運命の輪 2 (傾 またバトル…


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1: (2004/02/24 22:12:00)


遠坂から、聖杯戦争の説明を受ける必要は無い。
俺は既に聖杯戦争が何のか理解している。説明は省いてもらったが強制的に連れて行かれた。
必要以上に警戒してくるのに、妙に世話を焼く遠坂が、非常に嬉しかった。

   ◇


――運命の輪――


   ◇

教会からの帰り道でバーサーカーと戦闘を始める。

――運命を、書き換えた。

   ◇

坂の上にはイリヤ、その後ろにはバーサーカー。
俺にとって、バーサーカーの威圧は慣れているので気にならない。
しかし、セイバーや遠坂には辛いのだろう、顔が引き攣っている。
そんな重圧の中、俺は魔術回路を開き投影の準備を始める。
異質な魔術の流れを感じたせいだろう、イリヤが眼を細め

「やっちゃえ、バーサーカー」

と、問答無用で背後の巨体に命じた。
巨体が飛ぶ、それを見てセイバーが声を上げる。

「―――シロウ、下がって……!」

俺に忠告し、セイバーが駆け出す。狙うはバーサーカーの着地の瞬間。
重い金属音が鳴り響く。セイバーは斧剣に弾かれそうになるのを堪える。
動きの止まったセイバーに、横薙ぎの一撃が迫る。

ギィィン

しかし、それは防がれた。セイバーにではなく、俺が投影した武器によって。

――名刀『童子切安綱(どうじきりやすつな)』、 刀身は80僉太刀としては標準かやや長め。
古刀らしく波紋は直刃、切先は小切先(*1)。平安時代の一振りだが、当時の刀には珍しく反りは十分。
現在は国宝として東京国立博物館に収蔵されている。
刀工は安綱という平安時代の名工。
童子切は、室町時代に天下五剣(鬼丸国綱、大典田光世、三日月左近、数珠丸恒次、童子切安綱)
に数えられるほどの彼の最高傑作。
源頼光が大江山の鬼、酒呑童子を退治した時に使用したと伝えられる太刀である――

暴風の如き怒涛の斧剣を、刃こぼれ一つ無く受け止める。
鬼を斬った名刀は、古い歳月の間に強力な宝具(モノ)に昇華した。
干将・莫耶のように、宝具としてのランクは低いが扱いやすい。アーチャーの知識に在った刀である。
俺が戦闘に参加したのを見てセイバーは眉を顰めるが、すぐに目の前の敵に集中する。
体勢を立て直したセイバーが、バーサーカーに踊りかかった。

「######!!!」

咆哮と共に振り戻された斧剣は、セイバーの剣を迎え撃つ。
そこに俺が斬りかかりバーサーカーの斧剣に止められる。
理性が無かろうと、相手は彼のヘラクレス。
セイバーは万全の状態ではなく、俺の剣技は彼女と互角かそれ以下。
一対二の戦いでやっと均衡が保たれ、桁外れの強さに圧倒される。
そんな中、刀の一撃がやっと届いた。
一閃。童子切安綱がバーサーカーを捕らえる。
酒呑童子の首を切り落とした刀は、鋼の肉体に傷を付けた。

ザクリ

と、肉を断つ嫌な音がして傷口から血が噴き出す。出血は多いが致命傷にはならない。
斬ったのは左腕。戸惑うことなく振るわれた斧剣を避け、後退する。

「バーサーカー!?」
「#######!!!」

イリヤが叫び、平気だと答えるようにバーサーカーは咆哮を上げ、片腕で剣を振りまわす。
暴風のような連撃は、刀を弾いて俺を吹き飛ばした。

――宙を舞う。クルリと一回転し、空中で体勢を立て直す。
刃で防いだが、どこかがイカレた。
口の中に鉄の味が広がる。痛みで戦闘に集中できない。

追撃はやって来なかった。
バーサーカーはセイバーと剣を交えており、そんな暇はないらしい。
流水の如きセイバーの柔剣と、烈火の如きバーサーカーの剛剣が打ち合っている。
そのすぐ傍。セイバーの後方に信じられないものを見る。
民家の壁の側面に着地する。三角跳びの要領で跳躍し、地面に着地した。

