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1: タケ (2004/03/10 10:24:34)



セイバーはともかく遠坂、その理由は何だ
かといって、俺が遠坂に逆らえるわけもなく――――





――――結局、三人で弁当を届けに行くことになった




Fate/stay night again 后 a strange day〜

後編


「二人に言っておきたいことがある」
学校へと続く坂を上っている途中、俺はそう二人に話しかけた

「?」
「?」
俺を見つめるセイバーと遠坂
強力な意志を宿した二組の目線が俺を射抜く

「これからさき、可能な限り、俺の言うことに口裏を合わせてくれ」

弓道場の中にはきっと藤ねえと桜がいるのだろう

あの二人が、俺が女の子を連れてやって来て、何も言わないはずがない

特に藤ねえ。全力で俺をからかってきそうな気がする

今後、セイバーを衛宮家に居候させることを考えても
今のうちからいろいろと決めておいた方がいい

「わかったか、二人とも?」

「それがシロウの命令ならば」
「・・・・・状況次第ね」

・・・頼むぞ遠坂


「とりあえず、セイバーは切嗣の親戚で、観光がてら遊びに来たってことでいいか?」

「ええ、それでシロウの都合がよいのであれば」

「遠坂は――――」

「私はいいわ。同じ学校に元から通ってるんだし、一緒にいたとしてもそこまでの違和感はないはずよ。
・・・・・・・・・それに、弓道場には私の友人もいるしね」
ふむ・・・
遠坂がそう言うのならきっと大丈夫ということなのだろう

「そういや、遠坂」

「どうしたの、士郎?」

「いや、セイバーの服用意してくれてありがとうな
・・・・・・・・・・・・・・正直、俺じゃそこまで気を配れなかった」

「どういたしまして。まあ、いつまでも鎧姿ってのも何だしね。
――――で、感想は?」
口元ににやりと笑みを浮かべて遠坂が聞いてくる

だが、甘い
過去の俺ならまだしも、パワーアップしたν士郎はそれくらいじゃ動じない

「セイバーの清楚な感じだとかを十二分に引き出した、素晴らしい服のチョイスだった。やっぱり、女の子の服は
女の子に任せた方がいいって事だな」
さらっと切り返す

女の子、という言葉に二人の体が、ビクッと揺れる
面白い



そんなことを話しながら、学校の門をくぐる
――――違和感
世界の色が変わった、そんな感触

「あ―――――――」
思わず声が出る

そうか、慎二が張った結界か
正確には、ライダーがだけど

「シロウ、ここは――――」
セイバーが驚きの声を上げる

「――――ええ、この場所には結界が張ってあるわ。それも、とびっきりたちの悪い」
その言葉に反応して、セイバーが俺を守るように身構える

「そんなに警戒しなくても大丈夫よ。結界の発動自体は私が邪魔しておいたからまだ時間がかかるはずだし・・・
それに、今は藤村先生にお弁当を渡しに行かなくちゃいけないでしょ?」

「・・・・では、リン。結界のことは――――」

「今後の課題ね。私たちは、結界を張ったマスターを締め上げて、結界を解かせなければならない」
セイバーの言葉に頷く遠坂
それで、セイバーの体から力が抜けていくのがわかる

「話の続きは、また家に帰ってからにしよう。ここじゃ、誰に聞かれるかわからない」
俺がそう告げると、二人はコクン、と頷いた





弓道場の前には懐かしい人物がいた

「あれ、衛宮だ。なに、食事当番?」

「―――――――」
気心の知れた友人はこういう時に、便利ではある
弓道部主将・美綴綾子は、俺の顔を見ただけで、俺の用件を看破した

・・・俺がしょっちゅう藤ねえの弁当届けに来ていたせいも、あるかも知れない

にしても、懐かしい顔だ。最後に会ったのは、果たしていつのことであったか

「助かったわ。藤村先生、空腹でやたらテンションが高くて。部員をいびり倒してるからさ
今から、下のトヨエツまで、食料品買い出しに行こうと思ってたのよ」
美綴が苦笑する

「下のトヨエツまでって、非常食くらい無いのか?」

「当たり前でしょ?ただでさえ備品で金食ってるんだから。そんなもの買う余裕はないわ」
さすが倹約家美綴。まさに日本の母、という感じだった

「・・・・そりゃ、災難だったな。ほれ、弁当だ。藤ねえに渡してやってくれ」
ほら、と紙袋を差し出す

「お、豪華三段セット。いいね、久しぶりに見た。衛宮こういうこまかいの得意なのよね」
何が嬉しいのか、にんまりと笑う美綴

そう言うこいつは、大量生産が上手だった
合宿の夕食は大抵こいつが用意していた
皮だけ剥いたジャガイモカレーが美味しかったという、料理の奥深さを教えてくれたのもこいつだったはずだ

