運命の輪 1 (傾 バトル


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1: (2004/02/22 21:38:00)


俺は決意する。その決意は未来の俺の決意と似通っている。

「この運命の輪を止めてやる」

その決意は逆行の終焉であり、始まりの場所、荒野に吹く風に飲み込まれた。

   ◇


――運命の輪――


   ◇

眼を覚ます。今回もいつもと同じで一月三十一日。聖杯戦争が始まるまでは、いつもと同じ。
俺がセイバーを呼んでから、そこから未来を変えていく。
一日、二日と時間が過ぎる。少し変化があった。二日目の夜に間桐家の前で臓硯と名乗る老人に会う。
初めてのケースだった。少しずつ何かが変わっている。
終わらせることが出来るかもしれない。僅かな希望が生まれた。
そして遂にその時が来る。俺は、同じだった運命を書き換えた。

   ◇

セイバーを召還する。いつもの事だが、彼女とのレイラインは繋がらない。
マスターなのか?と問われるが、それには答えない。
彼女の剣の誓いが終了し、彼女はランサーを倒そうと外に向かおうとする。

「待てセイバー。あいつは、俺が倒す」

それを静止し、彼女の横を通り過ぎて土蔵を出る。
俺の発言に驚き、反論する声が聞こえるが聞き流す。

「ほお、そんなに死にたいか、坊主」

セイバーが戦うと思っていたのだろう。意外そうな声で話しかけられた。
ランサーは、庭の中央に立っており、槍を構え直す。
槍の切っ先は確実に殺すために俺の全身の急所を狙っている。

――今迄に何度コイツに殺されただろう。
精神の奥で燻っていたその怒りに火が点る。
この怒りを何処にぶつける?簡単だ。原因が目の前に居るではないか――

魔術回路を開く。頭の中で幾つもの撃鉄をハンマーで叩き落とす。
一息で深層意識に潜り込み、剣を探す。何度も鍛錬した工程を通過しする。
基本と構成と制作と経験と年月を繰り返し――武器を創り出す。
手には確かな感触、創り出したのは双剣。

「何?」

ランサーが目を細める。この手に在るのは、対極を表す双剣。
装飾が少なく、実用性を求められた二振りの剣。
先程ランサーが戦った、赤い外套の弓兵と同じ武器。銘は干将・莫耶。
双剣を無言で構え、ランサーに対峙する。ランサーが苦渋の表情を浮かべる。

「貴様、」

それは、弓兵との戦いの苛立ちを思い出したからだろう。
声は呻く様に吐き捨てられた。


――そして、蒼の槍兵と複製者(フェイカー)の戦闘が始まる。

   ◇

有利なのは俺。攻め手も俺だ。この剣技は既に模範などではない。
アイツから取り入れ、自分の物とし、更に技術を向上させた俺の剣技。
ランサーは防戦一方だが、所々で強烈な反撃をしてくる。
やはり、強い。相手は純粋なサーヴァント。一撃一撃が確実に殺そうとする攻撃だ。
今は追い詰めてはいるが、宝具を使われたら一瞬で終わる。
俺には”刺し穿つ死棘の槍(ゲイボルグ)”を避けられるような運は無い。
ならば、どうする。奴は生還能力が高く、生半可な攻撃では倒せないのは知っている。
答えなど既に解っている。完膚なきまでに殺すか、確実に首を切り落とす!

キキキキキキキ

その攻防はまさに風、飛び散る火花は閃光。それでもまだ、剣戟は速くなる。

キーーーーーーーー

鳴り響く音はまるで、金属を切断しているかのように一つの音と化している。
振るう腕は神速、踏み込む足は霞み、その攻撃はヒトの領域を超えている。
胸を狙う一撃を受け流し、ランサーに向かって踏み込む。
ランサーは大きく後退する。こちらを見つめ、目を細める。瞬間、空気が変わった。
どうやら手を抜かれていたらしい。ランサーはあの奇妙な構えを取った。
ランサーの体が沈む。悪寒が空間を包み込み、大気に満ちるマナが凍結する。

「宝具!!」

セイバーが叫ぶ。どうやら俺の予想外の健闘に、勝負に割り込むことが出来なかったようだ。
見えない剣を構え俺の元に駆け寄るが、遠い。それでは間に合わない。
魔力がランサーに集まる。その禍々しいほどの魔力の吸収に紛れ――違和感を感じた。
首筋がピリピリする。それはいつもの嫌な予感。
目の前の脅威にではない、だが確実に俺達を狙っている死の予感。
構える。ヤバイ。ナニかが来る。このままでは、俺もセイバーも死んでしまう!

思考を遮断する。ランサーの事を頭から除外し、深層意識に潜り込む。
探せ、探せ、探せ。そのナニかを防ぐものが有る筈だ。
魔術回路に設計図を走らせる。創作理念を引き出し構成材質を選び出す。
基本と構成と制作と経験と年月を繰り返す。その工程は自分でも驚くほどの早さで終わった。

「”刺し穿つ死棘の(ゲイ・ボル)…”」

突っ込んでくるランサー。そして俺に駆け寄るセイバー。
そこに、三人を狙う得体の知れない攻撃が放たれ、俺はそれを防ぐ盾を創り出した。


to be Continued


あとがき

やっちゃった。・・・苦情があったらどうしよう。
と、何気に弱気な鴉です。
期待されているようなので、「真面目に書かないといけないなあ」なんて
今更ながらに思ってしまいました。
次は宝具?が大量に出てきたりします。

文句を言われても仕方の無いレベルですし・・・精進します。


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