Fate/stay night again 港以圈〃后Д轡螢▲后Mヒーロー衛宮士郎


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1: タケ (2004/03/07 11:06:43)



そう言って、二人は衛宮家に向かって歩いていった


残された俺は
何故二人がそのような態度をしたのかがよくわからずに
一人、自らの穿った穴を見つめるのであった





Fate/stay night again 后 a strange day〜

前編



――――そうして俺は夢を見る


夢の中の俺はまだ幼い子どもで、親父と一緒に月を見上げていた


――――これは、親父が死んだ時の夢だ。そして、俺が正義の味方になると決めた日――――


このころには、親父は聖杯からこぼれ出た”この世全ての悪”に体を蝕まれきっていて
自分の死期さえ悟っていたように思える

だからだろうか
自身の夢を継ぐと言った俺の言葉に、安心したかのように微笑んでこの世を去ったのは

あの時から俺は、正義の味方になるために自分の体を鍛えてきた
前回の聖杯戦争で、その夢は確たるものに変わり、その後俺は正義の味方と呼べるような存在になった

誰からも理解されないその夢は、結局俺自身を死に追いやるものとなってしまったが


――――だからどうしたというのだ

セイバーと遠坂が笑っている姿を見て思った
大切な人が笑ってくれている。なら、俺の生き方は間違っていない

だから、俺が再びこの夢を見る必要はない

こんなもので確認しなくても、衛宮士郎の夢はあの日からずっと変わることはない

あの時、救われることがなかった命

救うことが出来なかった命

それに報いるために、俺は全てを救うという、美しい理想を貫いていきたい
それが、衛宮士郎となった俺の、最初に抱いた感情だったから

――だから――――おれは―――――――――






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・っ」

目が覚める

懐かしい夢を見ていた気がする

夢・・・・・・・・?

「っ・・・・・・・・!」
頬をつねってみる
痛かった


・・・・どうやら、過去に戻ってきたというのは、夢ではなかったらしい

ほっとして気が抜けた――――

「とりあえず、顔洗ってくるか・・・・」


布団を抜け出す

窓から見える陽が昇っているところを見ると、俺は相当眠っていたようだ



蛇口を捻る

冷たい水が顔を撫で、意識が急速に覚醒されていく

「ふう・・・」

考えることはたくさんある
この世界に来てから、俺はかなりの改変を既に行ってしまった
これがどのような影響を及ぼすのか――――

「とりあえず、洗面所で悩んでても仕方ないか」

とりあえず、居間に行こう
居間には確か、遠坂がいたはずだ


「おはよう、士郎」
遠坂が話しかけてくる

「ああ、おはよう。早いんだな、遠坂」

「何言ってるのよ、士郎。あなたが遅いの」
はあ、と溜息をつく遠坂

「・・・まあいいわ、それであなた、これからどうするつもり?」

起き抜けに浴びせかけられる質問としては、なかなかヘビィだった

いや、これから為さなければならないものは、もう決まっている

ただ、どうやってそれを為せばいいのかが、わからないだけだ
「とりあえず、誰も死なないようにしたい、っていうのがやりたいことなんだけど・・・」

「ええ、それは昨日聞いたわ。誰も死なせないために、あなたはどうしたいのかが私は聞きたいの」
どうするのか
それを遠坂に相談するには、遠坂に全てを打ち明けてしまわなければならない
だが、それはまだ早い
未来から来たなんてことを言っても、警戒されるか、もしくはキチ○イと思われるだけだろう


