいとぬかすバゼットに少し不安を感じたが、特に何も文句は言われなかった。

「で、結局どういう用件なのだ?」

 たくあんをかじりながらアーチャーが聞く。………おい。

「まずはあの得体の知れない黒いののことについて何か知っていることはないか。もうひとつは―――」

 そこで、ちらとジェネラルのほうを見ながら言う。

「うちの娘がやはり少年とは戦いたくないというのでな、休戦の申し入れだ」

「―――は?」

「意外か? 少年」

「いや、そりゃまぁ………」

 ジェネラルが敵対しないといってくれたのは覚えているが、バゼットはマスターだ。彼女が戦うと言えばそれで終わり。そのはずなのだが………

「信用できませんね。一体何をたくらんでいるというのですか?」

 と、問うはライダー…………味噌汁をすすりながら。

「どういうことかな?」

「貴女はマスターだ。聖杯を手に入れる目的があるはず。それをサーヴァントの意見で諦めると言う。それが信じられるとお思いで?」

「べつに。言ったと思ったが私の目的………仕事は、この戦いを引っ掻き回すことだけ。それも」

 俺たちを順繰りに眺めながら、言う。

「君達と敵対しているのは、もはやセイバーの組だけ。それに聖杯がどうのと言うのであれば、君達のほうこそどうなのだ?」

「…………? ああ、俺たちは聖杯を破壊するだけだ。別にあれを手に入れるためじゃない」

 これについてはもうみんな納得してくれている。

「ふむ…………ああ、それならば」

「なんですか」

「私もそれに協力しよう。なに、理由は簡単だ。この戦いを引っ掻き回すというのであれば、その目的そのものを破壊してやるのもいいのではないか?」

 いや、そんなんでいいのか? まじで?

「曖昧なことしか言わない老人が悪いのだ。こちらも好きにさせてもらおう」

「いずれにしろ私はエミヤと戦いませんし」

「ウチのサーヴァントはこんな感じだしな。ここまでマスターがそろっているのだ、さらに一人増えたってかまわんだろう?」

「ん、そだな」

 即答してみた。

「先輩!?」

「正気ですかシロウ!?」

 なんか最近、正気を疑われてばかりだなぁ。

「私はシロウがいいって言うのなら別に構わないよ」

「ありがとう、イリヤ」

「うん。だからおかわり」

 ………………平和な。

「アーチャーさんはどうなんですか!?」

「別にかまわんのではないか? もしも何かたくらんでいるというのであれば、それを叩き潰すのみだ」

 メザシを食いながらそんなこといってもかっこよくないから、アーチャーよ。




 とりあえず休戦と言う形で無理やりに落ち着き、バゼットに影とかの詳細を、同じく飲み込まれた慎二のことを混ぜつつ話してみたところ、

『ふむ。よくはわからんが、とりあえずは調べてみよう。何かわかるかもしれん』

 とかいってジェネラルと一緒にどっか行った。

 残す敵はセイバーだけ。もう後はほとんど大聖杯の対応について考えるくらいしかないので、学校へいく。遠坂とセイバーのことも気になるし。

…………そういえば今日は藤ねぇが着てないなぁ。

 桜と共に玄関へ、そして門を出たところで、気付いた。

「あ……………」

「せんぱい、あれは……………藤村先生?」

 なんか、アンテナついた車とかマイク持った人とか…………つまりは、テレビ局の人たちがそこに居た。あと警察。

 まぁ、昨日は派手だったし、音は隠せていても家がこの有様じゃなぁ…………ってまて、タイガー。何をインタビューなど受けている。しかもめったにしない化粧までして。




『民家で爆発事故。住民は無事。テロの可能性を警察は否定』

『ヤクザの抗争勃発か』

『住宅街にクレーターが。隕石か?』

『主婦は見た!! 夜道をさすらう変質者』

『マイナスイオンで説明できます』

 などなど。学校で後藤君が持ってきた新聞を眺めながら、溜息をつく。登校してきたら質問攻めだ。なにせ、藤ねぇがインタビュー受けていたのだ。俺があの家に住んでいることを知らなかった奴らでも、それだけでわかり、好奇心旺盛な我がクラスメイト達はこうして俺に色々聞いてくる。

 魔術師の秘匿性とかなんとか完全に無視してるよなぁ………誤魔化す人(言峰)いないし。

 とりあえずマスコミと警察には、不発弾が爆発したとか言って誤魔化しておいた。何せ居間や風呂場は無事だったのだ。ガス漏れ爆発とはいえない。

 誰も怪我もしてないし、それでとりあえず警察は帰った。が、多分今でもマスコミは藤村組の付近を徘徊しているのではなかろうか。

 ちらと、登校してきていたセイバーのほうを盗み見る。

 …………よかった。見た目には問題ない。どうやらアヴァロンはしっかりと効果を発揮したらしい。

 と、こちらに気付いたセイバーと目があった。近づいてくる。

「シロウ、昨晩はお世話になりました」

 ざわ、と周囲がざわめく……………まて、なんか、まずい。

「あ、ああ。もう大丈夫なのか?」

「はい、おかげさまで」

 ……………そのイントネーションに、気付く。

 遠坂、鞘の事喋ったのな………………

「え、衛宮、セイバーさんと知り合いなのか?」

 …………む。

「っていうか昨晩って!?」

「答えろ衛宮ぁぁぁぁぁぁ!!! 貴様セイバーさんとどういう関係だぁぁぁぁぁぁ!!!」

 狂乱する教室。男子も女子も大騒ぎだ。

「どういう関係って…………」

「私とシロウの関係ですか。それは―――」

 まて、なんかしらんがまずい。やめろ、いうな…………

「ええ、とても因縁深い関係です。それこそ運命のように」

 ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

「い、いったいどんな…………」

「詳しくは話せません。ですが、あなた方の想像を絶するような関係とだけは伝えておきましょう」

 いや、確かに俺の体にあった鞘のこととかは確かに因縁って言えば因縁だし、サーヴァントとマスター、聖杯戦争の事もあるし、昨日は刃物で斬り合いまでした仲は想像を絶するところはあるだろうが………

「「「「「「「「「「「「「殺ス。衛宮ニ死ヲ」」」」」」」」」」」」」

 その言い方は誤解しか招かないだろうが!!




「仕方なかったのよ、聖剣の鞘がいきなり出てくるような嘘なんて思いつかなかったし」

 屋上。またしても遠坂に消しゴム弾で呼び出されて昼休み。

 因みに今回の被害は…………縦に3回転。後藤君どころか江藤君と坂田君まで弟子入り志願してきた。

 ―――朝の騒ぎは一応沈静化している。たまに一部の男子が「チッ」とかあからさまに舌打ちしながら通り過ぎて行ったり、女子がこちらを見てひそひそ話をしている以外はいつもの通りだ。

「だいたい、何であんなものあんたが持ってるのよ」

「ん………あー、親父の遺品?」

 なんか違う気もするが、まぁそんな感じ。

「そんなことより、一体なんの用なんだ?」

「別に。昨日は逃がしてもらったし、あの後ちゃんと生きて帰ってるのか気になっただけよ」

「見ての通り無事だけど」

「見りゃわかるわよ」

 いや、なんなんですか……………

「あ、そうだった。遠坂」

「何?」

 あいつは遠坂の兄弟子で、第二の師だ。だから、伝えとかなければならない。

「言峰が死んだ。あいつもマスターだ」

「そう…………」

 それだけだった。それだけだったから、俺には遠坂にこれ以上あいつの話は出来なかった。

 言峰と遠坂が一体どういう師弟関係を築いていたのか、俺は結局のところ何も知らない。それを聞こうとは思わない。それはきっと、俺の踏み込んでいい場所じゃないし、遠坂も話したがらないだろう。

「………………そうだ、セイバーは何て?」

 話題をそらす。…………いずれにしろ、セイバーが鞘のことについてどう思ってるのか聞いておきたかった。

「別に何も。……………でも、まだやる気だからね、セイバーも、私も」

「でも聖杯は―――」

「ま、本当にあんたの言うようなモノだったら私もセイバーも壊すわよ。そのときは―――」

 そこまで言って、屋上の端まで歩いていく遠坂。

「遠坂?」

「どっちが先に壊すのか、競争よ」

 振り向いた彼女は、そんなことを笑いながら言っていた。




「なにこれ。私のよりおいしいじゃない」

「はい、私もこんなにおいしいものははじめて食べました」

 で、昼食のサンドイッチを買ってきたセイバーも一緒に屋上で飯を食う。

「まぁ、俺の場合事情が複雑だからな。一人4千年の歴史というかなんと言うか」

 まず、俺の持ってきた弁当にセイバーが目をつけたのが1段階目。次に、唐突に手を伸ばしてきた遠坂がから揚げを掠め取っていったのが2段階。それを口にした遠坂の顔を見てセイバーが置かずに手を出し…………………俺にはサンドイッチ二つが押し付けられ、弁当を奪われた。

 因みにメインで食ってるのはセイバー。遠坂は手にしたパンをかじりながらよこから弁当をつついている。

 ……………畜生、お前ら敵じゃなかったんか。

 今までにもクラスの連中に弁当のおかずを取られたりしたことはあったが、まさか弁当丸ごと奪う猛者が居たとは……………

「なによ、一人4千年って」

「いや、同じ人生を何度も経験した分、それぞれの技術がプラスされた結果かな」

「つまり反則なのね」

 そういう言い方って動なんだ。

 と、ふと気付いたように遠坂は俺を見て、

「じゃあ魔術は? 衛宮君は魔術師なんだから、そっちの技術向上にも役立ったんじゃないの」

「あ……………」

 そういえばそうだ。…………と、言いたいところなのだが、魔術に関しては<無限の剣製>に関わるものくらいしかまともな技術はほとんど記憶にない。

 俺………時計塔にもいったことあるはずなんだけどなぁ………………

 しかし、いわゆる「普通の」魔術に関してはからっきしだが、投影などに関して、俺は確実に精度においてアーチャーを上回った自信がある。単純に投影速度、投影物の完成度ならば、俺のほうが上だと断言できる。

 問題は魔力の差だが…………ここ数日で以上に増えた魔力。それについての仮説を、少し前にアーチャーと立ててみたことがある。

 本来、魔術回路や魔力と言うものは魂の方に在る。体は、それに合わせて肉体的な回路を形成してくれるわけだが、もし、突然魂のほうの魔力量………というか、それの素になるものが向上したらどうなるのか。

 普通、そんなことは起こらない。起きたとしても、体はもう出来上がっているのだから変化はなく、結局はほとんど変わらないはずだ。

 ……………だが、俺にはいくつかの反則がある。まず、魔術回路の開放とそれに伴う魔術知識、そして、「そこまで到達した」という経験。数々の人生の断片的な記憶。そして…………アヴァロンだ。

