乙女達の雑談(猛虎襲来編)


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1: 砌 八雲 (2004/01/29 18:57:00)[jojishadow at hotmail.com]

時刻は9時。

遠坂凛の洋風の家に女性陣が集まっていた。

メンツはイリヤ、セイバー、藤村教諭、桜、凛の五人。

その5人は黙ったまま、食い入る様に薄型液晶TVを凝視している。


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純白のウェディングドレス姿の女性。

対するは黒い普通のスーツの青年。

ウェディングドレスが上等なのに反比例し、青年のスーツは幾分みすぼらしい。

誰も居ない、海辺の教会。二人だけの結婚式。

「志貴・・・。」

「アルクェイド・・・。」

見詰め合う二人・・・。

神父はいないが、神様は二人の誓いを見ていてくれる。

「俺は誓うよ。四季が君を幸せにしようとした以上に、君を幸せにする。」

笑顔を見せる女性。

「私も誓うわ。永遠にあなたを愛し続ける・・・。私の二人目のシキ。」

簡素なシルバーの指輪。内側には相手の名前が彫ってある。

青年の指輪には『Arcueid』。女性の方には『shiki&shiki』。

互いの薬指に指輪をはめる。

再度見つめあう二人・・・一度抱き合うと、どちらともなく目をつぶる。誓いを立てる最後の儀式。

互いの唇が今、繋がりあう・・・直前に、

                        ドゴ〜〜〜〜〜ン!!!!!

教会の左の壁に風穴が開いた。

「兄さん・・・許しませんよ!」

「遠野君!そんなアーパー女と一緒になってはお先真っ暗です!考え直しなさい!!」

「あは〜志貴さん。残念でした〜。」「志貴さま。あなたを妨害です。」

外から飛び込んできたのは、肩にバズーカを背負った女性達。皆、街を歩けば5秒で自衛隊が駆けつけてくるような重装備だ。

                        ズバ〜〜〜〜〜ン!!!!!

「「姫〜!!」」

上半身半裸の長髪と、素肌にコート一枚の二人の男が正面の壁をぶち壊す。二人を見守っていたキリストの十字架が地に落ちる。

「はっ!!姫の、姫のウエディングドレス姿・・・・・・も、萌え〜〜〜〜!!」

「盟友よ。萌えている場合ではないぞ!早く、写真を!!新たなるコレクションだ!!!!」

二人とも街を歩けば1.2秒でお巡りさんがやってくるような変態っぷりだ。

                        バコ〜〜〜〜〜ン!!!!!

