Fate/stay night again 機銑察憤貮改訂 


メッセージ一覧

1: タケ (2004/04/10 01:09:02)[tamaayu at sweet.ocn.ne.jp]




――数多の剣を内包した剣の丘

そこに、いくつもの剣に貫かれ、止めどなくその血を流しながらも

その男はまだ立っていた

その男の名を衛宮士郎という





「・・・流石に、これ以上は持たないか」

やや自嘲気味に笑う
救える限りの人は救ったはずだった。もうやり残したことはない


切嗣の目指した理想を追いかけて、今日ここまで生きてきた

自らを鋼の剣と化し、いくつもの戦場を駆け抜けた

正義の味方になると決めたこの身に敗北は許されず

ただ、手に届く範囲の人全てを助けたいと思うこの理想は、誰からも理解されなかった

それでも・・・

それでも、助けることが出来た人と、その周りの人が笑ってくれるなら

俺の生涯に意味なんてものは必要じゃなかった

世界が闇で塗りつぶされていく

これが死ぬってことなんだろうか



「ありゃま〜、今回のガイシャさんはボロボロだね〜」

「わーい、ぼろぼろ〜♪」


なんか一瞬袴姿の藤ねぇとブルマをはいたイリヤが見えた気がした
気のせいだ、うん、気のせいに違いない
世界は闇に包まれているのだからそんなものが見えるわけがない
というか、アレが死後の世界だったら俺はまだ逝きたくない


そんなことを考えていたら閃光が世界を貫いた

「・・・・ッ!」

暗かった視界が白で埋め尽くされる
そして、どこからか声が響いた

「契約の時だ、その魂を世界に譲り渡すならば、世界はお前の望みを一つ叶えてやる」

そうか、これが
セイバーが通過していった英霊となる条件ってやつか
ていうか、俺みたいなのを英霊に列して、なおかつ願い事まで聞いていいのだろうか?
昨今は平和だったし、よっぽど英霊と呼べるようなモノがなかったのだろうか?
ちょっぴり、世界に対して同情した



そう

世界が英霊を招き入れるその条件として、その願望を一つ聞き入れる

ここでセイバーは聖杯を手に入れることを望んで、サーヴァントとして聖杯戦争に参加した

だけど、その聖杯は汚れきっていて、彼女はそれを手に入れることを諦めた

そして最後は王として死ぬために彼女の死に場所へと帰っていった

「・・・ッ!」

彼女のことを思い出すだけで胸が締め付けられる

何が未練はないだ、今死のうとしているこの時でさえ

俺は彼女をこんなに望んでいる

なら、俺の望みなんてただの一つしかありはしない

彼女と再び会えるのならば、俺の死後をどのように扱われてもいとわない

「契約しよう、俺の死後は好きにしていい」

「だからもう一度、セイバーに会わせてくれ!」

そして、俺の意識は闇にのまれていった

















胸が痛い



頭がくらくらする、血が足りてない。これは間違いないだろう

「ここは・・・・?」

見慣れていたはずの場所

「この建物は、学校か・・・・?」

壁を支えにしてなんとか立ち上がる

「俺は、たしか死んだはずじゃ・・・・」

そう、俺はあの剣の丘でいくつもの剣を体にはやして息絶えたはずだ

「なんでこんなところに・・・・」

状況が全くつかめない。全ての感覚にフィルターがかかっているような感じがする
フィルターとは言い得て妙だなと内心ほくそ笑む余裕があることだけはわかった
とりあえず、ここをでて今いるところを確かめなきゃいけない
出口が見える場所に向かってとりあえず歩き出す


こつん


足に何かが当たった感触

「これは・・・?」

足に当たったソレをつまみ上げる

「赤い、宝石・・・・」


何かがおかしい


俺はこれを前にも体験したことがあるような気がする
とりあえずその宝石をポケットにしまい込んでまた歩き出す


違和感


俺の来ていた服は物を入れるような場所などあっただろうか
仮にあったとしてもあれだけボロボロになっていたのだ
衣服としての機能を果たしているとはとても思えない


頭が痛い、思考にさっきから妙なノイズがかかっている
ふと、窓に映った自分の姿が目に入った

「っな・・・・!」

そこに映っていたのは、赤い髪をした少年だった
決意を宿した眼差しに、整っている方だと思われる顔立ち
というかコレ、高校生ぐらいの時の自分じゃないか!?

慌てて体を見回してみる
制服の胸に空いた大きな穴
忘れようがない、これはランサーに胸を貫かれた時のキズだ

「ちょ、ちょっと待て?!」

さっきから頭がテンパっている
自分で思いついたことのあまりの突飛さに体がついていってない

とりあえず状況を整理してみよう

1.今の自分の姿は高校生の時の物であるらしい
2.制服の胸にはランサーに刺された時の物と思われる穴がある
3.世界との契約で、俺はもう一度セイバーに会うことを望んだ
4.自分の顔を見て、整っているだとか言ってしまった


・・・4は関係ないか
このことから導き出される仮説は決して多くはない


「まさか・・・!」

・・・思いついた仮説を受け入れるために、心を静かに落ち着ける

「俺はタイム・ストリップしたのか?!」



しっかりまだ混乱していた







――――――――――――――――――
あとがき

傾向とかいろいろ投稿規約破ってました(;´Д`)

2: タケ (2004/04/10 01:09:47)[tamaayu at sweet.ocn.ne.jp]



