聖杯戦争 もう一杯  まる10


メッセージ一覧

1: 微妙 (2004/03/31 18:48:08)[sevenstar_2 at hotmail.com]

「秋葉様」

「どうしたの翡翠?」

「私達は聖杯戦争に参加出来ているんでしょうか?」

「・・・・・微妙な所ね」

高級ホテルのスイートルームでまったり紅茶を飲みながら、



聖杯戦争  もう一杯  まる10




高級ホテルの階段裏のロッカーの中

「おい!桜!この縄はまだ解けないのかよ!」

「御免なさい、兄さん。やけに固く縛ってあってとても解けません」

「糞!これじゃ何も出来ないじゃないか!」

礼呪を使って「この縄を千切れ」と、命令した結果。
慎二の腕が縄に食い込んで血を失っただけだった。

「なんて、使えないサーヴァントなんでしょう・・」

「桜!お前なんて言った!お前なんかが俺をバカにしていいと思ってんのかよ!」

口だけは達者なサーヴァント様

「クソ!クソ!」

兄さん、隣で絶叫しないで下さい。
凄く、煩い。

「桜!礼呪を使って俺をパワーアップさせるんだよ!」

「兄さんをパワーアップしたってチワワにすら勝てません」

「お前!なんていいやがった!」

「しまった!つい、本音が!」

「クソッ!どいつもこいつも僕を馬鹿にしやがって!」

「ごめんなさい、ごめんなさい」

ロッカーの中でヘッドバットを連発する兄さん。馬鹿、丸出しだわ。

「ああ、かっこよくて強くて私に優しい兄さんになってくれないかしら」

ボソッと呟いたら、なんか礼呪が消えた





高級ホテルのスイートルームのドアを仕込み杖でバラバラに切り裂いて
琥珀が突然部屋に押し入ってきた

「秋葉様!大変です!」

「琥珀、あなたがソレ弁償してね」

遠野家当主はいつでも冷静

「それどころじゃありません!モヒー(愛称)が!!」

「どうしたの?見付かって廃棄物処分にでもされたの」

言ってみて別にソレは構わないかな、と思う

「違います!そんな事じゃ慌てません!」

「じゃあどうしたって言うのよ、早く言いなさい」

「モヒーが、モヒーが!」





「カッコよくなってました!」




理解するのに10秒かかった。






階段裏のロッカーに行くと、そこには髪の毛を後ろで纏めた和服の男が居た

「・・・・」

「ふむ、何が私をここに閉じ込めたかと思えば。こんなお嬢さんだったとは、全く判らんものだな」

くくくと、さも愉快気に笑う男
巨乳の女は事情が飲み込めていないのか呆然としている

「下がってくださいマスター、あの男はサーヴァントです」

スッとライダーが具現して、私の前に立つ

「サーヴァント!?やっぱりあのモヒカンとは無関係なのね!?」

「無関係でしょう、あのモヒカンをどうやったってこんなにはなりません」

「違います!私はモニターで見ていました!ヘッドバットしていたモヒカンが突然カッコよくジョグレス進化したんです!」

琥珀はかなり取り乱している。

「信じがたいですね・・」

渋い顔をして呟くライダー。
サーヴァントだと見抜けなかったのが悔しいのかしら?

