聖杯戦争  もう一杯  まる17


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1: 微妙 (2004/04/09 03:25:58)[sevenstar_2 at hotmail.com]


「それじゃあな、ギルガメッシュ」

「ふん、ライオンの子供を手に入れたら貴様にも一報入れてやるぞ有彦」

「ああ、お前の恋が実ることを祈っててやるぜ」

ぐっと握手で友情を確かめる

「頑張れよ!ギルガメッシュ!」

「貴様もシエルと言う女を見事落として見せるんだな!」

友と別れ、ギルガメッシュは空港へ向かう
















聖杯戦争  もう一杯  まる17











「兄さん」

「どうした桜ー」

テレビを見ながらお菓子をつまんでいる私のサーヴァント
アサシン・七夜 黄理


「兄さんはなんでサーヴァントなのに怠け者なんですか?」

「それはね、昼間はぼーっと過ごしたいからだよ」

「兄さんはなんでサーヴァントなのにお菓子を食べるんですか?」

「それはね、お菓子が美味しいからだよ」

「兄さんはなんでサーヴァントなのにそんなにもやる気が無いんですか?」

「それはね、面倒臭いからだよ」


「・・・・・・」

このサーヴァント、いらない

「どうした桜、悩み事ならお兄ちゃんが相談に乗るぞー」

ソファーに寝転がりながらやる気の無い声で言う

「そんなに心配するなよ、他のサーヴァントとマスターの当たりは付けといた」

うそくさいわ、心底うそくさいわ

「大体、人殺しは夜やるものだって相場が決まってんだろ?」

私を見て皮肉気に笑い、またテレビに向き直る











「たまには一人になりたいよなー」

公園のベンチでたそがれながら呟く
アルクェイドには黙って出てきた、ランサーに伝言しといたから平気だろう

「秋葉のお小言もなく、翡翠の無言の圧力もなく、琥珀さんの陰謀もなく、アルクェイドのわがままもない
           
                ああ、世界はこんなにも平和だ・・・」

一人忘れてるような気もするが、きっと気のせいだろう、うん気のせいだ

カッポカッポカッポ

目の前で女の子がひずめを鳴らしながら歩いているのも、気のせいだ
なんだかカレーの香ばしい匂いがあたりに立ち込めているのも、気のせいだ

全部気のせいだと信じて、何も無かった様に俺は歩き出す
きっとリアクションを取ってしまったが最後、出て来るだろうから

「平和だなぁ・・・」

何も無かった、さっき居た女の子は幻覚でカレーの匂いは気のせいだ、間違いない









「バーサーカー!何やってんのよ!」

「え?魔術の練習」

黒いローブを纏ってなにやら巨大な壷で変なものをグツグツ煮ている
私のサーヴァント、バーサーカー

「どこが魔術の練習よ!」

「マスターが教えてくれないから独学でやってみようかと思って」

そう言いながら巨大な壷にトカゲの尻尾などを入れている

「止めなさい!それ臭い!」

「酷いマスター!私が折角作った魔術師になれそうな薬に臭いだなんて!」

まさかバーサーカー、それを飲んだりするつもりじゃないでしょうね
魔術師になる前に死ぬわよ、ソレ

「とにかく!そんなんじゃ魔術師になんて絶対なれないからそれ捨てなさい!」

「じゃ、一口だけ飲んでからね」

「ちょ!死ぬから止めなさい!」

見ていられずバーサーカーを壷から引き剥がす、つもりだったのだが



うっかり突き落とした


「・・・・ご、ごめんバーサーカー」

「マスター、これ不味い・・・」

緑色の液体に身を包んで呟くバーサーカー
見た目で分かるでしょう

「リン、さっちん
 シロウが重要な話があるとかで呼んでますよ」

「今行くわ」

「私その前にお風呂行ってくる」

「さっちん、なんだか臭いですよ」

「・・・・」












居間に着くと、姿勢正しく正座した衛宮さんが居た

「さて、話を始める前にコレを見て欲しい」

そう言って一冊のノートを取り出す
文字は私が来た日付から真っ赤だった

「これって家計簿?」

「その通りださっちん」

「赤い文字にはどういう意味が?」

「お金が足りてないって事よ・・」

マスターがセイバーさんに意味を教える
端的だがそれで十分だったんだろう、セイバーさんはこのノートの意味を悟ったみたいだ

「見ての通りだ
 申し訳ないがこれ以上貯金を崩すわけには行かない
 そう言う訳でさっちんとセイバーにはバイトをしてもらう」