「まさか・・・!」

・・・思いついた仮説を受け入れるために、心を静かに落ち着ける

「俺はタイム・ストリップしたのか?!」



しっかりまだ混乱していた





Fate/stay night again 機 繕笋霊壱陝






――自宅が学校の側にないことをこのときほど恨んだことはそう無いだろう
俺が懐かしの衛宮邸にたどり着けたのは日付が変わったあとだった

当然、屋敷には誰もいない
これからランサーが襲撃してくることを考えるとその方が好都合なわけだが

「・・・そんなことは、分かっちゃいるんだけどな」

そう、今家に誰もいないと言うことはこれ以上ないほどありがたいというのはわかってる
だけど、久々に藤ねぇや桜に会いたかったってのが本音なんだろう
思わず溜息が出た


自分の体を見回してみる
間違いない、この体はあの時の衛宮士郎のものだ
切嗣の言いつけを守って愚鈍にも体を鍛え続けた少年の肉体だ



俺は、再びセイバーに会うことを世界に祈った
だが、結果として俺はこの時代に戻ってきてしまった
ただ会うためだけならばこの時代に戻る必要はなかったはずだ
なら、俺がもう一度この聖杯戦争で戦うのにはきっと何か意味がある

―――――衛宮士郎がそして切嗣が望んだのはみんなが笑っていられる世界だ
なら、ここで俺が出来ることはただ一つ――――――

「――今度こそは誰も死なせない、誰も悲しませない」
たとえ歪であろうとも、これが俺の正義の味方としてのあり方だから







「――――――!」

天井に付けられた鐘が鳴る
結界内に害意を持った何者かが侵入してきたということだ
クソッ!考え事に時間を取られすぎた
こっらはまだ何一つとして準備が終わってないってのに!


このタイミングで衛宮の家に訪れるのはただ一人
目撃者の息の根を止めるためにやってくる青い鎧を纏った槍兵――――――!!


「――――――」

屋敷は静まりかえっている
その静かな空間に奴の殺気がじわじわと染み込んでくる
俺は奴を迎え撃つために二双剣を投影しようとし――――
「っ――――――!」
痛みが走る
「投影が、出来ない・・・・?」
そうか――――
この体は魔術回路を全く使いこなせていない状態だった
そんな枯れた魔術回路に二双剣を作るほどの魔力を通せるわけがない
そんなことを考えているうちにも居間は奴の殺気に浸食されていく
考えろ、考えろ、考えろ―――
投影することの他に何かこの危機を乗り越える手段はないか――――!
俺に許された魔術は投影と、物を強化することだけ
なら、今俺が出来ることは決まっている
たしか、藤ねぇの持ってきたポスターがあったはずだ。アレなら――――

「――って、無いし!?」

慌てて、周りを見渡すがそれらしき物は見つからない
かわりに『らいが』と書かれたふんどしがあった。というか居間にはそれしかなかった
「なんでさ・・・・・」
泣けてきた
というか藤ねぇ、なんで爺さんのふんどしを持ってくる
どうやら俺の知っている過去とは微妙に異なっているらしい

「いいよいいよ、もう。コレ強化して戦うから・・・・・」
涙の数だけ強くなれるなら、俺はきっと誰よりも強くなれると思った


「――――同調、開始」
あんまり同調したくなかったけど、自身に働きかけるための暗示を変えるわけにはいかない
「――――――構成材質、解明」
綿100%だった
だからどうした
理不尽な怒りを込めて、ふんどしに魔力を通していく
「――――――構成材質、補強」
ふんどしの隅々まで自分が満たされていく感触
―――血潮は鉄で心は硝子、だからこれくらい耐えられる
頬を伝う冷たい液体のことは考えないようにする
「――――全工程、完了」
瞬時にふんどしとの接続を切る
汚れてしまったという事実に身震いした

今、ふんどしの強度は鉄並になっている
俺という支えが無くなっても天に向かってそびえ立つふんどしというのはある意味圧巻だ
案外出来映えとしてはしっかりしてる
これなら多少はランサーの攻撃に耐えられるだろう
「ともあれ、これで――――」

両手でふんどしを握りしめて居間のただ中に立つ
見栄えがこの上なく悪い気がするがそんなこと気にしちゃいられない

今やらなくちゃ行けないことは土倉まで生きて逃げることだ
土倉にいけばまだふんどしよりかはましな武器がある


――――それに、土倉に行けばセイバーに会えるかもしれない

―――俺は再び、彼女を呼び出すことが出来るのだろうか―――


セイバーのことを考えて気がそれた瞬間、天井を突き破って奴が降ってきた――!

「っく――――!」
何とか転がることで身をかわす
無様に畳の上をごろごろ転がる
そのままごろごろ転がって居間の端の壁にぶつかったところで
「オイ、テメェ――」
ランサーに声をかけられ慌てて立ち上がりふんどしを構える
ヤツはふんどしを構えた俺を前にして一瞬何事かと目を見張ったあと、何事もなかったように
「余計な手間を…、見えていれば痛かろうという俺の配慮を無にしやがって」
と言って、けだるそうに槍を持ちかえた








――――――その仕草が

前回よりもけだるそうに見えたのは錯覚であると思いたい――――――








「まったく、一日に同じ人間を二度殺すハメになるとはな」
ヤツはなるべく俺を視界に入れないようにしてそう言った
気持ちは解るけど、こっちは本気で構えてるんだからその態度はないと思います、先生!
誰だよ先生って
何度経験しても命を狙われるというのは慣れられる物ではないらしい
混乱している思考に喝を入れる


依然、居間にはランサーが出入り口をふさぐように立っている

土倉は俺が背にしている窓から行った方が近いからそのことに問題はあまり無いのだけれど
問題は俺がランサーに背を向けて窓から飛び出すのを奴が許してくれるかどうかだ


相対する―――――
といっても相手は微妙に目をそらしているから一方的に見つめているだけな気もするけど


何度目かの溜息のあとヤツはこう言った
「じゃあな。今度こそ迷うなよ、坊主」

ただの一撃で俺の命を奪うことのできる閃光がはしる―――!
だが、甘い!
俺は手に持ったふんどしでそれをなんとかそらした
そらされた槍先は背後の窓を粉々に打ち砕く!

