Fate/stay night again 傾:バトル M:衛宮士郎


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1: タケ (2004/03/04 07:27:17)




――その瞳に、俺の姿を映し出しながら少女はこういった――

「――――問おう。貴方が、私のマずっつぅ!?」
噛んだ
「――――問おう。貴方が、私のマスターか?」
言い直した





いろんな意味で台無しだった




Fate/stay night again 供 疏鵑瞭争〜




――俺の知っている世界ではライガさんのふんどしなんて無かったし
セイバーが噛んだりすることもなかった
どうやら、この世界は俺の知っている世界と微妙に異なっているらしい
それも当然だ、俺みたいなイレギュラーがいるのに世界だけがそのままなんてのは
いくらなんでも都合がよすぎる
過去の記憶を信用しすぎると足下をすくわれかねない
それだけは心にしっかりとどめておかないといけないな、と
大事な場面で噛んで、顔を真っ赤にしながらこちらを睨みつけるセイバーを見ながら思った――


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

少女は何も言わずこちらを見ている、というか睨んでいる。顔を真っ赤にして


―――――その姿を何と言えばいいのか

土倉の外ではまだランサーが隙あらば俺の命を奪おうとしているこの状況を忘れるほど、目の前の
相手は特別だった


初めて愛した少女
生涯を通して愛し続けた少女
死後を世界に譲り渡してでも会いたいと願った少女――――――

先ほどの恐怖や怒りは何処かに消え、今はただ一つの感情だけが俺を支配する―――

―――うわっ、すっげぇ萌える―――

何度見ても、顔を真っ赤にしたセイバーというのはそそるな、うん
この顔を額に入れて飾りたいと切に願った・・・・じゃなくて!
この状況で俺は何を考えてるんだ?!

自分が嫌いになりそう
一瞬、やたらいい笑顔を浮かべた、赤い外套を纏った騎士の姿が・・・というかアーチャーの姿が浮かん
だ気がした
・・・・なんでさ


「サーヴァント・セイバー、召喚に従い参上した。マスター、指示を」


セイバー、そしてマスターという言葉をセイバーが口にした瞬間、左手に痛みが走る
まるで左手の甲にに烙印でも押されたかのように、そこには令呪が浮かび上がっていた
あまりの痛さに思わず左手を押さえる


それが合図だったか、セイバーは静かに、可憐な顔を頷かせた


「――――これより、我が剣は貴方と共にあり、私の運命は貴方と共にある
――――ここに、契約は完了した」

思わず顔が赤くなる

前回はそれどころじゃなかったけど、これってまるでプロポーズの言葉みたいだよな、と思考の片隅で思
っている自分がいる

「・・・・・なぜ、顔を赤らめるのですか、マスター?」

セイバーはいぶかしげにそんなことを聞いてくる

こんなこと、答えられるわけがない

「セ、セイバー!そんな些細で取るに足らないことなんて気にしなくていいから後ろ見ろ!後ろ!」

外ではランサーが待ちかまえている
油断の出来る相手ではないことはセイバー自身わかっているはずだ


「わかりました、マスター。この質問は、また後ほど改めてさせて頂くことにします」
そう言って俺に背を向け、扉の外を見る
って結局また質問するのかよ!?


―――扉の外には槍を構えたランサーが立っている


セイバーはためらうことなくランサーへ挑みかかっていった




「―――――――――!」
俺もこんなところで顔を赤くしてぼんやり立ってるわけにはいかない
先ほどの感触
セイバーの召喚と共に体中の、闇の先にある領域の回路にまでも魔力が流れた
いまならきっと―――


