それいけえみや探検隊 M:えみやしろう 傾:ギャグ


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1: 藤村流継承者 (2004/03/22 13:30:33)[calorie at mb9.seikyou.ne.jp]

(えみや探検隊は基本的に小学生以下で構成されています。なお、漢字変換はランダムです)





『それいけえみや探検隊』





 おれはえみやしろう。
 せいぎのみかたになるんだー。

「そんなワケで、まず手始めにあやしい場所をたんけんしよーとおもう!」

「……それはいいんだが、えみや」

「なんだよいっせー。おれのすーこーな目的をじゃまするのかよー」

「そうじゃないよ、えみや。あれはね、ゆうとーせータイプだから、わるいことしちゃいけないって思ってるんだよ」

 と、みつづりはもっともらしいことを言う。
 でも、そんなのせいぎのみかたは許さないのだ。これと決めたらちょとつもーしん。しょしかんてつで生きぬくのが男のさだめなのだー。

「いいからいくぞー! まずは、えらい広くてひとけの少ない『とおさか』っていう家だー!」

「……やれやれ」

「ほら、はやく行かないと置いてかれるよ」

 後ろから2人もついてくる。
 ふふふ。
 頼もしいみかたを得て、おれたちは真実のとびらを開くのだー!





 『とおさか』のやしきはでかい。

 でも、びっくりするほど誰もいない。きっとともだちがいないんだろう。とおさかってヤツはよほどあくどいことをしてきたに違いない。
 ……うん。とおさか一族は悪にけってい!

「入るぞー」

「開くわけがないだろう。せきゅりてぃーは万全なのだ、こーいうおやしきはな」

「……でも、開いてるみたいだよ」

 みつづりがしょーげきの事実をはっけんする。まさか、みつづりは魔法のかぎをもっていたのか? おれもしょーてんがいをけっこー探したけどみつからなかったのにー。

 ぎぃぃぃ。やかましい音をたてて、とびらがうごく。
 そのすきまをくぐり、いっちょくせんにいりぐちへと向かう。

「くそー。からすがうるさいなー」

「えみや、あれはきっと使いまのたぐいだから、これいじょー進むときけんだぞ」

「……なに? りゅーとうは怖いの?」

「な……! そんなことはないっ! そもそもおてらの息子なんだから、この世でおそれるものなどあるわけが――」

『みぎゃー!!』

「ぐわあぁぁぁぁぁぁっ!!」

 いっせーは、やしきのなかから聞こえてきたひめいにおどろいて、ばかみたいに叫びだした。
 やっぱり怖いんじゃん。いっせーのよわむしー。

「やめろー! おれはちょきんもふどーさんもゆずる気はさらさらないんだー!」

「……なに言ってるんだよいっせー? だれもおまえのこづかいなんか取りゃしないぜー?」

「それより、さっきのひめいは気にしなくていいのかい?」

 なんとなく、みつづりがりーだーっぽいことを言う。
 ……むう。そーいうのはおれのせりふなのにー。

「そうだよ、さっきのひめいは気にしなくていいのか?」

「わたしが言ったよ」

「だれかが悪のそーすいに捕らえられてるのかもしんない! んでもってそれがぜっせーの美女だったらなしくずしでけっこんするんだー!」

「……へんなもーそうを抱いてるみたいだね」

「……りそーをいだいてしねっ」

 いっせーが『どく』をはいている。きっとおどかされたことの八つあたりだろう。そーいうのはきゃらがこわれるからやめた方がけんめいだぞっ。

 ともかく、おれたちはものものしいとびらを開ける。ここにもかぎはかかってなかった。
 どーも、わなのような感じがする。ただのおっちょこちょいなヤツらなのかもしんないけど、決めつけるのはまだはやい。