「――――――!」

砕け散る窓
ランサーは信じられない物を見たというような顔でこちらを睨む
―――否、俺の手にしたふんどしを睨む
おおかた、ただの布きれだと思っていたのだろう
予想外のできごとに奴の注意がそれるであろうその瞬間――――

俺は奴自身が割った背後の窓から一気に土倉に向かって駆け出す

駆ける

駆ける

駆ける―――!

「しまっ――――――!」
遅い
土倉との距離は残り5m
このタイミングで追いつけるわけはない――――

だが、俺は大切なことを失念していた
相手ははランサーのサーヴァント
サーヴァント一の俊足を持つ男と言うことを――――

「っな――――?!」
ランサーは一瞬で俺と肉薄すると手に持った槍を横殴りに振るう

「ぐっ――――――!」
手に持ったふんどしでヤツの攻撃を受け止めて背後に
―――――土倉のある方向に向かって跳ぶ
ヤツの攻撃の勢いを乗せて飛び上がった体は
土倉のドアにぶつかり、その鉄の門をを弾け開ける――――!

「は、あ――――――」
肺の中の空気が全て吐き出されるような感覚
背骨が折れるほどの衝撃
体中に激痛が走る
だが、これで―――――
這うようにして土倉に滑り込み、立ち上がってふんどしを構えて周りを見渡す
たしか土倉には親父と使っていた竹刀があったはずだ

どこだ!どこだ――!?

見渡す限りのがらくたの山
藤ねぇの持ち込んだがらくたの世界がそこには広がっている
予想以上の散らかっていたせいで竹刀のある場所見つけるのには数瞬かかった
――それは、衛宮士郎にとって絶望的な時間で、侵略者にとっては十分すぎる時間だった――

ランサーが土倉に入ってくる
「がんばったな、坊主。まさかそいつで迎撃するとは思わなかったぜ」
俺の手にするソレを見ながらランサーはそう言った
「なるほど、微弱な魔力を感じると思ったら魔術師だったってわけだ。惜しかったな、ひょっとしたらマス
ターになれてたかもしれないのによ」
動けない―――
一歩でも動いたらその瞬間奴の槍がこの体を貫く―――
「だが――――、ここで詰みだ」
目の前には槍を突き出す青い鎧を纏う男
――勝てない
英雄としての俺ならともかく
高校生である俺では勝てない
それ以前にふんどしじゃ奴に勝てない
満足に回路に魔力を通すことさえできない今の俺では奴に勝てる何かを作り出すことも出来ない

迫る銀光

その動きがやけゆっくりと見える
もうほんの数瞬でその槍が俺の肉に食い込み、心臓を貫くのがわかる
「――――――――――」
ここで終わるのか
セイバーに会うことも出来ず
誰一人として救うことも出来ずに
なにもかえることができないままで

頭にきた
そんな簡単に俺が死ななくちゃならないなんてふざけてる
そんな簡単に人が死ななくちゃならないなんてふざけてる
何もかもふざけていて頭がどうにかなりそうだ

―――体は剣で出来ている
だから俺は戦うことが出来る
だから俺は誰かを守ることが出来る
だから俺はこんなところで死ぬわけにはいかない
「ふざけるな、俺は――――!」
こんなところでなにもできないまま死ぬわけにはいかない!!!!
閃光が奔る

――熱い
左手が燃えるように熱い
全身の回路に魔力が通っていく
この衛宮士郎の体ではまだでは到達できていなかった領域
”無限の剣製”のための回路にも魔力が通っていく――――

「なに・・・・・・・・!?」
ランサーの槍が俺に届く寸前で横から割って入った何かに弾かれる
ランサーが驚愕の声を出すがそんなこと、今の俺には関係ない
俺はこの何かを知っている
俺はこの何かをふるう者のことも知っている

光の中から現れた少女
それは現れるなり俺に突き刺さろうとしていた奴の槍を撃ち弾き
躊躇することなく奴の懐に踏み込んだ

「七人目のサーヴァントだと・・・・・!?」

弾かれた槍を構える男と、手に持った”何か”を一閃する少女
火花が飛び散る
押し負けたランサーがたたらを踏む

「――――っく!」

不利を悟ったか土蔵の外に飛び出していくランサー
だがそんなものは今の俺には関係ない
俺には少女のことしか考えられない




「セイ、バー――――――」

思わず口をついてそんな言葉が出た

窓から差し込む月光が
銀の甲冑を纏った少女の姿を映し出す

最後まで王の誇りを貫いた少女の
再び会いたいと願った少女の
宝石のように澄んだ瞳がこちらを見据えていた――――――

――その瞳に、俺の姿を映し出しながら少女はこういった――

「――――問おう。貴方が、私のマずっつぅ!?」
噛んだ
「――――問おう。貴方が、私のマスターか?」
言い直した





いろんな意味で台無しだった




――――――――――――――――――
あとがき

前回の投稿の続きです
予想以上の反響に半端な物を書いちゃいけないというのはわかっているけど
俺の文才じゃコレが限界なんだよ・゚・(ノД`)・゚・

ギャグ的展開を無理矢理織り込むために文章がかなり奇妙な方向へ・・・・・・
半端なギャグならいらねぇよという反応が来そうでかなりびびってます(汗

ちょんとギャグを入れる必要はあるんです
絶対的な破壊力を持つサーヴァント同士の戦いは、それこそギャグを入れなければ
どちらかが致命的な傷を負ってしまう。まぁ戦闘以外でギャグを入れる理由にはなりませんね(;´Д`)

