運命の輪 3 (傾 ほのぼの?


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1: (2004/02/29 01:56:50)


それを見て、俺は耐えていた血を吐き出した。
どこかの臓器が潰れたようだ、と冷静に診断する。
そして、少しだけ気を抜いて

――不覚にも激痛に耐えかねて意識を手放してしまった。

   ◇


――運命の輪―― 3話 ”High Jinks”


   ◇

四日目の朝は自分の部屋で目を覚ました。今回も遠坂に運ばれたようだ。

居間に居た遠坂は、俺に昨日の事について説明を求めてきた。
ランサー、バーサーカー戦で使った投影のこと。
俺の能力、固有結界の事は伏せて「剣なら何でも出せる」ということにして難を逃れる。
傷についても聞かれたが、完治したと言っておいた。
それについては「親父が俺に残してくれた、治療魔術だ」と言っておく。半分程、嘘でも無いし。
戦闘技術も同じく、「親父に教わった」と言っておいた。これもあまり嘘ではない。
しかし、

 「サーヴァントに人間が互角に戦えるのはおかしい!!」

と、遠坂に尤もな意見を言われ焦った。

 「それはだな、あ〜。え〜。(汗)……そっ、そうだ、手を組まないか遠坂?」

唐突にそして強引に話を逸らし難を逃れる。
それは、彼女がお茶を口に含むと同時。

――まさか自分のサーヴァントが襲い、そして勝利した相手が協力を求めるとは思わなかったのだろう。

盛大にお茶を噴き出す遠坂。その飛沫は霧吹きのように拡散し、俺の顔面に直撃した。
ポタポタと髪から落ちた水滴が、畳に染みをつくる。
謝られもせずに

 「協力を求めるなんてどういう神経してるのよ!
 あなたの目の前に居るのは敵なのよ、て・き。
 此処には捕まったから居るだけで、自分の意思ではないの!
 こんな状況でそんな事言うなんて、莫迦じゃないの?
 ###############!?
 ####################!
 ########################!!!」

と暴言を吐き捨てられた。後半は既に言語にすらなっていない。
体はお茶で濡れ、いつの間にか正座をしており、叫びと化している説教を聴く。
協力しようって言っただけなんだが。なんでさ。(涙)

唐突に遠坂が立ち上がる。

 「その身体にマスターの怖さを叩き込んでくれる!!!」

高らかに宣言すると、左腕の魔術刻印が浮かび上がる。
彼女の怒りを静めるためには、

ガガガガガガガガガガガガ(銃声)

――ボコられるしか無いらしい。

   ◇

なんとか機嫌を直した遠坂を見送る。
あの後の遠坂は、ガンドを乱射し暴れ回って、止めるのに甚大な被害を(主に俺が)被った。
ガンドには当たらなかったものの、教会地下のキャスターのように武術でボコボコにされた。
襲撃と勘違いしたセイバーが、鎧姿で飛び出して来てその際にも渾身のタックルで吹き飛ばされた。
そんな訳で被害状況は俺と家の一部(畳)以外は何の被害もありませんでした。

遠坂は協力するという提案には乗ってくれた。
曰く、

 「強力な戦力が簡単に手に入った♪」

だそうだ。
当たり前だが遠坂には家に泊まりに来ないように言っておいた。
慌てて否定していたのが、今回もいつもの遠坂と同じ事を考えていたのを肯定していた。
遠坂を見送り、回れ右して道場に向かった。

   ◇

道場では、セイバーに

 「あなたは戦わなくていい」

と一方的に通告された。もちろん拒否して、二人一緒に戦うということで無理矢理、納得させた。
昨日の戦闘で『まあ邪魔にならない程度の技量はある』、ということで了承してくれたのだ。
しかし、圧倒的に不利な戦いでは自分の身を守るのに専念しろと言われてしまった。
まるで、普通選挙制を承認する代わりに治安維持法を要求した旧日本政府だ、と思う。

切嗣が元マスターだったと聞いたが、既に知っていることなので驚きは無かった。
セイバーに、教会に行って言峰から詳しい話しを聞くか、問われた。

――結局、教会には向かわなかった。
あいつはマスターで、そう易々と会って良い奴ではない。
緊急時、特に無関係の人が襲われた場合のみ駆け込む事に決めた――

空いた時間には、俺の事について遠坂と同じ説明をした。
些か不満が有るようだが、これ以上は説明はできない。
その後、セイバーと話し合い、今後の予定は夜を待って街に出ることに決まった。

昼なるまでに、まだ些か時間があったのでセイバーと稽古をする。
セイバーは何故かフルアーマーダブルセイバーになっていた。
鎧姿のセイバーが持つ竹刀は何故か、人を殺せる凶器に見えた。
セイバー曰く