――――なら、この場で俺に出来るのは話題の変更だけだ

そう、口下手な衛宮士郎に唯一許された話術は、話題を変更するということだけなのだから――――


「って、それはなんか違くないか?」

「っへ?」

「あ、いや。独り言だから気にしなくてもいい。そんなことよりも聞きたいことがあるんだけど」

「いいわよ、私が知ってることだったら答えてあげる」

――――ここで慎重に話題を選ばなければいけない
下手な話だと、彼女の注意をそらすことは出来ない

「何か質問があるんだったら、早くしてくれない?こっちはさっきの話の続きがしたいんだけど」

・・・・ふと思いついた質問

いや、でもいくら何でもそれはあるわけないよな・・・

そんなものがあるなんて、どう考えても都合がよすぎる

・・・ダメもとで聞いてみるか

「なぁ、遠坂」

僅かな期待を込めて、遠坂に問う

「なに、士郎?」

遠坂が答える

「あのさ、聖杯無しでもサーヴァントを現界させる方法って無いかな?」

自分でも馬鹿な質問だとは思う
でも聖杯戦争について知りたいことで言ったら、これに勝るものはきっと無い

「あるわよ」

そうか、やっぱり無いのか・・・・・、って今なんて言った!?

「今、遠坂あるって言わなかったか!?」

「だからあるって言ったじゃない。士郎、あなたその歳で耳が遠くなったの?」

結構失礼なこと言われてる気がするけど今はそんなこと気にしてる場合じゃない

「一体、そんなのどうやってやればいいんだよ?相手は人間を超えた存在だろ?」

そう、英霊は人間を超えた存在、だから聖杯の力無しでは現界させ続けることが出来ないはずだ

「いい、衛宮君?もともと英雄っていうのは膨大な魔力量と魔力生成量を持った存在よ?」

それはわかる。だからこそ人間程度の力でその身を拘束させ続けることなんてできないんじゃないのか?

「つまり、サーヴァントは現界するだけならマスターと聖杯の力無しでもできるの」

「ごめん、遠坂。全然わからない」

ちんぷんかんぷんだった

「例えばサーヴァントが毎日生成する魔力量が10だとするでしょ?そのうち、サーヴァント自身を現界させるのに
必要な魔力量は全体の7か8割くらいでいいのよ。わかる?サーヴァントは一応、現界に必要な魔力量を自分
でまかなうことが出来るの。」

おかしい、遠坂の言っていることには矛盾がある気がする
その矛盾をぶつけてみることにした

「なぁ遠坂、それっておかしくないか?それだったら別にサーヴァントはマスターなんていらないわけだ
ろ?それなのにマスターのいないサーヴァントが消えるってのは、なんか矛盾してないか?」

そういうと遠坂は、大きな溜息を吐いた

「衛宮君、マスターがいなくてもいいって発想は、それ自体がまず間違ってる。聖杯戦争はマスター
が聖杯を手に入れるためにあるの、衛宮君が言ってることは大前提からして間違ってるわ。それに、
さっき言った数字は現界するのに必要な魔力量を表したものであって、サーヴァントが行動するのに必要な
魔力量は含まれてない。戦闘となれば、消費する魔力量は格段に上がるから、どうしてもマスターからの供給が
必要になるわ」

「う・・・・・・、確かにそうかもしれないけど、でも、マスターのいないサーヴァントが消えるってのの説明
にはなってないぞ」

現界するだけならマスターの魔力供給が必要ないのだとしたら、マスターの殺されたサーヴァントが、すぐに
消滅してしまうなんて事は起こらないはずだ

「いい?サーヴァントとこの世界を結ぶ架け橋として、聖杯、そしてマスターは存在するの。英霊の受肉
――この世界での英雄の再構成をするのが聖杯の役割なら、マスターの役割は、サーヴァントを、自身と
霊的に繋げることで、この世界とサーヴァントを間接的に繋ぎ、サーヴァントをこの世界に維持することと、
魔力の供給をすることにあるの。もっとも前者の方が比重としては大きいんでしょうけど」

