his healing hand will pull her out of fire epilogue


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1: らむだ? (2004/03/08 21:54:35)

死んだ。唐突だったが予定通りに死んだ。

「は。」
くだらなすぎて思わずそれしか言えない。覚悟が人を幸福にするなんて言いやがった奴は阿呆だ。覚悟が出来ていても出来ていなくても、死ぬのはいやなもんだ。寧ろあがく分だけ知っているのは不幸だ。
俺が今日死ぬと分かったのは11年前、円蔵山の中腹にある大空洞で『あれ』に触れた時だ。

きっかけは、何だったか。カブトムシでも取ってたんだろう。そのとき登った岩が偽物だと分かり、俺はその中を進んで行った。
その頃はガキだったから、ドンドン奥に進んだ。

大きな空洞に出た。
そのとき『あれ』を見て畏敬という感情よりも好奇心と感動が勝った。

「すげえぇ。」
思わず口走る。そして俺は、あれに触れた。

そのとき、俺は死んでたんだろう。俺は俺でなくなり、『俺』になった。

いろんなものが流れ込んできた。遥かな過去から今、そして遥かな未来へ。その全てが流れ込んでくる。
これまでに起こった事、これから起こる事。これまでに失われた技術、これから発明される技術。実に様々な情報が流れ込んできた。
その中に、自分が死ぬ日があったって、何も、不思議じゃない。

そのときから、世界の全てがどうでもよくなり、ただ人生の些事を楽しむことにした。
そして今日、今、このとき、死んだ訳だ。
一つだけ心残りが有る。セイバーに自分の意思を伝えられず、振り向かせることもなく死ぬことだ。

世界から取引を持ちかけられた。英霊になったとしても伝説にならない俺じゃ掃除屋になるだけだ。当然断る。
だけど、少し考えて口から出た言葉は違った。



「はあ、まさかこんな奴がセイバーを召喚するなんて…。それで?あなたは何?8人目のサーヴァントとでも言う気?」
遠坂が、サングラスをした男に尋ねる。こいつとセイバー、それにアーチャーが人間じゃないってことは分かる。

「俺が何者か,か。お前には関係ない。それを知っていていいのはセイバーだけだ。」
一瞬、こっちを見たような気がする。でも目線は分からない。

「ああ、そう。それは分かったわ。一つだけ答えなさい。あなたはサーヴァントなの?」
遠坂にとっては、まずそこが問題だったらしい。

「違う、俺は英霊になる際の契約によってここにいるだけだ。ゆえにクラスはない。が、もし俺を呼ぶのならガードと呼べ。」



俺は世界に対してこう答えた。

「アーサー王、アルトリア・ペンドラゴンが英霊として召喚される際にその守護として俺が共に呼ばれること。それが条件だ。」
そう、俺は彼女を守り続ける。彼女が俺を必要としなくなるまで。彼女が、自分の幸せを見つけるまで。
俺は彼女に一目で惚れた。その事実以外要らない。他の全ては、些事に過ぎない。



過去より来た何かがここに或る。
未来より来た誰かがここに居る。
彼の者はただ一つの誓いによって立つ。
彼の者はただ守り続ける。
彼の手は、彼女を勝利へと導くだろう。



後書き?
終わりです。正直言ってセイバーに士郎以外をくっつけるのはかなり難しいので自分の発想では無理、と判断。そのためこのような終わりになりました。
気が向いたら他に話を書くかもしれません。ではでは。



最後に
推薦板には推薦する理由、出来ない理由を書きましょう。作者に対する苦情その他はメールで。あくまで、"推薦"をする板ですから、他の方や管理人さんへの迷惑となります。
第一、批判を書く時間があるんだったら私の文など読まずに他の方の作品を読んだほうがよほど時間の有効利用となります。
楽しく読んでくださった方(極小数とは思いますが、)また会う日まで。そうでない方は私の名前を見たら読まずに他の方の作品を読むことをお勧めします。

らむだ?


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