Fate/stay night again 暫翳圈 〃晃:ギャグ


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1: タケ (2004/03/30 14:32:03)[tamaayu at sweet.ocn.ne.jp]

「それにしても士郎も間が抜けてるわよね。初めから藤村先生かセイバーに頼んでおけばこんな事にはな

らなかったのに」

遠坂が、呆れたようにしてそういった




・・・・・・御意見ごもっとも



Fate/stay night again 察 狙屬知将〜

中編






――間宮邸で籠城を決め込んでいる慎二が、家を出てくる先といったら現状では学校しかないわけで、

そんな慎二と俺達が接触するためには、学校で張っているしか無く、

結果俺達は、いつも通り学校に行くことになった。

まあ、慎二が出てくるのは生徒がいる日中だけというのが、救いと言えば救いになるのかもしれない。




セイバーの昼食やら俺と遠坂の弁当やらを用意していたせいで、教室に着いたのはHRの始まるギリギリ

の時間帯。


雑談しているクラスメイト達に挨拶をして席に着く。しばらくするとHR開始の鐘が鳴り藤ねえが入ってきて、

HRが始まった。



話の内容は当たり障りのないもの。最近は新都の方が物騒だから授業終了後は、まっすぐ帰宅するよう

に。という学校側からの通知だった。



「――と、今日は少し早いけどこれでHRを終わるわね。
みんな残りの時間は好きにしてていいわよ。ただし、騒ぎすぎないように。
――――それと、士郎は話しがあるから私についてきて。」

そう言って、藤ねえはHRの終わりを告げると廊下に出て行った。

なんだろう?

みんなが思い思いの相手と雑談を開始する中、俺は藤ねえを追って廊下に出た。




「あのね、美綴さんのことなんだけど・・・・・・。」

廊下で待ち受けていた藤ねえの、第一声がそれだった。

「美綴に何かあったのか!?」

慌てて聞き返す。

「違う違う。昨日も言ったように美綴さんは大丈夫よ。ただ・・・」

「・・・・ただ?」

「弓道部の一年生の間で、変な噂が立ってるのよね」


うーん、と藤ねえが眉を寄せる

「噂?」

「美綴さんが発見されたって事を知っている子がいたんだけど、その子の話が他の部員に広まるにつれて

脚色されていってるのよ。
ほら、ちょうど伝言ゲームみたいな感じで。」

「――――――!」


女子生徒が行方不明になっていたのだ。どのように脚色されていくかは想像がつく。

そんな噂が流れてしまっては、いくら気丈な美綴でもこの学校にいることは辛くなってくるだろう。


「士郎は美綴さんと仲いいし、そういう噂を何とかするんだったら適任だろうとは思ったんだけど・・・。」

「―――ああ。そんな噂、俺が蹴散らしてやる・・・!」


大切な友人である美綴に、そんな噂が流されているのに放っておく訳にはいかない。美綴が襲われた件

には、俺にも責任があるのだからなおさらだ。


「そう言ってくれると助かるわ。まあ、いくら美綴さんでもそんなことはしないだろうから、すぐにこの噂が嘘

だって言うのがわかると思うけど。」

「美綴がそんなことしないってどういう意味だ?」


俺の想像を超えた世界だ。一体どのような噂が流れているというのか。


「どういうって、そのまんまの意味よ?
――あ、そっか。士郎にはまだ噂の内容話してなかったわね。」


「・・・・・・・・・」

黙って藤ねえの話しの続きを待つ。


「長くてストーリー性のある噂だから要約するわね?噂によると、美綴りさんが行方不明になったのは不審

な男に攫われて手込めにされそうになったからで、その後隙を見て相手の男の急所を潰して脱出。この

街に着いたところで安心して気絶したと。
――――こんな感じのが今流れてるみたいなのよ。」

「――は?」

いや、それは・・・

「荒唐無稽な話なんだけど、美綴さんが性的被害を受けてなかったもんだから、一部の生徒の間でまこと

しとやかに語られてるのよね・・・・。困ったもんだわ」

いくらなんでも無茶苦茶過ぎるだろ、それは


「なあ藤ねえ。その噂なら別に流れても問題ないんじゃないか?
どう考えても嘘にしか聞こえないだろうし。」


「それがねー、そう言うわけにもいかないのよ。
―――ほら、美綴さんって男勝りなところがあるでしょ?」

「たしかに。」


即答する。

そこいらの男よりも男らしいのは間違いない。


「だからね、その・・・・・・・
――――――後輩の女の子にモテるのよ」


そういえば、過去にあった卒業式では、美綴がたくさんの後輩に告白されていたような気がする。

弓道に打ち込む美綴の格好良さと、姉御肌なその性格。そして並の男よりもよほど男らしいその立ち振る

舞いで、後輩の女子を中心に幅広い人気を誇っていたはずだ。


「今回のことで噂をしてるのも、その美綴さんラブな女の子達なのよねー。
こんな噂が広まったら、ますますそういう女の子が増えそうでしょ?
美綴さん本人から、このことで相談を受けた私としては、何とかしておきたかったのよ。」

「ちょっと待て、ということは――――」


俺に、その後輩達相手に噂を流さないように走りまわれってことか!?


