その身は、剣で出来た聖剣の鞘 第二部第二話 Mセイバー他 傾シリアス


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1: kouji (2004/04/08 13:07:06)[atlg2625dcmvzk84 at ezweb.ne.jp]

第二話「状況整理、彼らについて」

7??視点

ゾブリという感触とともに、わたしは放り出された

「………………」

頭を振って気を確かめてから、周囲を確認する
どうも、大聖杯のあった地下洞窟の中らしい

ふうと大きく息を吐く、
洞窟の中のよどんだ空気だが、先ほどまでの息苦しい泥の中よりは幾分マシだ
さて、どうしようか?

ただの放し飼いとは言え、一応の自由は手に入れた、
取りあえず外にでも出てみようか?

「あ…………そうだ、
士郎、どうしてるだろう?」

ふとつぶやく、あれ?
士郎って誰のことだっけ?

―――あ、そうそう、士郎だ、衛宮士郎
どうしてるのかしらね、あいつ?
………………あれ? え〜っと
もう死んでなかったっけ? 五年位前に…………
ちがったかな?

「―――■■、気をしっかりもってください、
でないと―――された■■■■■の―――に
――――されてしまいます」

傍らから誰かの声がする、
振り向くと、白い顔の少女が立っていた

「大丈夫よセイバー、わたしは『私』だから」

「…………なら、いいのですが」

安心したのか、彼女は頷くと、所用があると言ってどこかへ行ってしまった
うん、あの子も心もち顔に表情が出るようになったみたい、
正直、あの能面は勘弁して欲しかったものね…………

さて、私はどうしたものかな?
予定通り、外にでも取りあえず出てみようか?

あぁ、ところで今気がついたんだけど…………

――――――わたしって、『誰』だったんだっけ?



8士郎視点

家に帰るとアーチャーそっくりのヤツがいた

「私のクラスはマイスター、『創り手』だ、アーチャーではない
まぁ、間違えるのも判らなくは無いが」

驚いた俺たちに、そいつはそう答えた

「可能性を論じるのであれば、『英雄エミヤ』と呼ばれる存在が、
アーチャー一人である必要は無いんだよ、現に私は、アイツとは違う答えを得た」

キッチンで紅茶を入れながらそう言う、
それにしても、一応は英霊なのに、なんであそこまで家事が似合うんだろうな?
我ながら疑問だ

「そうか、現にアーチャーと士郎は既に別人なわけだものね」

納得して頷く遠坂

「ここに戻る間までに判ったことだけど、
ランサーも、私たちの知ってる『ランサー』とは別人だったみたいだしね」

「あぁ、俺がやられたのは教会の地下だった」

遠坂の言葉を受けて答えるランサー、
なんでも、俺とセイバーを見逃してギルガメッシュに挑んで敗れたとか

「あれ? それってアーチャーの記憶と一致しないか?」

「そうね、少なくてもほぼ同じ展開だったのは確かね」

遠坂が俺の疑問に答える

「ところでさ、再利用なのにクラスって変わるわけ?」

「あぁ変わるぞ、
サーヴァントシステムに合わせて再度配役してる訳だからな、
ほかに該当するクラスがあれば場合によっては変わる」

遠坂の質問をうけてマイスターが答える

「そうだな……
凛、アーチャーの該当条件は何だった?」

「えっと、……弓の腕?」

マイスターの問いに遠坂が首を捻る

「遠坂、それだとギルガメッシュが該当しないぞ?」

「そうですね、お爺様は確か『遠方への物理攻撃能力の有無』だと言っていました」

すかさず突っ込みを入れる俺と桜

「正解だ桜、『剣士(セイバー)』や『槍兵(ランサー)』と違い、『弓兵(アーチャー)』は遠距離攻撃ができれば弓である必要は無い、
同様に『騎乗兵(ライダー)』 は一定以上の騎乗能力があれば良いし、
『魔術師(キャスター)』はある程度以上の魔術が使えればいい」

