Fate/golden night 傾:シリアス?


メッセージ一覧

1: (2004/03/27 05:03:48)[stigma444 at hotmail.com]

 私としたことが抜かった。
 すっかり失念していたのだ。
 セイバーに指摘されるまで、ランサーがもう一度アイツを殺しに行く可能性を……!
 思えば聖杯戦争が始まってから肝心なところでミスばかりしている。
 セイバーの事もそうだ。
 せっかく最強のクラスであるセイバーのサーヴァントを召還したのに、あんな問題が起きるなんて。
 今までは何でも完璧にこなせてたのになぁ……。
 そりゃあ、人間多少なりともミスは有ると思うけど……。
 って、今更そんなこと悔やんでも仕方ない!
 今は衛宮君とランサーの事が問題だ。



 
 急いで衛宮邸に急ぐ。
 幸い彼の家の場所は知っていた。
 ――――午前零時。
 雲に覆われた夜空の下、わたしたちは武家屋敷に辿り着いた。
 中にはサーヴァントの気配が一つ。
 
「……ランサーじゃ無い!?」

 どういう事?
 アイツは私の知る限り魔術師じゃない。
 戦っているところを見られたランサー以外に襲われる謂われはない。


「凛!」

 考え込んでいた所をセイバーの声にハッとする。
 前方に何かが迫っている。
 これは、危険だ。
 そう思うも、体は意識ほど早くは動作しない。
 
「っ!」

 セイバーが私を突き飛ばし、その一撃を強力な一刀のもとに叩き伏せる。
 それを確認して、私も立ち上がる。
 ソレが飛んできた闇を睨む。
 これは、先程まで衛宮邸にいたサーヴァントの気配だ。
 それが徐々に近づき視認できるところまで近づく。
 セイバーの体が何時でも反応し、迎撃出来るように体制を整える。

「ふん、我の一撃を受けるとは多少はやるではないか。今の一撃、気配を絶って行ったのだがな」

 余裕に満ちた声が聞こえ、そのサーヴァントは姿を現した。
 黄金の鎧を身にまとい、余裕綽々といった風だ。
 く、なんか気にくわないコイツ。
 金ぴか装備なんてして、趣味が悪いったらありゃしないわ!
 ……これは決して嫉妬などの醜い感情からくるものではない、はず。

「なっ、貴方は!」

 セイバーの顔が驚愕に歪む。

「……む、誰かと思えばセイバーではないか」

 金ぴか野郎の方も何やら驚いた風な後、厭な笑みを浮かべた。
 なに、この二人知り合いなワケ?

「そうかそうか、セイバー」

「な、何ですか」

「このような時代で二度も会うとは……。これは運命だ、結婚しろ!」

 は?
 な、何いってんのよコイツーーーーーーー!



     *  *  *  *  *  



 一回目の激突音の後、後続は聞こえない。
 あの金ぴか野郎のことだからもっとドンパチやるのかと思ったのだが……。
 どういう事だ?
 まさか……もうやられちまったとか。
 いや、それはないか。

 前方に金ぴか装備が見える。
 間違いない、アイツだ。
 その姿は何か言い争っているように見える。
 徐々に近づき、ようやく現場に着く。
 金ぴか野郎は何やら、騎士らしい格好の少女と言い争っているようだ。

「な、何やってんだコイツ」

 しかも主張の内容は結婚しろの一点張り。
 と、騎士風の少女の後ろに見知った人物を発見。
 それは学園のアイドル、遠坂凛だった。

「と、遠坂!」

 う、俺どもってばっかだな。
 でも仕方ないじゃないか!
 訳分からない事の連続なんだから!
 っていうか、何で遠坂が。

「こんばんわ、衛宮君」

 混乱しまくりの俺を知ってか知らんでか、遠坂は何かうんざりしたように挨拶してきた。

「お、おう」

 間抜けな返事をしてしまった感は拭えないが、問題抱えつつ学園のアイドル遠坂を前に挨拶出来ただけでも良しとしよう。
 俺の中では。

「とにかくその金ぴか、何とかしてくれない」

 指さす先にはアイツがいる。
 やっぱ、遠坂も金ぴかって思ったか。
 まぁ、アイツを見れば誰でもそう思うか……。

「おい!」

「む、何だいたのか、雑種」

 ぬ、何だその言い方!
 
