それは有り得たかもしれない物語 そのじゅうさん


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1: 久遠 (2004/03/22 18:25:01)[kuon_kurotuki at passport.net]

  
 注意1:この作品の弓さんはアーチャーではないです。

 注意2:これはfateもしとは一切関わりがありません。

 注意3:これは電波による二次被害作品です。

     fateもしを書いていて本編で使用不可な電波がきたため別の作品として誕生しました。

 注意4:もしかすると皆様のご要望のものではないかもしれません。

 以上を踏まえた上で読んでやってもよいという奇特なかたは下へどうぞです。





    











 



 

        それは有り得たかもしれない物語 そのじゅうさん



 side by 凛


 朝私は桜に対してしばらく衛宮家に来るなと伝えた。

 一週間来なければ自分が大人しく帰るからと、

 だが返ってきた答えは、


 「嫌です。

  先輩の家に一週間も来れない位なら姉、……遠坂先輩が居るのも我慢します」


 であった。

 何気に失礼なことを言われているが、正直桜がここまで頑固だとは思わなかった。

 おそらくこれ以上何を言っても桜は聞かないだろう。

 どうしたものか。



 そして朝食となり、

 綾子のことを士郎がポロッと言ってしまったことを盾に朝食を洋風にすることができた。

 桜は洋食に対して特に不満はないらしい。


 騒がしい朝食が終わり学校に登校しようとして、


 「――オレ、今日学校休むから」


 士郎がこんなことを言ってきた、

 桜や藤村先生が驚いている。

 おそらく昨日なにも出来なかったことが悔しいのだろう。

 しょうがない学校の方は私がなんとかするとしますか。
 


 side by エミヤ


 夕食が終わってから遠坂は衛宮士郎に魔術の授業をしている。

 セイバーはおそらく道場で精神統一でもしているだろう。

 オレは当たり前になって来た桜と藤ねえの見送りをする。

 その後一度帰ってからまた衛宮の家を出る。

 遠坂に気づかれるかもしれないが、言い訳はいくらでも出来る。



 公園に近づくが中にライダーの気配はしない、

 考えてみれば桜を送ってからその場でライダーを連れて公園に来れば速かったと思う。

 そんなことを考えながらライダーを待っていると。


 「お待たせしましたバトラー」


 彼女がやって来た、月明かりの下でその姿はまるで女神のようだ。


 「ああ、随分待たされたな」

 
 内心を誤魔化すように軽口で答える。


 「……そういう時は嘘でも今来たと言う所ではないのですか?」


 ……なんかライダーが現代の風習に毒されてる気がする。


 「一体何処でそんなことを知ったんだ?」


 「ドラマというものでそんなことを言っていました」


 英霊がドラマ?

 ものすごくシュールだな、それにあの目隠しをしてて見れるのか?


 「まあいい、立ち話もなんだしこっちに座るといい」

 
 オレの座るベンチの横をポンポンと叩きながらライダーに言う。

 少し迷ってから彼女はこちらに歩き出す。

 さて、ライダーはオレの淹れた紅茶をおいしいと言ってくれるかな?

 

 side by ライダー


 桜と慎二に黙って家を出る。

 私は嘘が苦手なので桜達に言ってから出るわけには行かない。


 公園に近づくと中からは昨日と同じ気配がする。

 軽い挨拶をした後彼が、


 「まあいい、立ち話もなんだしこっちに座るといい」


 と、言ってきた。

 一体何を考えているのか?

 今私は敵意等を出していない。

 それでも無防備に敵であるサーヴァントを懐に招きいれるなどどうかしてる。


 だがそのことを快く思う自分がいる。

 私は促されるままに彼の横に座る。


 「口に合うかは解らないが、どうかな?」
 

 すると彼は一杯の紅茶を出してきた。

 さっきまでは何処にもなかった筈だが何時の間に準備したのだろう?

