Fate/stay night again 検仝緤


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1: タケ (2004/03/05 19:30:13)



ドカッバキ!ドゴッ!
あ、遠坂が無言で言峰を殴ってる
まあ、俺なんかとそんな目で見られたら、そりゃあ怒るよな。うん





夜はまだ、終わらない




Fate/stay night again 検 The end of Night〜

後編



外ではセイバーが俺と遠坂が出てくるのを待っていた

「――――――――」
無言で俺と遠坂の顔を見比べる

「・・・・・・・・シロウ、中で何かあったのですか?」

・・・まあ、顔を真っ赤にして出てきたら何事かと思うよな


多少、咎められているように感じるのは、あれだけセイバーを愛していたのに、遠坂のことを
可愛いなぁなんて思ってしまったことを、負い目に感じているからだろう
この時代のセイバーは俺のことをただの頼りないマスターと思ってるだけだしな


とりあえず、ここは正直に答えておくことにしよう。心配かけるのも悪いし
「中で、変態神父に絡まれただけだ。襲われたとかそういうワケじゃないから安心しろ」
そうセイバーに答えてやる
そうですか、とセイバーは返してくれた


「行きましょう。こんな胸くそ悪いところ、さっさとおさらばしたいでしょ?」
そういって、遠坂はスタスタと歩いていく

その意見には俺も賛成だ
俺とセイバーは遠坂のあとを追い、教会をあとにした






3人で坂を下る

上ってきたと違い三人とも口数が少ない


―――理由はわかっている

遠坂が不機嫌オーラを周りに発しているのだ
さっきのことを、まだ気にしているのが手に取るようにわかる


・・・はあ
気をそらさせないとな
「なあ、遠坂。お前のサーヴァント大丈夫なのか?」

「え・・・・・?」
―――よし、成功
「あ、うん。アーチャーなら無事よ。
もっとも、セイバーにやられたせいで全身打撲でまだろくに動けないみたいだけどね。」
やりすぎだセイバー・・・
でも、斬り捨ててないぶん、前回よりはましなのか?

「じゃあ、側にいないのか?」

「うん、動くだけでも辛そうだったから、あそこに放置してきたわ」
遠坂が苦笑する
遠坂、それはきっと優しさじゃない

「そうそう、衛宮君。あなた、セイバーの真名はもう聞いたの?」

「?いや、まだだけど?」
やり直してからはまだ聞いてない

「そう、なら早めに聞いておいた方がいいわよ。
どこの英霊でどんな宝具を持ってるのかって言うのがわかっていれば作戦も立てやすくなるし
――――――あ、でも、衛宮君はそういうの聞かない方がいいかもね」

「なんでさ」

「だって、衛宮君。根が正直者だから。隠し事とかできないでしょ」

「・・・・・あのなぁ遠坂。人をなんだと思ってるんだ。一応、それくらいの駆け引きは出来るぞ?」
さっきも、ボロ出しまくった気もするけど、遠坂騙し通せたわけだし

「そう、じゃあ私に隠していることとかってある?」

ありすぎる

思わず顔が青くなった
「い、いや別にやましいところなんて何もないぞ、俺は?」

「ほら見なさい、何を隠してるか知らないけど、動揺がすぐ顔に出るようじゃ向いてないわ
貴方のいいところはきっと他にあるだろうから、駆け引きなんて考えるのはやめなさい」
やれやれっといった風で遠坂が言う

「むぅ・・・・・」
反論できない




――――――そうして、橋を渡る


冷たい空気と吐き出される白い息
水の流れる小さな音と橋を照らす目映い街灯
あの日、記憶に焼き付いた風景がそこにあった

ただ、違うことがあるとすれば、何故か、遠坂がセイバーと談笑しているという点だけ

俺の記憶が確かなら、遠坂は俺を敵のマスターとして認め、この橋は黙って渡っていったはずだ

何かがおかしい
「―――なあ、遠坂。十字路で分かれる時、俺たちはまた敵対するマスター同士って事になるんだよな?」

するとセイバーと遠坂は呆気にとられた顔をした
「何言ってるの、衛宮君。私たちは協力関係を結んだでしょう?」
「何を言っているのですか、シロウ。凛と我々は協力関係を結んだではないですか?」

―――ちょっと待て

「・・・何時の間にそんなことになったんだ?」
そう問うとセイバーが

「先ほど、私がリンと協力関係を結びました」
えっへん、と胸をはる

「衛宮君は、私と協力するのはイヤ・・・・?」
遠坂が不安げな顔でこちらを見ている

そんな捨てられた子犬のような目は止めてくれ・・・
「い、嫌なわけないだろ?こういう展開にならなかったら、俺からそれを頼みたかったくらいなんだし!」

慌ててそう言う

「そう、なら問題ないわね」
そう言って、遠坂は髪をかき上げた


っへ・・・・・・・?