「私の名は佐々木小次郎と言うことになるらしい、まぁ元より名前など関わりないか桜に手を出すというのならお相手しよう」

「・・・・どこをどうやったら、あのモヒカンがこんなになるのよ・・」

「馬鹿な事言わないで下さい!」

突然巨乳が叫ぶ

「私の兄さんは最初からこうでした!モヒカンなんて無関係です!知りません!!」

「・・・・」
「・・・・」

「冗談言わないで下さい!私はジョグレス進化の過程を見たんです!坊主駆りの頭からニョキニョキ毛が伸びる瞬間を!」



「 無 関 係 で す!!!」



ズバァっと言い切る巨乳。
さすがにモヒカンが哀れだわ。

「さあ、兄さん!こんな所にはもう用はありません!私の家に帰りましょう!」

「そうだな。では、行くか桜」

お姫様抱っこをする佐々木小次郎、恍惚としている巨乳。
呆然とした私達を尻目に窓を突き破り町へと消えた。

「・・・私の兄さんの方がかっこいいわ」

居なくなった巨乳へ、ちょっとだけ主張してみる。







その頃、衛宮邸

「んー、これは衛宮さんの血?」

「正解、すごいなさっちんは」

「衛宮さんの血はなんだか凄く熱いんです、熱い血潮?みたいな感じ」

「血で性格まで分かるんですか」

利き血の真っ最中

「後はもう飲むまでもないよ」

ぐいーっとコップに注がれた俺の血を一気飲みして言うさっちん

「どうして?」

「マスターの血は匂いですぐ分かるの」

「へぇー、マスターとサーヴァントの絆って奴か?」

「ううん、マスターの血だけ処女の血だぶはぁ!」

言い終わる前に遠坂に花瓶で頭を殴られるさっちん。不幸だなぁ。
ずるずると引き摺られて屋敷の奥へと姿を消す。

「シロウ、もしかして真面目に聖杯戦争する気がないんですか?」

「俺、マスターじゃないし」

「・・・・」

こんな感じ、暫くお説教の声をBGMにセイバーと紅茶を飲んでいた。
お茶請けの減りがえらい事になってるのは大目に見よう。

「ただいま・・」

ぐったりしたさっちんが居間に帰ってくる。

「災難でしたねさっちん」

セイバーがどうぞ、と手を付けていなかったセイバーと遠坂の血を渡す
それを一気に飲み干すと、さっちんもお茶会に参加した。

「ふぅ、マスターって怒りっぽいんだから」

「さっちんの言動にも少々非があると思いますが」

「別に怒るほどの事でもないだろ。で、遠坂は?」

「血を抜いてだるいから寝るだって」

「リンもリンで聖杯戦争する気がないんでしょうか・・」

「セイバーは聖杯戦争したいのか?」

「い、いえ。別にちょっと血が騒ぐとかそういう事ではなくて――」

最近セイバーは挙動不審になる事が多い気がする。
挙動不審になるのはいいが、
誤魔化そうとしているのか食べる量が増えるのは頂けない。

「セイバー」

ちょっと真面目に忠告しておこう

「な、なんですかシロウ?」

「サーヴァントだった頃は良いかもしれないが。
今は普通の人間なんだから、あんまり食うと太るぞ」

メキィ

なにやら視界いっぱいに拳が見えた後、俺は壁にたたきつけられた。

「衛宮さん、そういう事言っちゃ駄目だよー。女の子は気にしてるんだから」

「全くです、シロウはいささか思慮が足りない」

おもっくそぶん殴ってあたかも無関係のように振舞うセイバー、流石だ

「ふと思ったけど、俺もさっちんほどじゃないが結構不幸かもな」

「え?私、自分を不幸だなんて思ってないよ?」

さっちんがボソッと呟いた言葉に反応する

「正気なのバーサーカー。貴方ほど不幸な人間なんて世界中探しても二人と居ないわよ」

襖を開けて、遠坂が出てきた。

「リン、起こしてしまいましたか」

「いいのよセイバー、お腹がすいて眠れなかっただけだし。お昼ご飯の後に寝るわ」

「どうでもいいけど、遠坂。世界中探して二人と居ないほど不幸ってのは言い過ぎだろ」

「そうだよ、世界には私より恵まれない人が沢山居ると思うよ」

さっちんが同意する

「冗談、この子の過去を夢で見たけど、
 夜に町を歩いてるだけでポンポン剣が飛んできてたわよ、しかもドスドス刺さってたし」

「・・・・」

それは、流石にあり得ないかも知れない・・。

「遠野君ってのとは、結局最後までなにも無かったし
 仲良くなるどころか、なんか止め刺されてるし」

「・・・・」

悲惨だ・・・。

「うーん、確かにちょっと不幸だったけど、
 今はこうして生きてるんだし。私はやっぱり幸せだと思うよ」

「・・・・」

「さっちん・・「いい子じゃああああああああああ!」」

セイバーが何か口にしようとしたのを遮ったしわがれた声
庭に変な爺さんが居た。

「いい子じゃああああ!いい子じゃああああああ!!
 何でこんな子が不幸にならねばならんのじゃあああああああ!!!」

なんかおいおい泣いている。
何だアレ、というか結界は動いてないのか?強化したのに。

「えー・・と。お爺ちゃん、誰?」

困惑気味にさっちんが聞く。

「あんたわしの孫にならんか!?
 わしの孫共はそろってわしの事を虫臭い、虫臭いというんじゃ!
 あんたのようないい子が居てくれればあのねじくれた孫達も少しは可愛くなるかもしれん!」

「・・・?」

何だこの爺さんは。

「ちょっと聞いてくれんか!?
 こないだ慎二に一緒にキャッチボールしようと言ったら
 「臭い、死ね、ジジイ」
 と一蹴されったんじゃよおおおおおおお!!」

「・・・・」

「桜と一緒にご飯を食べようとすると、露骨に
 「ご飯が不味くなるわ」
 って顔するんじゃよおおおおおうう!!」

この爺さん桜と慎二の知り合いか?
二人とも苦労してたんだな・・・・・。

「わしには!わしにはあんたの様な心の拠り所が必要なんじゃ!
 どうか、どうかわしの孫になってくれんか!?」

「ごめんね、おじいちゃんってなんだかカブト虫の籠みたいな匂いがするから嫌」

笑顔で心をえぐるさっちん。
庭の匂いをここで察知する嗅覚は吸血鬼の物だろうか。

「・・・・・・」

ぴたり、と泣くのを止める爺さん。
辛いだろうな。

「今日はメッセンジャーとしてここに来たんじゃ、
 貴様等はネロ・カオスを知っておるか?」

何も無かったように続ける続けるお爺ちゃん。グレート

「死徒27祖の一人ね。それがどうかしたの?」

何事も無かったように続ける遠坂、あいつなりの心遣いだろう。

「わしは今、ネロ・カオスの一部。
 自分の呼び出したサーヴァントに食われるとはなんとも情けないがな。カカカ」

うん、情けない。

「って、ネロ・カオスなんて呼び出したのあんた・・」

「ところでネロ・カオスって誰だ?」

「私も聞きたいですリン」

「あ、私もー」

アホを見る目をして俺らを見る遠坂、知らないものは仕方ないだろう!

「後で説明してあげるわよ!」

「無知な奴らじゃの。
 用件を言わせてもらうが、ネロ・カオスはお前らを取り込むつもりじゃ
 じゃから、それまでは死なないようにしておけ。それだけじゃ」

そういって爺さんはなんか黒い泥みたいになってどっかに行った

「・・・まためんどくさい事になってきたわ・・」

はぁ、とため息をこぼす遠坂

       ――――――

骨董品のデスクトップはADSLにすら対応してませんでした_l ̄l〇
というわけで、漫画喫茶から投下してみます


記事一覧へ戻る(I)