「……でけー」

「あれは『しゃんでりあ』というものか? まったく、むだなものに金をかけるのは『ぶるじゃわ』で感心しないな」

 いっせーが難しいことばを呟いている。
 おれとみつづりは、そんなちしきじんっほさを売りにしているいっせーを無視して、さっきのひめーの出どころをさがす。

「ちっ。へやが多くていばしょを特定できないぜ」

「こうなったらしらみつぶしに探すしかないね」

「……むしするな」

 さみしくなったいっせーが声をかけてくる。

「よけいなこと言ってるひまがあったら、さっさと捕らえられたお姫さまをさがすんだよ。うまくいけば、いっせーもおこぼれにあずかれるかも知れないぜ?」

「な……! そんなはれんちなことを考えておらん!」

「……あんたら、やる気あんの?」

 さめた声で、みつづりがにらんでくる。こえー。

『はぅわー!!』

「!! いまのはっ!」

「一階のろうかのおくだよっ! 急ごう!」

 またもみつづりはおれのセリフをうばう。なんかおれに恨みでもあるんか、みつづり。





 はしる。
 ただ、はしる。
 たまにはやすみ、みつづりにけられる。いたい。

 てーか、このやしき広すぎ。いっせーじゃないけど、こんなことに金をつかうより、ぼきんでもして近所のひとたちの『かぶ』を上げた方がゆうこうてきだと思う。

 ろうかのおくは、らせん階段になっていた。
 ……またはしるのかよ。しょーじき、うざい。

「えみや、あんた言いだしっぺのくせにやる気がなさそうなんだけど」

「……みつづり。おれはだれよりも、おれのみかたでいたいんだ」

「つまり、つかれたから休むっていいたいわけなの?」

「……いや、そういうわけじゃないから飛びだしないふをしゃきーん! ってかっこよく突きつけるのはやめてー。なんでそんなものもってるのー?」

「それはね、言っちゃだめなことになってるから言わない」

「うん。だったらぼくは聞かないよー。だってせいぎのみかたになんなきゃいけないんだもん!」

「……ねこをかぶるのもいいかげんにしろ、えみや」

 ちっ。はやくも作戦がばれてしまった。さすがはおてらのむすこ、ものごとのウソほんとをみわけるのーりょくには長けてやがる。おんなを見るめはないくせに。

 ともかく、めんどくさいけど階段をおりる。ほんのちょっとだけ、あーるぴーじーの主人公のきもちがわかった。





 ――くらいなかを必死でおりていく。とちゅうで、下の方から『うぴょー!!』とか『きしゃー!!』とかいう、ともすればゆかいつーかいにしか聞こえないひめいがこだました。
 なんであれ、この下にだれかいるのはまちがいない。

 しかも、声のしつからすれば女のこだ。せいじゅくしたおんなのひとじゃないのが残念だが、けっこんできるのならよしとしよう。

「……えみや、へらへらしながらはしると転んで死ぬよ」

「せいぎのみかたが死ぬもんかー。それに、このおくには助けをまってる女のこが、おれという『えいゆう』が来るのをいまかいまかと待っているんだ!
 そのきたいに応えずして、なにがえいゆうか! なにがせいぎのみかたかっ!」

「……あんた、さっきじぶんが一番だいじって言ってたじゃない」

「女のこを泣かせちゃいけないって、おやじがよく言ってた」

「あんたの父さんまだ生きてんじゃん」

 みつづりのつっこみは、てきかくすぎて心がいたい。そんなんじゃ、ぼける方かやる気をなくすぞ。

 ――階段がおわり、さいごのとびらにたどりつく。
 ここを越えれば、悪のそーすい『とおさかだいまおう』がおれたちを待っている。いめーじからーは『わいんれっど』。なんていうか、さいしょのとびらをくぐったときからそんな感じがしていた。

「いくぞ……。愛ときあいとこんじょーのちょぞうはじゅーぶんか」

「それ、ためられるもんなの?」

「ああ。ためるたびにまいれーじがつく」

「うそつけ」

 いっせーのようしゃない『ばりぞーごん』が飛ぶ。そう上から押さえつけられたんでは、せっかくのボケが活きないじゃないか。これだから頭のかたいぼーさんれんちゅうは好きじゃないのだ。

