Hopeless End H:桜 傾:シリアス(なの?)


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1: hydest1230 (2004/02/28 00:21:00)[hydest1230 at yahoo.co.jp]

この話は桜ルートのネタバレを含み、かつ、駄目作者の自己満の塊デス。
 それが勘に触らっしゃるお方は、尻尾巻いて引き返すがよろし!
 それでも、見てやってもいいと仰る奇特な方々は心行くまでお楽しみ(無理?)ください。


 
 
 「くっ・・はぁ・・・はぁ・・くうっ・・はぁ・・・はぁ・・・」


 体がギシギシ言って肘や膝から硬いモノが出て来るのも忘れ、走った。
 そして、ようやく視界が開けた瞬間―――


 「うっ・・・はぁっ――――――っっっ」


 ―――目の前が真っ白になる。
 何で、こんなことになった。一体、どこで何を間違ったのだろう。

  目の前には、黒い影を纏い荒い呼吸をする女―――桜が居る。

 無我夢中で
      「――投影開始。」
               と言い、刀身が紫色に輝く装飾過多な曲刀のようなモノを創る。

 それからはあっという間だった。
 常人にとっては脅威だろうが、体の大部分が剣と化した今の俺にとって
 「影」は然したる抵抗でもなく、あっさりとカタが尽いた。
 目の前の女―――間桐桜を診る。

 ―――胸部に空いた赤黒く変色した孔がアイテイル

 それが、衛宮士郎が守ると誓った間桐桜を
 救えなかったと言う事実を無理矢理押し付けてくる。その事実が重すぎて、左腕の痛みや、
 桜の傍に転がっている血の池を広げている遠坂凛だったモノのことや、俺の剣になると誓い
 苦楽を共にしこの手にかけた少女のことが俺の頭を余計に圧迫する中で何故か、

 マスターを救うためとは言え
 俺を助け信じて
 最後に希望を託して
 散っていったサーヴァントが

      ― 士郎、後は頼みます・・・ ―

                 最後に言った言葉が頭の中でリフレインしていた。


    Hopeless End 〜さいごのことのは〜


 常人なら1秒とて居られない底なし沼のような異界の空気の中、そこに左腕に紅い包帯のようなモノを
 巻いたおおよそ場違いな1人の青年が立ちつくしている。おそらく想像を絶する戦いが繰り広げられた
 のであろう。そこら中の岩盤が抉れ、今にも洞窟の天井が音を立てて崩れてきそうな雰囲気だ。
 いや、この洞窟と呼ばれるには余りに大きすぎる空間の中央にそびえる禍々しい雰囲気を持つ塔自体が
 揺れてるようだ。その塔らしき物体の頂きに座する黒い太陽がまるで自身の入った卵を破り、
 外界に出ようとする雛の様に蠢いている。


「桜。」


 思わず名前を呟く。
 正直に言うとこの時アンリ=マユのことなんて最早頭の片隅にすら無かった。
 唯俺は、桜を守れればよかった。桜の笑顔が見たかった。桜の笑顔を守りたかった。桜にいつでも笑っていて
 欲しかった。桜の悲しむ姿を見たくなかった。桜に自分以外の人にも笑顔を向けられる様になって
 欲しかった。桜にもっと頼って欲しかった。桜の全てを知りたかった。桜ともっと一緒に居たかった。
 桜の料理が食べたかった。桜の声が、髪が、目が、鼻が、唇が、胸が、足が

  ―――その全てが「愛しい」

 俺は桜を愛している。
 だから俺は「桜の味方」になったんだ。
 それが「正義の味方」と言う目標を捨ててまで得た、確かな答え。
 ならばこそ、その答えに従い最後まで貫き通すのは必然だろう―――


 「・・・せん・・ぱ・い?」

 「どうした?桜。」

 「私を・・・殺して下さい。」

 「―――――っ!!どうしてそんなこと言うんだ?」


 できるだけ優しく答えた。
 すると、桜は堰を切った様に泣きながら喋りだした。


 「先輩・・・ごめんなさい。もう何もかも辛いんです。・・・私、止めようとしたんです・・けど、
自暴自棄になって、止まらなくて・・でも死ぬのが怖くて・・・姉さんに殺してもらおうと思って・・
姉さんならきっと私を殺してくれると待ってました・・でもダメでした・・・姉さんと喋ると姉さんが憎くて
羨ましくて・・愛しくて仕方無かったんです・・・感情が抑えられなくなっちゃいました」

 「・・・・・」

 「・・・でも違ったんです・・皮肉ですよね、殺しあって初めて分かり合うなんて・・・姉さんも辛かったんはずなんです
・・・それなのに、私だけ弱音吐いてみんな・・いや、世界を恨んで・・・一番恨んでいるのは何もしなかった私自身なのに
・・やっぱり私なんて死んで当たり前だった・・・とうの昔に死ぬべきだったんですよ・・そうすれば先輩も、姉さんも
セイバーさんも兄さんもこんな風にはならなかった!・・私のせいではなかったとしても、何十万人もの人を
殺してしまいました・・・みんな弱い私のせいです!ほら、こんなにズルくて卑怯で汚い私何て死ぬべきだったんです!」


 桜は己の中の激情に身を任せ、胸の傷が開こうが喀血しようが、自分の罪を訴える桜が酷く危うく見え、
 衝動的に抱きしめた。


 「・・・それは違う。本当に悪いのは臓硯だし、罪を償おうとするなら亡くなった人たちの分まで生きるべきだ!そうやって安易な死に逃げる
のは善くない。大丈夫だ、誰が何と言おうが俺は桜の味方だからな。俺が桜を守る。だから生きてくれ・・・」

 「ふふっ、先輩は酷い人ですね・・これでも私、今生きてるのが不思議なくらい重傷なんですよ・・でもよかった・・
先輩が先輩のままで・・私が何度先輩に救われたと思います?・・夕暮れの中学校の校庭で、諦めない本当に強い何かを
持つ先輩に惹かれて以来・・間桐の蟲倉に入れられて発狂しそうになった時・・・ずっと繋ぎとめてきたのは先輩ですよ?
もしかすると、弱い私には無い強さを持つ先輩に憧れていたのかもしれない・・
・・だから今ならはっきり言えます。・・・あの時から私は先輩のことが好きでした・・
―――――だから、『最後に』先輩に逢えてよかった。だから」

 「―――っ!桜!『最後』って一体―――」




 ―――――愛しています、きっと世界中の誰よりも。




 そう言って彼女はこの世のあらゆる柵(シガラミ)から解き放たれていった。
 ・・・後に残ったのは何の目的もなくなった哀れな青年と彼の愛した者の亡骸だけだった。


―――そして、世界は終局に向かう。

                 < Fin >

《言い訳》
 初めまして、hydest1230です。初めとかなり内容がズレちゃいましたよ。思い通りに書くのってすごい難しいことなんですよ。
 書いてる皆さんのこと思わず尊敬しちゃいました。初っ端でコレはちょと無謀だと思ったさ。
 初投稿なんで手探りの状態でなんと十時間くらいかかりました。何て言うか、タイピングが異常に遅いせいですね。
 とりあえず、軽く解説すると「もしかしたらあったかもしれないbad end」ってな感じです。セ、ラ、凛の字の付くファンの
 皆さん、ごめんなさい。かなり扱い酷いですね。まあ、そういう意見も含めて掲示板等にお願いします。
 でわでわ。


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