「―――投影、開始」


イメージするは弓

セイバーの邪魔をすることなく援護するには剣じゃダメだ
少なくとも今はあの双剣の出番じゃない

「―――投影、完了」
左手に弓を投影する

俺はセイバーを追って外へと飛び出した――――――


響く剣戟

月は雲に隠れ、庭は闇に包まれている

その中で火花を散らす鋼と鋼


打ち合うはセイバーとランサー


神速の槍捌きをもって、相手を圧倒しようとするランサー


迫り来る槍の悉くを弾き返し

相手に切り込もうと一歩前に出るセイバー


―――そのたびにランサーは後退を余儀なくされる


「――――――」

俺は弓を構えじっとその時を待つ


ランサーは俺を相手にした時よりもさらに速い速度で槍を振るう

それも当然だ、先ほどの戦いは奴にとって遊びでしかなかった

だが今は、自らを打倒しえる敵、セイバーを倒そうとその槍を振るっている

振るわれるたびに早くなるその槍の悉くを、セイバーは不可視の剣で打ち払い、あるいは受け流して
ランサーの間合いへと踏み入っていく―――


「チィ―――――――!」

憎々しげに舌打ちをしてランサーが後退する

追い打ちをかけるようにしてセイバーが飛びこみ剣を振るう

槍が不可視の剣を受け止めるその度に、電気のような光が槍を奔る

それがなんであるかは言うまでもない

アレは、視覚出来るほどの魔力の猛りだ

セイバーの一撃一撃に込められた魔力は半端な物じゃない

そのあまりに強い一撃が、相手の武器へと浸透しているのだ

・・・・・・・バーサーカーの剣戟すら受け止めるほどの攻撃だ
あんな攻撃、受け止めるだけでよほどの衝撃があるのだろう


だが、ランサーを苦しめるのはそんな二次的な物じゃない

「卑怯者め、自らの武器を隠すとは何事か・・・・・・!」

セイバーの持つ剣、”風王結界”は視認することはできない

故に、間合いを計ることができない

ランサーの顔に焦りが見え始める

「テメェ・・・・!」

不可視の剛剣を受け止めながらランサーは悪態をつく

だが、セイバーは無言で剣を振るい続ける
まるで、受け止められるのであれば防御ごと押し切ってみせると言わんばかりに―――

「・・・調子に、乗るな―――!」


ランサーは消えるようにして後ろへ跳んだ

セイバーの重い一撃が、振るうべき対象を見失い大地を抉る


双方の距離が開く

改めて剣を構え直すセイバーを睨みつけるランサー



「どうしたランサー、怖じ気づいたのか?止まっていては槍兵の名が泣こう。
なんならこちらから出向いてやろうか―――」

「・・・・は、わざわざ死にに来るか。それは構わんが一つ聞かせろ―――」

「―――貴様の宝具、それは剣か?」


相手の嘘を見極めんと、獣のような目が鋭く光る


「―――さぁ、どうかな。
戦斧かも知れぬし、弓かも知れぬ。いや、もしや焼き串ということもあるかも知れんぞ、ランサー?」
不敵に笑うセイバー

「いや、いくらセイバーでもそれはないだろう」
一応つっこんでみる


「・・・・・・ぬかせ、剣使い」
俺のつっこみは軽く流された
しかし、ランサーがとった間は、奴が俺と同じ気持ちであることを告げていた


ランサーは槍を僅かに下げる

――――――来る

―――弓に矢をつがえるという幻想―――

俺は射るべき矢も持たないまま弓を引き絞る


「?」
セイバーはランサーの態度に戸惑っている

たしかに、奴の構えは一見すると戦意を失ったからのように見えるからな

そんな格好で殺気を放っているのだから疑問に思わないはずはない


だが、俺はあの構えを知っている

―――放たれれば必ず相手の胸を貫く槍―――

それをアイツに撃たせるわけにはいかない

ランサーは完全に俺を舐めている。俺に何かが出来るなんて思っちゃいないだろう

この状況で奴の宝具の発動を止めることが出来るのは俺だけだ

なら―――


「・・・ついでにもう一つ訊くがな。お互い初見だしよ、ここらで引き分けって気はないか?」

「―――――――――」

「悪い話じゃないだろ?あそこで矢もねえ弓を構えているお前のマスターは使い物にならんし、俺のマ
スターとて、姿をさらせねえ大腑抜けときた。
ここはお互い万全な状態になるまで勝負を持ち越した方が好ましいんだが―――」

「断る。貴様はここで倒れろ、ランサー」


「そうかよ。こちらとしてはなかなか面白いモノも見られたし、ここらでお暇しておきたかったんだがな」

ちょっとまて、面白いモノって俺のことじゃないだろうな、ランサー?
そんな俺を無視して二人のやりとりはヒートアップする―――


グラリ、と二人の間の空気が歪む


ランサーの姿勢が低くなる
必殺の構え
槍を中心に魔力が渦を巻く


「宝具――――――!」
セイバーは風王結界を構えランサーを見据える

だけど、アレは注意すれば回避できるなんてもんじゃない

放たれたからには必殺、それがゲイ・ボルクだ


「じゃあな、その心臓もらい受ける――――――」

ランサーが宝具の真名を唱えようとする

だが・・・・


「―――投影、完了」
          ・ ・
俺は構えた弓に二つの剣を
セットする

そして、奴がその真名を唱える前に二つの剣を同時に解き放つ――――――!