 アヴァロンが、成長した魂に合わせて肉体を最適化したのではないか――――

 それが、俺とアーチャーの立てた仮説だ。

「…………まぁ企業秘密ってことで」

 因みに現在、アーチャーはイリヤと共にアインツベルンの城に向かっている。イリヤの荷物整理と、イリヤがどうしても持って来ておきたい物があるらしい。

「ふうん…………魔術師が安易に手の内をさらさないのはいいけどね」

 何か凄まじく不満そうだ。

「あ、でも遠坂も似たようなことしたことあるぞ」

「は?」

「いや、俺が宝石剣投影したから理論とか技術は手に入れたとかなんとか…………………」

 あ。しまった、遠坂が……………やばい。

「どういうこと? 宝石剣って、ウチの大師父のゼルレッチのことじゃないでしょうね」

 明らかな殺気。当然か。彼女の家に残されている一つの目標点である第二魔法。そのための限定礼装たる宝石剣を投影したといったのだ。それも、遠坂の家とは何の関係もない魔術師が。

「……………その通りだ」

 といっても、俺には宝石剣は扱えない。そもそもの魔術特性が違うのだ。やろうと思えば投影は出来るかもしれないが、扱うことなどできはしない。なにせ、あれは理解できなかったから。

 そんなことを言ったら、遠坂は溜息をついて、

「いい、それは見逃しとく。でも、私に宝石剣を見せるような真似したらタダじゃおかないわよ」

 それは多分、遠坂自身のプライドなのだろう。自分自身の力で魔法へとたどり着くという。

「私からもよろしいでしょうか―――」

「セイバー?」

「昨夜、貴方はローランの剣を使った。それ以外の剣もほとんどが宝具クラス。あれは一体どういうことなのですか?」

 まぁ、自分の部下の剣まで使われちゃあ気になるよなぁ。

「ああ、あれが俺の魔術。剣なら、ほぼ全部複製できる。それが宝具でも」

「な―――」

「ちょっとあんた何簡単にしゃべってんのよ!?」

「いや、別に。一番肝心なところは喋ってないし」

 固有結界とか。

「ということはシロウ、貴方は私の剣も―――」

「うん、ちょっときついけど出来る。……………やらないけどな」

「なんでよ。アーサー王のエクスカリバーなんてむちゃくちゃな幻想、使えるなら使ったほうが得じゃない」

「だってあれ、俺にはもったいなさすぎる」

 あれは王の剣だ。あまりにも、俺には不相応。カリバーンもエクスカリバーも、扱っていいのはセイバー…………アルトリアだけだ。

 予鈴がなる。すっかり食べつくされてしまった弁当を俺のほうに返しながら、セイバーは言う。

「ごちそう様です。ではシロウ―――次は決着を」

「やっぱ――――――やるのか」

「当然です。私と貴方の主張は違う。果たしてどちらが間違っているのか、我々は証明しなくてはなりません」

 そういって、遠坂と屋上から出て行く。ふと、空を眺めながら俺は、

「どちらが間違っているのか、か。…………………そんなに重要なことなのかな」

 もっと、大切なことがあるのではないだろうか。そう、思う。









あとがき

 失速してきた………………

 ちと忙しいです。こんにちは。

 ランサーが…………こいつに見せ場なんてものがあるのだろうか。バゼットの出現でいじられキャラ確定はわかってましたが。

 セイバー頑固者すぎやしないでしょうかね。けじめは大事ですが一応命の恩人……………っていうかそこ、昼飯を和気藹々と食ってる場合じゃない。

 さて、本当に終わりが見えてきました。だいたい後Fate時間で二日くらいが終了の目安かと。…………今何月何日だ。Fateやり直して確認したい…………

 では、毎度の感謝を込めつつ、さようなら。

 追伸。今回、破滅SSの最大文書量です。…………短いんだか長いんだか。

3: 666番目の破滅 (2004/04/19 22:29:42)[ferunesu at yahoo.co.jp]





 さて、こちらの準備は整った。

 そろそろ、このくだらない茶番の終幕と行こうか。

 衛宮士郎――――――








Fate/All Reload
第十八 決戦へ








 放課後。あれからは特に何事もなく学校は終わり、家にたどり着く。

 改めて家の惨状を確認する。

 塀、全壊。屋根の数箇所に穴。土倉は跡形もなく消し飛び、道場は半分ほどなくなっている。

 …………欝だ。生活に支障はないが、今まで慣れ親しんできた鍛錬の場である土倉や道場が使い物にならないのは悲しい。

「終わったら…………改築かな、これは」

「そうだろな。離れのほうの被害も少ないが、全体で見れば修繕で済むレベルではないだろう」

 いつの間にか横に居たアーチャーが言う。………ってことはイリヤも帰ってきてるのか。

「人事のように言うな」

「他人事だからな。聖杯戦争が終わればオレは消える。特に他の者のように残ろうとは思っておらん」

「そうか」

「ああ」

 まぁそうだろう。こいつには残る理由がない。

「―――もう一度聞いていいか」

「………………」

 答えはない。だから勝手に聞く。

「なんで、俺と契約してまで残ったんだ?」

 少しの間。囁く様に答えてくる。

「―――少し興味があったのだ」

「興味?」

「ああ、その記憶ゆえに本来とはまったく別の道で聖杯戦争を戦う衛宮士郎。それが目指す「最善」とはどのようなものか、な」

「で、見えたのか?」

「お前はどうなのだ?」

「いいや。だって、まだ終わってない。セイバーとも決着はつけなきゃならない。消えた慎二や臓硯、言峰についてもよくわからないし」

「なら、オレもまだだ」

「そっか」

 多分、こいつは本当に結末を見届けるために残ったのだろう。他に何もない。俺がいったいどうするのか。それを知るために――――

「―――なぁ、セイバーのこと。どう思う?」

「それを答えるべきはオレではない。自分で見つけろ」

「ケチくさいな」

「もはや俺には関係のない話だ。ただ、あえて言わせてもらうならば――――」

 そこで始めて、アーチャーは俺を見て話した。

「問題を履き違えるな。重要なものは正誤ではない。「何のために」それを為すのか。それだけだ」

 それだけ言ってアーチャーは、俺より先に家へと入っていく。その背中へ――――

「ありがとう、アーチャー」

「フン、まだ終わってはおらん。礼は後にしろ」








「調べてわかったのだがな――――日曜の夜から、間桐慎二、および臓硯のほかにも数名、行方不明者がこの街に出ている」

 夕食に現われた藤ねぇをさっさと追い返し、バゼット達が入手してきた情報を整理することにする。

「数はそんなにたいしたことはないがその全てが、何の痕跡もなく突然に居なくなっているそうだ」

「それって―――――」

「例の「影」だろうな。バゼット、数が少ないといったが、共通点は?」

 アーチャーの問い。

「特にはない。魔術師の家系のものというわけでもない―――ただ」

「ただ、なんでしょう」

「その全員が、多かれ少なかれ何者かに嫌われている者、ということだ」

「なんか関係あるのか、それ」

 嫌われ者…………確かに慎二は、女子はともかく男子からの評判は悪いようだし、臓硯のことなんておれも大嫌いだ。でもそういった観点で見るなら程度に差がありすぎる。なにせ、臓硯の存在を知っている人間は少ない。

「関係があるのかどうか…………か。あえていうなら、『悪』という括りにされているという意味では例の<この世全ての悪>と相性がいいから、とか」

「悪……………」

 実際のところ、慎二のやってきたこと―――詳しい部分は避けるが、主に桜に対する虐待などを、許す気はない。でも、それでもあいつはそんなに悪い奴だとは思わなかったのだが―――

 いずれにしろ俺の判断だし、実際のところはよくわからない。ただ、アンリマユというものについて思い出す。

「誰もが望んだ絶対悪、か」

 世界の全てが善であるために、たった一人の人間を全ての悪とした怨讐。そこから生まれた56億の呪いと、アンリマユと呼ばれた反英雄。

 誰かが慎二を、他の誰かを悪とした。それにアンリマユが反応、共感した―――?

 ―――思考に没頭していると、唐突にそいつは現われた。


「ああ、凄いねお姉さん。だいたいのところはその通りだよ」


「な―――!?」

「兄さん!?」

 唐突に現われたそいつは、どう見ても慎二だった。

「慎二、お前―――」

「ああ、違うよ。間桐慎二君ならとっくの昔に死んだ。だから僕の名前は―――」

「―――――――アンリマユ。受肉したというのか?」

「アーチャー?」

「ああ、その通り。この姿はまぁ、君に対する嫌がらせかな衛宮士郎」

 つまり、本当に慎二は死んだのか。一体、何のために………

「ああ、教えてあげるよ。彼女の言うとおり、属性が「悪」に近い人間を集めていたのは、不完全でも僕が受肉するためさ。最後の決着をつけるために、ね」

「決着―――?」

「ああ、その話は他のみんなには関係ないし、そのうち君にだけ聞かせてあげるよ―――それより」

 そこで、慎二の姿をしたアンリマユは、桜を見つめ、

「君には礼を言わないとね。君が残しておいてくれた「前例」のおかげさ。こうやって僕が仮初の受肉を果たしたのは」

「なにを―――言ってるんですか――――?」

「ああ、わからない? だったら聞いてみるといいよ、君の大好きな先輩にさ」

 絶望的な表情で問いかけるように俺を見つめる桜。

 こいつわざわざ――――

「テメェ!!」

「ああ、まって。ここはふさわしくないよ、決戦にはね」

「何を言って―――」

「そう、今日は招待に来たんだ」

「招待だと? 何のつもりだ」

「君は冷静だねアーチャー。 招待って言うのは、今夜のうちに大聖杯のところへ来ること。―――もし来なかったら、そうだな」

 そこでアンリマユは邪悪な笑みを浮かべ、とても楽しそうにこう言った。

「この町の人間、全員消えてもらおうかな。うん、それがいい」

「な―――!!」

「貴様―――!!」

「何人で来ても構わないよ。でも、僕の用があるのは衛宮士郎、君だけだからね―――」

 それだけ言って奴は、自分の影に飲まれて消えていった―――








「先輩、教えてください。私は一体何を―――!?」

 問い詰めてくる桜。奴の言ったことが、どうしても引っかかるのだろう、だけど―――

「いい。桜は知らなくていいんだ。桜は何もしていない」

「でも―――!!」

「いいから!! やってもいないことを背負わなくていい!!」

 叫んで、気付く。桜が怯えている。

「――――ごめん。でも、大丈夫だから」

「でも私は―――」

「いいんだって。今ここで奴がやったのは奴が悪いだけだ。絶対に桜のせいじゃない。それよりも今は―――」

「ああ、どうするのだ? 衛宮士郎。こうなってはもはや、イリヤスフィールや桜の体の心配をしている場合ではなくなったぞ」

 …………………わかっている。今夜中に大聖杯のところへ行かなければアンリマユは本当に町の人間全てを飲み込むだろう。それは絶対に阻止しなければならない―――けど。

 それはイリヤたちを見捨てることにはならないか。そんなことをしていいわけがない。俺は――――どうすれば…………

 と、イリヤが俺の裾を掴んでいるのに気付く。

「シロウ、多分大丈夫だから。行こう。助けるんでしょ? みんな」

「イリヤ―――?」

「私のことも心配しなくて大丈夫です。先輩は、やることをやってください。私も、お手伝いしますから」

「桜……………でも」

 それでもしイリヤや桜に影響が出たら―――?