 「常に実戦を想定するのが訓練です。
 この模擬戦用の武器でも十分な威力は出すことが出来ます」

だ、そうだ。鎧は実戦を想定しているかららしい。
しかしセイバー、十分な威力というのが、人を殺せるモノではないのを信じています。
そんな、昨日イリヤに軽蔑されたのが俺のせいだ、という目は止めてくれ。
俺のせいだけど。
セイバーの姿が掻き消える。目の前には俺を狙う竹刀の切っ先。
心の中で、

 「ああ、死んだな――」

と思った。

ガスッ

しろうは、めのまえがまっしろになった。

   ◇

腹の減ったセイバーに起こされた。
訓練は、あの一撃で終わってしまったようだ。突かれた額が痛い。
いつの間にか昼になっていたので、昼食を作りテーブルに並べているところだ。
テーブルの隅には、ちょこんと座るセイバーがいる。
魔力を補充するためと言い張っていたが、ただ飯が食べたいだけ、という事は知っている。
真っ赤な顔で弁解されて、仕方なくそういう事にしておいた。

余り物を使って作った手抜きの炒飯は、とても好評だった。
口に含むごとにコクコクと首を振っている。
見ていて微笑が浮かぶほど可愛らしい仕草だった。
セイバーは美味しそうに、米でさえ一粒残らず食い尽くしてしまう。
そして、俺の食べていた炒飯を物欲しそうに見ていたので、分けてやった。
目が猛獣の目のように光り輝いて見えたのは、多分錯覚だ。そう信じたい。

その後はセイバーと二人、居間で午睡をとった。
背中合わせで眠る。

その感触は何故か、とても懐かしいものに感じた――

   ◇

夕方、セイバーと添い寝しているのを、藤ねえと桜に見つかり一騒動あった。
幾らなんでも寝過ぎたと反省する。

竹刀片手に暴れるタイガー。その様は完全に野獣であった。
止めながらも横暴な暴力に屈する俺。まるで奴隷のような扱いだった。
なぜかタイガーの手綱を放したままにする桜。放し飼いは止めましょう。
自分の事なのに、『我関せず』なセイバー。こんな時に王の威厳を見せるなよ。

それは、さながら地獄絵図のようだった。

タイガーの暴走も収まり、藤ねえ達には、切嗣の知り合いだと誤魔化した。
単純で助かったと思ったのは、この時ばかりではない。

   ◇

夜、巡回の最中に、人を襲った慎二とライダーに出会う。
セイバーがライダーを倒し、二日目に会ったあの爺さん、間桐臓硯が現れた。
奴は慎二を庇いそして消えた。あの爺さんは敵になると、直感が告げていた。
襲われた女性を教会に連れて行き、治療を依頼した。
後は言峰に任せて、家に帰る。

   ◇

――布団の中、眠りに着く前に間桐の事について考察する。

臓硯は、初めて会う存在だ。どんな能力かは知らない。
遠坂は、間桐の魔術は他人から奪う類のモノと言っていた。
恐らくそれだと思う。

慎二は俺と同じく正規のマスターではない。
そのサーヴァントを召喚したのは臓硯らしい。
あいつは狂気に囚われている。今回のことで諦めるとは思えない。
桜への虐待行為もエスカレートするだろう。

桜はこの事に関係は有るのだろうか?
通常、魔術師の家系は跡取りは一人のみ。
その兄弟や、姉妹は他の家庭に引き取られる筈。
廃れたとはいえ、いまだ神秘を追い求める間桐がソレを行わないのは可笑しい。
逆行前、遠坂が家に泊まった時にも聞いたが、今度詳しい事を聞こう。

色々と思い浮かぶが全て推測に過ぎない。
もっと有力な情報が必要だ。
やはり、ここはあいつに聞くのが最善か――

考察を終わらせる。
今後の予定は半分ほどは決まった。
後は明日になるのを待つのみ。
一日を思い返し、殴られてばかりの事実に気付き、涙が出た。
泣きながら布団の中に潜り、目を閉じるとすぐに睡魔が襲ってきた。


to be Continued


あとがき

やっと一日を一回に纏められた、やっほー!な、鴉です。

今回はあまり書くべき事も無かったので、ほのぼの路線で行きました。
小話の連作みたいになってます。セイバーとライダーの戦いは省略しました。
毎回毎回バトルというのも何なので(笑)
でも暴力が多いのはまだバトルを引き摺っているからでしょうか?

副題の意味は『馬鹿騒ぎ(どんちゃん騒ぎ)』です。(たぶん)

次回は五日目♪


追記

副題を付けてみました。


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