その身は、剣で出来た聖剣の鞘 第一部エピローグ 傾:シリアス


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1: kouji (2004/04/01 09:19:58)[atlg2625dcmvzk84 at ezweb.ne.jp]

エピローグ ライダー視点

あれから、二ヶ月の月日がたって、
サクラも、シロウも、リンも、穏やかな日常に戻っていった

あの後、リンとサクラを安全な場所に移し、私が大聖杯の跡地に戻ったとき、
シロウのそばには、セイバーの姿は無かった

大変だったのはその後、

まず、『アンリマユ』との繋がりこそ断たれたものの、
サクラ自身はまだ聖杯のままであり、
無尽蔵の魔力が流れこみ続けているということ

イリヤスフィールの家、アインツベルンに行けば何とかなるのではないかという案も出たものの

「新しい大聖杯の中枢にでも使われたいの?」

という、イリヤスフィールの言葉により、却下された

その代わり、という訳ではないが、
私は彼女の使い魔として、その膨大な魔力を受けて、現界を続けている
彼女たちの行く末を見届け、セイバーに代わり、彼の支えの一つとなるために


倫敦の時計塔へ報告へ行ったリンも大変だった

なにしろ、隠すべきことが多すぎる
シロウの固有結界しかり、サクラとイリヤスフィールしかり、
私のことしかり、大聖杯の行方しかり、

結果として、うやむやにせざるを得なくなった報告に、
魔術協会の主だった者達に追求されそうになったとか、

いや、それどころか、もはや糾弾であったらしい

そのまま、弾劾裁判へと移行しかけた状況を治めたのが、
リンの、いや、彼女の家系の魔術の師、
大師父ことキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグであったとか。

曰く、

「―――いや、弟子の不始末は私の責任でもある」

とのこと

結果として、リンは無罪放免となったものの、
これはむしろ、

ゼルレッチ師の、差し出した代価であるところの

「では弟子を取る事にする。教授するのは三人までだ。
各部門、協議の末見込みのある者を選出せよ」

という発言に、彼らが大混乱に陥ったのが原因である、といったほうが正しい

「トンビがタカを生んだ、と言うのはお前の国の言葉だったな。
トオサカは最も芽の無い教え子だったが、わずか六代で辿り着くとは」

リンの首の根を捕まえて、他のものに気付かれない様にして、
かの魔法使いはリンを褒めたらしい

“魔術師、魔法使いの類は自らの秘奥を隠すものである”

と言う定義から、リンは

「大師父にばれたら殺される」

と思っていたらしいが、
それどころか、時計塔へのパスを手に入れ、来年からはそちらで研究を行うとか

ところで、その大師父についてリン曰く、

「なんでもさ、冬木の町に“知り合いの孫娘を口説き落とした男がいる”らしいから、
ひょっとしたら、近いうちにふらっと来るかもね」

とのことだが、さて、誰のことやら?


シロウのほうは、あいかわらず、
土蔵に籠ってガラクタを弄っているか、
魔術の訓練をしているか、

生活の糧を得るために働いているか、
学生の本分をまっとうしているか、

とにかくサクラの知る所の、
“衛宮士郎の日常”へと戻ったらしい、

一度だけ、彼に、あの結末について尋ねたことがあるが、

「判る訳無いさ、俺はまだ、あの丘にだって、たどり着いてないんだから」

彼にしては珍しい言い方で、

「いつか、あの赤い騎士の背中に追いついたときに、
それでも胸を張っていることが出来たら、
その時にこそ、判ると思うんだ」

そう言って、彼は遥か遠い空を見上げて微笑んだだけだった。


さて、イリヤスフィールについても語っておかなくてはなるまい

あの後、彼女は、すっかり冬木に居ついてしまった
彼女にとって、此方の方が、アインツベルンよりも居心地が良いのだろう。

あるいは、

「新しい大聖杯の中枢にでも使われたいの?」

という言葉は、自分に向けた言葉でもあったのかもしれない

紆余曲折を経て、今、彼女は、タイガの家に住んでいる
もっとも、ほとんどシロウの家に入り浸っているのではあるが……

シロウやサクラたちには学校があるので、彼女の相手は最近の私の日課である

アーチャーの言っていた、イリヤスフィールの寿命、
アレについても、解決した

サクラの住んでいた間桐の屋敷、
主が居なくなった為、まとめて売り払ったその金を資金に、
魔術教会から買い取った特殊な人形

“魂を移せば、その人間として機能する”

