梅サンド。それは、イタズラ M:イリヤ 傾:梅サンド


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1: はりがねいぬ (2004/03/15 18:29:07)

「シロウのバカーーーーーー!!もう、シロウなんかどうなったって知らないんだからーーーーっ!!」

 何処かで聞いたようなセリフと共に去っていくイリヤ。普段なら追っかけて行って謝ったりする所だが、今日はしない。
 だって、
     仕掛けられたイタズラを上手いこと回避しただけだから・・・

調子に乗って再登場  
『梅サンド。それは、イタズラ』



事の発端は、例によって例の如く我が家でみんな仲良く夕食をとり終わったときのこと。
食器を洗おうかな?と席を立った衛宮士郎は見てしまった、
悪魔っ子な笑いを浮かべるイリヤを。
いつもなら、藤ねぇにイタズラでも仕掛けるのかな?、と気にしない所だが、
衛宮君の第六感が危険を告げたので、台所に入る際に慎重を期したところ。
まぁ、案の定イタズラが仕掛けてあった訳だが、
イタズラに引っ掛かってあげる余裕のない衛宮士郎はしっかりと回避したわけだ。
で、しっかりと回避した所にイリヤが結果を見に来て冒頭のシーンへと戻る次第だ。
っていうか、イリヤ。刃物はヤバイって、刃物は。

イリヤには、明日の朝、二度とあんなイタズラをしないようにお願いしよう。他の女性陣も味方になってくれるだろうし。

「フッフッフッ。無様ね、悪魔っ子。私の士郎に手を出すからいけないのだよ。」
藤ねぇ、俺は藤ねぇのものになったつもりはないが?
「あら、藤村先生。”私の”だなんて、人をもの扱いするのはいけないと思いますよ。」 その通りだ、遠坂。
「そうです。万が一、”私の”なんてつけるとしても、先輩の許可が必要です。こ、恋人になるとかして。」
良かった。我が家の良識二人は、今日”は”健在だ。
「そうですね、今のタイガの発言は不適切だ。」
いいぞ。今だ!!行け!!三つの力をひとつに合わせて悪のタイガーをやっつけるんだ。
「セイバーちゃん。そんなこと言っていいの?この二人に士郎を取られちゃうかもしれないんだよ?」
「構いません。シロウが誰のものになろうとも、私はシロウのものですので。」
王様、爆弾発言
「「「なっ!!」」」「へっ!?」 
「な、な、な、何ですとーーーーーーーーーーーっ!!士郎ッ!!一つ屋根の下に女の子を住まわせた上に、こんな事を言わすような関係になっちゃうなんて、お姉ちゃんは、許しませんよーーーーーーーーーーーッ!!!!」
クソッ、我が家のトラが怒りだしたらしい。助けて、我が家の良識
「士郎っ!!ちょっとこっち来て説明しなさいっ!!」「先輩!!納得のいく説明をお願いします!!」
……あぁ、我が家に良識があるなんて幻想だったらしい。


 次の日。
例え何があろうとも、この身が動く限り食事を作らなければならない衛宮士郎としては今日も朝食を作らなければいけないわけで、
一言で言うと”何でだよ”といった感じだ。心は硝子なんだぞ、クスン。
今日に限って、桜も手伝ってくれないし・・・。まっ、桜と遠坂は機嫌が悪いって訳じゃないし大丈夫だろう。
問題はイリヤだよな。藤ねぇ、ちゃんと連れて来てくれるといいけど。
 
ガラッ
「士郎ーーっ、朝ごはーーーーーん。」
「シロウ、おっはよーーー」
噂をすれば何とやら、イリヤもいつも通りみたいだな、っていうか、藤ねぇ、その挨拶はどうよ?
「イリヤ、おはよう。」「うん、おはよう、シロウ」
「あっ、何でイリヤちゃんにだけ挨拶するのよ、士郎は。ねぇ、私には?ねぇ、ねぇ。」
「あぁ、わかったから。今、朝食の仕度をするから向こうで待ってろ。」
それを聞くと、スタスタと去っていく二人。
自分で言っといてなんだけど、今の発言のどこに挨拶があったんだよ、藤ねぇ。