ひょっとして、自分はかなり馬鹿なんじゃないだろうか・・・?
遠坂の言うことの意味が全くわからない

「普通にサーヴァントを召喚するだけじゃ、そのサーヴァントはなんの霊的繋がりのないこの世界に
長い間とどまることは出来ないわ。せっかく召喚した英霊も、この世界に拘束することが出来なければ
すぐに英霊の保管庫的な場所に戻ってしまう。それじゃ、こちらとしては都合がよくないでしょ?だからマスター
との霊的繋がりを持たせることでサーヴァントを”この世界に関係があるもの”という枠で拘束し、サーヴァント
を現界させるのに、世界の力も借りるの。それに、聖杯戦争中は魔力の消費が激しいから、マスターと霊的
繋がりを持つことで魔力の供給も出来る。
――――誰が考えたのかは知らないけど、とんでもなく合理的なシステムよ」

わかったようなわからなかったような・・・

「一から作るのと、それを維持するのに必要な労力は決して一緒じゃない。まあ、マスターとのレイラインが
しっかり繋がっているなら、サーヴァントは現界し続けられると思ってもらって構わないわ。もっとも、現界に
必要な魔力をサーヴァント自身が支払っているんだから、サーヴァントの現界していたいって意志も重要
なんでしょうけど」

なるほど・・・
でもなんでこんなことを遠坂は知ってるんだ?

「なんとなくわかった気がするけど、なんで遠坂はこんなこと知ってるんだ?」

すると遠坂は、悪魔のような微笑みを浮かべてこう言った

「衛宮君、サーヴァントっていうのは、言うなればとんでもなくハイレベルな使い魔よ?この世に止めておく価
値なんていくらでもあるわ」

――あれは赤いあくまだ
俺はアーチャーの未来を思って涙せずにはいられなかった―――







サーヴァントといえば、セイバーはどこに行ったのだろうか



「なあ、遠坂。セイバーどこ行ったか知らないか?」

「セイバーなら確か、道場の方へ行くって言ってたわよ」

「そっか、ありがとう」
遠坂に礼を言って道場へと向かう




ともあれ、サーヴァントをとどめる方法が見つかったのは幸いだった
今回はセイバーとのレイラインをしっかり繋げることに成功したみたいだし、あとはセイバーの意志さえ
あれば現界させ続けることが出来るだろう

「だけど・・・・」

セイバーはこの地にとどまることを望むだろうか?

彼女がサーヴァントになった理由はただ一つ

自分というアーサー王を無かったことにするという願いだけ

確固たる目的を持って聖杯を望む彼女が、この地にとどまりたいと思うだろうか――――



「っと、危ない危ない」
道場の前を通り過ぎるところだった

扉を開ける――

静まりかえった道場にセイバーはいる

昨日までの鎧姿ではなく、上品そうな洋服を着て、凛と背筋を伸ばし正座をしていた


「――――――――――」

静寂に佇む彼女の姿は、清らかに流れる清水を思わせた
その身に纏っているのは紛れもない聖の気

――彼女が俺の味方をしてくれている限り、俺が道を間違えることはない
心からそう思った

「セイバー」
声をかける

「目が覚めたのですね、シロウ」
慌てることもなくそう答える。
彼女のことだ、俺が入ってきたのに気づいていたのだろう

「セイバーは、ここで一体何を?」

「体を休めていました。シロウは眠っていましたから――――空腹に耐えるには休むより無かった」
まじめな顔と口調で、ある意味最も彼女らしいことを言った
「――はい?」

「お腹がすきましたシロウ、何か作ってください」
確かに、召喚されてから今まで、セイバーは何も口にしていないはずだ
セイバーじゃなかったとしても、誰だってお腹がすくだろう
だけど――――
「は――――」
笑いがこみ上げる。それでこそセイバーという気がした

