電波な衛宮家(傾 電波


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1: (2004/04/02 16:06:10)[wallscantattack at yahoo.co.jp]








居間に不穏な空気が漂っている。

テーブルを囲んでいるセイバーとバーサーカーを除く、全サーヴァント。

この空気の発生源は、そこだった。

 「アーチャー、てめえは止めたほうがいいぜ」

不敵に笑いながら言うランサー。

 「貴方こそ、止めたほうが良いと思われますが」

淡々と告げるライダー。

全員が腕を頭上に上げている。

その手には、薄い長方形の物体。

他の者が持つソレを見ては、全員が何かを考えているようだ。

 「レイズ」

そう言って、手元の蜜柑一個をテーブルの中央に置く真アサシン(通称・中の人)。

 「む、私はドロップしよう」

そう言ってアーチャーは、ソレをテーブルの上に伏せて置いた。

 「じゃあ、私はレイズ」

キャスターがそう言って蜜柑を中央に置く。

ライダーとランサーもレイズといって蜜柑を中央に置いた。

 「では、コールだ」

四人の顔が、緊張した面持ちに変わる。

そして、手に持ったソレをテーブルの上に出す。

ランサーはハートと数字の六。

ライダーはダイヤと数字の十。

真アサシンはスペードと英文字のJ。

キャスターは、ハートと数字の九。

と、それぞれに絵柄と文字が書いてあった。

まあ、大人数の遊びの定番『トランプ』だ。

ちなみに、あいつらがしているのはインディアンポーカー。

この場合、中の人の勝ちだな。

 「ちっ」

自分のカードを見たアーチャーが、舌打ちをしている。

カードはスペードの2。

ジョーカーに次ぐ、二番目に強いカードだ。

 「ランサー、貴様騙したな!」

 「ブラフだブラフ。騙されたほうが悪い」

取っ組み合いの喧嘩になりそうな雰囲気だが、気にしなくても良いだろう。

遠坂が仲裁に入ってるし。

セイバーとバーサーカーが居ない理由だが、

バーサーカーは何を言ってるのか解らないので、満場一致で退場させられた。

セイバーは既にチップ代わりの蜜柑が無くなり、退場している。

ちなみに、セイバーは皆から罰ゲームを言い渡されている。

その内容だが――

 「セイバー」

 「な、なんです、す……しゅ……か、シ、シロウ」

こんな感じだ。

『す』を『しゅ』に変えろ、という罰ゲームを実行中。

顔を真っ赤にして、必死に言おうとしてるセイバーは萌えだ。

 「開き直った方が、恥も少なくて良いと思うぞ」

と助言をするが、実はセイバーに言わせたいだけの人として終わってる俺。

 「シロウ」

貴方は優しい人だ、と涙を滲ませながら言うセイバー。

それでも、先程の助言は何の解決にもならなかったりする。

立ち上がりながら開き直ってやる、と宣言するセイバー。

罰ゲームを実行しない、という選択肢は無いのだろう。

セイバーは勝負事関係には厳しいからな。

 「シロウ。そろそろ次の脱落者が出る様で…しゅ」

容姿とその言動から、セイバーがどうしても幼い子供に見えてしまう。

なんていうか、こう、抱きしめたくなる感じ。

 「シ、シロウ!?」

む、どうやら本当に抱きしめていたらしい。

抱き心地が良いなあ、セイバーは。

 「は、離してくださ――ふあ!?」

胡坐を掻きながら、セイバーを抱きしめる。

擬音は多分『だきだき』だと思う。

途中からセイバーも満更ではなくなったようで、俺に体重を預け大人しくしていた。

セイバーの抱き心地を存分に堪能していると、突如悪魔が御降臨。

 「――衛宮くん。君は何をしているのかな?」

ピシリ、と体が凍ったかのように動かなくなる。

セイバーはいつの間にか、気持ちよさそうに眠っていた。

首筋に何かを押し付けられる。

多分、遠坂の指だと思うのだが。

 「私のフルパワーのガンド、喰らってみる?」

 「いえ、遠慮します。遠坂様」

 「遠慮しなくて良いわ。出血大サービスだから……貴方の血がね」

その言葉と同時に、俺はセイバーを担いでテーブルに向かって飛んだ。

直後、銃声に似た音と共に、先程まで座っていたところに焦げ跡がつく。

左肩にセイバーを担ぎ、右腕でテーブル上の蜜柑を数個掠め取る。

数発飛んできたガンドを紙一重で避け、強化した蜜柑を投げつけた。

殆どがガンドと相殺し、一つだけが遠坂の薄い胸板に当たる。

既に強化の解けていた蜜柑は、勢い良く破裂した。

ビチャリ、と嫌な音がして果汁が飛び散る。

俺は少しの被害で済んだが、遠坂と付近のサーヴァントは果汁まみれだ。

良く熟れていたんだな、あの蜜柑。

少し場違いなことを考えて、現実から逃避する。

主に、賭けを邪魔されたサーヴァントや怒り狂うあかいあくまから。




DEAD END






あとがき

頭にアンテナが付きました、どうも鴉です。お久しぶり。

電波を受信しました!! イエーイ、電波最高♪
内容とかは、書きたい事を適当に書いたので自分でも良く解ってません。
いや、……正直すまんかった。

他の執筆中のSSの続編ですが……もう少しお待ちを。
多分、半年くらい(長ッ!)

2: (2004/04/02 16:16:00)[wallscantattack at yahoo.co.jp]


おまけ



柳洞寺山門にて

 「私は忘れられているのか」

花や鳥に話しかける青年――佐々木小次郎の姿があった。

 「■■■■――!」

ちなみに、巨体――バーサーカーも。



おまけ2



衛宮士郎は数日後、無残な姿で発見された。

体は血塗れならぬ、果汁塗れ。

成分から、これは蜜柑の果汁であることが判明している。

尚、彼は発見当時うわ言のように「蜜柑怖い」と呟いていたそうだ。

彼は只今、自宅にて精神療養中である。


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