「っく―――!!」

「っな―――!?」



放たれた剣の一つはランサーへと突き刺さろうとする瞬間、奴の持つ槍で弾かれ

もう一つの剣はランサーに向かって飛び出そうとするセイバーの足下へと突き刺さった―――!



「マスター!何故邪魔をするのですか!?」
こちらを睨みつけてくるセイバー
殺気とかこもっててかなり怖い

でも、俺が今相手をしなくちゃならないのはランサーの方だ

ランサーは俺を睨みつける、明らかな敵意を持った眼差しで―――

―――当然だろう、宝具の発動を止められたという事実が表すのは一つしかない

「テメェ、どこまで知ってやがる――――――!」

「お前が、俺を殺しに来たのは、宝具を使おうとするところを見られたからじゃないのか?
少なくとも、俺は一度お前が宝具を発動させようとしているところを見ている。
なら、その瞬間を狙って邪魔することだってできるさ」

こともなげにそう言う

「俺は、ここで死ぬつもりはないし、誰かを死なせるつもりもない。
―――だから、この場は引いてくれないか、ランサー?」
ランサーの目を見てそう言う

真実を見極めんと、ランサーの瞳が俺を射抜く

・・・・・・ランサーの目が和らいでいく、どうやらこの場は引き分けということで手を打ってくれるようだ

「だとさ、セイバーのサーヴァント。お前のマスターの意向に従って、ここは退かせてもらうぜ」
ランサーが片手を上げて去っていく

セイバーは何も言わない
じっと俺の方を見て何か考え事をしているように見える

「あばよ、坊主。そういう考え方は嫌いじゃないぜ。

――――――だがな、そんな甘い考えで生き残れるかな?」
ランサーが問いかけてくる

「ああ、こっちにはセイバーがいるからな。一人じゃ無理でも二人なら何とかなるかもしれないだろ?
―――――――――なあ、セイバー?」
セイバーに同意を求めてみる

「へ?え、えぇ、この身はマスターと共にあると誓いましたから」
すると、突然話題を振られて焦ったのか、セイバーは多少つっかえながらも答えた

「面白い奴らだな、お前ら」
ランサーはそういって、一度こちらを見て笑うと
塀を飛び越えて去っていった―――






庭には俺とセイバーだけが残される

セイバーはじっとこちらを見つめていた

「とりあえず、自己紹介をしよう。俺は衛宮士郎っていって、この家の人間だ。」
そう、セイバーに話しかける
「私は、貴方に呼び出されたセイバーのサーヴァントです」
すごく居心地が悪い
理由はわかってる
さっきからずっとセイバーがこちらを見つめ、いや睨み続けているからだ
「そういえば、正規の召喚をしてないけど、魔力の供給できてるのか?」
なんとか、話題を見つけようとして、思わずそんなことをセイバーに尋ねていた
「ええ、マスターから流れ込んでくる魔力を確かに感じます」
―――ということは、今回はまともにレイラインを繋げることが出来たってことだな

「いい、イリヤちゃん?これが世に言うご都合主義って奴よ」

「おお!これが世に聞くご都合主義なんですね、師匠!」

見えてない見えてない!俺はなんにも見えてないぞ!!
偉そうに胸をはる藤ねえも、ソレを師と仰ぐイリヤの姿も見えてない!

――そんなことより、一つセイバーに訂正させなきゃいけないことがある
「セイバー」
「なんでしょう、マスター?」
「それは違うぞ、俺はマスターなんて名前じゃない」
そう俺が告げると
「ではシロウ、と。ええ、私としてはこの発音の方が好ましい」

―――懐かしい感覚
思わず涙が出そうになった
こんなことを彼女に気取られるわけにはいかない

俺は彼女の注意をそらすためにこういった

「セイバーはさっきから俺のことずっと見てたけど、何か言いたいことでもあるのか?」
この質問の効果は抜群だった
「へ?え、あ―――」
まさか気づかれてるとは思わなかったのだろう
セイバーはしどろもどろとなっていた