「いつまでも固まってると、死ぬぞ!」

――遠坂の目の前に。

先程から、全く動いていなかった遠坂に警告する。
遠坂が驚いて、飛び退いたのを確認し、狂戦士に向かって駆け出す。
同時に、セイバーが見えない剣諸共弾き飛ばされる。
バーサーカーに対峙し、投影した干将・莫耶でセイバーへの追撃を阻止する。
大振りの攻撃を受け流しながら、徐々に反撃を試みる。
腕、手首、胴、胸、顔、首、脚…
様々な箇所を狙う攻撃を次々に弾き、同じ箇所に反撃する。
こちらの剣戟を、剛剣が阻み、衝撃で腕が千切れそうになる。
指の先が麻痺して剣を握っているのかも判らない。
そして、双剣が弾かれ斧剣が俺を仕留めようと振り下ろされる。
当たる寸前に、死を覚悟した。


「バーサーカー、もういいよ、なんだかつまんない、
守るはずのサーヴァントが守られてるなんて」


傍の床が抉れた。
それは、イリヤがバーサーカーを止めたからだった。
イリヤの眼はセイバーに向けられている。

――その眼には汚らわしいモノを見るような、蔑みが含まれていた。

キッとセイバーが睨み返す。それを無視して、

「リン、次は殺すから」

などと物騒なことを言い放つイリヤ。
バーサーカーは無言で少女に近づいていく。
白い少女は巨体の護衛と共に去っていった。


そして、俺は耐えていた血を吐き出した。
どこかの臓器が潰れたようだ、と冷静に診断する。
そして、少しだけ気を抜いて

――不覚にも激痛に耐えかねて意識を手放してしまった。


to be Continued


(*1)小切先(こぶりな切先、平安〜鎌倉時代の刀に見られる)




前回『運命の輪1.5』の補足

・アーチャーより士郎が強い訳。

(これを読んでいる方が、全ルートをクリアしていることを前提にして書きます。)


アーチャーと士郎は同一人物です。
『魔術回路は生まれながらに持ち得る数が決まっている〜』
と、サイマテに書いてありました。
それならば、二人の魔術回路の数は同じだという事になります。
二人の魔術回路はは開ききっており、使用している数も同じ。
残るはそれぞれの魔力量、つまり小源(オド)の差であると考えました。
士郎は凛ルートで、アーチャーの記憶が流れ込んできていました。
これは、二人の魂が共感したからだと私は考察しました。
私の書いているSSの士郎は、何度も聖杯戦争を逆行している設定です。
共感は幾たびもあったものとしています。
『幾度もの共感で、融合に近い事になり、士郎のオドがアーチャーと同格になった』
と考えてください。しかしそれではまだ互角。士郎が勝つ事は出来ません。
先程も言いましたが士郎は、何度も聖杯戦争を逆行しています。
その間に魔術回路を強化し、オドを高めた。
というのがこの補足の考えです。

注・これらは推測ですので、実際は違うかもしれません。
オドや魔術回路の理解の仕方も、このSS独自の考え方です。
あまり信用しない方が良いと思われます。

長い補足は終わりです。




あとがき

↓壊れモードが再発

バトルシーン燃え!!(萌えではない)
バーサーカーの葛木みたいな構えした立ち絵が見てみたい、鴉です。(注・バーサーカーに立ち絵は有りません)

へたれでスミマセン。文の脈絡無さ過ぎてゴメンナサイ。
童子切安綱は有名な武器をご自分のSSに書く人に憧れて書いてみました。(てへっ)
ちなみに
「エクスカリバーを弾いたバーサーカーをそう易々と斬れるのか?」
と言うのは言わない約束ですよ〜。

「○○のキャラが違ーう!」というのはどうか、ご了承ください。
自分の中ではイリヤは冷たい子なのです(爆)

このSS、殆どがバトルになりそう…


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