というそれに、彼女の魂を移したのだ

これは人形そのものが、研究中の未完成品であったことが幸いして出来たことであったらしい

「本来はね、『完璧なその人自身』になるはずだから寿命なんか延ばせないんだけど、
この人形、魔術回路の再現が不完全らしくてね、
それが結果的にイリヤの延命に繋がったってわけ」

試行錯誤の末に作業を終えたリンがそう言った

「本当は『これ』を創った人形師に頼めればいいんだけど、
その人、封印指定喰らって逃亡中なのよね」

これだから御偉いさん共は、
と彼女は眉を吊り上げて愚痴を漏らしていた

そういうわけで、実の所、今も少々不安定なのだとか

それでも、そんなことは億尾にも出さず、
イリヤスフィール自身は、甘えたい盛りの割りに、妙な所で背伸びをしている
シロウの可愛い妹分として日々を過ごしている

まあ、流石に先日のおり、サクラたちの知人に対し

「イリヤスフィール・フォン・衛宮・アインツベルンです、
兄がお世話になっています」

と自己紹介したときには、
私のみならず、リンやサクラ、はてはシロウやタイガに至るまでどうして良いか判らなかったものだが

「なによ、私はキリツグの娘で、シロウはキリツグの息子でしょう、
ホラ、全然嘘は言ってないわよ?」

タイガの追求を受けて、死にそうなシロウの隣で、彼女はそう言って笑っていた



「ライダー、暇だから散歩にでも行かない?」

「そうですね、イリヤスフィール」

良く晴れた午後、二人で町を歩く、

私の格好も、聖杯戦争の最中のようなものではなく、
ありふれた服装である、

魔眼に関しては、リンが『人形』と一緒に見つけてきた『魔眼殺し』を着けているので問題ない、
何でも、同じ人形師の作品だとか

「人形だけでもすごいけど、宝具級の力を持つ『魔眼殺し』を創れるなんて、
封印指定喰らう魔術師ってのは一味違うわね」

と、感心したリンだったが、

「あ〜もう、
こんだけ馬鹿みたいに非常識のかたまりに遭遇してたら、
自分がただの器用貧乏な気がしてきたわ」

とかどうとか言って、酷く落ち込んでいたのは、
他の方々には秘密にしておくことにしましょう

「―――?」

「どうしたの、ライダー」

ふと振り返った私を見て、イリヤスフィールが訪ねてきた

「いえ、何でもありません」

それに首を振って答える、

知り合いを見つけた気がするが、気のせいだろう、

金髪の女の子ぐらい、何処にでもいる、
それに―――

――――――彼女の目は、黄金ではなく、
深く澄んだ、碧だったのだから――――――

                             to be continued



















用語集
(独自設定に関する説明および言い訳)


1黒アーチャー(サーヴァント)

黒化したアーチャー、
この話では、バーサーカー戦の最中に『影』に飲み込まれてしまったためこうなった、
キャラ的には、凛ルート、キャスター及び葛木死亡後の、アーチャーのイメージ、
ほかの事を全部無視して『衛宮士郎を殺す』という目的のために行動している、
ギルガメッシュの相手をしたのはただのついで、
『同一宝具の多重投影』などという無茶をかましてくれやがりましたが、
彼にしてみれば慣らし運転のようなもの、
肩慣らしが終わったら、金ぴか置いてさっさと大空洞に行ってしまった。

このアーチャーのベースになったのは、
一応ながら、「正規のセイバールートを通った衛宮士郎」

冬木市の大聖杯を破壊した後、魔術協会から脱退、
『正義の味方』としてのあり方を模索しながら、
研究対象として彼を『捕獲』しに来た協会の魔術師や、教会の代行者達と戦う日々を送っていた
ルヴィアが何度か協力を申し出てくれていたようだが、「巻き込みたくない」ので断っていたようだ

実は
「全ルートに絡んだ形での大団円にしたい」
ということと、
「最終的にセイバールートで終わるので、黒セイバーは使えない」
ということと、
「アーチャーとの決着をつけとかないといけない」
という事情から誕生したキャラだったりする



参考までに能力表

マスター:間桐桜
真名  :エミヤ
性別  :男性
身長・体重:187僉Γ沓賢
属性  :中立・中庸

筋力B 魔力A+
耐久B 幸運E−
敏捷C 宝具??