・・・いやまあ、それはいいとして
美綴は袋の中を覗いただけで、弁当を受け取ろうとはしなかった

「なあ、差し出したままの体勢って結構腕が疲れるんだ。早く受け取ってくれないか?
それに、今頃藤ねえが遅いって暴れてるはずだろ?」

「そう思うんだったら、さっさと中に入って、そのお弁当を藤村先生に届けてあげな。だいたいね、
入り口であんたを帰したとあっちゃ、藤村先生が余計怒るのは目に見えてるでしょ?ここまで来たら観念して
さっさと中に入りな」

まあ、藤ねえに会いたい気もするし、中に入ってもいいか・・・・

「・・・・了解。そのかわり藤ねえが怒ってたら止めるの手伝えよ?」
そう、美綴に言う

「それはいいんだけどさ――――」
と、唐突に体を寄せると、内緒話でもするかのように耳元に口を近づけていった
「・・・・・で、衛宮。何で遠坂凛があんたをじっと見てるの?それと、隣にいる外人っぽい美少女は誰?」
二人を小さく指さす美綴

「――――――――」
二人が何故か俺を睨んでくる
理不尽だ、俺は何もしてないのに

「どうなのよ衛宮。あの二人、あんたに何か関係があるの?」

「説明すると複雑なんだが、そういうことにしてもらえると助かる。・・・ついでに、あいつらが部室に入っても
みんなが騒がないように言い含めてくれると、とんでもなく恩に着る」

「・・・・・OK、その交換条件は気に入った。衛宮、あとでチャラにするとかそういうのは無しだからね」

扉を開ける
二人は無言のまま俺と美綴についてきた




・・・・・・・・・昼休みのあとの道場は、さながら戦場のようにさわがしかった


「藤村先生ー!岬さんがお腹が痛くて死にそうって言ってます!さっきのカンパン、いつの時代の
ものだったんですか!?」

衛生兵!衛生兵ー!!なんて声が聞こえる
「私も一緒に食べたけど大丈夫だったでしょ?食い合わせが悪かったんじゃない?」
藤ねえの胃袋と常人のそれを比べるのは間違っている気がする

「タイガ先生ー、巻藁練習するんでストーブ移動させてくださいー!道場は凍えそうなほど寒いッス!!」
悲痛な叫び。だが、それに対して藤ねえは

「はい、いい度胸してる君は半ズボンで道場三週」
鬼のようなことを言った

・・・・・懐かしい
やっぱり藤ねえは藤ねえだった

そんなことを思っている間にも一年生の部員の悲鳴が響き渡る
さすがに、二年は慣れた物だ。なるべく藤ねえに近寄らないようにしている



まあ、いつまでも阿鼻叫喚を眺めているわけにもいかない

桜を見かけたので声をかける
「おーい、桜」
桜は弓を置いてこちらに駆け寄ってきた

「先輩、どうしたんですか?今日は、あ、もしかして、その」

先輩と呼ばれるのも久しぶりだ

「ああ、藤ねえに弁当を届けに来たんだ
悪いけど、あそこにいる飢えた虎を連れてきてくれ」
そう桜に頼むと、さくらははい、と答えたものの、動こうとしない

「?どうした桜?」
尋ねてみる
「はい、先輩。あの藤村先生を呼んでくるのはいいんですが、あの・・・」
ちらりと、俺の後ろに視線を向ける
そこには、遠坂とセイバーが立っていた

「・・・先輩?」
「ん?なんだもう手遅れなのか?せっかく桜の分のお弁当も用意したんだけど、残念だな」
そういうと桜は
「あ、いえ。そんなことないです。わたしもお腹減ってます!あ、いえ、藤村先生にお弁当半分あげちゃったから」

「うん、多分そうだろうなと思ったから、桜のはすぐ食べられるようにしといたぞ。
まったく、しょうがない先生だよな。まあ、今日は俺もせっかくだから部活が終わるまでここにいることにするよ。
藤ねえの監督もしなくちゃならないし」
俺がそういうと、桜は嬉しそうに
「ホントですか、先輩!勝手に帰ったりしませんよね?」
と言ってきた
「ああ、今日は最後まで付き合う。だからとりあえずお昼にしよう」
そういうと、はい、と桜は嬉しそうに返事して藤ねえを呼びに行った

振り返れば、突然の珍客にざわめき始める部員に、美綴が説明をして回っているところだった



昼食後
ようやく藤ねえは落ち着いたようで、先ほどよりは幾分優しく指導を始めた
周りを見ると、桜は射場でていたり、遠坂は美綴と話をしていたりして
俺とセイバーは手持ちぶさたになってしまった

「なあ、セイバー。退屈じゃないか?」
一応セイバーに聞いてみる
するとセイバーは
「いえ、なかなか興味深い。それに鍛錬場というのは気持ちが落ち着く」
「そっか」
それで俺たちの会話は終わった
お互い、沈黙に苦痛を感じるタイプでは無いし、これはこれでいいのだろう