キャラの特性(食いしん坊、皮肉、麻婆etc)は原作よりもだいぶ強調されることになると思います
ご了承ください

3: タケ (2004/04/10 01:10:51)[tamaayu at sweet.ocn.ne.jp]




――その瞳に、俺の姿を映し出しながら少女はこういった――

「――――問おう。貴方が、私のマずっつぅ!?」
噛んだ
「――――問おう。貴方が、私のマスターか?」
言い直した





いろんな意味で台無しだった




Fate/stay night again 供 疏鵑瞭争〜




――俺の知っている世界ではライガさんのふんどしなんて無かったし
セイバーが噛んだりすることもなかった
どうやら、この世界は俺の知っている世界と微妙に異なっているらしい
それも当然だ、俺みたいなイレギュラーがいるのに世界だけがそのままなんてのは
いくらなんでも都合がよすぎる
過去の記憶を信用しすぎると足下をすくわれかねない
それだけは心にしっかりとどめておかないといけないな、と
大事な場面で噛んで、顔を真っ赤にしながらこちらを睨みつけるセイバーを見ながら思った――


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

少女は何も言わずこちらを見ている、というか睨んでいる。顔を真っ赤にして


―――――その姿を何と言えばいいのか

土倉の外ではまだランサーが隙あらば俺の命を奪おうとしているこの状況を忘れるほど、目の前の
相手は特別だった


初めて愛した少女
生涯を通して愛し続けた少女
死後を世界に譲り渡してでも会いたいと願った少女――――――

先ほどの恐怖や怒りは何処かに消え、今はただ一つの感情だけが俺を支配する―――

―――うわっ、すっげぇ萌える―――

何度見ても、顔を真っ赤にしたセイバーというのはそそるな、うん
この顔を額に入れて飾りたいと切に願った・・・・じゃなくて!
この状況で俺は何を考えてるんだ?!

自分が嫌いになりそう
一瞬、やたらいい笑顔を浮かべた、赤い外套を纏った騎士の姿が・・・というかアーチャーの姿が浮かん
だ気がした
・・・・なんでさ


「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。マスター、指示を」


セイバー、そしてマスターという言葉をセイバーが口にした瞬間、左手に痛みが走る
まるで左手の甲にに烙印でも押されたかのように、そこには令呪が浮かび上がっていた
あまりの痛さに思わず左手を押さえる


それが合図だったか、セイバーは静かに、可憐な顔を頷かせた


「――――これより、我が剣は貴方と共にあり、私の運命は貴方と共にある
――――ここに、契約は完了した」

思わず顔が赤くなる

前回はそれどころじゃなかったけど、これってまるでプロポーズの言葉みたいだよな、と思考の片隅で思
っている自分がいる

「・・・・・なぜ、顔を赤らめるのですか、マスター?」

セイバーはいぶかしげにそんなことを聞いてくる

こんなこと、答えられるわけがない

「セ、セイバー!そんな些細で取るに足らないことなんて気にしなくていいから後ろ見ろ!後ろ!」

外ではランサーが待ちかまえている
油断の出来る相手ではないことはセイバー自身わかっているはずだ


「わかりました、マスター。この質問は、また後ほど改めてさせて頂くことにします」
そう言って俺に背を向け、扉の外を見る
って結局また質問するのかよ!?


―――扉の外には槍を構えたランサーが立っている


セイバーはためらうことなくランサーへ挑みかかっていった




「―――――――――!」
俺もこんなところで顔を赤くしてぼんやり立ってるわけにはいかない
先ほどの感触
セイバーの召喚と共に体中の、闇の先にある領域の回路にまでも魔力が流れた
いまならきっと―――