そんなやり取りもあったけど、いつも通りの食事。
今日も今日とて、衛宮家の食費が消えていく、主に俺以外の腹の中へ。
「ねぇ、シロウ。」「ん?なに、イリヤ。」
「今度の休みの日、私がお昼を作りたいんだけど。」
「ふーん、どうでもいいけど、イリヤ、あなた、そんなにいっぱい作れるの?」
「あら、物欲しそうなリンには悪いけど、食事をゆっくりと楽しむことを知らない人たちに作る気はないわ。私は、シロウのため”だけに”作るの。ね、いいでしょ、シロウ?」
「イリヤがいいのなら、いいけど。」昨日のお詫びもあるし。
「じゃっ、決まり。楽しみにしててね、シロウ。」
そんなこんなで、昨日のことを謝るのもうやむやになってしまい、
その日はそのまま学校へと向かった。


そして、”次の休みの日”当日。

その後詳しく聞いたところ、イリヤは本当に俺の分しか作る気がないらしく、
俺以外の分はいつも通り俺と桜で作っている最中だ。
「それにしても遅いな、イリヤのやつ。」
まさか、イリヤがお昼を作ってくれなくて、俺だけ食べられない罠?
「先輩、随分とイリヤちゃんにご執心ですね。」
「む、そんなことは無いぞ。」
「そんなことあります。大体、お昼の仕度を始めてから何度目ですか?そのセリフ。」
「いや、だって、俺のお昼……」
「くすっ、先輩も意外と食い意地が張ってるんですね。」
「その通りね。私よりお昼の方が心配だなんて、悲しくなってくるわ。」
「イリヤ!!」「あら、イリヤちゃん、こんにちは。」
「こんにちは、サクラ。それとシロウ、そんなに心配しなくても、ちゃんと作ってきてあるわよ。」
「あ、うん、ありがとう、イリヤ。」
「いいのよ、私から言い出したことだし。じゃあ、向こうで待ってるわね。」
「良かったですね、先輩。ちゃんと、お昼食べれて。」
………別に、そういう意味で言ったんじゃないのに……

「「「「いただきますっ。」」」」
うん、いつも通りの食事風景だ。みんな、おいしそうに食べてる。で、
「コレ、何だよ?」
「シロウ、それはサンドイッチよ。」
いや、論点はそこじゃなくてね、
「ちなみに、赤いのはウメよ。」
そうか、梅か。……何かわかったら余計に食べたくなくなったな。
なんて感じで、あまりっていうか、かなり、美味しそうじゃない梅サンドとにらめっこをしていると、
「あら、衛宮君。せっかく、イリヤが作ってきてくれたものを食べないつもりかしら?」
と、あかいあくまがおっしゃる訳で
「先輩。女の子を泣かしちゃうなんて、正義の味方じゃありませんよ?」
桜も敵に回ったわけで
クッ、奴らもグルか。頼みの綱は、セイバーか。セイバーは
……無視を決め込んでやがる。
俺の盾となってくれるんじゃなかったか?
(シロウ、私のマスターであるのならこの程度の危機は自力で抜け出せなくてはいけません。)うわっ、ズルッ!!!!
この場にいる誰もが敵になってしまった今の状況を鑑みると、食べないという選択肢は取れないと考えられる。
ということは、”コレ”を食べるしかないのか?
食べるのか”コレ”を?
いや、考えろ。コレをこのまま食べないくらいの策ならあるはずだ。
取り敢えず落ち着け、落ち着くんだ衛宮士郎。coolな頭で考えるんだ。
アイツも言ってたじゃないか、自分が勝てないのなら、勝てるものを想像しろ、と。って、全然落ち着いて無いじゃん、俺。
……ん?あった、あったぞ!一つだけ、コレを食べて、尚且つ、無事でいられるものが。
しかし、アレを作り出す為には隙を見つけ出す必要がある。
「衛宮君?まさか、イリヤがせっかく作ってくれた梅サンドを本当に食べないつもりかしら?」
フ、わざわざ隙を見せてくれるとは、甘いぞ、遠坂。
ここ一番でポカをする癖は健在だな。
その隙もらったぁぁ!! 
  投影、開始
「この衛宮士郎には夢がある。」ドンッ「は?何それ?」
  投影、完了 ”黄金体験瓠淵粥璽襯疋┘スペリエンスと読んで)
これで、梅サンドを食べても大丈夫なはずだ。
パク、ジュル、ジュルルル、モグモグモグ。
……うえっ、マズッ!!