「いいから、開けるよ……」

 みつづりがとびらを押す。れいのごとく、かぎはかかってなかった。

 ――そこは、はかいとしゃくねつに満ちあふれたくうかんだった。

「おまえがとおさかだいまおうかっ!」

 びし! やたらでけー男をゆびさす。あたまがワカメみたいで、なんだか目にちからがない。きっと、ふかんしょうかなんかのたぐいだ。

「……私は遠坂ではない。言峰という、これでも神に仕える身でな」

「あ……お?」

 まいった。なんかこいつは、このせかいかんに登場しちゃいけないタイプのにんげんかもしんない。

「それでどうかしたのかね? 不法侵入の懺悔でもしに来たのか?」

「えーと、その……………………おまえをたおす!」

「ごまかしたな、えみや」

「むずかしいこと言われると、あたまがしょーとするんだよね」

 ちがう! おれは、こいつをこのせかいからついほーしなきゃいけない気がするのだ! なんていうか、『せかい』の意志としてっ!
 その、とおさかだいまおう改めワカメおとこは、からだをずらして、その向こうがわにいる囚われの女のこをおれたちにしめした。

 なんか、スプーンをもったまま、むいみにきれいなテーブルにつっぷして、ぴくぴくけいれんしている。テーブルのうえには、しろい皿にもられたあかくにおいたつマグマのようなぶったいが。

「……くっ!」

 あのぶったいのしょーたいが何なのかまだわからないが、どうやらくそまずくてちめーてきなどくぶつに違いない。とおくにいても、そのまがまがしいはどーがつたわってくる。

「待ってろよ! こいつをたおして、すぐにきみを助けるっ!」

「……ほう? お前のような人生経験が浅いわりに精力だけは旺盛な若造に、私を跪かせることが出来るとでも?」

「ぐあ! かくしんをつくんじゃない!」

 ぐぐぐ……。こいつはきょーてきだ。みつづりでさえ触れなかったことを、こうもてきかくに突いてくるとは。

「……みみが痛いな、えみやよ」

「ちがーう! おれはべつにせっそーなしなんかじゃなーい!」

「くくく……。他者の苦悩とは甘美だな」

「やかましい! むずかしいこと言ってりゃまるくおさまると思いやがってこのばかたれっ! おまえともだちいないだろー!」

「ぐっ!」

 お、なんか効いたみたい。

「いまだ! いっせーとみつづりは――」

「あの女の子を助けるのだな? まったく、おまえは最後のてきと一人でたいけつするなんて、ひーろーをきどるのもいいかげんに」

「――こいつをくい止めてくれ! おれはあの女のこを救いだすっ!」

「なにぃぃぃ!」

「……あきらめなよ。きょうのあいつは自分のよくぼうにしょーじきなのさ」

「来たまえ。今宵の月は麻婆のごとくに赤い」

「しかもこいつよーしゃなし!?」

「ここ地下だから月なんて見えないんだけどね」

 せなかに聞こえるなかまたちのことばは、わりとよゆうがあるみたいだった。

 そのすきに、おれはいっちょくせんに女のこのもとへ走る。くろかみをついんてーるにして、ちょっと大きめのリボンがこれまたぽいんと高し。

「――だいじょーぶか!?」

 からだを起こす。……うぅん、なんてうめきながら、女のこは目をあけた。

「あ……、わたし……」

「おちついて。きみはこんらんしているんだ」

 ことさらにやさしく言う。女のこは、おれのかおを見たあとに、テーブルにのせられているあかいうつわを目の当たりにして、

「――っ!!」

 がたがたっ!
 おれといすをなぎたおしながら、こうほうへのけぞった。……かなりいたい。

「あ――ごめん」

 ひき殺されたカエルみたいなったおれに、女のこの手がさしのべられる。

 笑っている。……うん、やっぱりイイ。

「……どうしたの?」

 その手をとるまえに、おれはちからのかぎりさけぶ。

「だいいちいんしょーから決めてました!」

 しゅばっ! と手をさしだす。

「………………」

 ただ、なんとなーくちんもくがながれる。

 ……女のこは、さめたかんじで手をひいていた。なにやらやばい空気をかんじとったらしい。うぶなくせして、けっこーびんかんだな。

「……とにかく、助けてくれてありがとうしか今はいうべきこともないからとっとと帰ってくんない? ていうかあんたらなんで勝手にわたしんちに入ってきてんの?」

 しごくもっともなことをならべたてる。
 ……ち、どいつもこいつもせいろんせいろん、だからあたまのかたいれんちゅーは――

 ぼぐぅおっ!!