「―――投影、開始」


イメージするは弓

セイバーの邪魔をすることなく援護するには剣じゃダメだ
少なくとも今はあの双剣の出番じゃない

「―――投影、完了」
左手に弓を投影する

俺はセイバーを追って外へと飛び出した――――――


響く剣戟

月は雲に隠れ、庭は闇に包まれている

その中で火花を散らす鋼と鋼


打ち合うはセイバーとランサー


神速の槍捌きをもって、相手を圧倒しようとするランサー


迫り来る槍の悉くを弾き返し

相手に切り込もうと一歩前に出るセイバー


―――そのたびにランサーは後退を余儀なくされる


「――――――」

俺は弓を構えじっとその時を待つ


ランサーは俺を相手にした時よりもさらに速い速度で槍を振るう

それも当然だ、先ほどの戦いは奴にとって遊びでしかなかった

だが今は、自らを打倒しえる敵、セイバーを倒そうとその槍を振るっている

振るわれるたびに早くなるその槍の悉くを、セイバーは不可視の剣で打ち払い、あるいは受け流して
ランサーの間合いへと踏み入っていく―――


「チィ―――――――!」

憎々しげに舌打ちをしてランサーが後退する

追い打ちをかけるようにしてセイバーが飛びこみ剣を振るう

槍が不可視の剣を受け止めるその度に、電気のような光が槍を奔る

それがなんであるかは言うまでもない

アレは、視覚出来るほどの魔力の猛りだ

セイバーの一撃一撃に込められた魔力は半端な物じゃない

そのあまりに強い一撃が、相手の武器へと浸透しているのだ

・・・・・・・バーサーカーの剣戟すら受け止めるほどの攻撃だ
あんな攻撃、受け止めるだけでよほどの衝撃があるのだろう


だが、ランサーを苦しめるのはそんな二次的な物じゃない

「卑怯者め、自らの武器を隠すとは何事か・・・・・・!」

セイバーの持つ剣、”風王結界”は視認することはできない

故に、間合いを計ることができない

ランサーの顔に焦りが見え始める

「テメェ・・・・!」

不可視の剛剣を受け止めながらランサーは悪態をつく

だが、セイバーは無言で剣を振るい続ける
まるで、受け止められるのであれば防御ごと押し切ってみせると言わんばかりに―――

「・・・調子に、乗るな―――!」


ランサーは消えるようにして後ろへ跳んだ

セイバーの重い一撃が、振るうべき対象を見失い大地を抉る


双方の距離が開く

改めて剣を構え直すセイバーを睨みつけるランサー



「どうしたランサー、怖じ気づいたのか?止まっていては槍兵の名が泣こう。
なんならこちらから出向いてやろうか―――」

「・・・・は、わざわざ死にに来るか。それは構わんが一つ聞かせろ―――」

「―――貴様の宝具、それは剣か?」


相手の嘘を見極めんと、獣のような目が鋭く光る


「―――さぁ、どうかな。
戦斧かも知れぬし、弓かも知れぬ。いや、もしや焼き串ということもあるかも知れんぞ、ランサー?」
不敵に笑うセイバー

「いや、いくらセイバーでもそれはないだろう」
一応つっこんでみる


「・・・・・・ぬかせ、剣使い」
俺のつっこみは軽く流された
しかし、ランサーがとった間は、奴が俺と同じ気持ちであることを告げていた


ランサーは槍を僅かに下げる

――――――来る

―――弓に矢をつがえるという幻想―――

俺は射るべき矢も持たないまま弓を引き絞る


「?」
セイバーはランサーの態度に戸惑っている

たしかに、奴の構えは一見すると戦意を失ったからのように見えるからな

そんな格好で殺気を放っているのだから疑問に思わないはずはない


だが、俺はあの構えを知っている

―――放たれれば必ず相手の胸を貫く槍―――

それをアイツに撃たせるわけにはいかない

ランサーは完全に俺を舐めている。俺に何かが出来るなんて思っちゃいないだろう

この状況で奴の宝具の発動を止めることが出来るのは俺だけだ

なら―――


「・・・ついでにもう一つ訊くがな。お互い初見だしよ、ここらで引き分けって気はないか?」

「―――――――――」

「悪い話じゃないだろ?あそこで矢もねえ弓を構えているお前のマスターは使い物にならんし、俺のマ
スターとて、姿をさらせねえ大腑抜けときた。
ここはお互い万全な状態になるまで勝負を持ち越した方が好ましいんだが―――」

「断る。貴様はここで倒れろ、ランサー」


「そうかよ。こちらとしてはなかなか面白いモノも見られたし、ここらでお暇しておきたかったんだがな」

ちょっとまて、面白いモノって俺のことじゃないだろうな、ランサー?
そんな俺を無視して二人のやりとりはヒートアップする―――


グラリ、と二人の間の空気が歪む


ランサーの姿勢が低くなる
必殺の構え
槍を中心に魔力が渦を巻く


「宝具――――――!」
セイバーは風王結界を構えランサーを見据える

だけど、アレは注意すれば回避できるなんてもんじゃない

放たれたからには必殺、それがゲイ・ボルクだ


「じゃあな、その心臓もらい受ける――――――」

ランサーが宝具の真名を唱えようとする

だが・・・・


「―――投影、完了」
          ・ ・
俺は構えた弓に二つの剣を
セットする

そして、奴がその真名を唱える前に二つの剣を同時に解き放つ――――――!


「っく―――!!」

「っな―――!?」



放たれた剣の一つはランサーへと突き刺さろうとする瞬間、奴の持つ槍で弾かれ

もう一つの剣はランサーに向かって飛び出そうとするセイバーの足下へと突き刺さった―――!



「マスター!何故邪魔をするのですか!?」
こちらを睨みつけてくるセイバー
殺気とかこもっててかなり怖い

でも、俺が今相手をしなくちゃならないのはランサーの方だ

ランサーは俺を睨みつける、明らかな敵意を持った眼差しで―――

―――当然だろう、宝具の発動を止められたという事実が表すのは一つしかない

「テメェ、どこまで知ってやがる――――――!」

「お前が、俺を殺しに来たのは、宝具を使おうとするところを見られたからじゃないのか?
少なくとも、俺は一度お前が宝具を発動させようとしているところを見ている。
なら、その瞬間を狙って邪魔することだってできるさ」

こともなげにそう言う

「俺は、ここで死ぬつもりはないし、誰かを死なせるつもりもない。
―――だから、この場は引いてくれないか、ランサー?」
ランサーの目を見てそう言う

真実を見極めんと、ランサーの瞳が俺を射抜く

・・・・・・ランサーの目が和らいでいく、どうやらこの場は引き分けということで手を打ってくれるようだ

「だとさ、セイバーのサーヴァント。お前のマスターの意向に従って、ここは退かせてもらうぜ」
ランサーが片手を上げて去っていく

セイバーは何も言わない
じっと俺の方を見て何か考え事をしているように見える

「あばよ、坊主。そういう考え方は嫌いじゃないぜ。

――――――だがな、そんな甘い考えで生き残れるかな?」
ランサーが問いかけてくる

「ああ、こっちにはセイバーがいるからな。一人じゃ無理でも二人なら何とかなるかもしれないだろ?
―――――――――なあ、セイバー?」
セイバーに同意を求めてみる

「へ?え、えぇ、この身はマスターと共にあると誓いましたから」
すると、突然話題を振られて焦ったのか、セイバーは多少つっかえながらも答えた

「面白い奴らだな、お前ら」
ランサーはそういって、一度こちらを見て笑うと
塀を飛び越えて去っていった―――






庭には俺とセイバーだけが残される

セイバーはじっとこちらを見つめていた

「とりあえず、自己紹介をしよう。俺は衛宮士郎っていって、この家の人間だ。」
そう、セイバーに話しかける
「私は、貴方に呼び出されたセイバーのサーヴァントです」
すごく居心地が悪い
理由はわかってる
さっきからずっとセイバーがこちらを見つめ、いや睨み続けているからだ
「そういえば、正規の召喚をしてないけど、魔力の供給できてるのか?」
なんとか、話題を見つけようとして、思わずそんなことをセイバーに尋ねていた
「ええ、マスターから流れ込んでくる魔力を確かに感じます」
―――ということは、今回はまともにレイラインを繋げることが出来たってことだな