「そう悲嘆することばかりではないのではないか?」

「アーチャー?」

「アンリマユは受肉を果たしている。たとえそれが不完全な形でも大聖杯から離れられるのであれば、先にアレを倒してしまえば聖杯は浄化される。その後に破壊するのであれば、残る問題はイリヤスフィールの体のみだ」

「でもそれは―――」

「確かに憶測だろうよ。だがな、衛宮士郎。決してこれは根拠のない話ではないし、大聖杯を破壊して影響が出るかどうかもわからんのだ。―――ここは、賭けるしかないのではないか?」

 選択肢は、ない。今夜、向かわねばならないのなら、それは大聖杯を破壊するということだ。そして、そうしなければとんでもない犠牲が出る。それは避けねばならない。

 賭けるしかない。これ以上誰も死なせない。そう、バーサーカーとイリヤのメイド二人に誓ったのだから。

「………………行こう。でも、行くのは俺とアーチャーだけだ」

「先輩なんで―――!?」

「出来るだけ二人は聖杯から離れておいて欲しい。出来るだけ、賭けに勝てるように、さ」

 こればかりは譲れない。もしかしたら、聖杯から離れていれば影響は少ないかも知れない。そう思うから。

「ふむ…………それはいいのだが、私たちがついていかない理由にはならんが」

「同感です。味方は多いほうが―――」

 と、バゼットとライダー。

「いや、バゼットにはキャスターと連絡をつけてもらう。ライダーは、サクラと一緒に居てくれ」

「キャスターとはどういうことだ?」

「大聖杯は柳洞寺の地下空洞にある。破壊するときのショックで崩れかねないから、キャスターに頼んで柳洞寺の住民を避難させてもらう」

「わざわざキャスターに頼まずとも………」

「いや、キャスターは柳洞寺の人間に干渉用の呪いみたいなものをかけているから、一番効率がいい」

 それで一回、一成に殺されたんだよな、俺。

「それは構わんが…………」

「エミヤ、それでは私とランサーはついていってもよろしいのでは?」

「そうだぜ小僧、何が何でも二人で行きたいってわけじゃないんだろう?」

「却下だ。もしかしたら、俺たちが向かった後で奴が何かしらの動きを見せるかもしれない。だから待機」

 ジェネラルとランサーも黙らせる。

 アンリマユ、奴の狙いはどういうことか知らないけど俺だ。だったら他のみんなに迷惑はかけたくない。

「・・・・・・・・・エミヤ、貴方はここで自分を犠牲にするつもりではないでしょうね?」

 それはつまり、世界と契約してでも何とかするか、ということか。

「いや、しない。そうしなくても何とかするさ。だから黙って留守番してろ」

 こう答えるしかない。たとえ、それも覚悟していたとしても――――








「よいのか、誰も納得していなかったようだが」

 柳洞寺。聖杯へと続く祠の入り口。そこまで二人できて、唐突にアーチャーは口を開く。

「説得しきれない。でも、待ってくれるって言ってたし」

「別に私は構わんのだがな。ああいう連中は勝手に来たりするぞ」

「みんなそこまで馬鹿じゃないだろ」

「一番の大馬鹿がそういうことを言うから気にしてやっているのだがな」

 む。どうでもいいがアーチャー。それは自分も大馬鹿だと言っているのと同義では。

「オレとお前は既に違うものだ。これは以前言ったと思うが」

「ああ、そうだな。お前のほうが馬鹿だし」

「お互い様といったところだ」

「ふん」

「それよりもセイバーのことはいいのか?」

「しょうがない。…………しょうがないさ」

「未練たらたらというところか」

「うるさい。行くぞ」

「ああ、そうだ。衛宮士郎」

「なんだよ」

「お前は何を目指す」

「正義の味方が目指すものは決まってるだろ」

「正義の味方を目指すのではなく―――?」

「ああ。そうだ―――」

 そうして俺たちは、大空洞へと足を踏み入れた。




 大聖杯の前。そこまでたどり着いた先に何故か、そいつらは居た。

「なんでここに………」

「変態の顔した慎二―――じゃない。慎二の顔した変態にご招待されたのよ。決着をつける最後のチャンスだって」

 遠坂と、セイバー・二人が待ち受けていた。

「みたんだろ、これ。何で壊さないんだ?」

「そうね、これは壊さなきゃ。でも、セイバーが、ね」

 そこで、前に出てくるセイバー。まっすぐに俺を見据え、

「シロウ。聖杯を破壊すれば私は帰るしかない。ですから、ここで決着です」

「どうしても、か」

「はい。アレは確かに邪悪なものです。ですが、それ以上にこの決着は重要なことだ。私にとっても、貴方にとっても」

「まぁ、勝ったほうがアレを壊せばいいわけだし。決着、つけたほうが後悔しないんじゃない?」

 セイバーと和解できるかもしれない最後のチャンス、ということか。

「私は手を出さない。アーチャー、あなたもでしょう?」

「ああ、共倒れにでもなられてはこの先があるからな。私は力を温存させてもらう」

「OK。じゃ、二人とも好きなだけやりなさい。セイバー、殺しちゃだめよ」

「当然です。私の目的はシロウを殺すことではない」

 勝手に話を―――

 だいたい、何でアンリマユは姿を現さない?

「シロウ、先の事など考える余裕は貴方にはない。全力で来ねば、一瞬で勝敗は出ます」

「セイバー…………」

「覚悟をきめろ、衛宮士郎。貴様の理想とやらを貫き通してみろ」

「…………結果はお前にはならないぞ」

「ああ、そうしろ。オレとしてもお前がオレになるなど考えたくない」

「言ってろ。…………セイバー」

「なんでしょう」

「本当に、やるしかないんだな」

「何度も言わせないでください。………私が間違っているというのなら、勝利を持ってそれを証明してみてください」

 言って、セイバーが剣を取る。風王結界を解除して聖剣をあらわにし、目の前に構える。騎士の決闘の儀礼。

「わかった。でも、俺が望むものはセイバーとは違うよ」

 俺も剣を取る。それしか知らないというのなら、俺もそれに答えよう。

「衛宮士郎」

「なんだよ」

「…………忘れるな」

 それだけを聞いて、俺は走り出した。

「行くぞ、セイバー!!」




その頃、数人の人影が、大空洞へと集結していた。









あとがき

 どうもいきなりクライマックスにマジ突入です。

 破滅666ですこんにちは。

 登場、アンリマユ。んでもって最終決戦セイバーVS士郎。ちと急ぎすぎてるかなぁ…………

 とりあえず、あと5〜6話くらいで一応完結です。プラスのほうの補完はその後ということで。

 では、そろそろ本気でまずくなってきましたが今後ともよろしくお願いします。さようなら。

追伸 何故かメールアドレスがおかしいのでもう一度入力しなおし。これでできるはず・・・・・・・・・?

4: 666番目の破滅 (2004/04/20 22:44:38)[ferunesu at yahoo.co.jp]





Fate/All Reload
第十九 何が為に




 わかってはいたけど、戦いは明らかに劣勢だった。

 振り下ろされる一撃を、剣を一つ犠牲にして防ぐ。そして次、次、次。

「く―――」

 砕かれた剣。弾かれる剣。折られる剣。その存在全てを無視し、ただ、防御に全神経を費やす。

 本気のセイバーを相手に下手に攻め込むことなど出来ない。そんな真似をすればその瞬間に斬られる。

 だからただ、防御に専念し、ただ一点の勝機を探る。どうせセイバーにはアヴァロンがある。通常の手ではまともな傷一つつけたところで再生し、展開すればそれも敵わない。

 しかし、それでいい。セイバーを殺すつもりなんてないから。勝てばいいのだ。ただそれだけ。

 剣を防ぎ続ける。幾度砕かれようと、俺自身が折れることはない。だから、戦い続ける。

 ―――この戦いに疑問を感じながら。




 おかしい。シロウのこの粘りは異常だ。

 連続で放つ剣、そのどれもが必殺。しかし少年は倒れない。

 たとえ何本剣を砕こうと、いくら体制を崩させようとその体には、一撃たりとも加えることが出来ない。

 剣を操る事に特化した、剣の精霊たるセイバー。その私がこの一介の魔術師に過ぎない少年相手に。

 私が手を抜いている―――? 否、私は全力だ。ならばこれはシロウの実力か―――?

 そんなことがありえるのだろうか。まず、基本能力からして私とシロウでは大きく差が開いているのだ。いや、そういう点で言うのならシロウは他のサーヴァントの誰にも、シロウは届かない。

 だというのにこの健闘。しかも、徐々に、本当に徐々に、シロウの反応はより早く、より的確になっていく。

 そして、私をまっすぐに見据えるその瞳。始めてあったときから何一つ変わらないその輝きが、まるで私が間違いなのだと告げているように思える。

 いや、私が間違っていることなど、とうの昔に知っている。だから正そうというのだ。

 シロウ、それを否定するというのなら、我が剣、我が命をここで絶ってみせなさい。

「――――セィ!!」

 ここに来て最大の威力。それを正面から叩きつける―――が。

 その渾身の一撃をシロウは、手にした双剣で完全に受け流して見せた―――




 ―――契約せよ。

 声が聞こえる。戦いが始まってから聞こえ始めてきたその声はだんだんと大きくなっていく。

 ―――信じるならば為せ。■と契約し力を得よ。

 それは、いつか聞いた世界の言葉。常に英雄を求め続ける世界よりの呼びかけ。過去、幾度となく聞いたそれが今、またしても俺を苛む。

 ―――契約せよ。契約せよ。契約せよ。汝の力では届かない。故に契約し、己の正義を全うしてみせよ。

 俺の正義。その言葉を、あまりにも場違いだと感じた。

 別に俺はセイバーが憎いわけじゃない。殺したいわけでも、苦しめたいわけでもない。そしてセイバーは悪くない。ただ、俺はセイバーに……………

 と、ふと後方に意識が離れる、そこに見た。

 桜にイリヤ、バゼット、ジェネラルランサー。

 桜とイリヤ、ジェネラルは心配げに、バゼットとランサーはただ、見届けるようにこちらを見ている。

 あいつら、ちょっとは自分のこととか考えろよな―――――

 気付く。そうだ、俺は―――

 ―――契約せよ。

 黙れ、消えろ。俺はお前の望む英雄になどなりはしない。それは俺の目指すところではない。だから消えろ――――!!