「士郎隊員、貴方の使命は重大よ。これ以上美綴さんが同性にモテないよう、この噂を何とかしなさい。
――――あ、そろそろ一限のチャイムが鳴りそうだからお姉さんは行くわね。それじゃ、アデュー♪」


走り去っていく藤ねえ。


「そんな難しそうなこと俺だけに押しつけて逃げるなー!!」

俺の悲痛な叫びが、人のいない廊下に響き渡った。








一日の終わりを告げるチャイムと共に、生徒達は波が引くようにして下校していく。


そんな中、俺と遠坂の二人は校舎の屋上にやってきていた。


「なあ、遠坂。何で俺達こんな所にいるんだ?」


沈む夕日を眺めながら遠坂に問う

北風が身に凍みる


「そんなの決まってるじゃない、結界の発動を遅らせるためよ。」

さも当然、という感じで遠坂は答えた


「それって意味あるのか?慎二のことは、あいつが家を出てからじゃないと打つ手がないんだし。発動自

体は止められないんだから、下手に手を加えるよりも早く発動させた方がいいと思うけど。」


「意味はあるわよ。」


どうやら、遠坂にも考えがあるらしい。


「一体どんな意味があるんだ?」



「嫌がらせ」


即答でそれですか

ジト目で遠坂を睨む


「・・・・・・・・」

その視線に耐えきれなくなったのか

「――――冗談よ」

と、遠坂は返した。


「これは、慎二を焦れさせるためにやってるの。籠城に対する対抗策は心理作戦。結界の発動を遅らせ

て焦らしてれば、慎二のことだからすぐに頭に血を上らせてこっちの思い通りに動いてくれるわ。ひょっとし

たら、明日にでも無理矢理結界を発動させようとするかもね。
――――そう。慎二は言うなれば、お釈迦様の手のひらの上を飛ぶ孫悟空なのよ」

ニヤリ

そんな擬音が聞こえそうなほどの笑み


・・・・子どもが見たら泣くぞ、それ




ともあれ、俺と遠坂は作業を完了させて家路につくことになった。




帰り道


「そういえば、アーチャーって遠坂の隣にいるんだよな?」

特に意味もなくそう質問してみる。

具現化しているところをあまり見たことがない気がするし。


「いるけど、なに?アイツに話しでもあるの?」


「・・・いや、別に。何となく聞いてみただけだ。」


――――アーチャー

今の俺なら、あいつが英霊となった衛宮士郎であるということがわかる。


ただ、あいつと自分とでは、どこか大切なところで異なっている気がする。その違いが俺には許すことがで

きない

だからだろうか、あいつのことを好ましく思わないのは


そして、前回の聖杯戦争。ヤツ自身も、俺のことを嫌っていたはずだ。


何故、元を同じくする自分自身を憎まなければならないのか――――




その答えは、まだ出せそうにない。








家に帰ると、藤ねえが料理を作っていた。


「・・・・・なあ、藤ねえ」


「あ、お帰り士郎。今日はお姉ちゃんが腕によりをかけて美味しいかに玉丼を作ってあげるから、今でくつ

ろいでていいわよ」

そう言って、藤ねえは溶かした小麦粉の中に卵を投下した。

それでできるのはお好み焼きだぞ藤ねえ・・・・

「ありがとう藤ねえ。その心遣いは嬉しいけど、藤ねえは連日の授業やら美綴の件やらで疲れてるだろ?

か弱い女性に、そこまでやらせてしまうのは気が引けるから、後は俺に任せてくれ」


「士郎は口が上手いんだから。そういうところ、切嗣さんに似て来たわよ?
でもせっかくだし、今日はその言葉に甘えちゃいましょう」

そう言って、あっさり引き下がる藤ねえ。

ひょっとしたら、自分が何か間違えているであろう事に、気づいたのかもしれない

今に戻っていく後ろ姿を見ながら苦笑する

「まったく、しょうがないお姉ちゃんだな――――」


――さて、美味しいかに玉を作るとしますか!



――――――――――――――――――――
後編へ続く


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