「マスターはバイトしなくてもいいの?」

「食費を徴収する」

「・・・魔術の教義代って事じゃ駄目なの?」

沈痛な面持ちで尋ねるマスター
食費くらいポーンと出してあげればいいのに

「そろそろ限界、もうあんまり教わる事ないし」

「シロウ、戸籍も無い私達を雇ってくれる場所があるとは思えません」

セイバーさんが正論を言うが

「セイバー、バイトの履歴書なんて何とでも誤魔化せるんだ」

正義の味方の黒い部分はそんな正論さえも踏み潰した
それじゃ、と言って立ち去る衛宮さん
ふと、何かを思い出したのか私達に向き直り

「さっちん、なんかすごい匂いがするぞ」

嫌な一言を残して去っていった







「いらっしゃいませ」

喫茶店アーネンエルベでバイトする事になった私とセイバーさん
目の前でお客さんの注文を取るセイバーさん、何とも可愛らしいウェイトレス
私は日が当たったら駄目なので皿洗い

・・・・別にいいけど、私もウェイトレスやりたかった

ちなみに私の履歴書は年齢20で東京大学出身のエリートと言う事になっていた
マスターが面白がって適当に書いたせいだ・・・
東大の生活について聞かれるのは困る、知らないし


「いらっしゃいませ」

セイバーさんの綺麗な声が店に響く

「すまんのうお嬢ちゃん
 目が見えんから抱っこして席まで連れてってくれんか?」

・・・・あのお爺ちゃん凄く見覚えがある

「目が見えなかったらここまで来れないでしょう」

セイバーさんの的確な突込みが飛ぶ

「クカカカカ!
 お嬢ちゃんの匂いがワシをここまで導いたんじゃよ!」

こっちを向いて嫌な事を叫ぶお爺ちゃん
厨房の奥へと逃げる私

「逃げても無駄じゃぞ!
 お嬢ちゃんがワシの孫になるまでワシは諦めんぞい!」

バグシャ

もう見えなくなった客席から鈍い音がした

「店長、コレどうしますか?」

「摘み出しておけ」

「分かりました」

セイバーさんありがとう

「待て!わしは客じゃぞ!注文も聞かずに放り出すのがこの店の流儀か!?」

お爺ちゃん、
貴方の存在自体がこの店にとって凄く違和感があるという事に気付いて

「・・・仕方ありません、ご注文はなんですか?」

「水」

こっそり見ると
店長がコップの水をお爺ちゃんにぶちまけた後
今度こそ完璧なまでに叩き出していた




「お疲れ様でーす」

「はいお疲れさん、また頼むねー」

「さっちん、急ぎましょう
 一応私達はネロ・カオスに狙われているんですから」

そういえばそうだった、日が暮れる前に帰らないと
日傘を差して急いで家へと帰る






「ただいまー」

「志貴遅い!どこ行ってたのよ!」

ホテルに戻るとアルクェイドが頬を膨らましていた

「ちょっと買い物だよ」

「今は危ないんだからフラフラ出回っちゃ駄目じゃない!
 日が暮れるようなら探そうと思ってたんだから!」

危ない?サーヴァントの事でも言ってるのか?

「サーヴァントだったら狙われるのはお前かランサーだろ?何で俺が狙われるんだよ」

「う、それはそうなんだけど・・」

なんだか隠し事してるみたいに見える

「隠し事でもあるのか?」

「どうでもいいから、夜は危ないから出歩いちゃ駄目!
 サーヴァントは私とランサーでやっつけるから志貴はここに居て!」

アルクェイドはいつに無く真剣だった
珍しいな、こんな真剣なのは

「志貴、返事!」

「解ったよ、お前も無茶するなよ」

頷いておく、何言っても聞かないだろうしな
そうするとやっと安心したようにため息を付くアルクェイド
やっぱり隠し事してるんだろうなぁ

「じゃ、サーヴァントと戦う二人に美味しいものでも作って待ってるよ」

「うん、ラーメンお願いね!にんにく抜きで!」

そう言って部屋から飛び出すアルクェイド
「俺のラーメンはにんにく入れてもいいぞ」と言って後についていくランサー

窓の外でカラスが一声鳴いて、どこかに消えた






燈子が何本目かのタバコの吸殻を捨てる

「タバコのポイ捨てはよくないぞ、燈子」

アーチャーがまたどうでもいい事を言っている

「気にするな、それよりまだ来ないのか?そのサーヴァントは」

「まだ一人も戻ってきていないな」

一度屋敷に近づいてみた所サーヴァントの気配がまるで無かったので
近場のビルの屋上で監視中と言う訳だ

「それにしても良く見えるな」

「アーチャーだからな」

こいつも変な目を持ってるのかな?
私の目ほど妙な目って事は無いだろうけど

「二人、来たぞ」


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