「っっっ!?」

 とぶ。
 おれのからだが、ちゅうに浮いている。

 どめがしゃ。

 おちる。
 あたまから、むきだしのかわいた地面にげきとつする。

「……いたいじゃないかっ! なにをするんだみらいの奥さんっ!」

「だれがあんたの奥さんなのよ! ふざけんのもたいがいにしなさいよね!」

「ふ――ふざけてなんかないっ! おれはきみのぴんちを救ったじゃないか!」

「あ、あれは………………ことみね風にいうと、しれんらしいわ」

「……しれん?」

 ふりかえり、ぐつぐつとあかくにたったぶったいを見る。
 あれを食うことが、ほんとーにおのれを高めることになるんだろーか? いや、たつじんのきょーちにいたる前に、まちがいなくでっど・えんどにいたる。

「……ととともかく、いきなりなぐることはないだろ! たしかに、ちょっとやりきれないすといっくな笑みをうかべていたのはいなめないけども!」

「なぐるわっ! ふほーしんにゅうにそうぞうごーかんと、ちかろうにぶちこむにはじゅーぶんすぎるくらいフラグがたったわ!」

「ぐあー! そんなじんせいせっけーはイヤだー!」

 にげる。

 やっぱり、とおさかだいまおうはじつざいした。おれのそうぞうするより、はるかにさいあくなカタチで。





「――ほれほれ、こっちの麻婆は甘いぞ?」

「どれどれ………………ぴきゃー!」

「あ、これダメだわ。なんが見ただけで目がいたくなるし」

 あえなくくちはてるいっせー。おまえのぎせいは忘れないぞっ。

「みつづり! ここはもう『あく』におかされたっ! おれたちのような、ちょっとなまいきだけど愛らしいますこっと的きゃらくたーがそんざいしていい場所じゃない!」

「じぶんで言うかね」

「こういうのは言ったもんがちなんだよ!」

 われながら身もふたもないとは思うが、ふりかえってるひまはない。うしろからは、おれをちかろうの『ぺっと』にするべく、あらたにこうりんしたネオとおさかだいまおうがせまっている。

「てったいだー! あきらかにみりたりー・ばらんすがおかしすぎるー!」

「あー、えみや?」

「待ちたまえ」

 ぐわし。
 なんか、えらいちからづよく肩をつかまれる。

 ぎぎぎ、と無理やりくびをまわすと、そこにまーぼーのけしんがいた。

「……あのー、ほーもんはんばいはおとこわりさせてもらってるのですが」

「残念だな。是非きみに食してもらいたい極上のスパイスが手に入ったのだが」

「ぼく、おかーさんからお金あずかってないからよくわかんない」

「安心しろ。きみの母親から既に全権を委ねられている」

 ……あのー、それはつまり、きょーいくとしょうして『ペット』あつかいをしてもよい、ということですか。

 みつづりは、どこかあきらめた顔つきで、いっせーが一口しか手をつけられなかったまーぼー改めさいしゅーへいきちゅうかにちょーせんする。

 たぶん、そうしなきゃここから出られないとしんじて。

「………………どうしたもんかね」

 がんばっている。あのみつづりが、みけんにしわをよせながらがんばっている。

「………………あー、うん」

 ぱたり。

 ……やっぱりダメでしたー。

 うわあ逃げらんねー。

「ふふふふふ……。かくごはいい? その、えみやくん、といったかしら?」

「……うむ。やはり常人には理解できぬ超越種なのか、この麻婆は」

 まちうけるふたつのかげ。

 ぜんもんのとら、こうもんのおおかみ。

 たいするおれは、かわいらしいうさぎちゃん。

 ……さよならじんるい。ぼくはぴてかんとろぷすになるよー。





「みぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」





 本日のきょーくん。

 ……朱に交わればあかくなる。





−幕−





・あ・と・が・き

 ……なんだこれ。そして大丈夫か自分。

 実験的な作品ではありますが、おそらく公開できるギリギリのラインかと。

 えみやしろーくん、欲望全開でぶっちゃけてます。

 言峰氏はやっぱりマーボーでした。凛は遠坂大魔王に決定です。

 最後に、誤字脱字を覚悟で読み進めてくださってありがとうございました。


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