「いい、イリヤちゃん?これが世に言うご都合主義って奴よ」

「おお!これが世に聞くご都合主義なんですね、師匠!」

見えてない見えてない!俺はなんにも見えてないぞ!!
偉そうに胸をはる藤ねえも、ソレを師と仰ぐイリヤの姿も見えてない!

――そんなことより、一つセイバーに訂正させなきゃいけないことがある
「セイバー」
「なんでしょう、マスター?」
「それは違うぞ、俺はマスターなんて名前じゃない」
そう俺が告げると
「ではシロウ、と。ええ、私としてはこの発音の方が好ましい」

―――懐かしい感覚
思わず涙が出そうになった
こんなことを彼女に気取られるわけにはいかない

俺は彼女の注意をそらすためにこういった

「セイバーはさっきから俺のことずっと見てたけど、何か言いたいことでもあるのか?」
この質問の効果は抜群だった
「へ?え、あ―――」
まさか気づかれてるとは思わなかったのだろう
セイバーはしどろもどろとなっていた



ふぅ・・・
助け船を出してやらないとな
「聞きたいことがあるんだったらなんでも聞いていいぞ、セイバー?」
それを聞いて、セイバーは安心した様子でこう尋ねてきた

「シロウは、ランサーとランサーの持つ宝具について何か知っているのですか?」
なるほど、俺がランサーの宝具の発動を妨害したから気になってたのか

「ああ、それか。奴はアイルランドの英雄のクー・フーリン。持っている宝具はゲイボルクだ」

「っな――――――」
クー・フーリンとその槍ゲイボルクについて何か知っているのだろう。セイバーは驚きの声をあげた

「戦ってるのを邪魔してすまなかった。でも、ああでもしなきゃセイバーは心臓をゲイボルクで貫かれてい
たからな、しょうがないことだったと思って諦めてくれ」
そうセイバーに告げる
「いえ、サーヴァントの援護をするというのはマスターとして当然の権利です。私は貴方の援護で窮地を
脱することが出来た。そのことに感謝をすれど、恨むようなことなどありません」

なんか、まだ聞きたいことがありそうな顔だ
「遠慮しなくていいぞ、セイバー。聞きたいことまだあるんだろ?」

「―――では、私に向かっても剣を射かけたのは何故ですか?」
今度はそっちか、まぁ、普通は気になるよな
「だってさ、セイバー。何もしなかったらきっとランサー斬り捨てただろ?さっきも言ったけど俺は誰も死
なせたくないんだ。
――――――たとえ、それが敵だったとしても」

―――そう、それがきっと俺がこの時代に戻ってきた理由だから―――

セイバーは呆れてものが言えないという顔になった
「シロウ、貴方の望みは間違っている。自らを殺そうとするものを救うことなどできない」
「だから、俺たちはチームなんだろ?一人じゃ無理でもきっと二人なら何とかなるさ。
なにせ、セイバーは最強のサーヴァントなんだもんな」
そう言ってセイバーに笑いかけた

「む―――――――――」
セイバーがまだ納得いってないのはわかる、でも、それなりに俺の考えを認めてくれたみたいだ

「もう一つ質問してもよろしいですか、シロウ?」

「なんだ、セイバー?なんでも答えてやるぞ?」
なんだろう、もう聞かれるようなことはなかったと思うけど・・・

「話は戻りますが、先ほど土倉の中で、何故顔を赤らめたのですか?」
〜〜〜〜〜〜!?
なんてことを聞いてくるんだ、こいつは!まだそんなこと覚えてたのか!?
「い、言えるわけ無いだろうが!そんなこと!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ
するとセイバーは
「先ほどシロウは、なんでも答えると言いました。それはその場限りの虚言だったのですか?」
なんてことを言ってくる

こういう風になったセイバーがしつこいということは過去で体験済みだ
答えるまできっと許してくれない

俺は、今日何度目かわからない溜息とともにこういった

「―――セイバーが、土倉で誓ってくれた言葉があっただろ?それがプロポーズの言葉みたいに聞こ
えたんだよ。セイバーみたいな可愛い子にそんなこと言われるなんて思ってなかったから、照れただけ
だ」
今度はセイバーが赤くなる番だった
「シ、シロウ!あれはそういう意味ではなくですね。そ、そう!純粋な誓いの言葉なのです!そのような
風にとられては困ります!」
「わかってるって、俺とセイバーじゃ不釣り合いって言いたいんだろ?ただそういう風に聞こえて勝手に
照れてただけなんだから、セイバーが気にする必要はないって」
「い、いえそういう意味ではなくてですね、シロウは私の目から見ても十分に魅力的・・・ってそんなことを
言いたいわけではなくてですね―――シロウ!ちゃんと聞いていますか!?」
なんとか俺をフォローしようとするセイバー
焦っているのが傍目から見てもよくわかる、言動も支離滅裂だ

そんなセイバーを見つめていると、不意にセイバーの顔が引き締まった
「―――シロウ、魔術師とサーヴァントが近づいて来ています
私は迎撃に向かいますので貴方はここにいてください」