 干将莫耶を投影した俺は、セイバーの一撃を完全に受け流した。




「アーチャー」

「何だ、凛」

「あれ、本当に人間なの?」

 先ほどまであれほど劣勢に立たされていた士郎。それが今、セイバーの攻撃の全てを双剣のみで防いでいる。

 双剣をたくみに使いこなし、振るわれた力を受け流す。セイバーの剣筋にあわせ、自らの力を沿わせることによって攻撃の軌道をずらしているのだ。

「何故、私に聞くのだ?」

「だってあれ、あんたでしょ」

 ふむ、凛はよくわかっていない。

「いや、あんな真似は私にも出来ん」

「は―――?」

 そう、出来ない。型こそ同じだが、あれは俺の剣ではない。ただ、それを目指して鍛錬を積みながらも、結局はたどり着けなかった境地。

「だって衛宮君は―――」

「確かに私はかつて衛宮士郎であったものだがな。あの男とはまた違う。とくに、今回の衛宮士郎は特別だろう」

 幾重にも重ねられた戦闘経験。それが今、あの男の中で正しく統一されたというのか―――




「っていうかよ、来るなって言われたのに何で来てるんだ、俺ら」

 しかもあの小僧、なんでかセイバーと戦ってやがるし。

「別にお前に来てくれと頼んだ覚えはないが」

「マスターはエミヤの指示については既に完遂しています。その後の行動については彼は何も言っていませんので、その後の行動は自由かと思われますが」

 いや、それだとこの女以外は来る理由にはならねぇだろよ。

「私はマスターのサーヴァントです。エミヤの指示に従う理由はありません」

「都合のいい奴だな」

「サーヴァントですから」

 それは理由になるのか?

「細かいことは気にするな。あの娘たちのように黙ってみてろ」

 ふむ―――。この嬢ちゃんたちも不器用なもんだ。そんなに心配なら、とっとと助けに入ってもいいだろうに。

 本来決闘に横槍など言語道断だが、それが美女の叫びなら許されるってもんだ。こいつらどっちもまだ美女と呼ぶには浅いけど。

「まぁ、あれなら心配ないか?」

 小僧の姿。何の危なげも無く戦い続ける姿を見て、思う。

「ありゃ、負けねぇよな」




 声はもう聞こえない。ただ、セイバーの剣と、俺の剣がぶつかり合う音だけが聞こえる。

 見えるわけではない。わかるのだ。過去、幾度となく手合わせしたセイバーの剣。次に、どのような攻撃を繰り出すのか、それがわかる。

 だから、手にするのは干将莫耶だけでいい。振るわれた力の全てに平行して力を加え、そらし、受け流す。

「はは―――」

 自然と笑みがこぼれる。あのセイバーと。全力のセイバーと剣で戦えているという歓喜。

 だが同時に、それを否定する。

 俺はセイバーと戦うために来たわけじゃない。セイバーを攻めるために伝えたんじゃない。だから―――
 トレース  オン
「投影、開始」

 ――――干将莫耶を捨て、それを投影する。




 シロウの振るっているのは、正統の剣技ではない。私から言ってみれば邪道。だが―――何故それが、こんなにも美しく見えるのか。

 幾度剣を叩きつけようと、その全てがシロウの剣に軌道をそらされ、シロウの身には届かない。まるでそれは、私が剣をそらしているかのように自然。

 それに比べて、我が剣のなんと醜いことか。力に任せ、ただただ、振り回すだけの剣。この違いは何か―――

 私を見据える目を見て、気付く。

彼はなにも迷ってなどいない。ただそれだけがわかった。

 そして―――

 彼はそれを取り出した。



   ア ヴ ァ ロ ン
「<全て遠き理想郷>――――!!」

 セイバーの驚愕の声。当然だろう。この鞘はセイバーに返した。本来なら俺の触れてはならない一つの至高。その模造品。

 だが、利用させてもらう。俺だけではセイバーに勝―――わかってもらうことなど出来ない。だから、彼女の理想に力を貸してもらう。

 鞘を握り、唱える。

「体は―――」

 ただ一言。俺の中に常に存在する言葉。その真名が―――

「――――体は剣で出来ている」

 今こそ、世界を塗りつぶす。




 無限に刺さった剣の丘。その中心で、俺はセイバーの鞘を握り立つ。

 鞘の力を借りて、俺の心象を一瞬で世界に映し出したのだ。

「固有結界―――これが、貴方の」

「そうだ、セイバー。これだけが………本当にこれだけが俺に許された唯一の魔術」
       アンリミテッドブレイドワークス
 その名を<無限の剣製>。

 剣に生きた男が唯一たどり着いた答え―――ではない。

その先を―――俺は知る。


  ―――体は剣で出来ている


 再び唱えた呪文と共に手にする鞘を、前方に掲げる。


     血潮は鉄で、心は硝子


 青き鞘、その姿がだんだんと発光し始め、そして。


     無限の戦場を越えて不変

     ただ一度も勝利を望まず

     ただ己に練磨を課す


 鞘が変化していく。彼女の理想であったはずのそれが、俺の変化に伴って形状を変える。


     此処に担い手は無し

     剣は丘で眠りを待つ

     されど、わが生涯は剣と共に在り


 変化していく鞘にいつしか、一振りの剣が収められる。どこまでも不器用な造形の一振りの剣。

        カラダ
     この魂は、無限の剣で出来ていた―――


 剣が完成する。無限の剣製、その果てにあった一振りが姿を現す。

 以前、英雄王に使った剣は間違いだ。あらゆる工程を偽造したところで、出来るのはただの歪んだ剣のみ。

 無限に模倣を繰り返す意味。八節に分けた工程を、何度も、何度も繰り返して剣を為す。

 あらゆる剣の、あらゆる理念を模倣し、あらゆる想いに共感し、己のものとして昇華して行った末にあるべき結果。通常ならば触れることすら敵わない一点。

 その一つにいま、たどり着く。

「セイバー、決着だ」

 鞘から、剣を抜き放つ。

 一枚の鋼を打ち付けて作ったかのような剣。両刃の形状でありなが、そこに刃はない。最低限の装飾しか為されていないその剣を、消えた鞘を握っていた左手も添えて下段に構える。

 対してセイバーも、聖剣を操るべく大きく構える。

「シロウ、これで終わりですか」

「違う。何も終わらせない。終わるわけがない」

「やはり私には、貴方が判らない」

 セイバーの剣が光へと変わっていく。その姿を前にしながらも、俺の剣に変化はない。
  エ ク ス
「約束された――――――」

 だれかが、俺の後ろで何か叫んだ気がする。だけど、心配は無い。俺は、負けない。
      カ リ バ ー
「――――勝利の剣!!!」

 俺の目の前で、あの美しい光が解き放たれた――――――









あとがき

 すいません、前回あまりにも雑すぎました。

 近頃反省することが多い破滅666です、こんにちは。

 遂に士郎、最終段階。料理のネタがここまで複線として役に立たなかったとは思わなかった。

 …………っていうかパロディを先にやってあとでマジってのもどうなのだろう。

 士郎、ステータスとかあるなら「戦闘経験EX」。何せ何度も何度も戦った記憶を蓄積したわけですから。その一転においては他の英霊など足元にも及ばないのではないかと。

 とりあえず今回登場の剣、無限の経験を持つ士郎だからたどり着けたわけですが、そこが終着点というわけでもない………と思う。別に根源とかにたどり着いてるわけでもないし。

 まだ効果を発揮していませんが、この剣こそが今回の士郎の答えになってるといいなぁとか思ってます。

 それでは今回もこのあたりでさようなら。毎度毎度駄文ですいません。

5: 666番目の破滅 (2004/04/21 20:29:35)[ferunesu at yahoo.co.jp]





 シロウの作り上げた剣を見た。その姿を。

 剣でありながら刃が無く、どこまでも無骨でありながら精緻な造形。何の力も感じられないのに放たれる威圧感。その矛盾した姿を、なぜか、美しいと感じた。

 ―――しかし、私は止まらない。そして、負けない。

 約束された勝利。そのままに―――








Fate/All Reload
第二十 望んだモノ








 セイバーと、俺の考えは違う。そんなことは初めからわかっていたはずだ。見ていたものも、何もかもが違ったというのに、何故、此処まで迷っていたのか。
  アルティメット
「赦されし――――」

 俺に向けて放たれた聖剣。それに合わせるように俺は真名を解放する。
      エ ン ド
「――――静寂の剣」

 相変わらず剣は輝きを放たない―――が。

「な―――――!?」

 目の前に展開されたありえない現象に、セイバーの驚愕の声。

 音も無く。光も無く。無色の力はただ、静かに聖剣の光を消し去って行った。

 ―――そして、風だけが残った。

 呆然とこちらを見るセイバーを見据える。

「…………セイバー」

 これが俺の剣。無限にある剣のどれにも及ばないなまくら。しかし―――

「俺と、お前は違う」

「何を―――」

「最初は、確かに俺はセイバーが間違っているからって、言った。でも、俺が問題にしたいのはそんなことじゃなかった」

 たとえどんな剣に劣ろうと、この剣の求めるものは敵を倒すことではない。だから、敗北もありえない。

 正義の味方。その在り方の上で救いたくても絶対に救えない一。敵を、救うかもしれない。ただ、それだけの剣。
   ア ル ティ メ ッ ト エ ン ド
 <赦されし静寂の剣>。敵意を、悪意の意思を持つ力を消し去る眠りの剣。

「正しいとか、正しくないとかじゃなくて、ただ俺はセイバーに、みんなに幸せになって欲しいだけだ」

「そんな―――事を」

「俺がこうやって、やり直しているのは正しいことじゃないのかもしれない。でも、これで俺が見てきたことがなかったことになるわけじゃないんだ」

 だって俺は知っているから。何人もの犠牲。俺が踏み越えて行ってしまった人たち。俺が――――――殺した人々。

 それはいまさら無かったことに出来ることじゃない。たとえ出来るとしても、やっぱりそれはいけないことだ。でも、見捨てなくていい人間を見捨てるのとは、違う。

「でも、それでも「ここ」だけは、みんな幸せになれると。そう信じたい」

 俺とセイバーのやること。やろうとしていることは似ている。でも、決定的に違ったんだ。

 セイバーは全てを無かったことにすることを望んだ。その手段として聖杯によるやり直しを選んだ。そしてその代償はセイバー自身が英雄となって永久に囚われ続けること。

 国の為に、全てを捨ててまで王となって戦った少女の望みが、それだ。きっとその望みがかなえられたとしても、セイバーは………アルトリアという少女は幸せになんかなれやしない。

 それでも望むのだ。この少女は。

「前にも言ったけどもう一度言うぞ。セイバーは、頑張ってきた分幸せにならなくちゃ嘘じゃないか」

「貴方は―――どうなのですか!? 英霊となったほどの人間が何も踏み越えなかったはずがない!! 自己を犠牲にしなかったはずが無い―――なのに!!」

「ああ、そうだ。助けられなかった人たちが居る。防げなかった災厄がある。倒してきた敵が居る。だけど、俺は後悔したことは無い」

 そうしなければならなかった。俺の力が足りないから。でも、助けられた人たちも確かに居るし、そこに幸福があった事だってあるだろう。

 それは、確かに俺にとって喜びだった。

「セイバーはずっと頑張ってたのに、後悔したまんま、何も報われないで終わるなんてそんなのは認めない」

 セイバーの幸福。それがどこにあるのかなんて俺にはわからない。でも、絶対にセイバーが持っている望みとは違う。自己を殺して王として望んだものが「アルトリア」を幸せになんかしない。

