聖杯戦争  もう一杯  まる16(M 式   傾 普通


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1: 微妙 (2004/04/07 20:50:19)[sevenstar_2 at hotmail.com]


家に帰ったらマスターに頭を引っ叩かれた
怪我人には優しく、と主張したところ
顔に悪戯書きまでされた
挙句礼呪まで使ってマスターの家の魔方陣に監禁されている
礼呪の命令は傷が一通り治るまで魔方陣から一歩も出るなとの事


・・・・退屈


せめて本くらい、と縋り付いた所
なにやら胡散臭い魔術の本を大量に置いて行った


・・・・退屈で死ぬかも、私











聖杯戦争  もう一杯  まる16










「で、ネロ・カオスは倒せたの?」

体から不機嫌オーラを滲ませながらリンが言う

「どうでしょう、さっちんの事を優先したので
 死亡を確認したわけじゃありませんし・・」

「何よ、エクスカリバーまで使ったのになんだか歯切れが悪いわね」

リン、まだランサーがだらだらしているのにそう言うことを言わないで欲しい

「お前アーサー王だったのかよ?うわ、似合わねー」

リンの拳がランサーの顔面に炸裂
黙ってなさいという意思表示なんだろう、少々過激ですが

「何と言うか、全力で放ったつもりなんですが
 少し威力が弱かったような気がするんです」

そう、なんだか良く解らないがちょっと弱かった気がする
まぁほんとに全力だったら大惨事だったから結果オーライのような気もしますけど

「ふーん・・もしかしたらバーサーカーが何かしたのかもね」

「なぁ、遠坂
 さっちん退屈してるだろうし、ちょっと差し入れしてくる」

「私も頑張ったんですが・・?」

「あー、ちゃんとセイバーの分も作ってあるよ」

ほら、とシロウがお盆を差し出す

「シロウ、助かります」

とりあえず考えるのは今度にして食べることにした
うん、美味しい
これだけでエクスカリバー3発は行けそうです

「ねぇ、セイバー。貴方初めて会ったころからどんどん馬鹿になってってない?」

リンの言葉は記憶から消すことにした
細かいことを気にしていたら生きていけませんから










コンコン、とノックの音がする

「どうぞー多分開いてるよー」

「こんばんわ、差し入れ持って来た」

衛宮さんがお弁当の箱を掲げて挨拶する

「ありがとう、暇で暇で死んじゃう所だったよ」

「って、もう腕治ってるのか」

「うん、なんだかここに居るとあっと言う間に治っちゃうみたい」

流石吸血鬼の体、こういうときは便利だよね
読んでいた本を脇に置いてお弁当を受け取る

「けど腕が治ってなかったら衛宮さんが食べさせてくれたのかな?」

ふふー、と笑ってからかってみる
顔を真っ赤にて困ってる衛宮さん、遠野君と話す時もこれ位余裕があったらなぁ

「そ、そういえば何読んでたんだ?」

「んー?なんだか魔術の本とか読んでたんだけど」

こないだまで普通の女子高生やってた私に解るわけも無く
お手上げポーズで全然解らないと示す

「まぁ、そんな簡単に魔術を覚えられたら俺の立場無いしな」

「そういえば衛宮さんってどんな魔術使えるの?」

剣を作ってもらったけど
それ以降は何も見ていない

「そうだな強化と投影、じゃこの肉じゃが強化してみるか」

「ううん、なんだかどうなるのか解った気がするから止めて」

ちょっと不幸に敏感になった気がする

「・・・そう?」

ちょっとがっかりしたように言う衛宮さん
悪いけど強化された肉じゃが食べる気もないし

「じゃ、代わりに少し魔術教えてくれないかな?」

「俺に教わるより遠坂に教わったほうがいいぞ、確実に」

「うーん、マスターなんだかスパルタっぽいから嫌かも」

「そうか?俺も遠坂に教わってるけど結構いい師匠だぞ、あいつ」

そりゃマスターも人の子だから衛宮さんには優しくなるだろうけど
・・・
うーん、やっぱり私には厳しくなりそうな気がする

「まぁ、暇だしマスターに習うのもいいかな?」

「遠坂に伝えておく、それじゃまた明日」

そう言って衛宮さんが出て行った
ご飯食べ終わったらまた暇な時間だ

テレビくらい置いておいてもいいと思うんだけどなぁ
















朝、吸血鬼にとってはこれから寝る時間


で、

何でか私は衛宮さんの家で朝ご飯を食べている訳で

「どうでもいいけどちょっと治るの早すぎない?」

「俺も前はそんな感じだった気がするけどなぁ」

「シロウ醤油取って下さい」

居心地いいなぁ、この家

「で、弓塚さん?いつまでここに居るのかしら?」

藤ねぇさんがギロリと私を睨む

「衛宮さんのご飯がまずいと感じるようになるまで」

本音を言ってみた
そしたら何やらマヨネーズを振りかざす藤ねぇさん


「そいやああああああああああ!!」

にゅーーーーーーーーーーーー

「ああ!味噌汁にマヨネーズ入れないで!!」

器からマヨネーズがあふれ出しもうなんか凄いことになってる

「大河!ご飯を粗末にするなど許せません!」

突然抜刀して凄いメンチを切るセイバーさん

「なにようセイバーちゃんまで弓塚さんの味方するって言うのー!?」

涙目で仲間を探す藤ねぇさん
味噌汁にマヨネーズを入れるという奇行を行う人を援護する人などいるわけも無い


「私はさっちんの味方をしているんじゃありません!ご飯の味方をしているんです!!」

さらに「さっちんがマヨネーズを味噌汁に入れたら輪切りにしてやります」などと怖いことを言っている
藤ねぇさんは味方が居ないと分かると凄いスピードでご飯をかっ込み
涙を流しながら、職場へと走り去った