――――そう言ってセイバーは、塀を飛び越えていった






――――――――――――――――――――――
後書き

読む人を選ぶであろう第2話です
お話がお話だけに、今回はギャグほぼ一切無しです

戦闘パート難しい・・・
原作者の文を参考にというか、ほぼ丸写しに近いですよね(;´Д`)

次回はついに遠坂さんの登場です!アーチャー?誰それ(何
次回は今回出来なかった分もギャグを盛り込んでいきたいのでよろしくお願いします

ところで、言峰、ギル様の麻婆ネタはパクリになるのでしょうか?
今のうちにご一報頂けると助かります

4: タケ (2004/04/10 01:11:17)[tamaayu at sweet.ocn.ne.jp]



そんなセイバーを見つめていると、不意にセイバーの顔が引き締まった
「―――シロウ、魔術師とサーヴァントが近づいて来ています
私は迎撃に向かいますので貴方はここにいてください」



――――そう言ってセイバーは、塀を飛び越えていった




Fate/stay night again 掘 Double Red Demons〜





魔術師とサーヴァント・・・・・・・・?

「っ――――――――!」

間違いない、遠坂とアーチャーのことだ

迂闊だった
こんな大事なことを忘れているなんて――――!

セイバーは既に塀の向こう側だ


――――手遅れになる前にセイバーを止めなければ


塀に向かって駆け出す


――――全身に満ちた魔力が、四肢を強化していくのがわかる――――


セイバーを追いかけるようにして俺も塀を飛び越えた――――




塀の外に飛び降りて周りを見渡す

「セイバー、何処だ・・・!?」


月が雲に隠れ、あたりは闇に閉ざされている

――――だが、魔力で強化した俺の目には関係ない



「見つけた・・・・!」

人気のない小道に走る





――――それは、一瞬の出来事だった


アーチャーと対峙するセイバー


セイバーはためらうことなくアーチャーへ突進し、一撃で相手の態勢を切り崩し

――――たやすくアーチャーを斬り捨てた――――

「っ――――――――!」

アイツ、さっき俺が言ったことわかってくれたんじゃなかったのか!?

トドメとばかりに腕を振り上げアーチャーの首をはねようとするセイバー

が、刃がアーチャーに触れる寸前、アーチャーは強力な魔術の発動とともに消え失せた


セイバーは止まらない

そのまま、奥にいた遠坂に向かってつっこんでいく


「っく――――、投影、開始!」


相手を倒そうとするセイバーにどれだけ持つか知らないが、ここで止められなかったら遠坂は――――!



――――遠坂が大魔術を放つ、だが、魔術耐性Aのセイバーにダメージを与えることが出来ない



どん、と尻餅をつく音


奇跡的にセイバーの一撃をかわしたものの、遠坂はそれで動けなくなった


セイバーが遠坂を追いつめ、風王結界を突きつける――――

「――――」


セイバーの体が動く
風王結界で、相手の喉を貫こうと――――



「やめろ、セイバーーーーーーーーーー!!!!!!!!」
――――投影、完了

手にした剣で、セイバーの風王結界を弾く

「・・・止めろ、さっきも頼んだだろ、セイバー。人を殺さないでくれ・・・・」


セイバーを見つめてそう言う
――――彼女が本気で遠坂を殺そうとするのであれば、令呪を使ってでも止めなければいけない


「・・・・・・・?何を言ってるのですか、シロウ?」

なんてことを言ってくる
やはり、彼女にとって敵は敵でしかなく、俺の意見は、所詮甘い理想論だということだろうか

「別に、彼女を殺すつもりはありません」

そうか、やっぱり、遠坂を殺すつもりかか、ならしょうがな・・・・って
――――今、かなり意外なこと口にしなかったか?

遠坂も何処か、呆気にとられたような顔をしている

「セイバー、よく聞こえなかった。もう一度言ってくれないか?」
確認してみる

「ですから、私に彼女を殺すつもりはあるません。
――――そもそも、シロウが殺さないようにと言ったではないですか」

おかしい、だってそれはセイバーのしていた行動に矛盾している


「だって、セイバー。アーチャーを斬り捨てて、遠坂――――魔術師に剣を突きつけてたじゃないか」
そう、それなのに殺す気がなかったというのは矛盾している気がする

するとセイバーはこんなことを言ってきた


「峰打ちです」


両刃の西洋剣に峰はないだろう


「いや、西洋剣に峰はないだろう」
つっこんでみた


「作りました」



聞き捨てならないことを言った

「作ったって、まさか片方の刃削ったのか!!?」

伝説の剣をそんな簡単に削ったらまずいだろ!



「・・・冗談です」
セイバーがニヤリと笑う


――――あぁ・・・、セイバーとあかいあくまがだぶって見える――――


なんだかもう疲れてきた・・・・・・
「ちなみに、冗談ってどの辺りから・・・・・?」

「シロウはどの辺りから冗談であることを望みますか?」
不敵に笑う







――――神様、いくら俺が改変を望んだからといってこれは多少酷くはないでしょうか?