「なっ!何故笑うのですか、シロウ!」

「いや、やっぱりセイバーは、食いしん坊だなと思ってさ」
口元から笑みを消すことが出来ない

「っな!シロウ!貴方は私をそのような目で見ていたのですか!私はそんなに食い意地は張っていま
せん!」

烈火の如く怒り出すセイバー
というか多少は食い意地が張っているってことか、その発言は

「今すぐ作り始めるから、居間で遠坂と待っててくれないか?」

「わかりました」
普段からそうだけど、食事が絡むとすごくセイバーは従順になる

・・・そういえば
「セイバー」

「はい、なんでしょう?」

「その服、似合ってるぞ」

「―――ありがとうございます」
どこかそっぽを向きながら答えるセイバー
彼女なりの照れ隠しなのだろうか

「――――さて、欠食児童のためにも、たくさん料理を作らないとな」
卑怯な手段かも知れないけど、案外食事で釣ったらセイバーは現界していたいと願うんじゃないだろうか
そう考えると、また笑いがこみ上げてきた










俺が作った昼食は、おおむね好評だった

セイバーはしきりに頷きながら食事をしていたし
遠坂も、結構いけるわね。なんて嬉しいことを言ってくれた

これも、聖杯戦争中、料理で遠坂に負けた悔しさをバネに、自らを鍛え続けた成果だ


食後、お茶を飲んでみなでくつろいでいると
「それじゃ、今後の相談をすることにしましょう」
そう、遠坂が切り出してきた

「やっぱり、聖杯戦争に参加するからには、あなた達は聖杯が欲しいのよね?」
そう、俺とセイバーに対して言ってきた

「ええ、私は聖杯を手に入れるためにサーヴァントとなったのですから、言うまでもありません」
そう言いきるセイバー
だけど、この聖杯はセイバーの望むものじゃない
――いずれ、その話はしなければならないとはいえ、なんとも気が重くなる話だ

「―――あなた達は、と言うことはリンは聖杯がいらないということなのですか?」
俺を無視して話は進む

「ええ、私は聖杯戦争で力試しがしたかっただけだし」

「しかし、リンはそうだとしても、アーチャーは聖杯を手に入れることを望むのではないでしょうか?」

「そのことなら大丈夫よ、アイツに私の決定に対する拒否権はないから」
平然と言ってのける遠坂

――――それは酷くないか?

「そうですか、ならば問題はありませんね」

お前もかぶるーたす


「となると、次はどのようにしてマスターを捜すかということですか・・・」

「そのへんはやっぱり、私が地道にマスターの魔力を探るしかないでしょうね。士郎、そういうの苦手そうだし」

「助かります、リン。やはり、あなたが味方でよかった」

もう、俺、完全無視

いくら半人前扱いの魔術師だからといって、この対応は酷いんじゃないだろうか
これでも投影やらせたら、右に出るものはいないんだぞ

そう、大黒柱に語りかける


電話が鳴った
「シロウ、出てきてください」
「士郎、電話とってきて」



・・・俺の家だから俺が出るのは当たり前なんだけど、何となく釈然としないものを感じた

にしても一体誰だろう
俺が経験した聖杯戦争とのずれはだんだん大きくなってきている
この分だと、既にサーヴァントの真名と宝具くらいしか信用できるものが無いのかもしれない


そんなことを考えながら受話器を取る
電話の相手は藤ねえだった
電話の内容は
早い話が、お弁当のデリバリーの注文だった

――――まったく、しょうがない先生だよな

昼食の残りからぱぱっとお弁当の具になりそうなものを見繕う

よし、できた

「二人とも、今からちょっと学校までお弁当届けに行くから、家で待っててくれ」
そういって、お弁当を入れた風呂敷を持って廊下に出る

当然のようについてくるセイバーと遠坂

俺が二人を制止する言葉を口に出そうとすると――――
「サーヴァントの役割は、マスターを守ることにありますから」
「面白そうだから、ついて行かせてもらうわ」
先手を打たれた
セイバーはともかく遠坂、その理由は何だ
かといって、俺が遠坂に逆らえるわけもなく――――





――――結局、三人で弁当を届けに行くことになった





――――――――――――――――――――――――
今回も前後編でお送りしています

とってつけたような新解釈が現れました
これに関しては非難、罵倒多々ありそうですので、それらは感想掲示板の方にお願いします(-_-;)


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