「私には―――解らない」

「ああ、俺も正直解らないさ、だから――――」

 俺が望むもの。正直、まだ形ははっきりしていない。だから―――

「――――これから、探していこう」

 きっと俺はまた矛盾している。かつて望んだ正義の味方ではないかもしれない。でも、それ以上に大事なことなんていくらでもある。

「答えは保留します。ですが――――――」

 そういえば、今回は一度も見ていなかったのではないだろうか、この、彼女の笑顔は―――

「とりあえずは、私の負けです」

 俺には、大切にすべき自己というものが欠落していると、誰が言ったか。そうなのかもしれない。そうだったかもしれない。でも、今は違う。違うと信じている。

 幾重にも重なった記憶の中で、何度か見てきた幸福な時間。ほとんど磨耗してしまっているそれを、俺はまた、欲しいと思う。

 それがどこにあったのかなんて解らない。でも、見つけられる。きっと――――





「っふぅーーーー」

 剣を杖代わりに、寄りかかる。とりあえず山は越した。だが―――

 ―――くだらない。せっかく完成を待ってあげたのに。

声と共に、俺の足元を黒い影が侵食していく。

 そして、あたりに出現していく影の巨人。

「これは―――」

 来た。アンリマユ。

 足元の影に飲み込まれていく。その光景を平然と見ながら振り返ると、何人かこちらへ慌てて駆け寄ってきている。

 そちらに一旦笑いかけてから俺は、アーチャーを見据える。

 答えるようにうなずくあいつを見ながら、俺は、影に飲み込まれた―――




「アーチャーあんた何ボーっと見てるのよ!!」

「ん、ああ。少し頼まれごとを引き受けたのでな」

 ほとんど掴みかかる勢いで迫ってくる凛をやんわりと押しのけながら、衛宮士郎が消えた一点を見る。

「まったく。奴は人使いが悪い」

 これだけの人数を任せただと? 自分に出来ないことを押し付けるなというのだ。

「何を言ってんのよ」

「気にするな、あちらは衛宮士郎に任せて、我々はあれを排除するぞ」

「あの黒いの?」

「ああ、気をつけろよ。あれ一体一体がサーヴァントクラスのシロモノだ」

 その数、約37といったところか。

「ってそんなもんいったいどうしろと―――」

「無理か? お前の妹は健闘しているようだが」

 指し示した方向で、今、影の一体を断ち切った少女。その姿を見て凛が驚愕する。

「――――――いいわ、やってやろうじゃない。衛宮君は大丈夫なんでしょうね」

「たぶんな」

「たぶんてアンタ―――」

「とりあえずは目の前の問題から解決しろ。そうしたら次の対処を教えてやる」

 あの男が帰ってくるときに一人でも死んでいたらそれこそ俺の面目が立たない。

「行くぞ。凛――――――――体は剣で出来ている」




 意識を失ったのは数瞬だった。そして、目を開けた先に見える、黒い丘。

「ようこそ、衛宮士郎。茶番の終着点――――」

 目の前に居るのは俺の親友、間桐慎二の姿をした、アンリマユ。

 いまさら驚くことなど何もない。どうせこいつはこのタイミングで出てくると思っていた。

「この、くだらない終わりの地へ――――」









あとがき

 誰も突っ込んでくれないから自分で突っ込む……………ライダーどこ行った!?

 すいません。完全にミスでした。破滅666ですこんにちは。

 とりあえず、士郎の視界に入ってなかったってことで勘弁してください。

 んで、士郎の身体能力とかの話。………問題ナッシング(爆)。まず、魔力量のことで描写のあったアヴァロンによる補正と、魔術による強化、あとは、そもそもの戦い方が必要最小限の動きで行われているということで、実際は対して負担にはなってません。…………無茶かなぁ……………表現不足ですいません。

 そして<赦されし静寂の剣>。もうどうしようもない。効果が、名前が。そもそもアルティメットエンドってナンダ。なんか記憶の端にそんな名前の必殺技かなんかが………

 初期設定ではソードブレイカーとかブレイドスリーパーなんて名前してたんですけどね。

 とりあえず残り2〜3話で終わりそうです。

 どうも、破滅666でした。さようなら。

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8: 666番目の破滅 (2004/04/26 18:50:34)[ferunesu at yahoo.co.jp]





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第二十一 無意味







「ここ、どこなんだ?」

 見渡す限り広がる黒い丘。何もないそこで、問う。

「ここ? ここは聖杯の中さ」

「ここが?」

「まぁ、正確には違うかな。とにかく此処は、あらゆる世界から隔離された、君と僕だけの決戦場さ」

 は――――――?

「此処はね、僕たちがもといた次元とはまったく違う。結界によって封印されたとても狭い世界さ」

「平行世界――――?でもお前には」

「まぁ、そうだね。僕には第二魔法なんて使えない。でも此処だけは違う。この世界だけは、僕がそう思うだけで君と僕だけを連れてくることが出来る。
 ああ、救援は期待しないほうがいい。さっきも言ったとおりここはもう、ここは今まで居たところとは別の世界だから。
宝石剣を使ったところで、隠蔽されたこの世界を見つけるのは難しいし、結界も張ってあるから他の連中がたどり着けるとは思わないほうがいいよ」

 ――――何のために?

「「演出」さ。すべては―――――まぁ、「最初から決まっていたこと」。そのためにこの世界は君と僕とに与えられたんだ」

「意味が無い。だいたい誰がそんなことを――――」

「そう、それが真実。意味なんか無いのさ。そして、誰が―――か。それは、これから話そう」

 最終決戦。演出。決まりごと。意味がわからない。意味がわからないはずなのに、俺には何故かそれが「そう決まっていた」と感じている。これは――――

「さて、どこから話そうか―――」

 思案するように首をかしげるアンリマユ。

「話す―――?」

「ああ、そうだ。最後の最後。最終決戦の場で事情説明するのは悪役の義務だろう?」

 慎二の顔でおどけて、言う。

「まぁもっとも、無意味だよ。すべて、ね」

「何が無意味だって言うんだ」

「それをこれから話すのさ。――――そうだな、まずは現状の「設定」から話そうか」

 設定。皮肉のこもったその言葉に何か嫌なものを感じる。

「さて。何で君は、今までの………………いや、他のか。衛宮士郎の記憶をもっていると思う?」

 なんで――――か。わからない。思い出してしまった。知ってしまった。ただ、それだけ。

 こいつは、その理由を知っているとでも言うのか。

「それはね、ただ、この戦いを演出するためのものさ。僕と、君の最終決戦」

 つまり、こいつは。

「そう、僕もまた君と同じく記憶を―――他の僕から「共有」している。これを、誰が行ったのかわかるかい?」

 まて、それは――――

「まるで全て仕組まれているような言い方だな」

「ご名答。これはね、一人の――――いや、数はよくわからないし意味も無いけど。とにかく、誰かが考えた実験なのさ。――――聖杯戦争。その戦いの渦中にある人間を利用した、ね」

「実験?」

「そう。彼―――彼らが、どこに居て、何者なのかはわからない。神ではないし、「根源」とやらにたどり着いた者でも、魔法使いの誰かでもない。ただ、彼らはこう考えた」

 笑う。哂う。それが、とっておきの冗談だとでも言うように。

 「――――――――誰にも望まれなかった正義の味方と、世の全てに望まれた悪。果たして勝つのはどちらなのか、と」




「――――きりが無い!」

 もう既に13度、同じ影に向けて私は秘剣を使った。でも、影の巨人は再生し、消えない。

 攻撃が有効打になっていない。それは、側で戦っているライダーも同様だった。

 そのさらに向こう、バゼットさんの魔術も大した効果は挙げていない。放つつぶては影を貫いても、すぐに影は再生してしまう。

 ――――そして、ジェネラルさんとランサーさん。姉さんと、セイバーさんと、アーチャーさん。この5人の攻撃は――――

「なんで―――?」

 効いている。槍で貫かれた場所は再生せず、剣で切断された部分は消滅する。姉さんの使う魔術も、他の4人に比べれば効果は薄いようだけど、確かに影を傷つける。

 ダメージを与えられない3人と、与えている5人。その違いは何か。

「あれの存在そのものを否定するような攻撃か、大魔力をぶつけるくらいじゃないと効かないわ、サクラ」

「イリヤちゃん?」

「貴女は下がって。――――手伝ってもらわないといけないことがあるから」

「そんな―――」

 今は、早くこの影を倒して先輩を助けに行かないといけないのに――――

「シロウを助けたいんでしょ? だったら協力して。私だけで出来たらいいんだけど、無理だろうから」

 言いながらずっと大事そうに抱えていた箱を開けるイリヤちゃん。その中に入っている純白の衣装。

「それって――――」

「私がちゃんと聖杯になってたら別に協力なんてしてもらわなくてよかったんだけどね。今はサクラ――――あなたが聖杯だから」

 私の中に居るアサシン。そしてバーサーカー。つまりはそういうこと。

「説明するから、ちゃんと覚えてね。そんなに時間無いから」

取り出した衣装を身に着けながら、イリヤちゃんは笑って見せた。




「まったく、やっかいな」

 付近で、女がうめく。それでも再び魔術を放ち、あの黒いのに穴を開ける。

「って言うか下がれよアンタ!!」

「何故だ?」

 即答。表情も変えずにそんなことを言う、もとマスター。

 そんなもん、敵いもしねぇのにわざわざこんなあぶねぇのに突っかかって言ったってしょうがねぇだろ!!

「足止めぐらいにはなる。私に構ってる暇があったらとっとと敵を殲滅しろ、犬」

「狗というなぁ!!」

「どうせそれしか能が無いのだからそれをやれ、犬」

「だからお前――――!!」

「じゃあポチ」

「――――!!」




「ああもう、そろそろ宝石尽きるんだけど―――!?」

「愚痴を言うな、気が散る」

 こちらに向かってそんなことを言いながら、大量の聖剣魔剣を影に向かって放つアーチャー。

 対して私は今まで貯蔵していたありったけの宝石を使いまくっている。

ああもう、私の10年間が!!

