Re.聖杯戦争  〃后Дロスオーバー


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1: あるとす (2004/03/13 16:45:24)



    ――前書きっぽいの――
 この作品はFate・月姫・デモンベイン、更には筆者のオリジナルなキャラクターが暗躍するクロスオーバー作品です。
 「オリジナルキャラクターは苦手」「いや設定が勢いで矛盾してるっぽいのはちょっと」
 という方々は読まない方がいいかもしれません(マテ
 ノリと勢いでやってしまったので不具合やら無茶やらが出てくるかもしれません。
 激しくツッコミ待ちです、「ここはおかしいんでない?」と思ったらご一報いただければ幸いです。
 では、本編をご覧下さいませ。















 それを裏切りと理解するのに随分と時間がかかった気がする。

 目の前にあるのは両親の死体。キリストのように十字架に身体を張り付かされ、体中から赤い血液を撒き散らし、死んでいた。
 飼っていた犬は首と胴が離れ足元に転がっている。触り心地のよかった綺麗な毛並みは赤に塗れボサボサになり、今触ってもカサカサとした冷たい感触しか返ってこないだろう。
 私はただそれを呆然と見つめていた。
 本当なら今自分の目の前には朝食の支度をした母親がテーブルに料理を並べ、ずっと尊敬していた父がコーヒーを飲みながらそれを眺めていて、愛犬が隣の居間にあるソファーの上でぐっすりと眠っていて、父の知人で、私の師匠である”あの人”がやっと目を覚ました私のほうを見て、
「遅いじゃないか、ティア」
 だなんて、少し微笑みながら私に向かっていつも自慢の淹れたての紅茶を作ってくれるはずなのに。
 どうして、なんて言葉も口に出せずただ呆然と変わり果てた家を見つめる。

「遅いじゃないか、ティア」
「―――――っ」
 後ろから声がかかる。
 それだけは理想の通り。父の知人で私の師匠である”あの人”の声がいつもと変わらぬ声色で話しかけてくる。
 私は彫像のように動けない。
「全く、本当にお寝坊さんだなティアは、自宅でもこんななのかい」

 ――本当だぞティア、久々に帰ってきたんだからたまには早く起きなさい。

 ――いいじゃないあなた。久々なのだからゆっくり眠ったって。

 聞こえない筈の両親の声が聞こえる。
 あの人は私の肩を軽く叩いてから血塗れた部屋に入り、いまだ原型をとどめている椅子に腰を下ろす。
「しょうがないなティア、それじゃあいつもの通りとびっきりの紅茶を作ってあげようか」

 ――あらあら、――さんの紅茶を毎日飲んで目を覚ましてたなんて、羨ましいわね。

 ――そうだぞティア、――の紅茶は一級品だからな・・・舌は肥えてないよな?

 そんな事ないよパパ、師匠の紅茶は確かに美味しいけど時々すっごい渋い紅茶を淹れる時だってあるもの。

 心の中でだけそう返事をして、私は凍った視界の中で紅茶を淹れているあの人を見つめた。
 暖かい湯気を立ち上らせて紅茶はすぐに完成した。血生臭い部屋に少しだけいい香りが溢れた気がしたが、それはすぐに消えてしまった。
 あの人は、笑顔を浮かべながらその紅茶を私に差し出した。
「飲みたまえティグリア=フォートリア」
 その笑顔は、
「この紅茶は特別なんだよ」
 今まで見たことのない、
「だって――」


 君の両親の血で淹れたんだ、美味しくないわけがないだろう?