能力
対魔力:D 一工程による魔術行使の無効化、魔力避けのアミュレット程度の効果
        特に性能に変化なし

単独行動:A+ マスター不在でも行動可能
        大幅変更、実際の所アーチャーは勝手にやっているだけで、
桜がマスターなのは名目上だけだったりする

詳細:『アンリマユ』に汚染されたアーチャー、魔力供給が膨大になったお陰で、
もともと非常識だった投影が、さらに非常識になった

同じ宝具を同時に多数『投影』することが可能、

『衛宮士郎を殺し、英雄エミヤの存在を消す』、という目的のためにのみ行動している

技能: 千里眼C 視力のよさ。
    遠方の敵の捕捉、動体視力の向上

    ランクが上がれば、透視・未来視さえ可能にする

    魔術:C− オーソドックスな魔術を習得、
ただし、刀剣類の投影に限り(A+)扱いとなる

心眼(真):B 修行、鍛錬によって培った洞察力
窮地において
自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、
その場に残された活路を導き出す“戦闘理論”
逆転の可能性が1%でもあるのなら、
その作戦を実行に移せるチャンスを手繰り寄せられる

宝具:固有結界「無限の剣製」 心象世界による現実への侵食、
視認した武器を、1ランク下の武器として複製する

防具も可能だが、その場合は、通常の二〜三倍の魔力を消費する

ランク:E〜A+
種別:??????
レンジ:??????
最大捕捉:??????



2「かの者の起源たる形の無い剣」(武器)

黒アーチャーを倒した士郎の剣
文字通り、『衛宮士郎』の起源である剣、
ある意味での破壊力はエアすら凌駕するが、ある意味ではルールブレイカー以下の切れ味しかない

固有結界「無限の剣製」の大元にして中心として登場、
その存在が『衛宮士郎』である以上、エミヤには絶対にかわすことも防ぐことも出来ない

外見の形状は無し、それどころか、持っている人間にも、物理的な手ごたえは無かったりする

無色透明なのではなく、『そこに剣が存在する』という感覚しかない剣
あらゆる剣であるが、同時に如何なる物でもない、
空虚な存在である衛宮士郎の本質に対する筆者なりの解釈の結果であったりする



3「無限剣製(アヴァロン)」(宝具)

「エクスカリバーとカリバーンの二刀流セイバー」
などというふざけた状況を作るために考え付いた代物

別に『鞘』の効果が下がった訳ではないが、
何の手違いか、『鞘』を取り出す際に、士郎の一部が混ざってしまったらしい

衛宮士郎の心象風景の中から、任意の剣を取り出すことが出来る

あえて言うなら『かの者の半身たる無限剣製の鞘』と言ったところだろうか?

能力としては

ランク:E〜A+
種別:結界宝具
効果対象:一人

となる



4固有結界『全て遠き理想郷(アンリミテッドブレイドワークス)』

こちらは逆に士郎に残った鞘の欠片を触媒に発動させた固有結界

墓標のごとく剣突き立つ荒野のようであった心象世界を、
森の中の静謐な泉に変えてしまったように見えるが、
実は心象世界の改変ではなく、
心象世界を触媒とした
宝具『全て遠き理想郷(アヴァロン)』の効果増幅である

あらゆる呪い、災いを浄化する『この世全ての悪(アンリマユ)』の天敵、

「宝具の同時展開に勝るものは、もはや『石●ラ●ラ●天●拳』しかなかろう」という事から
思いついた最終兵器、
ここで振るわれたのは、愛の力でパワーアップした『約束された勝利の剣』
その名も『闇を払う誓いの聖剣』である

う〜ん愛は偉大だ(笑)

能力としては

固有結界『全て遠き理想郷(アンリミテッドブレイドワークス)』

ランク:EX
種別:??????
レンジ:??????
最大捕捉:??????

『闇を払う誓いの聖剣(エクスカリバー)』

ランク:EX
種別:対界宝具
レンジ:??????
最大捕捉:???????

となる





あとがき

と、言うわけで、第一部終了です、
さり気に第二部の伏線を張ってますが……

ことの起こりは、そもそも
「セイバーのENDが一つしかない」
ということに対する不満だったのですが、
凛ルート、桜ルートと進んでいるうちに、
「セイバーエンドでは何一つ解決してない」
ことに気付き、自分なりに
「全てを解決させたセイバールートを書こう」
と思ったしだい、という訳です

で、頭から書いてもしんどいだけなので、
「エクスカリバーの初使用の翌日」からスタートとなったわけです
で、「原作の見せ場は全てさらっと流して、オリジナルの部分に比重を設ける」
書き方にしたわけなんですが…………

思ったより長いですね、これ…………

まぁ、一応完結しましたので良しとしましょう


それにしても、藤ねぇ、でてねぇな…………
いや、状況的に仕方ないんですがね

ではでは、駄文はこのぐらいにして、
読んでくださった方、推薦文を書いてくださった方、ありがとうございました。

では、第二部でお会いしましょう


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