 私はそれを受け取り何故か一切の疑いを持たず口にする。


 ……温かい。


 私には食事は必要ない、口にするものと言えば血ぐらいだ。

 私にとって吸血とはとても甘美であり最も効率の良い魔力補給である。
 
 なのに彼の淹れたこの紅茶はそれ以上に私の心を潤す。 
 
 
 「ふむ、どうやら気に入ってくれたようだな。

  なに、その表情を見れば解る。

  お茶請けにクッキーもあるがどうかな?」


 驚いた、私は感情が表に出にくいとよく言われているし、自分でもそう思っている。

 なのに彼はそれをたやすく読み取っている。

 私は内心の動揺を抑えて彼の用意したクッキーを食べる。


 「……おいしい」


 ポツリ、つい呟いてしまった。

 あわてて彼を見る、意地の悪い顔をしているだろうと思っていたが、

 そこにはどこか優しげな表情を浮かべている。

 
 「それも口に合ったらしいな。

  よかったらもっと食べるといい、量はそれなりに作ってきた」


 私はそれに促されるようにクッキーにパクつく。

 正直はしたないとも思うが、おいしいのだから仕方がないとも思う。

 
 その後ただ私の咀嚼音のみが流れる。

 会話はない、だが会話が苦手な私には心地よい。

 

 しばらくしてゆっくり食べていたのに残念なことに食べ終えてしまった。

 不思議な感覚だ、今までは食事など必要ないと思っていたのに。


 「さて、今日は何か話そうとも思っていたが。

  どうやら必要ないな、君は悪い奴ではない。

  それが確認できただけでも十分だ」


 彼がそんなことを言う。

 どんな反応をすればいいのか解らない。

 
 「そろそろお開きにしよう、

  お互いマスターにばれると怒られそうだ」


 「そうですね、私もそろそろ帰らねば」


 さすがにこれ以上時間を掛けるとばれてしまうかもしれない。

 名残惜しいがしょうがないだろう。



 side by エミヤ


 「そうですね、私もそろそろ帰らねば」


 うむ、クッキーも全部食べてくれたことだし、

 少しは満足してもらえただろう。

 今回何の為に話をしようとしたのか有耶無耶になってしまったが、

 中々有意義に過ごせたと思う。


 「ライダー、中々楽しめた。

  機会があったらまた一緒に茶でも飲もう。

  それでは、おやすみ」


 オレはそう言って公園を去る。


 程なくしてライダーの気配が移動していく。

 おそらく次に会うときは敵同士になるだろう。

 だが出来れば戦いたくはないものだ。

 このままいけばセイバーと一騎打ちになるのだろうが回避できないだろうか?

 帰宅しながらそんなことを考える。

 
 塀を越えて土蔵の前に出ると衛宮士郎と丁度出くわす。

 何をしていたか聞かれたが誤魔化しておく。

 ついでにちょっとしたアドバイスをしてからその場を去る。


 どうやら遠坂はもう寝てしまったようだ。

 明日、今日のことで追求されるかもしれないが問題ないだろう。

 そう思いながら少々用があったので台所へ向かうと、


 フルアーマーダブルセイバーが居た。
 

 「何処へ行っていたのですかバトラー?」


 虚言を許さないと言った表情でセイバーが問う。

 マズイ、この状態のセイバーに下手なことを言うと命取りだ。
 
 
 「その質問に答える必要があるのか?

  私が何処で何をしようと君に不利益をもたらさないなら問題ないだろう?」


 「っ! そうですね! 貴方がどう行動しようと私には一切関係のないことでした!

  もう遅いので寝ます! それではおやすみなさい!」


 ……なんか凄く怒っていますよ。

 何故だ?

 ゴッド、オレってセイバーになにかしましたか?




 ふぃん




 あとがき

 どうも久遠です。

 いつからライダー×バトラーになったのか?

 しかも会話ほとんでしてないです。

 どうか笑って、もしくは見なかったことにして見逃してくれると助かりますです。


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