「バーサーカーにいたってはその辺も特に無いしな、
強いて言うなら、その伝説上発狂した経験のあるやつのほうが相性がいいってことぐらいか」

極端な話、ルーンマスターであるクーフーリンが、キャスターに該当しても別におかしくはない訳だし、
技量が上がればエミヤだってセイバーやランサーに該当するわけだ

「そもそもアイツがアーチャーだったのは、他のクラスの該当条件を満たせなかったせいであって、
弓が一番得意だったわけじゃない
まぁ、技能があれば該当するわけなんだから、
実の所、クラスってのは、そいつの使える技能の一部しか現してないんだ」

「そうだな、宝具にしたってセイバーだから『剣』の宝具って訳でもないだろうし、
ギルガメッシュはそもそも『弓』なんて陰も形も使っちゃいなかった」

だいたいアーチャー自身、弓なんてほとんどカッコだけだったしな、
遠坂のヤツ、そこのところ覚えてないのか?

「う、なによ、みんなして人の揚げ足とらなくてもいいじゃない、
ちょっと忘れてただけなんだし」

「自分のサーヴァントのことを忘れるなんて馬鹿じゃないのリン」

それまでマイスターの用意した茶菓子に舌鼓を打っていたイリヤがそう言った
…………遠坂のヤツ、とどめ刺されてるな、仕方ないけど

「さて、われわれに関する情報の整理がついたところで、
―――衛宮士郎、敵について判ったことを教えてもらおうか?」

こういうとこの切り替えの早さって、ほんとアーチャーそっくりだよな、こいつ……

「ん、わかった、そうだな……」

俺は頷いて、『敵』について判ったことを話し始めた



9士郎視点

翌日、俺たちはひとまず普通に学校に来ていた
時間はもう既に放課後

「いい?
どういうわけか知らないけど敵の狙いはアンタなんだから、
勝手にうろうろせずにまっすぐ家に帰ること!
いいわね?!」

と、遠坂に釘を刺されてしまったので、仕方ないからおとなしく家に帰ることにする

ところが、

「…………あっ」

なんとなくそんな気がしていた、根拠なんか何も無いけど……
彼女は校門の影に、まるで隠れるように遠慮がちに立っていた

「セイバー」

「シロウ……」

昨日と違い、特に怪しい所の無い、普通の洋服姿だ
まぁ、それでもこの、病的に白い肌と金色の瞳は目立つだろうけど

俺に気がついて、慌てて逃げようとする彼女の手をとっさに掴む

「つっ!」

だが、悲鳴を上げたのは俺の方だ
武装こそしていなかったが、膨大な魔力が抑えきれずに彼女の周りで薄い霧になっている
その中にかすかに混ざった『呪い』に手を焼かれ、俺は思わず手を引っ込めた

「シロウっ!」

振り返って立ち止まり俺の名を呼ぶ
無表情のはずの彼女の顔に微かに苦悶が浮かんでいた、
あぁ、やっぱり彼女はセイバーだ、
例え、俺とは違う『衛宮士郎』にとってのだとしても

「少し、話をしないか?」

“だからこそ助けたい”
そう思って俺は彼女に声をかけた

そして、

「結局、『私にとっての衛宮士郎』はそうして彼女に飲み込まれてしまいました」

場所を移動して、『彼女にとっての聖杯戦争』の顛末を俺は聞いていた

「シロウは彼女を助けるためにきたはずで、私はただの敵のはずでした、
彼が取るべきだったのは、私を見逃すことではなく、あそこで止めを刺すことだったのです」

搾り出すようにセイバーが言う

「そうか?
確かに結果的には悪かったけど、『衛宮士郎』としては間違ってないと思うぞ俺は」

「シロウ!
貴方は私の話を聞いていたのですか?!
全てを救うことなど出来ない、犠牲が出るのは仕方が無い、
あの時、私は切り捨てられてしかるべき存在だったんです!!」

俺の言葉にセイバーが怒鳴り返す、
無表情に怒鳴るってのもすごいけど、なんか切れやすくないか?
カルシュウム足りてないのかなぁ?

