Fate/stay night again 此〜以圈〃后Дャグ?


メッセージ一覧

1: タケ (2004/03/12 12:47:01)


――双剣に写り込んだ自らの顔を見つめながら思う



――――あの日々に衛宮士郎が見た夢は、俺が叶えてみせる――――




Fate/stay night again 此 素肋紊旅姫〜
前編



「ん・・・・・・・」
窓から朝の光が差し込んでくる
毛布にくるまれた体は微かに冷えているが、あそこで眠るよりかは、風邪を引いた方がまだましだ

「・・・・・・・ったく、あの部屋で眠れって言うほうが無理だよな」

そう、俺は昨夜の鍛錬のあと、結局自室に戻ることが出来ずにここで夜を明かしたのだ


――――時刻は朝の六時前

庭に出て、朝の空気を胸一杯に吸い込む

さて、朝食の仕込みを始めないとな

ああ、でもその前に――――

「――――セイバーを呼んでこないとな」

この時間ならきっと、道場にいるはずだ

俺は、セイバーに朝食を作り始めることを伝えるために、道場へと足を運んだ


「あれ――――?」

道場にセイバーの姿はなかった

「おかしいな、もう起きて精神鍛錬やってるころだと思ったんだけど・・・・」

もしやと思い、自らの私室を覗き込む




――――いた




「ん〜〜〜〜〜」

下がった目尻

口元にはとろけた微笑み

とても心地よさそうな顔で、掛け布団を抱きしめて眠るセイバーがいた

遠坂が昨晩用意した、青を基調にして白の縦縞の入ったパジャマに包まれたセイバーは、これでもかというくらい、
無防備な姿を晒していた

パジャマの胸元から覗く白い肌が艶めかしい

「――――――――」
あまりの光景に言葉を忘れる

確かに、俺はセイバーの寝姿を見たことがなかったが、まさかこれほどとは――――

穏やかな 朝の日差しに 感謝する

思わず七五調になる

日本の心は、俺達の中に生きていた


「――――へくちゅっ」

可愛らしいくしゃみ
ビクッと体が反応する

今、セイバーに起きられたら、俺は言い訳する言葉が何もない

「ん〜〜・・・・・・?」
寝返りをうつセイバー
鼻がムズかゆいのだろうか
いやいやをするように、鼻を枕にこすりつける


心臓が早鐘のようになっている

モシ、カノジョガメザメタラ、オレヲミテドウオモウノカ――――――

「んふぅ・・・・・・・」

穏やかな顔にもどり、また掛け布団に顔をすり寄せるセイバー

どうやら、危機は去ったらしい

俺は、セイバーに俺の掛け布団を掛けてやると
起こさないようにこっそりと部屋を出た――――



いただきます、という声が重なる

朝の食卓
座っているのは俺とセイバーと藤ねえ、それに遠坂だ
・・・・桜は今日は来なかった

今後激化するであろう聖杯戦争に、巻き込まないようにするためにも、彼女はいない方がいいのだが――――

「シロウ、おかわりをください」

椀を差し出すセイバー

思考を中断して、彼女の椀にご飯を盛る

セイバーのように、美味しそうにご飯を食べてくれると、作っている側もとても嬉しい

ついつい顔が綻ぶ

「シロー、お姉ちゃんもおかわり欲しいな〜」
そういって、藤ねえも椀を差し出す

保護者兼姉代わりとはいえ、毎日年下の男の子の家に来て
食事をせびるのは、一成人女性としてどうなのだろうか

――――あ、そういえばセイバーも一応年上になるんだっけ――――
藤ねえの椀に山のようにご飯を盛りつけながら思い出す
しかし、体の成長を止めるのとともに、少女であることを止めたセイバーは
外見上の年、相応の感情を持っているのかもしれない

美味しそうにご飯をほおばるセイバーを見ながら思った




穏やかな空気の中で朝食は進んでいく

途中、新都でのガス漏れのニュースが入り

藤ねえが、わあ物騒ね〜等と言っていたり
ままで寝ぼけ眼だった遠坂の顔がキリリと引き締まったり
何も気にせず、セイバーがご飯を頬ばり続けていたことを除けば、それは楽しい朝食だった

――――新都でのガス漏れ
おそらく、キャスターの仕業だ

死者を出していない以上、今は確実に放置すれば死者のでる、学校の結界の方が優先度は上だろう


「なあ、遠坂――――」
小声で話しかける

「ええ、アレは多分、サーヴァントの仕業よ
――――これだけ大規模なものとなると相手はキャスターか・・・・
少なくとも、かなり魔術に精通した相手であることには間違いないわ」