「アルクちゃん!!お姉さんを置いて言っちゃいや〜〜!!」

今度は左の壁が吹っ飛んだ。黒髪の美少女が乗り込んでくる。

「「姫様〜〜〜!!」」

白と黒の真反対の服装の男性と、犬が美少女を追いかけて入ってくる。

「アルクちゃんが居なくなったら・・・わたし・・・びえ〜んNNN!!!!」

「ひ、姫様。泣かないで下さい!」「そうです。我らが居るではないですか!!」「ワン!ワン!!」

泣き出した美少女をあやす二人と一匹。

天井からパラパラと木材の破片が落ちてくr。

もともと、古びた廃屋のような教会だ。突然三つも人の通れるような巨大な穴が出来れば、必然的に、

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・

「ま、まずい!崩れてきた!!あ、アルクェイド!!」

女性の手をとり、そのまま抱き上げると、扉へ向かって走り出した。

『待ちなさ〜〜〜〜〜〜い!!!!』

背後で崩れた音と、叫び声が聞こえるなか、二人は砂浜を走った。

「シキ。楽しいね〜。こんな日が毎日続くといいね。」

相変わらず笑顔の女性。

「楽しいのはいいけど・・・毎日はちょっと困るかな。」

苦笑する青年。

そういえば、誓いのキスがまだだった。

走りながらで不安定だが、何とか二人は軽く唇を合わせた・・・。

主人公がヒロインを抱えながら走り、後を追いかける人々の映像が流れながら、スタッフロールが流れ始めた。

最後に、「FIN」という言葉が出ると、「はぁ〜。」っと女性人からの感嘆のため息が漏れた。

「いいですよね。ウェディングドレス・・・憧れます。」

桜が少し恥ずかしげに言う。

「そうね。一度は着てみてもいいいかな。」

凛はそっけない。

「ウェディングドレスを二度着るというのも、どうかと思いますが。」

紅茶を飲むセイバー。

「あら、そんあことないわよ。2度着ても、3度着ても、可愛いと思うわ。」

ニコニコしている。藤村教諭。

「私も早く着てみたいな〜。」

うっとりしている、イリヤ。

5人は大人気の木曜ドラマ、「罪な僕と無邪気な君と」の最終回を皆で見ていた。

視聴率20パーセント近い大人気ドラマで、その話題で盛り上がっているうちにみんなで遠坂家の大画面で見ようということになった。

男性陣も一緒に見る予定だったが、「狭くなる!」という凛の判断から、衛宮家に押し込まれた。

今頃、衛宮家でも一成、慎二、士郎、アーチャー、ランサー(!?)が見終わった頃だろう。

「罪な僕と無邪気な君と」

とある大富豪の家の養子になった遠野志貴は親友であり義兄弟である四季を誤って殺してしまう。

過失であったため有罪には問われなかったが、四季の婚約者であるアルクェイドはその事実にショックを受け心を壊してしまう。

監察医(司法解剖をして死因を調べる仕事)である志貴は大学時代学んでいたカウンセリングの技能を使って自ら彼女への責任を果たそうとする。

だが、志貴はアルクェイドを愛してしまう。自分が殺した親友の婚約者を愛してしまった罪に苦悩する志貴。

心を徐々に治しつつあるアルクェイドも志貴に心を寄せるようになるが、志貴が自分の婚約者を殺したという記憶が戻ったことにより、彼女も苦悩しだす。

それでも、互いを意識し始める二人・・・。

だが、志貴の義妹や屋敷の双子のメイド、大学の先輩。アルクェイドに好意を寄せるロア、その親友ネロ、アルクの義姉アルトリュージュなどの妨害が入り、思うように二人の関係は進まない。

果たして、二人は結ばれるのか!?

というドラマである。

男性の視聴者も多いらしいが、圧倒的に女性の視聴者のほうが多い。

見終わった後、5人は雑談しあう。

「でも、私は妹さんのことを考えると、彼は取れないかもしれません。譲ってしまうかも・・・。」

と、桜。

「駄目よ、桜。恋は戦いよ。相手なんていうのは奪って何ぼよ。」

反論する。凛。

「略奪愛。略奪あ〜い〜。」

やたら、無邪気に言うイリヤ。

「あんた、意味分かって言ってる?」

煙たそうにイリヤに言う。

「当然。」

凛に言い返す。

「いっそ、一夫多妻制にしてしまえばいいのです。日本では抵抗があるかも知れませんが、海外なら問題ありません。」

セイバー。

「う〜ん、それもいいわね。」

あっけらかんと、言う藤村教諭。

「でも、少しさびしくないですか?そんな・・・自分以外に奥さんが居るなんて、やっぱり、自分だけを見てほしいじゃないですか・・・。」

「あ〜ら、桜。なになに、自分だけを見てほしい相手でもいるの?」

凛が意地悪そうな笑みを浮かべる。

「い、いえ、そういう意味じゃ・・・。」

顔を赤らめる桜。

「誰?誰?サクラ?教えてよ!?ひょっとして、シロー?」

「ち、ちが・・・。」

イリヤのぶしつけな質問にまた、顔が赤くなる。

「シローちゃんってば、いいんだ〜。」

「そうですか。桜はシローのことが好きなのですか。すみません。桜。もっと少し早く私が気付いていれば、お手伝いをしたのですが。」

「桜。正直に言っちゃいなさいよ。シローなの?」

「告白。コクハク〜。」

はやし立てる4人。

「そ、そういう、皆はどうなんですか!!?」

恥ずかしさの極みで思わず大声を上げてしまった。

「「「「え?」」」」

・・・・・・。

しばしの沈黙・・・。

何か考えをめぐらしているのか、はたまた、意中の相手の事を考えているのか・・・?