 とんでもなく嬉しそうで、無邪気で、どうしようもないほど憎たらしい笑顔だった。









 その日。私は大切なものを失った。















       ――Re.聖杯戦争
                衛宮 士郎の場合














「・・・ふぅ、あんま変わんないな」
 帰ってきた冬木の町は、過去の面影を多く残しながらそこにあった。
 俺は二年ぶりに見る町に視界を巡らせ、頬を軽く緩ませた。
「帰ってきたんだな、冬木町に」
 その言葉は自分で思っている以上に弾んでいた。


 俺、衛宮 士郎は魔術師――じゃない、半人前魔術師見習いであり、”正義の味方”を目指している魔術使いである。
 三年前、俺は”聖杯戦争”という七人の魔術師と七体のサーヴァントを用い万物の願いをかなえる”聖杯”を求める戦争に参加し、生き残った。
 その時に得たものは多く、同時に色んなものを失った。
 最高に信頼できる相棒を得た。しかし彼女は最後の戦いにて全ての力を使い、彼女の望んだものと全く違う、忌むべき”聖杯”を破壊してこの世界から姿を消した。
 理想を貫き”辿り着いた”自分を見つけ、その現実を知ってしまった。だが俺はそれを越え、辿り着いた自分とは違う”正義の味方”を目指す事を決めた。
 どちらかというと得たのモノの方が多いのかもしれないと思う。
 何故ならその戦いの中で俺は守るべき・・・その、”最愛の人”というものを見つけたのだから。
 その名を遠坂 凛という。今現在俺の師匠で、倫敦の時計台に所属する魔術師である。
 一応俺もそこの所属という事になってるが、あくまでも凛の弟子という事で通っている。
 先程言ったように俺は遠坂に愛していて、遠坂も・・・多分、俺の事を・・・えぇと、愛している・・・と、思う。要するに俺達は師弟であり、恋人でもある、という関係だ。
 で、今遠坂は倫敦にいて、俺は日本――の、冬木町にいる。



 事の起こりは四日前にさかのぼる。



『先輩・・・こっちに遊びに来ませんか?』
「へ?」
 月に一回はしている国際電話中に、桜がぽつりと呟いた。
「どうかしたのか?何かあったとか?」
『あ、いえ!そういうわけじゃないんですけど・・・あの・・・』
 桜が言い難そうに言葉を濁らす。なんとなく嫌な予感がする。
「・・・藤ねぇ?」
 もしやと思い、少々げんなりしながらその名前を呟く。
 電話口の向こうにいる桜は少し沈黙してから『はい』と非常に申し訳なさそうな声で答えた。
『実は藤村先生、また先輩の家にこもり始めて・・・』
「また!?」
 藤ねぇが俺に家にこもるのはこれが初めてではない、多分二回目である。
 一回目の時は正直目を疑ったのを、今でも鮮明に思い出せるのが不思議だ。


 遠坂と倫敦に留学して一年たったある日。遠坂がぽつりと”日本食が食べたい”と呟いた。
 その言葉がきっかけで、長期の休みを利用して早速日本へと帰国。無論日本にいる知人には全く連絡を入れていない。
『どうせならいきなり行って驚かせてあげましょう』
 という遠坂の提案があったからである。俺も驚いた皆を見るのは楽しみだな、なんて思いながら自分の家へと向かった。

 ――結論から言えば驚かされたのは自分達だった。

 確かに知人達は驚き、喜んでくれたが皆一様に気まずそうに視線をそらす。
 衛宮邸は”虎”の手により人形(言うまでもなく虎の)の館と言っていいほどに変貌していた。
 とりあえず「ごめんなさい」と連呼する桜と、泣きながら衛宮邸の掃除を始める藤ねぇ、及び藤村組の人たちが酷く印象に残っている。
 結局掃除に一週間を費やしてしまい、俺と遠坂はずっと遠坂の家に一週間滞在する事になった。それに不満はないのだが、折角なので自分の部屋で休みたかったのもある。
 ちなみに帰国前にしっかりとチェックしておいたが、特に問題はなかったと思う――多分。
 原因は藤ねぇが衛宮邸に篭り、暫く誰も立ち入らせなかった事らしい。
 ていうか藤ねぇ、一体何がしたかったんだ。