「お前こそ俺の話聞いてたか?
俺は『衛宮士郎として間違いじゃない』って言ったんだ
お前の言うことは正論だよ、それは間違いない
でもなセイバー、その選択が例え正解だろうと間違いだろうと、
そこで『セイバーを助けたい』と思うのは『衛宮士郎』として当然の行動だと思うぞ?」

そう、現実問題として正解かどうかではなく、『衛宮士郎として正解かどうか』を聞かれれば、
その『衛宮士郎』がとった行動は、別に間違いじゃない

例え、正義の味方じゃなくて、たった一人の『誰か』の味方になったって、
それが例えセイバーでも遠坂でも桜やイリヤや藤ねぇで無くても、

「同じ状況だったら…………
もしその『衛宮士郎』が俺だったら、
―――やっぱり俺は、同じ事を選択すると思う」

それに俺は、たった一人の『誰か』に、きっとセイバーを選ぶ、
それでも、遠坂やイリヤたちが苦しんでたら黙って見過ごせない

「きっとなかには、セイバーを『殺して』その『彼女』を助けた衛宮士郎も、
確かにいるんだと思う
でもなセイバー、その『衛宮士郎』だって、最後の一撃を振り下ろす、その瞬間まで
きっと迷ってただろうし、その先もずっと、振り下ろしたことを背負い続けると思う、
十年前に犠牲に―――見殺しにしてきた人たちと同じように、
『今の自分の幸せは、セイバーの犠牲の上にあるんだ』って」

「―――シロウ…………」

だって、衛宮士郎はそうやって生きてきたんだから、
それだけが『俺』にできることだから

そのまま暫く話をして、俺たちは分かれた
俺のなかにはもう鞘は無いけど、それでも、やっぱり彼女を助けたいと思う、

「だってセイバーだもんな、俺、アイツにはあんな顔なんてして欲しくない」

それはきっと、俺の我侭で、彼女はそんなことは望んでないのかもしれない
いや、現に望んでないのだろう

「だったらいいさ、俺が勝手に意地になるだけだ」

『俺のセイバー』の時もそうだった、だからまた、そうするだけだ

「あれ? ところで俺、
なんで中央公園なんかに来てるんだ?」

気がつくと新都の中央公園に来ていた、おかしいな?
家に帰るはずだったのにまったくの正反対じゃないか

「あいかわらず、セイバーには甘いのね、貴方」

「えっ?!」

何処からともなく声をかけられて、俺は辺りを見回した
ざわつくような気配を感じる―――
いた! 赤黒いローブに身をくるんだ女、あれは―――

「キャスターか……
その様子だと、ネーヤに取り込まれたヤツみたいだな」

どことなく、あのセイバーと同じ感じがする、
でも、何か変だ、それ以外にも何か別物のような気がする
そう、それも極めて近い誰かのような

「ええそうね、
それにしても久しぶりね―――衛宮君(坊や)」

ローブの影から微かに見える口元がつりあがる、
あれ? やっぱり変だ、あの笑みは、キャスターの笑みとは違う、
あれではまるで―――

「早速で悪いけど…………
殺してあげるわ―――衛宮士郎」

言いながら
ローブの下からキャスターが左腕をかざす

「な?! それは―――」

そこには何故か、俺の良く知っている人物の『それ』と同じ物が

――――――遠坂の腕に刻まれている物そっくりの、『遠坂家の魔術刻印』が浮かんでいた


















用語集
(独自設定に関する説明および言い訳)


マイスター(サーヴァント)

アーチャーと違い、此方は凛ルート後の士郎が英霊化したもの、
能力はアーチャーとほぼ変わらないが、性格はやや士郎よりのようだ
ギルガメッシュからイリヤを助けられなかったことを悔やんでいる節がある

マスター:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン
真名  :エミヤシロウ
性別  :男性
身長・体重:187僉Γ沓賢
属性  :中立・善

筋力D 魔力B
耐久C 幸運B
敏捷C 宝具??