◆衛宮士郎は、”黄金体験瓩稜塾呂砲茲辰銅分の歯と梅サンドの水分を体の約92%は水分で出来ているクラゲにした。
これによって、梅サンドのグッチョリ感(だけ)は取り除けたのだ。ズギャーン!!

「な!!先輩、本気ですか?」
「まさか、アレを食べるなんて。一体何をしたの、シロウ?」

フハ、フハハハハ、フハハハハハハハハハハハ。見事にばれていないぞ。
勝った、勝ったぞぉぉぉぉぉぉぉ。
「食事中すみませんが、シロウ。イリヤスフィールの食事をとる為に魔術をつかったようですが?」
フハハハハハハ……………って、へ?
「HaHa、イヤダナァ、セイバーサン。ソンナコト、有ルワケナイジャナイカ。」

「ふーん、そうなんだ。へぇ、衛宮君は女の子の手作り料理を魔術を使って食べちゃうような人だったんだ。へぇー。」
「先輩。先輩はパッと見、無愛想で、頑固者で、肝心な所で鈍い人だけど、
他人の優しさをふいにするような事はしない人だって信じてたのに!!先輩、最低です。」
え?イリヤはイタズラとかじゃ無くて、コレを作ってきたの?
「そうよ、シロウが苦しみながらも食べる姿を見て、笑おうと思ってたのにっ!!」
やっぱり、イタズラじゃないか。
「こうなったら、仕方が無いわね。」
「そうね、シロウには悪いけど。」
「クス、先輩がいけないんですよ。」
「ちょ、ちょっと、三人とも何それ?うわっ、ま、待った、待っててば!!」
「「「待ったなし」」」
「ギャーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」



「士郎、お茶おかわり。」
「ハイ、カシコマリマシタ。」
「先輩、私、冷蔵庫に入ってるケーキが食べたいです。」
「少々、オ待チ下サイ、サクラ様。」
「あ、私も食べる。」「シロウ、私の分もお願いします。」
「ハイ、仰セノママニ。」
何で、こんなカタカナで喋ってるかって言うと、あの後、お仕置きと称して、
梅サンドを間食させられた上に、「自分の思うがままに他人を操っちゃう魔術」なるものを掛けられた訳で。
「ケーキヲ、オ持チシマシタ。」
「ありがとうございます、シロウ。」
「クス、先輩、かわいい。」
「クス、アインツベルンに連れて帰っちゃいたい。」
二人とも、黒い笑みを浮かべるのはやめてくれ。怖いから。


「士郎は生きた人形である。」

黙れ、あかいあくま。




ーーーーーーーーーーーあとがきーーーーーーーーーー
この度は、『梅サンド、それは、イタズラ』を読んで頂きありがとうございました。
このSSは拙作「明日の為に」の第二弾といったようなつもりで書いてみました。
……うっかり「続きが読みたい」なんて感想を書いた人がいたので、
えぇ、書きましたとも、書いちゃいましたとも。
どうでしたか?楽しめましたか?読みやすかったですか?
このSSを読んだご意見、ご感想を頂けたら僥倖です。
それでは、また、どこかでお会いしましょう。


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