マヨネーズ味噌汁はセイバーさんが飲んだ
なんか不機嫌になったセイバーさんに道場に引き摺られていく私















「琥珀はまだ見つからないの?」

「秋葉様、自分でぶん投げておいてその台詞は無責任かと思います」

「マスター、ルームサービスに美味しそうなアイスクリームがあります」

黒服を使って琥珀を捜索中の秋葉様御一行

「ライダー、あなた霊体化して空から探してくれる?」

「マスター、昨日宝具を使ったばかりで疲れているんです
 というか魔術師でもないのにサーヴァントとか呼ばないで下さい
 ぶっちゃけここに居るだけで力を消費します」

ライダーがなんだか反抗期
そう言いながら、ルームサービスの朝食に輸血パックをかけて食べている
見ているだけで胸焼けしそう

「全く、何でこんなことになってるのかしら」

琥珀のせいだと思いたい

「秋葉様は聖杯戦争は続けるつもりなんですか?」

「当然でしょう、ライダーの胸を正視できるようになるまで諦めるつもりはないわ」









「お早う。式」

朝、起きると何でかアーチャーが朝ごはんの支度をしていた

「なにやってるんだお前」

「見ての通りだ、朝食を準備している」

「・・・・もういい、散歩してくる」

「待て、私も朝食を作ったら行こうと思っていたんだ、一緒に行かないか?」

・・・サーヴァント
燈子曰く、過去の英雄とかだったよな
なんで朝の支度して、散歩するような奴が英雄なんだよ

「だったらさっさと作って行くぞ、置いておけば勝手に食うだろ」

「他の皆はもう食べた
 式は起きるのが遅くてな、冷えたご飯は悪いと思って作り直したんだが」

「な、なんでお前にそんな気を使われないといけないんだよ!」

「いらないのか?」

「〜〜〜っ、食う!食えばいいんだろ!」

「何を怒っているんだ?」

整った顔立ちをしたサーヴァントはそう言いながら
手際よく朝食を並べていく

「和食でよかったか?」

「だから、どうしてそういうことを言うんだよお前は」

「なに、燈子は洋食の方が好きらしくて文句を言われたからな
 少し気になっただけだ」

戦うだけの存在がサーヴァントだと燈子はいっていた
私の様な奴が出てくるんのだと思ってたが
こいつはどっちかと言うと幹也に似ている気がする、そのくせ強い

だから扱いに困るんだ

「・・・しかもうまいし・・」

「それはよかった
 君にまで文句を言われたらどうしようかと思っていたからな」

全く、なんなんだこいつは




朝食を済ませ、外行きの服に着替える
結局、和服だが
で、居間にはスーツを着たアーチャーが居る

「・・・・・」

「どうした式、随分変な顔をしているぞ」

「なぁ、アーチャー」

「なんだ?」

「霊体化とか便利なこと出来るんだろ?だったら別に着替えなくてもいいんじゃないのか?」

「変な事を言うな君は
 霊体化したら君と話せないじゃないか」

当たり前のことを言うように言い切ってくれた
やっぱり苦手だ、コイツ
どうせ言っても聞かないだろうし
諦めて一緒に散歩に出る

私はブラブラと歩くだけのつもりだったが
アーチャーは歩く方向が決まっている、どうやら目的地があるらしい