「宝石がたらないというのであれば助力してやってもいいが――――」

「剣しか作れないくせに何するって言うのよ!!」

「いや、私も件の老人には会ったことがあってな」

 まて、その老人というのはまさか―――

「君ならば、いずれたどり着く境地かも知れんが、今は贅沢を言ってはおれまい?」

「でも――――」

「これで君自身の魔力を補充し続ければセイバーも聖剣を連発できる。それにこれは、いずれにしろ必要なことだ。衛宮士郎を救いたければな。
………ふむ、そうだな。これを投影する。そういうことで君を後悔させてやろう」

「ちょ、アンタ―――――」

「少々時間がかかる。時間稼ぎは頼んだぞ、凛」

 そういって本気で宝石剣を投影したアーチャーを見て、私は、色々と後悔した。

 とりあえずこいつは、自分で言ったとおり、最高だ。




 影の巨人を私の剣が両断する。シロウには消された。しかし、この程度の闇に屈する私ではない。

 ふと、目の端にライダーの姿が写る。血の魔方陣を描き、その中から――――

「ちょ―――――」

 真名が解き放たれる。私は、慌てて地面に伏せ、頭上を、高圧の魔力が通り過ぎていった。

 すばやく立ち上がり、見ると、私の目の前に居た影の巨人は大穴を空けられて消えた。

 それはともかく、私は、天馬に跨るライダーに怒鳴る。

「殺す気ですか貴女は!!」

「……………いたのですか、セイバー」

 とぼけた調子で答えるライダー。私に何か恨みでもあるのだろうか。

「なにをしらじらしい!!」

「そこ、危ないですよ」

「なにを――――」

 再び伏せる。またしても頭上を通り過ぎる光は数線。そちらに振り返ると、クラスは知らないがサーヴァントであろう一人の少女が黒い軍勢を従えていた。

「便利ですね、エミヤの剣は。まさかまだ力を発揮できるとは。回収しておいてよかった」

「今狙いましたね!!狙ったでしょう、確実に!!」

「はい。とりあえず邪魔だったので消えてもらおうかと」

 ぬけぬけと――――

「次は外さないようにしましょう、ライダー」

「そうですね、ジェネラル。邪魔者は少ないほうがいいですし」

「何の話をしているんですか貴女方は!!」

「とりあえず貴女はまだまだ我々の敵ということで」

「ライダー、説明しなさい!!」

「そのような義務はありませんが」

「あえて言うなら恋する乙女の直感といったところでしょうか」

「ああ、その表現は適切かもしれない、ジェネラル」

「ええ、最後まで抵抗し続けた馬鹿女に横取りされては溜まりませんし」

「まったくその通りです」

「「では、そういうことですのでおとなしく消えてくださいな」」

 声をそろえて言う二人に、私の中で何かが切れた。

 ついでに、リンからの魔力供給量が何故か異常に肥大する。
   エ ク ス
「<約束された―――――」

「少しからかいすぎましたかね」

「どうでしょう。私としてはもう少しきつめで行こうかと思っていたところですが」

「ジェネラル、貴女は恐ろしい人だ」

「褒めないでください。照れるじゃないですか」

 ――――――――やかましい!!
           カ リ バ ー
「―――――――――勝利の剣>!!」

一目散に逃げる二人を眺めながら、私は、口の端に笑みがこぼれていることに気がついた。




「君という正義の味方。そして僕という悪。その二つをあらゆる世界で因果に干渉して生み出し、戦わせる。そういう実験さ」

「実験?これが、こんなものが実験だって言うのか?」

「そう、結果なんて何の意味も無い。何処かにいる愚か者のただの暇つぶしさ」

「そんな証拠がどこにある」

 だいたいこいつは何でそんなことを知っている。そも、何で俺はそれが真実だとわかる。

「そうだな――――――君、「衛宮切嗣に引き取られなかった士郎」、あるいは「十年前の火災で家族を失わず、平凡に暮らしていた士郎」の記憶、もってないよね」

 ―――――――――――――――――――何を言っている。そんなことぐらい……………無い?

 ない。思い出せない。そんなことは無いはずだ。

「無いだろう? それが答えさ。君は絶対に家族を失い、アヴァロンを得、衛宮切嗣に育てられて聖杯戦争に関わる。そういうふうに操作されているのさ」

「な―――――」

「そして僕も同様さ。絶対にこの呪いを押し付けられ、聖杯を穢す。
―――君が、セイバーを召喚する。その時まで、君と僕とに変化はない。……………この辺の話はもういいだろう? これ以上言っても最終的には意味が無いし。次は最終決戦の具体的な話に入ろうか」

 また、笑う。その笑顔が、ひどくむかつく。

「さて、この戦いを仕組んで、見てきたものたちはさ、そろそろ飽きてきたんだ。だから、最終決着を考えた。―――――つまり、今までの記憶を共有する君と僕との戦い。それで終幕にしようと思ったわけさ」

「飽きた、だと?」

「彼らに憤慨する気持ちはわからないでもないよ。彼らのせいで………そうだな、例えば間桐桜は何度繰り返そうと穢され続けるんだから」

 こんなふざけた話があるだろうか。ただ、暇つぶしのためにこんな――――

「とにかく、そうやって君と僕との記憶に修正を加えて、さらにはこんな隔離世界まで用意して最後の戦いを演出してくれたわけさ。ご丁寧に勝者にはご褒美まで用意してね」

「ご褒美だと?」

「曰く、「何でも願いをかなえる」だってさ。まったく笑っちゃうよね。結局は聖杯を求めてるのと変わらないんだもの」

 そしてこいつは、さらに笑う。何がそんなにおかしいのか。

「まぁ、ここまでが「設定」。でもさ、今言ったこと全て、意味なんか無いんだよ」

「何―――――?」

「考えても見てごらんよ、平行世界は「平行」しているんだ。そこに順番なんてない。なのに、「その後」という僕らのおかしな存在。
あらゆる平行世界の因果を操作するのに神でもない。そいつは何者さ? いや、神でもそんなことは不可能かもしれない。だというのに今、ここでそういう「事実」がある」

 何を言っているのかわからない。まったくわからない。

 平行世界なんてのはゼルレッチの爺さんの管轄だ。俺にはいまいちどういうことかよくわからない。

「簡単に言うとね。君か僕、「存在したかもしれない」ほかの世界の記憶を共有したもの。そういった設定のために世界そのものがこういう事実を作り上げた、そうとも言える」

 繰り返す。俺には意味がわからない。そもそも他の世界がどうのなんて話は知ったことではない。今ある事実。その程度しか俺には――――

「………………考えることを放棄してないかい?
 まぁ、それはいいや。単純に行こう。
つまりはどっちにしろ、この戦いは避けられない。他の世界なんて関係が無い。ここに干渉したことになってる奴に手なんか届かないし、意味も無い。だからここで殺しあう、それでいいだろう?」

「何故。全部仕組まれてて、それがわかってるって言うんならわざわざそんなことに付き合ってやる理由なんかないじゃないか」

 たとえ、手が出せなくてもそうすることで抵抗できるはずだ

「わかってないね。そういう「運命を切り開く」とかそういうのは、まっとうな正義の味方の仕事だろ。悪そのものの僕にも、君にも当てはまらないさ―――それに」

 なにか、見下しきって様な、諦めきったような表情で俺を見てくる。

「正直、僕はがっかりしているんだ。せっかくセイバーと戦う舞台まで用意してあげたって言うのに、完成させた剣はただの聖剣殺し。まさか僕との対決を控えてそんなつまらないものを創り出すとは思わなかった」

 ――――――?

「ついでにいえば、僕は君とは違う。たとえ居るかどうかもわからない奴らでも、願いをかなえてくれるのは本当だろうからね」

「お前が、何を願うっていうんだ?」

「知ってるだろう? 僕は万人がそう望んだ悪さ。だから、願うのはこの世の滅び、もしくは永久の地獄。そんなところさ。―――――それよりも君はどうなのかな」

「なに?」

「他の君にも言えることだけど、誰が君に戦うことを望んだ? 誰が君に救ってくれって頼んだ? 一体どこの誰が、衛宮士郎なんて正義の味方を望んだのさ」

 誰かに望まれたことなんて無い。俺はただ――――

「衛宮士郎一個人として望んでくれた人はたくさんいただろうさ。でも、その中の誰も、君の正義なんか望んじゃいない。それでも君は正義として戦うんだ。まさに「正義という名のエゴ」の典型だね」

 誰にも個人として望まれず、ただ、「悪である」ということを押し付けられたものが言う。

「誰も望んじゃいないんだよ、君の事なんか。だから、殺されただろう? 裏切られただろう? そんな君が何を望むのさ」

「おれは――――」

「吐き気がするんだよ、君を見ていると。むかついてくるんだ。いつも、いつだって正義であり続け、僕という悪を否定するエゴイスト。誰にも望まれていないのに、いつだって誰かから愛されているずるい奴。消えてくれよ、君なんか。どうせ意味なんか無いんだ。この先に何かがあるわけじゃない。だから死んだって構わないだろう? ただこの世界で「そういう結末だった」ってだけの話。他の世界の心配も、これからの未来のことも気にしなくていい。どうせこれ以上の干渉はないさ。だから消えろよ。もう疲れただろう?終われるんだ。最後に僕の望みを叶えてくれたっていいじゃないか。だから――――消えろよ」

 まくし立て、吹き付けてくる憎悪。それと共に姿を現す、影の巨人。だが、俺は――――

「そうか、安心した」

 聞こえるのは剣を振る音のみ。

それだけ。ただそれだけで、目の前の影。その全てが消え去った。

「な―――――」

「つまりは、お前を倒せばとりあえず終わるんだな」

 こいつの境遇。それはもう変えられないこと。そして、俺はこいつを倒さねばならない。

 こいつの悪を、俺は認められない。その願いも、叶えるわけには行かない。

 たとえ、全て仕組まれ、その上で全てに意味がないのだとしても。

 ここに、今ここにこうしてある事実は、変わらないから。
       ア ン リ マ ユ
「いくぞ、<この世全ての悪>」

剣を構える。青き鞘より抜き放たれた刃の無い赤い剣。

「この世の誰が望もうと、俺がお前の悪を否定してやる」









あとがき

 正直、めげそうだった。

 どうも、先に通報してくださった方に感謝しつつ、こんにちは、破滅666です。

 つまらないとか言ってくれるのは別に構わないんですよ。ただ、それが「どう」「どんなふうに」つまらないのか、そういうことを具体的に書いていただけるとうれしいです。本人的にも反省しているところは多々ありますが、それでもさらに見落としが無いとは限らないので。そういうのが無いと、もうわけもわからずやめるしかないと思ってしまうこともあります。

 オリキャラ云々に関しては反省するしかありませんが、一応読んでいただけているようなので、その方々のためにもここで終わらせるわけには参りません。もうしばし、お目汚し失礼いたします。

 まぁ今回、遂に最大の「やっちまった」をやってしまったわけですが。結局意味がわからない上に無意味、と。………………始まった時点でこの辺は決まってたんでどうしようもないのですが。

 と、残すところ後2話となりました。後少々、お付き合いいただけると幸いです。

 追伸。 そうですか・・・・・・・・・・・・FF7でしたか………ってベルセルク!?