日が暮れ始めて、部活はお開きとなった

自宅に帰る
その途中、藤ねえと桜に。セイバーと遠坂について説明しておいた
――――建前の事情を

理詰めでせめる遠坂のやり方に、藤ねえは簡単にやりこめられてしまう
桜は、納得がいかない様子だったが、口を出すようなことはしなかった

遠坂までもが俺の家に住むと言った時は流石に、俺も驚いて声を出しそうになったが
遠坂の一睨みで喉から出かかった声が詰まり
ぐぇ、とかえるの鳴き声のような音が口から漏れただけだった



5人で食べる夕食
夕食は、遠坂が腕を振るった中華料理だった
味付けの濃い中華料理にもかかわらず、口に合うその一品はまさに絶品と言うほか無かった


9時頃になり藤ねえが桜を送って帰っていく

全員が風呂に入り、落ち着いたところで、いつの間にか私服に着替えた遠坂が切りだした

「それじゃ、今後の方針なんだけど、学校の結界を張ったマスターを捜すって事でいいわよね?」

「ああ、それでいいと思う」

異論があるわけがない

もっとも、俺は既に犯人を知っているのだから捜すことに意味はないだけど

「なら、明日から犯人捜しを始めましょう」

「?今日からじゃないのか?」

「今日からがいいならそれでもいいけど、せめて、私たちの部屋を用意してもらってからでいいわよね」

「私もリンの意見に賛成です。敵マスターとの対決は、こちらの体勢が万全である時が望ましい」
セイバーも同意する

ああそうか

寝るところもまだ決めていなかったな

「それもそうだな。まあ、部屋数は結構あるし、好きなところ使ってもらって構わないぞ」

「うん、士郎ならそう言うと思って、実はもうアーチャーに準備させた」
俺の言った言葉が嬉しかったのか、遠坂が嬉しそうに答える
・・・アーチャー、全身打撲だって言ってなかったか?

「へえ、なんていうか手際がいいな。それで、一体どこにしたんだ?」
遠坂に尋ねた

「士郎の隣の部屋よ」
へえ、俺の隣の部屋か
ということは、セイバーと一緒に遠坂は寝るって事だな

「ってことは、遠坂はセイバーと一緒に寝るって事か?」
「無理よ。家具とか実験道具とかで、もうスペース無いもの」
「そうか、無理なのか・・・・って、ならセイバーはどこで寝るんだよ?」
ていうか、そんな大型家具をアーチャーに運ばせたのか・・・

「私は、シロウの部屋で寝ます」

待て待て待て待て!

「――っな、ダメに決まってるだろ!?」

隣の部屋で遠坂が寝ているという状況ですら既にアウトに近いのに
セイバーが同じ部屋で寝るなんて致命的だ

「しかし、シロウの隣の部屋は既にリンが使っている。なら、防衛上の面から見ても
私がシロウの部屋で寝るのが最も好ましい」

「そういう問題じゃなくて、一応俺とセイバーは男と女なんだから間違いがあったら不味いだろ!?」
頼むからもうちょっと、そういうことに気を配ってくれ!

「あら、衛宮君はそんなことで間違いをおかしちゃうような人だったんだ」
遠坂がにんまりと笑いながらそんなことを言ってくる

「っば、そんなわけないだろ?一般論を言ってるんだよ!」
反論をしてみる
――――だけど、こういう遠坂には勝てない、と冷静に見つめる自分もいた

「でも、その一般論は衛宮君にはあてはまらない。自分を制御することが出来てこその魔術師なんだから
――――違う?」

「う・・・・」
旗色が悪い

「それに、もしセイバーに襲いかかってみなさい。きっと、五体満足じゃいられないわよ?」
さらりと恐ろしいことを言う

「シロウ、私はあなたを信用している。どうか、同じ部屋で寝かせて欲しい」

「・・・・・わかったよ。ただし!間にしきりは入れさせてもらうからな」

「ええ、構いません」




悶々とした日々のはじまりだった








――――眠れない
こんな状況で安眠しろと言う方が間違っている

部屋の中からは、自分以外の寝息が聞こえる
普段は髪を上げているセイバーも、眠る時はやっぱり髪を下ろす

髪を下ろしたセイバーは騎士ではなく、本当にただの少女そのもので――――


「っ――――――――」

だめだ、こんな事を考えていたら眠れるわけがない



土倉へ向かう

日々の鍛錬を行った場所
セイバーと出会った場所

肌寒い土倉の中が、とても温かい場所のように思えた

土倉の床に正座して鍛錬を始める


「―――投影、開始」

俺の魔術は、自分の内側に働きかけるもの

だから、日々の精神鍛錬を怠ってはならない

想定の定まらない空想は、妄想に成り下がってしまうのだから

「―――投影、完了」

手にするのは干将莫耶
俺が唯一担い手になれる双剣

両手にかかるずっしりとした重みが、投影の成功を告げていた




――双剣に写り込んだ自らの顔を見つめながら思う



――――あの日々に衛宮士郎が見た夢は、俺が叶えてみせる――――




――――――――――――――――――――
あとがき


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