「なぁ、どこに向かってるんだ?」

「昔に関わりのあった場所だ」

「ふーん」

「どうせ首を突っ込んでるだろうから、ちょっと気になってな」

連れ立って歩く







私の記憶にはこんなに早く聖杯戦争が起きたということは無い
一体どうしてこんな事になったのかはどうでもいい
ただ変わった世界で衛宮士郎はどうしているのかちょっと気になっただけだ

「もうすぐ着くぞ」

「ああ」

気の無い返事をする連れ
まぁ、式からすれば関係の無い話だからそんなものだろう

「ここか?」

「ここだ」

衛宮家、記憶と寸分違いも無くそこにあった
ちょっと違うところといえば

屋敷の中から聞こえてくる竹刀の音と「ぶば」とかの変な悲鳴
後、サーヴァントの気配とか

「・・・・・ここだよな?」

「私に聞いてどうするんだよ、馬鹿」

「ちょっと様子見てきてくれないか?」

「なんで私が行くんだよ」

「サーヴァントの気配とかするんだ」

「なおさらお前が行くべきだろ」

「・・・・・・」

どうしよう、凄く見たいが
見たら色々人生が崩れるような気がする












「ちょ、ちょっと!待ったセイバーさん!」

「どうかしましたかさっちん?」

やっと手を止めてくれるセイバーさん
私が病み上がりだって解ってるのかしら?

「外にサーヴァントの気配が!」

「・・?私はサーヴァント辞めたんで解りませんね・・」

「じゃ、私が見てくるね!」

ばっと立ち上がり、一瞬で道場から逃げ出そうとする
が、途中で気付いた、今日はお日様の照ってる素晴らしい天気だったことを

「さっちん・・・・まさか逃げるつもりだったんですか?」

「ち、違うの!サーヴァントの気配は本当なの!」

「そうですか・・・私はさっちんのためを思って厳しくしているのに解ってもらえませんか・・」

「ほんと!嘘じゃないの!信じてセイバーさん!」

「さっちん・・・少し本気で行きますね?」













「いやあああああああああああああ!!」

屋敷から悲鳴が木霊する

「・・・・」
「・・・・」

「なぁ、アーチャー」

「・・・・なんだ式?」

「この屋敷の中に居るのと知り合いなんだよな」

「・・・・残念ながら」

「女の悲鳴だったな、今の」

「・・・・だな」

「どういう知り合いだ?」

ああ、そんな汚い物を見る目で見ないでくれ式
少なくとも俺が生きていた頃、お前が想像している様なことはしてない

考え事をしていると
「許してえええ!痛いのはいやああ!!」
などと悲鳴が続いた


「・・・思ったより下衆な奴だったんだなお前」

「ち、違う!確実に違う!」

「サーヴァントの気配がするならどうせ戦うんだ、夜にでもまた来ればいい」

「一つ頼んでいいか?」

「なんだよ?」

「燈子には黙っておいて欲しい」

「・・・・」

「だから違う!そんな生ゴミ見るみたいな目で見るな!」

「知り合いが女を監禁して拷問しているなんてバレたら大変だもんな、黙っといてやるよ」

「人聞きの悪い言い方するんじゃない!!」


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