Nostalgic reunion (M:衛宮士郎×三枝由紀香 傾向:色々 H:有りの予定


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1: 高角 (2004/04/01 06:23:58)[takasumi]

 第1話 

 注1:感想は感想掲示板にお願いします。
 
 注2:オリジナルの設定が入っていますので、そういう系統が嫌いな方にはお勧めできません

 注3:更新は遅くなるので気長にお待ち下さい




 
 



 

 そこは深い闇の底

 

 何者も生き絶えた暗い大地で

 

 女は一人泣き続ける

 

 一人の男を抱きしめながらただ涙を流す

 

 それは遠い昔

 

 神話として語り継がれた時代の話

 

 

 

 Fate/stay night

    Nostalgic reunion

 Chapter1-1:Peaceful every day




 夢を見ていた。

 内容は覚えていないけれど、悲しい夢。

 心が悲しくて、切なくなる。そんな夢。

 まだ曖昧な意識のまま、ベットから起きて窓を全開にする。

 外から流れこむ、冷たい冬の空気が頭を引き締めてくれる。

 深呼吸が終わった後、いつものように備え付けの鏡を見た。

 ボサボサの髪に、頬にある涙の後。

 

「また泣いてたんだ…」

 

 取敢えず着替えて洗面所へ向かう。

 顔を洗って、髪を梳かしはじめる。

 ここ最近、こんな状態がずっと続いてる。

 せめて夢の内容を覚える事が出来れば良いのだけれど。

 いろんな記憶術を試してみたけれどダメだった。

 この前、私の親友である二人に相談してみたら笑われてしまった。

 

『あはははは、夢まで同じなんてな。』

『そうだな。 らしいと言えばらしい。』

 

 そんな風に言われたら、私としても非常に不本意で。

 今度こそはと意気込むものの、結果は全戦全敗。

 とは言っても、毎日同じ夢を見るのは少々気味が悪い。

 そんな事を考えていると、もう学校へ行く準備ができてしまった。

 そろそろ夢の事は頭から追い出して、私は気合を入れる。

 これから私が向かう先は、一言で言ってしまえば戦場なのだ。

 余計な事を考えてしまえば、あっさりと負けてしまう。

 ただでさえ私は、天然といわれているのに。

 その上、運動音痴だし。

 …まあ、そんな暗い考えは追い出して、私は玄関に向かう。

 家族に『行ってきまーす』と言いながら家をでた。

 

 

 やっぱり時間が時間なだけに人通りは少ない。

 それでも彼にとっては普通なのだろうけど。

 早朝の空気は新鮮で気持ちが良い。

 自然と足取りが軽くなって、歩く速さも上がっていく。

 途中で転びそうになったのは、私だけの秘密。

 暫くすると、彼の家が見えてきた。

 遠坂さん、間桐さん、藤村先生の家に並ぶ立派な武家屋敷。

 それが、彼の住んでいる所。

 なんでも亡くなったお父さんが、藤村先生のお爺さんから買ったらしい。

 

 

 屋敷の門は鍵がかかっていた。

 鍵がかかっていると言う事は、彼女がまだ来ていないという事。

 内心ガッツポーズを決めながら、彼から貰った合鍵で中に入る。

 屋敷の中に人の気配はなく、彼の部屋はもぬけの空だった。

 いつもの事と諦めて、朝御飯の仕度をする。

 主采、副采、汁物と手際良く作るついでに、お昼のお弁当も作っておく。

 私と彼、他二名分。

 一通り終わっても、彼が起きてくる感じがない。

 私は苦笑すると、外の土倉に向かった。

 土倉の中では案の定、彼が倒れるような格好のまま眠っていた。

 無邪気な表情で眠る、そんな彼の名前は『衛宮士郎』

 その…なんて言うか、私の彼氏なのだ。

 このまま彼の寝顔を眺めるのも良いけれど……

 なんとなく膝枕をしてみる。

 彼の頭の重みが心地良い。

 だけど、いつまでもそうしている訳にはいかない。

 名残惜しいけど、そろそろ彼を起こす事にする。

 

「士郎くん、朝だよ。おーい」

「…ん、おはよう由紀……」

「やっと起きたね、おはよう士郎くん」

 

 まだ寝惚けているのだろうか、そんな彼に苦笑してしまう。

 無意識のうちに彼の髪を撫でている自分に、少し赤面してしまったのは秘密だ。

 これが私『三枝由紀香』の日常。




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