流石に遠坂は鋭い
ニュースという断片的な情報の中から、ここまで正確に推測できるのは一種の才能に他ならない


「でも、今はこっちよりも学校の方を気にした方がいいわね。サーヴァントの強化って面ではこっちの方が
怖いけど、士郎は誰も死なせたくないんでしょ?
なら、一応分別をわきまえてるこっちよりも、学校の方を私たちは優先すべきね」

「――ああ、そうだな」
そう答えることしかできない

こちらの言いたかったことは全て、初めから考慮に入れて考えてくれていたらしい

なら、俺の言うべき事は何もない







後片付けを済ませて玄関に出た
藤ねえは朝練のために一足先に出ている

セイバーは昨日と同じように、家を出ようとする俺についてくる

が、それを認めるわけにはいかない
休日ならまだしも、平日の学校にセイバーを連れて行ける筈もない


「セイバー、いっとくけどここまでだぞ。
俺たちが学校に行っている間はここにいてくれ。セイバーと一緒に行ったら騒ぎが大きくなるし、
何より目立つ。マスターは人目につくのは避けるべきなんだろ?」

「――――――」
納得がいかないのか、セイバーがじっとこちらを睨んでいる

「大丈夫よ、セイバー。学校ではなるべく私が一緒にいるし、アーチャーも霊体にして待機させておくわ
それに、いざというときは霊呪で呼び出せばいいでしょ?」
遠坂がセイバーに諭す

「む―――――」

「遠坂もこう言ってくれてるし大丈夫だって。人気のないところには近寄らないようにするし、日が暮れる
前に帰ってくる。それなら文句ないだろ?」

それに、学校で遭遇するサーヴァントといったら、ライダーぐらいしか考えられない
単純な武器を使った戦闘なら、俺に分があるはずだ

「・・・・ふう、わかりました。リンが一緒にいてくれるなら大丈夫でしょう。
―――しかしシロウ、もうあなた一人の体ではないのですから、くれぐれも無理をしないようにしてください」

・・・俺は妊婦さんか
言い回しは妙だけど、セイバーが俺のことを真剣に心配してくれているのがわかる


「それじゃ、留守番頼むよ。セイバー」
「学校でのことは、私に任せて」

「はい、二人とも気を付けて―――」


家を出る



どこか活気のない学校
草木も人も、全てが色褪せて見えた

「で、学校ではどうするんだ?」

「―――そうね、とりあえず魔力の残滓を追いかけて回りましょう。何か敵マスターの痕跡が
見つかるかもしれないし」

――――そうだな、歴史がかなり食い違ってきている以上、慎二が犯人と決めつけてかかるのは危険だ

「それじゃ放課後に、校内を探索しよう」

「ええ、いくつか目星は付けてあるから、そこを中心に探索していきましょう」
そう言って、遠坂は自分の教室へと入っていった

俺も、自分の教室に入らないと





慎二は学校には来ていなかった
―――どうやら、やはり慎二は何らかの形で、聖杯戦争に関わっているらしい


昼休みを告げるベルが鳴る

今日は弁当を持ってきていたし、生徒会室へ移動しようとすると―――

「っ―――――――――!?」

―――容易に予想できるはずの事態であったのに―――

自分の迂闊さを呪う
廊下には、真剣な顔でこちらを見つめる遠坂

目眩がした


「どうしたのだ、衛宮?頭など抱えて」
一成が心配そうに俺の顔を覗き込む
その優しさが今は辛い

「衛宮はいつも無理をしすぎる。たまにはゆっくり休んだ方がいい」

「ありがとうな、一成。でも、俺ちょっと行かなきゃならないところがあるから」

「今日は、生徒会室で食べていかないのか?」

「・・・そのつもりだったんだけど、どうも今日はそういうわけにもいかないらしい」
廊下にいる遠坂を見る

目がさっさと来いと告げている

―――逃亡は不可能
覚悟を決める

「一成、骨は拾ってくれるな?」

「っな―――!?衛宮、一体何を言っている!!」

「いいから聞いてくれ一成、俺は今からきっと死地へ赴く。だから、お前はここにいて、せめて
俺の冥福を祈ってくれ―――――」

「衛宮・・・・・・・・・」
呆然とする一成を置いて廊下に出る

――――これでいい。たとえ俺がどうなろうとも、これが最良の選択なのだろう――――

目の前には遠坂。その手に持つは、俺が今朝用意したお弁当
――――これが意味するのはただ一つ

「それじゃ、衛宮君。屋上へ行きましょうか――――」
何か話したいことがあるのだろうか

俺を引きずってズンズンと歩いていく遠坂

そして、俺は遠坂に引きずられて屋上へと向かう

クラスメイト達の驚愕の叫びをあとにして・・・・

――――はあ、言い訳どうしよう








二月の空の下、寒々とした風が吹き抜ける屋上に俺達はいた


「美綴りが行方不明――――!?」

「ええ。弓道部の一年の話だと、昨日、間桐慎二に会っていたって話だから士郎のクラスに
来てみたんだけど――――――」

「・・・・ああ、慎二は今日は休みだ」
桜も今日は俺の家に来ていない
これで何も無かったと、信じ込む方が難しい

「桜なら、今日は学校来てたわよ?」

「はあ?」
間の抜けた声が出る

「私も、人づてに聞いた話だから、確実な情報じゃないんだけど。桜は今朝、寝坊して弓道部の練習にも遅れたそうよ。
慎二の欠席のことだって、朝はそれどころじゃなかったみたいだし」