俺がそんなことを思っているとセイバーは惚れ惚れするような笑みを浮かべていった

「大丈夫です、シロウ。
私は、貴方の剣となると誓いました。
――――私は、貴方の理想を見届けてみたい。だから、私から誰かを殺すということはしません」

「セイバー・・・・」

――――セイバーが俺の味方をしてくれている

これ以上心強いものはないと思った


「ありがとう、セイバー」
そういって、セイバーの髪をくしゃっと撫でる
絹のようにきめ細かな金の髪が指の隙間から抜けていく

「っな――!シ、シロウ!?」
セイバーが、真っ赤になっている

だけど止めてやるつもりはない
魔術の基本は等価交換
さっきは俺が遊ばれたんだから、今度は俺がセイバーで遊ぶ番だ


――――魔術関係ないけど


「どうした、セイバー?嫌なら止めるぞ?」

「い、いえ・・・別に嫌というわけではないのですが・・・・」
アーサー王として生きてきたセイバーだ
頭を撫でられたことなんてきっと数えるほどもないのだろう
心地よさそうに撫でられるがままにしている

セイバーも嬉しそうだし、たまに頭を撫でてあげようかななんて俺が思っていると――――


「・・・・・・・・・・・・・・・・で、そろそろ話してもいいかしら?」


不意に、尻餅をついていた遠坂が言った


「――――――――!」
とっさに、俺から離れるセイバー

いや、今更離れてもさっきからずっと見られてたんだってば
――――まぁ、俺もかなり恥ずかしいけどさ


遠坂に手を差し出す

「ありがと、衛宮君」

そう言って、遠坂は俺の手を取り立ち上がる

ぱんぱん、とお尻を払って

あーあ、とばかりにふてくされる遠坂


「それで、なんで遠坂はこんなところにいるんだ?」
聞いてみた

すると遠坂は、ギンッと凄い目で俺を睨んでいった

「人が、ランサーに殺されそうになってやしないかと心配できたっていうのに、そういう言い方はないん
じゃない?」

怖ッ
本家あかいあくまの登場だ

ん・・・・?今なんかこいつ、変なこと言わなかったか?

「なぁ、遠坂――――」

「なんで、俺が殺されると思ったんだ?」

「っ――――――――!」
あ、今痛いところ突いたみたいだ
遠坂がしまったっていう顔をしている

俺がランサーに襲われるかもしれないなんて知ってる奴は――――

1.俺が魔術師ということを知っている

・・・・これはないか、聖杯戦争ってののルール上、味方に引き込んでもなんのメリットも無かったと思わ
れる俺を遠坂が助けに来る理由にはならない

2.ランサーのマスター

遠坂はアーチャーのマスターだ。これは絶対無い


3番目の仮説・・・・

――――そうか、そうだったのか

「――――――――遠坂」

「な、何かしら、衛宮君?」

――――3番目の仮説
それは、ランサーに殺された俺を助けてくれた人であるということ

「ありがとう、遠坂」

「あ・・・・」
赤い宝石を差し出す

遠坂が俺の命を助けてくれなかったら今の俺はいなかった



「シロウ、展開が読めません」
セイバーがそんなこと言ってくる

まぁ、セイバーが召喚される前のことなんだから、察するほうが無理だよな


「遠坂はな、ランサーに殺された俺の命を助けてくれたんだよ」

「っな――――――」
セイバーが絶句する

遠坂が顔を真っ赤にして言う

「それは当然のことをしただけなの!いい?衛宮君がランサーの注意を引きつけてくれなかったら私達
がランサーに殺されてた。
――――魔術の基本は等価交換。助けられた命を命で助けることは当たり前なの!!」

「だけどさ、遠坂。聖杯戦争には犠牲がつきものなんだろ?だったら、遠坂が俺を助けてくれる理由は
無かったはずだ。
―――だいたい、あんなところうろついてた俺が悪かったんだし」

「だからさ、遠坂。俺の命を救ってくれてありがとう」

「っ〜〜〜〜〜!」
今度こそ、遠坂は何も言うことが出来なくなったみたいだ
あかいあくまを言いくるめることが出来たのはこれが初めてかも知れない

「・・・・・・・・・・・・・・」
セイバーが何かぶつぶつ言っている

「・・・・危なかった、もう少しでシロウの恩人を手にかけるところだった・・・」

をい

「いや、俺は何も聞かなかった――――」
そうだ、セイバーは誓ってくれたんだ、彼女が自らの誓いを反故するとは思えない
きっと聞き違いだろう、うん






「サーヴァントを連れてたってことは、やっぱり遠坂も魔術師なのか?」
一応聞いておかないとな

「ええ、衛宮君も同じみたいだし、わざわざ隠す必要はないわね」

「――――いろいろ話したいこともあるし、とりあえず中に入りましょう?
立って話すのは疲れるでしょ、衛宮君?」

そういって、ずんずんと門に向かって歩いていく

「いや、正論だとは思うけどさ・・・普通は立場逆じゃないか?」
小さな声で意見を言ってみる
だって怖いし

「何か言ったかしら、衛宮君?」
あくまのほほえみ
さっきの復讐をされてるかもしれない

遠坂は門に手をかける
――――だが

「衛宮君、この門開かないんだけど、何か魔術的な処理でもしてあるの?」
真顔で遠坂が聞いてきた

「そんな高度な魔術使えるわけ無いだろ?たんに閂がおりてるだけだって」
正直に答える

――――あ、しまった――――

そう思った時にはもう遅かった

「なら、衛宮君はどうやって家の中から出てきたのか教えてくれない?」
遠坂の瞳に敵意が混ざる

警戒されてるのがわかる

「はぁ・・・・、その辺りの話も含めて中で話し合おう
――――セイバー、中に入って閂開けてくれないか?」

「わかりました、シロウ」

そう言って、セイバーは塀を飛び越えていく


「洗いざらい、吐いてもらうわよ――――」
優等生モードから切り替えた遠坂が言う






――――夜はまだまだ長くなりそうだ――――






――――――――――――――――――――
あとがき

第三話です。まだ読んでくれてる人が果たしているのでしょうか・・・

ついに、みんなのヒーロー(誤植にあらず)遠坂さんの登場です

バーサーカーとの話も入れるつもりだったのになにやら長くなってしまったのでこれで1話とさせて頂き
ます

だって、性格のちょっとヒネたセイバー書くの楽しかったんだもん(ぁ


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