「だから言ったでしょう、リン?シロウは単純ですから簡単に騙せると」

「ええ、でもここまで予定通りに行くと、なんだか衛宮君に同情したくなるわね」


っは――――――


「―――ひょっとして、さっきの全部嘘なのか?」

「ええ、でも、もう遅いわよ。言質はとったんだから。これで、名実共に私たちは協力関係ね」
嬉しそうに遠坂が笑う

その隣で、セイバーもコクコクと頷いている


「セイバーまでグルになるなんて・・・・」

「私とリンは親友だ。親友の手助けをするのは当然です。それに、これはシロウにとってもプラスとなるでしょう?」

出会ってから数時間で親友ですかセイバーさん

「・・・もう、いいや。セイバーの言うとおりだし。仲間は少しでも多いほうがいいもんな」

「そういうこと、安心していいわ。私は裏切らないから」
遠坂が笑ってて、セイバーも笑ってる

――――――こんな風に、みんなと笑い合うことが出来るなら

案外、俺の理想なんてものは簡単に実現できるのかもしれない――――――





「――――――ねえ、お話は終わり?」

ふいに、世界が凍る


「っ――――――!」
遠坂が息をのむのがわかる

声が眠る町に響く
歌うように響くそれは、紛れもなく少女のものだ


視線が坂の上に引き寄せられる


いつの間に雲がはれたのか

煌々と照らす月光の中にソレは立っていた

見上げるほどの巨体に、鋼のような筋肉

月夜に照らされ影絵となったこの町に、ソレはあってはならない異形だった


「「―――バーサーカー」」
俺と遠坂の漏らした声がユニゾンする


―――そう、それは絶対的な力を持って、敵対者に死を見舞う異形の怪物


「こんばんはお兄ちゃん。こうして会うのは二度目だね」

二度目・・・?
ああ、そうか
ランサーに刺される以前にも彼女にあった気がする
その後の出来事に流されて、強く記憶にとどまることはなかったけれども

「―――――――――」

―――――バーサーカー
アレを殺す手段がないワケじゃない。実際、アーチャーはあの化け物を6度も殺していた
セイバーと共に戦えば、決して打ち倒せない相手じゃない

だけど―――
俺の目的は殺す事じゃない
なんとか、イリヤに退いてもらう方法は無いか?

「―――やば。あいつ、桁違いだ」

遠坂が身構える

「あれ?あなたのサーヴァントはお休みなんだ。つまんないなぁ、二人いっぺんに潰してあげようと思ったのに」

不満そうにイリヤが言う
彼女は本気で言っている

―――それは、さながら子どもが蝶の羽をむしるように、無邪気で明確な殺意

遠坂にもそれがわかったのだろう、息をのむのがわかった

そんな俺たちを尻目に、イリヤはスカートの端をつまみ上げていった
「はじめまして、リン。わたしはイリヤ。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンっていえばわかるでしょ?
そして、この子はバーサーカー。ヘラクレスって言った方がわかりやすいかな?」

「っ―――――!?」
遠坂の体が驚愕にかすかに揺れる

その反応が気に入ったのか、イリヤは嬉しそうに笑い

「じゃあ殺すね。やっちゃえ、バーサーカー」
と傍らの異形に命令した
その命令に応え。坂の上からここまで、何十メートルもの距離を巨体が飛び越えてくる


「―――――シロウ、下がって・・・・!」
そう言ってセイバーが、合羽を脱ぎ捨て身構える



ここで下がってしまっていいのだろうか
このままでは彼女はまた前回と同じように大きな傷を負ってしまうことになる




―――何のために衛宮士郎は、戦う力を持ってこの場所に戻ってきたのか―――




一歩前に出る
「・・・シロウ!!」
セイバーが息をのむ

―――セイバーが何と言おうと、ここで俺が退くわけにはいかない

「―――投影、完了」

左手に弓を、右手に剣を投影する

「無駄よ、衛宮君。あいつは、投影なんて生やさしい魔術じゃダメージを与えられないわ!」
遠坂が叫ぶ

―――だがそれは、普通の魔術師が使う投影のこと。俺が使う投影にはあてはまらない―――



弓を引き絞る



――狙うは一点



着地しようとするバーサーカーのその着地点――――!!



放たれる銀光

それは狙いと寸分も違わず、たった今着地しようとするバーサーカーの、左足の着地点を貫き
土砂を巻き上げ巨大なクレーターを形作る


着地の衝撃を両足のバネで殺そうとしたバーサーカーの意図を嘲笑うかのように設けられたそのクレーターは
当然の如くバーサーカーの左足を受け止められずに
バーサーカーのバランスを絶望的なまでに崩した――――――



「あ――――――――」

それは誰が漏らした言葉だったろうか
横転する巨体


それは自らの勢いも重ねて
――――常人なら絶望的なスピードで頭から電柱に突っ込んだ――――



「――――――――」


沈黙
誰一人とすら言葉を発することが出来ない
片足を穴にいれ、頭から電柱に突っ込む異形のソレは
――――あまりのシュールさに、笑いさえ誘う光景だった

誰一人として、バーサーカーがそれで倒されるとは思っていない
ただ、その場の空気が何よりも、バーサーカーの敗北を伝えていた

「っく――――、今日のところは退いてあげる。でも、またすぐに殺しに来るんだから!」

そう言い残し、イリヤはバーサーカーを幽体に戻して去っていく


残されたのは、やけに疲れた顔をした遠坂とセイバー
そして、やり遂げた満足感から輝いて見える(と思う)俺だけだった

「衛宮君・・・・・」
遠坂が話しかけてくる

「どうしたんだ、遠坂?」
俺の持てるカードの中で、最大クラスのものを見せたのだ
きっとそれに対する質問があるのだろう

「今日は、もう疲れたから、衛宮君のうちに泊めて・・・・・
話の続きは明日またしましょ・・・・・・・」
遠坂は、疲れ切った顔でそう告げた
「私もリンの意見に賛成です。今は何も見なかったことにして惰眠を貪りたい」
それ、女の子の言う言葉じゃないぞ、セイバー

そう言って、二人は衛宮家に向かって歩いていった


残された俺は
何故二人がそのような態度をしたのかがよくわからずに
一人、自らの穿った穴を見つめるのであった





――――――――――――――――――――――――――――
あとがき
ようやくバーサーカー遭遇イベントが終わりました
自分では上手くかけたつもりなのですがどうでしょうか・・・?

ここまでの更新は、わりと案が固まっていたので早くできましたが
ここから先は完璧手探りです(-_-;)

次の更新がいつになるかわかりませんが
気長に待っていてください


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