「・・・どれくらい日にちがたってる?」
『多分一昨日からです、この前見かけたときに虎の人形を山ほど抱えてました』
 酷く申し訳なさそうに話す桜。虎の人形を抱えていたのはまぁ置いておいて、とりあえず藤ねぇが篭ってから三日立つ事になる。
 前回の経験より衛宮邸が虎の館に変貌するには二週間はかかっている。
 という事は今から急いで帰ればまだ藤ねぇを止める事が出来るかもしれない、という事だ。
 幸いこちらは長期の休みに入っている。予定では遠坂と旅行する手はずになっていたのだが、やむを得まい。
「わかった、急いで帰るから桜もなんとか・・・藤ねぇと説得、いや、止めていてくれないか?」
『は、はい。頑張ります』
 とは言うものの恐らくあの虎はその程度は止まらないだろう。電話を切ってから急いで荷物をまとめ始めた。

 その後帰ってきた遠坂に理由を説明し、旅行の件を先延ばしして貰う事に決める。
 最初は憤慨していたが藤ねぇと虎の館の名を出した途端動きを止める遠坂。たっぷり二十秒ためてから大きくため息をついて、
「三日で終わらせておいて、その頃には私も多分行けるから」
 という嬉しい言葉をいってくれた。
 一緒に行きたいのは山々だが今遠坂にはやらねばならない事があるので一緒には行けない、というわけだ。
 ちなみに”やらなければいけない事”とは某きんのけものとの対決である。
 あかいあくまときんのけものは非常に似たもの同士である。故に交わらないのかなぁなんて思っていたりするが、二人とも互いの実力は認め合ってると思う――多分。



 まぁ、そんなわけで、俺は冬木の町に帰ってきた。
 表立っては”藤ねぇの凶行を止める”という目的なのだが、それ以上にこの冬木町に来ておきたいと思ったからである。
 理由は特にない、ただなんとなく”冬木町に行っておきたいな”なんて思ってたところに桜からの電話がかかってきたので、丁度いいと思っただけである。
 眺めた町はあまり変わっていなくて少し残念な反面、変わってないなぁ、なんて安堵の声を漏らしたりして。
「っと、まずは家に戻らないとな」
 地面に置いておいた荷物を抱えなおして、急ぎ足で自分の家へと戻る。
 まだ一週間、今止めればきっと二日程度で止める事が出来るはずだ。







「・・・やられた」
 外見は変わっておらず、安心した俺は中に入ってがっくりと肩を落とした。
 目の前には虎。右を見ても虎、左を見ても虎、虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎虎トラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラトラっ!!
「侮った・・・虎は、日々進化する・・・」
 一週間で前回と同様、否、それ以上のとんでもない内装となった元衛宮邸を眺めながら、俺はひたすらに大きな声で、

「藤ねえぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 と、あんまり効果のない無意味な雄叫びを挙げた。




 十数分後。
 頭にたんこぶを作った藤ねぇと、泣きながら大きなため息をついて”早期に止めておけばよかった”的なオーラを発しながら、藤村組の方々が衛宮邸の掃除を始めたのは周知の事実である。

 そんな様子を眺めながら衛宮 士郎は軽くため息をつき。
「ただいま」
 軽く微笑みながら、誰にも聞こえない声でそう呟いた。




 だがしかし。
 脈絡も兆候も何もなく、聖杯戦争が目の前に迫っている事に彼は気づく事が出来なかった。




       ――――聖杯戦争まで、あと三日。







    ――後書きらしきもの――
初めまして、あるとすといいます。
皆様のクロスオーバー作品、及びかなりかっちょよく、ラブラブで、個人的にかなり「きたーーー!!」的な作品を読んでいて、いてもたってもいられなくなりました。
オリジナルキャラを作品に混ぜるのにはかなり抵抗がありました。
が、適当な敵がおらず四苦八苦、結局出す事になりました・・・無念。

あと読めばわかると思います・・・う、わからないかも(汗
とりあえずこれは凛トゥルーEND後です、ですのでセイバーはいません。
理由は・・・特にないのですが(マテ)とりあえずこんな感じになりました。
連載となります、とりあえず出来る範囲で頑張って書きたいと思います。
それでは、また次回。


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