能力
対魔力:D 一工程による魔術行使の無効化、魔力避けのアミュレット程度の効果
        特に性能に変化なし

単独行動:B マスターなしで行動できる能力、
       ランクBならば二日は限界可能

道具作成:B 護符(アミュレット)等の作成能力、ランクは高いが、本人の能力のせいで、
作れるのは簡易魔術の効果を持つ短剣などのみ、ただし、ランクC以下の刀剣であれば、
宝具にすら付加価値を加えられる

詳細:アーチャーに勝ち、遠坂凛に支えられて別の道に行き着いた
衛宮士郎の可能性の一つが英雄化したもの
   

技能: 千里眼:C 視力のよさ。
    遠方の敵の捕捉、動体視力の向上
    ランクが上がれば、透視・未来視さえ可能にする

    魔術:C− オーソドックスな魔術を習得、
ただし、刀剣類の投影に限り(A+)扱いとなる

心眼(真):B 修行、鍛錬によって培った洞察力
窮地において
自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、
その場に残された活路を導き出す“戦闘理論”
逆転の可能性が1%でもあるのなら、
その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる

宝具:固有結界「無限の剣製」 心象世界による現実への侵食、
視認した武器を、1ランク下の武器として複製する

防具も可能だが、その場合は、通常の二〜三倍の魔力を消費する

ランク:E〜A+
種別:??????
レンジ:??????
最大捕捉:??????


黒セイバー
ほぼそのまま桜ルートの黒セイバー、と言うより本人
能力はそのままだが、ネーヤの『アンリマユ』は変質しており、
その為か、素のセイバーの面影が時折顔を出す、ちなみにバッドエンド後の為、
彼女にとっての『衛宮士郎』は既に死んでいる

マスター:ネーヤ
真名  :アルトリア
性別  :女性
身長・体重:154cm 52kg
属性  :秩序 悪

筋力A 魔力A++
耐久A 幸運C
敏捷D 宝具A++

能力
対魔力: B 魔術発動における詠唱が三小節以下のものを無効化する、
      大魔術、儀礼呪法等をもってしても彼女を傷つけるのは難しい
      ……闇属性に染まっているため対魔力が低下している

騎乗:− 騎乗スキルは失われている

詳細:ネーヤの連れているセイバーの可能性の一人、
   魔術炉心に本来以上の魔力が供給されている

技能: 直感:B 戦闘時、常に自分にとって最適な展開を“感じ取る”能力
         不安定な情緒を無理に安定させている為、直感が鈍っている

    魔力放出:A 武器、ないし自身の体に魔力を帯びさせ、
瞬間的に放出することによって能力を向上させる
膨大すぎる魔力は、彼女が意識しなくても濃霧となって身体を覆う
黒い甲冑と魔力の余波のお陰で、防御力が格段に上昇している

    カリスマ:E 軍団を率いる天性の才能
           団体戦における自軍の能力を向上させる
           統率力こそ確かに上がるが、兵の士気が著しく低下する

宝具:『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』
       人造による武器ではなく、星に作られた神造兵装
       聖剣と言うカテゴリーにおける最高位
       持ち主の魔力を『光』に変換し、収束、加速させ、神霊レベルの魔術行使を可能にする
       放出される魔力は桁違いだが、通過した対象を両断する『究極の斬撃』である
正面の『光の断層』が本来の威力であり、残りは全て余波である
       闇属性に染まっているため、剣の光も黒色となっている

ランク:A++
種別:対城宝具
レンジ:1〜99
最大捕捉:1000人


キャスター(サーヴァント)
ネーヤが用意した魔術師のサーヴァント、
その正体は、彼女に喰われ、改造された■■■
マスター:ネーヤ
真名  :
性別  :女性
身長・体重:160cm 49kg
属性  :混沌 悪

筋力D 魔力A+
耐久D 幸運E
敏捷C 宝具A+

能力
陣地作成:A 魔術師として自分に有利な陣地を作り上げる
       “工房”を上回る“神殿”を形成することが可能

道具作成:A 魔力を帯びた器具の作成
       擬似的ではあるが不死の薬さえ作りうる

魔力流動:B 


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