――――美綴が行方不明――――
過去にはなかったことが起こっている

俺が戻ってきたことで、新たな被害者を出すことになってしまったのだろうか――――


授業が終わった
美綴の事件の影響か、放課後の部活も中止され
生徒は足早に帰っていく


廊下に出ると、遠坂が待ち受けていた

「遠坂―――――」
本来ならば、このあと学校の結界を張った相手を探索する予定になっていた

だが―――――――――

「多分、士郎が考えていることと同じ事を、考えていると思うわ」
そう遠坂が答える

「それじゃ、美綴の足跡をたどろう。何か手がかりが見つかるかもしれない」

遠坂の話によると、美綴は昨日、弓道場で慎二と喧嘩していたのを最後に、行方がわからなくなったらしい


やはり、犯人は慎二なのだろうか
状況が、そして過去の記憶が、慎二が犯人である可能性が高いと告げている


遠坂と二人で弓道場へ向かう途中、そんなことを考える
遠坂もきっと似たようなことを思っているのだろうということは、感覚としてわかる
ただそれを明示しないのは、慎二の友人である俺を気遣ってのことなのだろう


それぞれの思惑を胸に、無言で廊下を歩く


「キャーーーーーーー!!!」

「――――――!?」
「――――――!?」
沈黙を破ったのは、女性らしきものの悲鳴

遠坂と顔を見合わせる

「下からだ!!」
「ええ!!」
遠坂と共に駆け出す

階段を一段とばしに駆け下りる


一階の廊下に、女生徒が倒れていた

「――――――!」
女性徒は、非常口前に倒れている

顔を覗き込む、一見ただ気を失っているだけのように見えるがこれは―――


「この子・・・・生命力を抜かれてる
―――このくらいなら、まだ重度の貧血くらいの症状で済むと思うけど・・・・・・」
一応手持ちの石で治療しておくわ、と言って、遠坂がポケットから宝石を取り出す

これは、完全に俺の過失だ
まだ何も起こるまいとたかをくくって、慎二を放置し続けた自分に責任がある

―――美綴も、同じ目に遭わされているのかもしれない

ギリッと、音が聞こえるほどに歯を食いしばる

「ああもう、気が散る・・・・!士郎、非常口のドア閉めてくれない?
風が入ってきて髪が乱れるのよ」


「え―――、あ、ああ。あの非常口だな」

開けっ放しの非常口に視線を送る


・・・・どうして気づかなかったのだろうか

普段開けられることのない非常口

女性徒が倒れているということは、当然襲ってきた第三者がいるということだ

女性徒が悲鳴をあげてから、一分とかからずにここまで来た

犯人が逃げられるとしたら、そこの非常口からしかない―――


「くっ――――!」
ヤバイ、と思った時には体はもう反応していた

とっさに投影した剣とも言えぬ出来損ないで、飛来したソレを打ち払う

一撃で消滅する幻想。だが、それのすべき役割は果たせたから問題はない


「え―――?」
遠坂に当たる直前で俺に阻止された馬糞は、そのまま廊下にぐちょりと落下する

―――そう、馬糞。おそらくはペガサスの

「―――遠坂、その子任せた」

床を蹴る

遠坂の返事を待つ余裕はない

「―――投影、開始」
自己を変革する呪を唱え、非常口から飛び出す


「はあ、はっ―――、はぁ―――」
サーヴァントの気配を追いかけ、全力で走る

干将莫耶はまだ出さない

馬糞を放った相手―――

ライダーには、俺が空手だと思わせて油断させた方がいい

まるでおびき寄せようとするかのように、弓道場裏の雑木林へと気配は向かっている

―――いや、相手はこの衛宮士郎をおびき寄せようとしている。いいだろう、誘いに乗ってやる―――――

垣根を飛び越え、腐葉土の地面を走る


林の隙間に見知った顔

慎二―――!