「お前何やってんだ?」

「うるさいぞ、雑種」

 あ、さすがの俺も頭きた。

「うるさいって何だよ! お前の方がうるさいだろ! 目の前の人めっちゃこまってるだろ!」
 
 がー、っと怒鳴ってやる。
 目の前の騎士風の少女は心底迷惑そうな目をコイツに向けるものの、こっち向いてる金ぴかは気づかない。
 いや、たぶんさっきからこの目をしてるんだろう。
 こいつは神経図太そうだからな……気づかないんだ、間違いない。

「ふん、雑種に何が分かる。後一歩でセイバーが俺のものになるところなのだ。引っ込んでいろ」

「んなっ! 誰が貴方のものになるのですか!」

 またぎゃあぎゃあと始まったよ……。
 どうすりゃいいんだ?

「衛宮君、魔力供給切って」

 魔力供給?

「遠坂、なんだそれ?」

「あのね、今衛宮君とあの金ぴかはレイラインで繋がってるのよ。魔力提供をしてるの。それ切って」

 遠坂にそう言われて初めて気がついた。
 確かにアイツに俺の魔力が流れているのが分かる。
 自分のことなのに気づかなかったなんて……。
 俺ってやっぱ半人前だなぁ。
 兎にも角にも、遠坂に言われたとおりに魔力提供とやらを切ることを試みる。
 巧くいくだろうか……?

「ぬ、おい雑種! 何をして……!!!」

 お、金ぴかが消えた!
 てことは成功か?

「あー、えっと、遠坂?」

「上出来よ、衛宮君。これでうるさいのがいなくなったわ」

 うん、それは良いんだけど、何がなんだかさっぱりなんですが?

「はぁ」

 その疲れ切ったようなため息はやめてくれ。
 なんか、自分が凄く惨めになるよ。

「衛宮君、あなた魔術師だったのね」

「え、っと。遠坂も魔術師なんだ……よな」

 今さっきの立ち振る舞いからしてそれは確定だ。

「ええ。あなたのようなモグリじゃなく、由緒正しき家のね」

 それにこの土地の管理者は私、と付け加える。
 それは仕方がない。
 俺の親父はアウトローの魔術師で、更に俺はその親父に協会の事なんてこれっぽっちも教わってない。
 この土地の管理人が誰かなんて知るよしもないのだ。
 にしても、何やらご立腹のようだ。
 目の前の彼女は。

「取り敢えず、中で話しましょ。どうせ何も解ってないんでしょ、衛宮くんは」

 さらりと言って、遠坂はずんずん門へと歩いていく。
 色々教えてもらえるのは有り難いんだが……。

「え―――待て遠坂、なに考えてんだおまえ……!」

 ちょっと遠坂さん、強引すぎやしませんか!
 しかし、そこで振り向いた遠坂の顔は、何とも形容しがたい笑みだった。
 うん、でも今にもぶっちぎれそうなのだけはすぐに分かった。

「私、ついさっき変態金ぴかに非常に無駄な時間を割かれたの。衛宮君はそんなこと無いわよね?」

「……はい」

 すげぇ怒ってるよ、コイツ。
 なんか、学校の遠坂とはイメージが百八十度違うのは気のせいなんだろうか……。
 取り敢えずは家にはいるか……って、いつの間にか先程の遠坂といた(金ぴかと言い合いしてた)少女がいなくなっている?
 何がなんだか分からないが、遠坂は全て知ってるようだ。
 ひとまずは現状把握が必要だ。


 はぁ、これから俺、どうなるんだろう……。



記事一覧へ戻る(I)