ふぅ・・・
助け船を出してやらないとな
「聞きたいことがあるんだったらなんでも聞いていいぞ、セイバー?」
それを聞いて、セイバーは安心した様子でこう尋ねてきた

「シロウは、ランサーとランサーの持つ宝具について何か知っているのですか?」
なるほど、俺がランサーの宝具の発動を妨害したから気になってたのか

「ああ、それか。奴はアイルランドの英雄のクー・フーリン。持っている宝具はゲイボルクだ」

「っな――――――」
クー・フーリンとその槍ゲイボルクについて何か知っているのだろう。セイバーは驚きの声をあげた

「戦ってるのを邪魔してすまなかった。でも、ああでもしなきゃセイバーは心臓をゲイボルクで貫かれてい
たからな、しょうがないことだったと思って諦めてくれ」
そうセイバーに告げる
「いえ、サーヴァントの援護をするというのはマスターとして当然の権利です。私は貴方の援護で窮地を
脱することが出来た。そのことに感謝をすれど、恨むようなことなどありません」

なんか、まだ聞きたいことがありそうな顔だ
「遠慮しなくていいぞ、セイバー。聞きたいことまだあるんだろ?」

「―――では、私に向かっても剣を射かけたのは何故ですか?」
今度はそっちか、まぁ、普通は気になるよな
「だってさ、セイバー。何もしなかったらきっとランサー斬り捨てただろ?さっきも言ったけど俺は誰も死
なせたくないんだ。
――――――たとえ、それが敵だったとしても」

―――そう、それがきっと俺がこの時代に戻ってきた理由だから―――

セイバーは呆れてものが言えないという顔になった
「シロウ、貴方の望みは間違っている。自らを殺そうとするものを救うことなどできない」
「だから、俺たちはチームなんだろ?一人じゃ無理でもきっと二人なら何とかなるさ。
なにせ、セイバーは最強のサーヴァントなんだもんな」
そう言ってセイバーに笑いかけた

「む―――――――――」
セイバーがまだ納得いってないのはわかる、でも、それなりに俺の考えを認めてくれたみたいだ

「もう一つ質問してもよろしいですか、シロウ?」

「なんだ、セイバー?なんでも答えてやるぞ?」
なんだろう、もう聞かれるようなことはなかったと思うけど・・・

「話は戻りますが、先ほど土倉の中で、何故顔を赤らめたのですか?」
〜〜〜〜〜〜!?
なんてことを聞いてくるんだ、こいつは!まだそんなこと覚えてたのか!?
「い、言えるわけ無いだろうが!そんなこと!!」
顔を真っ赤にして叫ぶ
するとセイバーは
「先ほどシロウは、なんでも答えると言いました。それはその場限りの虚言だったのですか?」
なんてことを言ってくる

こういう風になったセイバーがしつこいということは過去で体験済みだ
答えるまできっと許してくれない

俺は、今日何度目かわからない溜息とともにこういった

「―――セイバーが、土倉で誓ってくれた言葉があっただろ?それがプロポーズの言葉みたいに聞こ
えたんだよ。セイバーみたいな可愛い子にそんなこと言われるなんて思ってなかったから、照れただけ
だ」
今度はセイバーが赤くなる番だった
「シ、シロウ!あれはそういう意味ではなくですね。そ、そう!純粋な誓いの言葉なのです!そのような
風にとられては困ります!」
「わかってるって、俺とセイバーじゃ不釣り合いって言いたいんだろ?ただそういう風に聞こえて勝手に
照れてただけなんだから、セイバーが気にする必要はないって」
「い、いえそういう意味ではなくてですね、シロウは私の目から見ても十分に魅力的・・・ってそんなことを
言いたいわけではなくてですね―――シロウ!ちゃんと聞いていますか!?」
なんとか俺をフォローしようとするセイバー
焦っているのが傍目から見てもよくわかる、言動も支離滅裂だ

そんなセイバーを見つめていると、不意にセイバーの顔が引き締まった
「―――シロウ、魔術師とサーヴァントが近づいて来ています
私は迎撃に向かいますので貴方はここにいてください」



――――そう言ってセイバーは、塀を飛び越えていった






――――――――――――――――――――――
後書き

読む人を選ぶであろう第2話です
お話がお話だけに、今回はギャグほぼ一切無しです

戦闘パート難しい・・・
原作者の文を参考にというか、ほぼ丸写しに近いですよね(;´Д`)

次回はついに遠坂さんの登場です!アーチャー?誰それ(何
次回は今回出来なかった分もギャグを盛り込んでいきたいのでよろしくお願いします

ところで、言峰、ギル様の麻婆ネタはパクリになるのでしょうか?
今のうちにご一報頂けると助かります


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