9: 666番目の破滅 (2004/04/27 12:42:37)[ferunesu at yahoo.co.jp]






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第二十二 終局








 剣を一閃するごとに、目の前の影の巨人が消滅していく。

「馬鹿な、そんな剣で――――ただの聖剣殺しがなんで!!」

「まさか、本当にそんな認識しか出来てなかったのか?」

「く、くるなぁぁぁぁぁ!!」

 再び出現する影。しかしそれもあっさり消滅させて見せる。

「この剣は聖剣殺しなんかじゃない。そんな大層なものじゃない。この剣に出来るのは、ただ、悪意を、敵意を持った力を癒し、消し去る。ただそれだけの――――眠りの剣だ」

 ただ、それだけ。剣としてみるならば最低の部類の剣。しかし、この剣ならば。

「だけど、お前にはこれで十分だろう。<この世全ての悪>!!」

 駆ける。アンリマユに向かって。行く手を阻む影を消し去りながら、ただ疾る。

「こ、これらどうだ!!」

 出現したのは、黒いクーフーリン。しかし――――

「大分余裕がなくなってるんじゃないのか?」

 それも、消す。こんなものは―――違う。

「うるさい!! いなくなれ、いなくなれよ!!」

 出現したのは7体。アサシン、バーサーカー、キャスター、ランサー、ライダー、アーチャー、セイバー。

「黒化したサーヴァントだ!! いくら君でもこれは―――――」

「こんなものは――――違う!!」

 そして俺はまた、剣を振るう。





「で、アーチャー。どうするって言うのよ」

 不機嫌な調子で凛が睨んでくる。まぁ、宝石剣を投影して見せたのだから無理はないが。

 影は、全て殲滅した。これだけのメンバーがそろっているのだ。そう時間はかからなかった。

「説明しよう。時間はあるのか無いのか知らんが、急ぐから一度で全部覚えろ」

 言って、まずイリヤスフィールと桜の方に話しかける。イリヤスフィールは心得たもので、既に天のドレス―――大聖杯を制御する魔術兵装―――を纏っている。

「衛宮士郎が現在、どこにいるのかはいまいちわからんが―――――契約は残っているがラインが切れているのでな―――――とにかく、恐らくはここではない何処か。つまりは平行世界とかそういったものに転送されたと見ていいだろう」

「って、アンタそんなもんどうやって―――」

「聞け。アンリマユは第二魔法の使い手ではない。つまり、聖杯の力を利用したか………もしくは聖杯そのものが門になっているとも考えられる。そこで―――だ」

「私が、聖杯の門を開けるのね」

 イリヤスフィールが言う。

「そういうことだ。とはいえ、現在聖杯としての役目を持っているのは桜、君だから、イリヤスフィールは桜を通じて「門」を開くことになる」

「でも、それだけじゃシロウには届かないと思うけど」

「そこで、凛。君の出番だ」

 見ると、深々と溜息をつく凛。

「ああもう、だいたいわかったわよ。聖杯の門から衛宮君のいる場所を検索してそこに宝石剣でつなげろってんでしょ」

「理解が早くて助かる」

「でも無理じゃない? それ。一口に平行世界なんていうけど、一体なんパターンあると思ってんのよ。無数にある世界の中から「ここ」の衛宮君のいる場所とつなぐなんて―――――――――」

「不可能ではない。それに、道しるべならば、ある」

 あるのだ。間違いなく、あの衛宮士郎へたどり着ける道標が。それは―――――

「私自身が、消滅して桜の中に入ればよい。そうすれば、かなりの確立でたどり着けるはずだ」

「ちょ―――――」

「契約のこともある。まず、私がつなげられるのはあの衛宮士郎だろう。このあたりのことは桜に任せることになるが、大丈夫だ」

「そうじゃなくて―――!!」

 俺の胸倉を掴んで睨みつけて来る凛。

「これ以上の説明などない。後は自分たちで何とかしろ」

「あんた、「また」自分を犠牲にするつもりじゃないでしょうね!!」

 ――――――。なぜ、彼女が、「今の」彼女がそれを知るのだろう。まぁ、それはどうでもいい。

「別に。私が、私を助ける。それだけだ」

「あんた衛宮君とは違うって言ったじゃない!!」

「ああ、違う。癪なくらいにあいつと私は違う。だがな、凛」

 なぜ、この少女はこんなにも泣きそうな顔をしているのか。泣くことなど、何もないというのに。

「ここは、私の居るべき世界ではない…………そうは言わない。でも、それでもね、遠坂」

 笑いかける。いつかのように。

「ここは、君たちの世界だ。あの衛宮士郎の世界だ。別に、俺がいてもいいのかもしれない。でも、俺はここにはいられないよ」

「アーチャー……………」

「本来居るべき男をここに戻す。そしているはずのない男が居なくなる。それだけさ。だから、泣くな、凛。私は、犠牲になるわけではない。だから、なんら嘆くことなど無いのだ」

 オレが衛宮士郎に戻ったのは一瞬。でも、それで十分だ。俺は、一振りの剣を投影する。

「もとよりこの世に未練など無いが―――君に泣かれるのは困るな」

 そう言いながら俺は、剣を、胸に突き刺した。

「アーチャー!!」

 泣くなというのに。本当にこの少女は魔術師としては余分なものを持ちすぎる。

「ああ、凛。もしも、もしも衛宮士郎を助けられたのなら、一つだけ聞いておいて欲しいことがある」

「何言ってんのよアンタは!! そんなの、自分で聞きなさいよ!!」

「いや、私にとっては大した意味の無い答えだ。だから、君が聞いておいてくれ―――」

 体が消えていく。最後。最後まで、この少女の顔を、声を心に焼き付けながら、私は―――




 最後の一体。黒いセイバーも消え去る。

「馬鹿な、そいつらは本物だ。本物と同じだけの力が、いや、それ以上の力が与えられているんだ!! それを―――」

「こんな、心もない空っぽの木偶人形がみんなを超えているわけ無いだろう」

 だから、負けない。負けるはずが無い。

「そんな、詭弁で―――!!」

 黒い弾丸が飛来する。それも消す。幾度放たれようと、こんなもので俺は傷つきはしない。

 暗闇なんて何度も見た。何度だってあの呪いの中に飛び込んだ。でも、いつだって見失わなかったものがる。いつだって、忘れられない想いがある。だから―――

「終わりだ―――――アンリマユ!!」

 ただまっすぐに、俺は飛び込んで行った。




 オレは、どこからどこまでが衛宮士郎で、そしてどこからが英霊エミヤだったのだろう。

 境界など無い。全てがオレだ。それはわかる。だが、それでもある。オレと衛宮士郎の決定的な違い。

 それは、絶望を前にしてどうしたかということ。

 奴とて知っている。悪魔とののしられて死んでいった男の最期。そしてその先の絶望も、奴は私を介して知った。

 それでもなお、奴は止まらなかったのだ。

 ――――それが何故、最初から私には出来なかった。

 認めがたいことだが、私にもかつては衛宮士郎と同様にあったはずだ。理想を理想と信じ、ただ、人の為にと在った日々が。

 答えは得た。いつかの凛との約束もある。これ以上私が折れることはない。

 ただ、それでも思う。あの男が、私よりも遥かに多くの絶望を知ったであろうあの男よりも、私が弱かったという事実を、うらやましく思う。

 だから、消えるのはオレだ。ここで奴にリタイアさせるなど、容認することは出来ない。

 奴には救ってきた人間、そして倒してきたものたちへの責任を取らねばならないはずだ。

 あえて、未練というならば、それはやはり、あの少女のことだろうが、それはいい。

 それすらも、所詮は他人事。既に、この身は衛宮士郎ではありえないのだから―――




「残念だね、衛宮士郎。君では僕も、そしてこの間桐慎二も救えない」

 深く。深く突き刺さって剣を眺めながら呟くように聞こえる声。

 剣は、アンリマユに突き刺さった瞬間全ての呪いを消し去った。しかし、傷ついた体も、もはや悪そのものとなってしまったアンリマユ自身も、救うことは出来ない。

「ああ、そうだな」

「ずるい、なぁ……………本当に君はずるい」

「そうかもな」

「でも、なんていうのかな、こんなに晴れやかな気持ちは初めてだよ」

 すがすがしく笑う顔にもはや生気はない。でも、その笑みにはもう、邪悪なものなどかけらも感じられはしなかった。

 赤い剣が、血に朱く染まる。

「僕の負け。結局最後に勝つのは正義の味方、か」

「ああ、それは違う、アンリマユ」

「―――?」

「俺は正義の味方なんかじゃないさ、こうやって結局、お前も救うことは出来なかった」

 出来ることではない。でも、やはり思ってしまう。

 その答えに、おかしそうに笑いかけてくる。

「ふふ、君はさ、欲張りすぎなんだよ。なんだかんだ言って君は人の一生のほんの何分の一かを過ごしただけじゃないか。答えなんてのは、そう簡単に出るもんじゃないよ」

「お前にそれを言われるとは思わなかったな」

「ひどいな、僕は結構真面目に助言しているつもりなんだけど」

「それは悪かったな」

「謝るなよ。僕なんかに謝るな。僕はただの悪役。正義の味方に負けたんなら―――おとなしく消えるさ」

 姿が、薄くなっていく。それでも俺に笑いかけたまま。

「なぁ、一つ、聞いていいか?」

「なんだい?」

「名前、本当の名前はなんていうんだ? まさかアンリマユが本名ってわけじゃないんだろう?」

「………本当に君は意味の無いことばかり気にするね。――――名前、か。ないよ、そんなの。
 僕は生まれたときから悪であるということしか望まれなかった。だから、親も名前なんか付けてはくれなかったさ。
 ――――よせよ、同情なんかいらない。ただ、ひとこと、らしくは無いけど、言いたいことがある」

「なに?」

 完全に消えるその一瞬。その時、名も無き彼は――――

「ありがとう」

 そうとだけ言って、消えた。




 声が、聞こえる。

 ――――勝者よ、望みは何か。

 つまりはこれが、仕組んだ奴ってことか。

 ―――――勝利した正義よ、汝の望み、叶えよう。

「黙れ」

 ―――――――願いを。

「うるさい! 消えろ!! 二度と干渉するんじゃない!! 俺たちはお前らの玩具じゃない!! お前らに望むことなんか何一つ無い!! 消えろ!! いなくなれ!!」

 怒鳴ると、簡単にそいつらは消えて行った。

 ―――――さて。

「どうするかな」

 見渡す限りは闇。アンリマユが消えてから、もはや地面すらないこの世界。

「さすがにこのまま餓死ってのはいやすぎるな」

 というか、この状態で俺は死ねるのだろうか。

 まぁ、どちらにしろ死ぬ気は無いのだけれども。

「帰りたいな」

 まだ、やることはたくさんある。それこそわからないくらいにたくさん。

 やりたいこともきっと、ある。

 でも、とりあえず今は――――

「ちょっと、疲れたから寝ようかな」

 そう呟いて、まぶたを閉じる直前。




 あの、懐かしい光が突如視界を埋め尽くした―――――――




エピローグへ




あとがき

 どうも、重ね重ね皆様、励ましのお言葉ありがとうございます、破滅666です。

 プロになりたい………じゃない、プロ並の文章表現能力が欲しい………

 少し、ある方からメールで質問をいただいたのでこの場を借りて回答を。

 すいません、HPとか作る時間も技術も無いっす。あとPC容量………はかんけいあるんですかね?