思わず足を止める


何故慎二がこんなところにいるのかなんて、考えるまでもない

こんなこと止めさせてやる―――

方向転換をして、慎二に向かって駆け寄ろうとした瞬間

喉もとを狙って、釘のような短剣が突き出された

「―――投影、完了」

喉を突き刺そうとするその刃を、虚空より取り出した対の刃で受け止める


俺の目の前には、この短剣を振るった相手

黒色の衣服に身を包み、その白い肌を惜しみなく晒す女性がいた


「ライダー―――!」
今の一撃は、止めさせるつもりで放ったのだろうか
口元に、薄い笑みを浮かべてこちらを見るライダー
その顔からは、なんの動揺もみられない


ライダーが動く

―――目に魔力を集中させる
魔力によって視力を強化した俺には、ライダーの一挙一動。はては、胸の谷間やスラッと伸びる御身足まで
見逃すことはない

上から振ってくるライダーの斬戟
脳を貫こうとするその一撃を干将で弾き、すかさず莫耶で反撃を試みる

だが、ライダーは俺の反撃を見越したのか、初戟を受け止められると共に5Mほどの距離を一挙で後退し懐から
取り出したオレンジ色の鋭利物を放つ―――!

「っく―――!その格好でどこから出したんだよ!?」
飛来する”ニンジン”の悉くを打ち払う

まじめにやってる俺が馬鹿みたいだ


未だニンジンを放ち続けるライダーの相手をしつつ、慎二に話しかける

「慎二、美綴をどうした!」

すると、慎二は心底おかしいといったように、笑いながら言った

「美綴?アイツ生意気だろ、あんまりむかついたもんだから、ライダーに命令して生命力を吸わせたんだ。
それで、そのまま路地裏に放置してきた。まあ今日か明日当たりには見つかるんじゃないか?」

「美綴を、殺したのか―――!?」

「いや、殺そうと思ったんだけどさ。ライダーがここで殺すのは不味いって言うからよしといたんだ。
召使いの言うことを聞き入れてやるのも、よい主人の条件だからね」
慎二が嬉しそうに笑う

―――美綴は無事か・・・・
だが、慎二をこのまま野放しにするわけにはいかない

慎二の話しぶりから考えると、どうやらライダーが人を襲うのは、慎二の命令によるものらしい

「慎二、お前が無関係な人を襲うって言うんなら、俺はお前を止めなくちゃならない。
今すぐ学校の結界を解くんだ。今ならまだ間に合う」

ライダーが慎二を守るようにして、慎二の傍らに立つ


干将莫耶を構える

慎二の返答次第では、慎二とライダー、二人を拘束しなければならない

「は―――――。オレはな、お前のそういう、正義ぶったところが嫌いなんだよ!」
睨み合う、まさに一触即発の雰囲気

最初に動いたのは、ライダーだった
ライダーは、傍らの慎二を担ぎ上げると、くるりと俺に背を向け―――

脱兎の如く駆けだした


「―――は?」
あまりのことに一瞬呆気にとられたが、慌てて俺も追いかける


「おい、何するんだ!」
慎二がキレて、手足をばたつかせる
気持ちはわからなくもない

だが、ライダーはそんな慎二にただ一言
「他のマスターの接近を感じます。2対1ではこちらが不利です」
と言った

こうなっては、慎二も従うよりほかない

慎二がおとなしくなると、ライダーのスピードも上がった


やばい、ここで逃がすわけには―――!
大地を蹴る足に、力がこめる


しかし、無情にも俺とライダーとの差は開いていく


慎二とライダーが、雑木林を抜ける
雑木林沿いの道路には一台のバイクが止まっていて、ライダーは、迷うことなくそれに飛び乗った


「あれは――――――!」



あのバイクには見覚えがある

二人が乗ったバイクはXR250をベースにいくつかの改良を加えたもの

粘り強く扱い易い出力特性をもつ空冷・4ストローク・単気筒エンジンを搭載し
オンロードからオフロードまで一段と軽快で優れた走破性を発揮するランドスポーツバイク



エンジンをかける時ライダーが
「行くぜ■■■■■■!お前に生命を吹き込んでやる!!」
と叫んだ

どっかのACEドライバーかお前は

セリフはともかく、ライダーの能力によって、その性能を極限まで引き上げられたソレは

風のような速さで走り去っていく



それを追うことが、俺にはできなかった・・・

そう、ライダーの乗ったバイクはXR250をベースに、数々の改良を加えたもの


――――お茶の間のヒーロー、仮面ライダー555が駆る”オートバジン”そのものだった


あまりの出来事に全身の力が抜けていく

手から滑り落ちた双剣が、大地に打たれて砕け散る


「・・・・・なんでさ」

呆然と立ちすくみ、そう言うことしかできなかった




―――――――――――――――――――――
今回は前後編に分けるつもりはなかったんですけど・・・
萌えって難しいですね(ーー;)


記事一覧へ戻る(I)