 そも、HPを作るほど洗練された作品でもないですし。HTMLで、でか文字とかまともなルビとかにはあこがれますが。

 それはともかく。本当に後はエピローグだけ。それほど更新に時間をかける気は無いのでしばしのお待ちを。

 それでは、みなさん。毎度どうも有り難うござい

10: 666代目村正 (2004/04/27 18:32:16)[ferunesu at yahoo.co.jp]





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エピローグ 終わり、始まる








 ―――――――目を、開く。

 視界に入るのは白い天井。体には、なにやら違和感。

「あ、やっと目を覚ました」

「遠坂――――?」

「うん。わたしの担当のときに起きるんなら上出来上出来」

 そういって、にっこりと笑いかけてくれる遠坂。

「ここは? 担当って?」

「ここは病院。葛木先生の隣の病室。担当って言うのは、まぁ、看病の順番かな」

 言われて、改めて俺の体を見る。

 別途に横たえられた俺の体には幾重にも包帯が巻かれている。額にも。

「すぐに治癒できれば入院する必要なんてなかったんだけどね。みんなそんな余裕無かったし…………ああ、そうだ、アンタ一週間も寝てたのよ」

 つまり、入院させちまったから後は自然治癒に任せないと怪しすぎるから放置ってことか。

「一週間か。長いな…………みんなは?」

 聞くと、遠坂はなにやらごそごそと手元の鞄から何かの書類を取り出し、俺に渡す。

「これは―――?」

「話は順序だてるのが筋だけど、いいことは後に取っときなさい。
それ、時計塔のパスと、諸々の契約関係の書類」

「は―――?」

 何で俺に、時計塔のパスが来るんだ? 遠坂ならともかく――――

「例の二人、時計塔の派遣員も兼ねてたでしょ、それで、あなたの投影した剣とか持ち帰ってて、そのせいで固有結界のこともばれたのよ」

「げ」

 これは早々に逃亡を考えなければならないのではないだろうか。…………欝だ

「話しは最後まで聞きなさい。それで、聖杯戦争の全貌とか、色々と明るみに出て、なんかひと悶着どころの騒ぎじゃなかったらしいんだけど、バゼットとか………何故かうちの大師父とかが擁護に回ってくれて、私達も無罪放免、貴方に関しても、条件付で封印指定は見合わせるそうよ」

「条件?」

「そう。「現在の学園を卒業後に時計塔学府に所属し、魔具、宝具の研究に協力すること」だってさ。まぁ、アーサー王のエクスカリバーをほぼ完璧に再現するような魔術師を利用しない手は無いってところでしょうけど」

 なんか、いやみな調子だ。大体理由はわかってるけど。

「まったく、元々持ってる魔術回路が固有結界専用って、どんな魔術師よ。こっちは色々と苦労してるのに…………特に金銭面で」

「いや、遠坂。愚痴は後でいくらでも聞いてやるから」

「――――言ったわね。たっぷり聞いてもらうわよ」

 む。墓穴を掘ったか? 

ニヤリと笑う遠坂に薄ら寒いものを感じながら、先を促す。

「誰から話すかな………とりあえず、アーチャーだけど、あいつ消えたから」

「…………そうか」

 とくに、不思議には思わなかった。あいつはそういう奴だ。

「それだけ?」

「ああ、うん。ただ、お礼は言っておきたかったかな」

「自分相手にそんなもん言ってどうするのよ………ってまぁいいわ。これは後にしとく。で、次は桜とイリヤだけど、今は倫敦」

「倫敦?」

「そ。イリヤの体、人形に移す作業とか合わせとかでね。桜は、その付き添いというか魔力機関というか…………あの子、聖杯と繋がったせいでとんでもない魔力を保有してるから」

 …………気きずてなら無いようなことを聞いた様な気がするが、まぁ、それはいい。

「遠坂、桜とはどうなんだ?」

「ええ、もう決着はつけたわ。3日ほど大喧嘩したけど。ああ、そのせいで士郎の部屋、半壊したから覚悟したほうがいいわよ」

 …………家で何をやってるのかな君達は。

「ライダーは、使いきれない桜の魔力放出の手助けってこともあって、サーヴァントのまま現界してるわ。今は桜と一緒に倫敦。ランサーは…………なんていうか、サーヴァントっていうより、あれは奴隷よね」

 遠い目で語る遠坂。まて、ランサーになにがあった。

「んで、そのランサーと一緒って言うかランサー連れてバゼットは今回の事後処理とか人形の手配とかしてるわ。………ジェネラルは………もう人形を手に入れてはいるんだけど…………まぁ、見たほうが早いわ。今はあんたの家に居るし」

「いや、なんでさ。ジェネラルってバゼットの秘書とかやるって話じゃなかったのか?」

 一体何の目的で日本に居るんだ?

 本気でわからないという顔をすると、遠坂はなんだかとても諦めきった顔になった。

「はぁ。聞いてはいたけど、あんたって本当にそうなのね」

 何か物凄く失礼な物言いの気がするのは気のせいか。

「とりあえず名目上は監視よ。本人が言うにもとりあえずは「監視」。意味は自分で考えなさいね」

「…………まぁいいけど。葛木とキャスターは?」

「隣。人形のほうは届くの待つってさ。呼ぶ?」

「いや、いい」

 とりあえず今は話すことは無いし。

「柳洞寺の方はあんたが見越したとおり全壊。寺の人たちは今、跡地にプレハブ建てて暮らしてるわ。柳洞君も一緒」

 保険のつもりで避難をキャスターに頼んでもらったんだが。本気で根こそぎ破壊したのか。

 ………一成、すまん。

「なぁ、」

 聞く。遠坂はまだ、一人話していない。

「セイバーはどうなったんだ?」

「ん〜? 会わせる顔が無いってさ」

 それは、つまり―――――

「―――還ったのか、セイバー」

 少し、残念だ。話したいことは山ほどあった。謝らなければならないこともあったはずだ。だが、それより何より、彼女は幸せになれるのだろうか。

「ん………まぁ、還ったことは還ったわね」

「?」

「まーそのうちわかるから気にすることじゃないわ」

 そういっていたずらっぽく笑う遠坂。

 一体、なんだというのだろうか。

 …………ふと、遠坂が真面目な顔になる。

「ね、士郎」

「なんだ?」

「アーチャーからの質問。………というか伝言かな」

「あいつから?」

「うん、言うわよ」

『この結果は、お前にとって最善か?』

「……………」

「ね、どうなの?」

「さぁ?」

「ふざけてるんじゃないでしょうね?」

「いや、そうじゃないさ」

 ただ…………どうなのだろう。

「満足はしてる。たぶん、これが俺に出来た最高の結果だ。でも、さ」

 やはり、助けられなかった人たちはたくさん居る。その人たちのことを忘れてはならない。

「後悔はしていないし、未練もきっと無い。でも、これからも何度も思うよ。もっといい結果が出せたんじゃないかって。もっとたくさん、死ななくていい人はいたんじゃないかって」

 リーズリットとセラ。慎二。もしかしたら言峰や臓硯とも、和解することが出来たかもしれない。それはこれから先、ずっと思い続けることだろう。

 ただ、それでも。

「胸を張って、これだけは言うよ。衛宮士郎は精一杯やった。それだけは…………」

 それは俺の、俺たちの責任。生き残ったからには、先がある。なんでもないところでリタイアするなんて、死んでしまった人たちには申し訳が立たない。

「じゃあ、答えはイエスってことでいいのね」

「どうかな。………睨むなよ。
 精一杯やった。でも、最善。そんな安い言葉で済ませられるほど、安易な結果じゃなかった。アーチャーには悪いけど、妙な質問はするなってところかな」

 まぁ、あいつのことだから、この質問もただの嫌がらせだろう。

 あいつにはあいつの答えが、そして俺には俺の答えがある。それは俺だけのものだ。言葉になんかできやしない。

 そこまで話して、ふうっと溜息をついて、窓から外を見る。

 春は、まだだろうか。雪を見ながら、思う。………と。

「まぁ、いいけどね。―――衛宮君」

「なんだよ」

 笑った。遠坂が。あの、あくま的な笑顔で。

「覚悟、しておきなさいね?」

「うん。まぁ、何のことかはよくわからないけど」

「――――――わかってないわね」

 半眼でぶつぶつと呟く遠坂の顔を眺めながら、おれはもう一度、空を見た。

 とりあえずここで、俺の、俺たちの聖杯戦争はおしまい。これからもまた、何かあるかもしれない。でも、とりあえず今は――――

 ゆっくりと、休息を取りたいかな――――









あとがき

 どうも、長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

 これにて、Fate/All Reload、一応の完結とさせていただきます。

 こうやって見てみると結構残りましたね。士郎、凛、桜、ライダー、ランサー、イリヤ、バゼット、ジェネラル…………セイバーはまぁ、保留ということで。

 一応最期は見えてはいたんですが途中は全てその場の勢いと思い付きって言ったらやはり怒られるのでしょうか。

 特に、ジェネラル、バゼット、桜に関しては完全に思いつきで構成されたわけなのです。申し訳ないことですが。

 最後の最後で、また士郎君は何かよくわからないことを言っていますが、まぁ………表現力の限界が………

 アチャさん、結局戦う場所無かったですね。描写の予定は実は元々無かったです。例えばエミヤコンビVS凛剣、本当にやるにしても士郎の覚醒状況のせいでパワーバランスがどうにもなりませんでしたし。

 結局、彼にはほとんど傍観者的な役割を任せることになりました。

 結局セリフがなかった人、臓硯。あとほかにもいたような気が………

 実はエンディングでの没ネタがあるんですよ。ジェネラルの人形についてですが。

「どこの馬鹿が作ったのか知らないけど、最新技術の粋を結集して開発した戦闘人形とかで、なんでも87の魔術兵装を内蔵してるらしいのよ」

 ………と、こんな感じで。今でも採用の野望はありますが(やめとけ)

 もしくは、別パターンのエンディングとか。こちだとエピローグは通常時間で30年後くらい設定ですかね。士郎時間だと何百年単位ですが(マテ)

 因みに、士郎が最期にボロボロで入院していたのは、もちろんセイバーのせいです(爆)。具体的な話は想像にお任せしますが。

 まぁ、これからのことですが、もしオールリロードの続編、と言うことになったらやっぱり学園編とかでドタバタなのかなぁ………たまにバゼットとかに拉致られたり。

 とりあえず、完全ギャグは私にとっては鬼門くさいですね。「イリヤ様のお人形」とか、あまりのことに放置してしまいましたし。昔はギャグ書いてたほうが楽だったんですけどね………ゴキブリの逆襲とか(わかる人が居たら怖い。ネタもHNも違いますし)。

 長くなりすぎます。ここらで終了を。

 皆様、最期までこのような愚作にお付き合いいただき、時には激励まで下さり、ありがとうございました。これ以上何か書くかは不明ですが、もしも書いたならばまた、お付き合いいただければ幸いです。


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