沈黙を破ったのはサーヴァント

「私は特にいません。」

「嘘は駄目よ。セイバーちゃん。」

うふふと笑う教諭。

「虚偽などありません。」

きっぱりと答えるセイバー。

「じゃあ、ばらしちゃおっかな〜。」

「どうぞ、私にやましいことなどありません。」

教諭はニコッと笑うと、爆弾を投下した。

「シローちゃんとお風呂一緒に入ったんでしょ。」

「なっ・・・。」

言葉に詰まるセイバー。「違います」の言葉が出なかった。

「「「え〜〜〜!!?」」」

驚いたのは残りの3人だ。

「ち、違います。あ、あれは・・・。」

「どう違うの?一緒に入ったのは事実でしょ?」

藤村教諭に更に追い詰められ、最良のサーヴァントは、

「・・・確かに。私はシローとお風呂に入りましたが、それだけです!」

正直に白状した。

ずずっと何かを遮るようなセイバーの紅茶を飲む音。

「衛宮とお風呂ねぇ・・・。」

心底驚いたというような凛の声。そして、ニヤッと笑うと、

「で、どうだった?衛宮のは・・・大きかった?」

ぶはっ!?

セイバーだけでなく、桜も飲んでいたものを吹いてしまった。

「ごっごほっ!?り、凛!そのような下品な質問は止めてください!!」

「あら、下品かしら?誰だって興味のあることじゃない?」

「遠坂先輩!」

セイバーも桜もほほを少し染めている。さり気にイリヤも。

こほんと咳払いをする、桜。

「人のことをとやかく言っていますけど、先輩はどうなんですか?」

「わたしは探し中かな?ま、見つかれば早いと思うけど。」

少し不適に笑う。

「相手が見つかっても、その性格何とかしないと無理ムリ〜。」

わはは〜と笑うイリヤ。

「失礼ね!あんただって、そんな幼児体系じゃ男の一人も振り向かないわよ。」

対抗し、ふっと小ばかにしたように笑う凛。

きっと二人の視線がかち合い、火花を散らす。

まあ、どっちもどっちだろう・・・。

「ほらほら、やめなさい。二人ともそんなことしてるから相手が見つからないのよ。」

と、なだめたつもりだったが、

「先生こそ、今年で2ピー歳ですよ!早く相手を見つけないと行き遅れたいますよ!!」

ぴくっと教諭の眉が上がる。

「晩婚、晩婚、行き遅れ〜♪わはは〜。」

ピキ!こめかみが引きつる。

「凛。たとえ本当のことであっても言いすぎです。」

ぐっと拳に力が入る。

「皆さん、そんな言い方って無いです。先生だって一生懸命なんですよ。この間、お見合いだってしたんですから。」

体が小刻みに震える。

ちなみに、そのお見合いは相手方に断られた。

ブチッ。ピキーン!

怒りゲージMAX!!

藤村教諭・怒りゲージMAX状態、特殊発動『冬木の虎』

「こ、この・・・小娘どもが!!!!!!」

何処から取り出したのか、右手に竹刀を握り締め、暴れだす藤村教諭。

その目は星のごとくピカーンと光り、人外の動きで技を繰り出す。

凛とイリヤの魔術、セイバーの剣技をもちいて、1時間かけて何とか取り押さえた。

戦いの終わった凛の家のリビングがアーチャー召喚の時以上に崩壊したという。

無論、帰宅したアーチャーが悲鳴を上げたのは言うまでも無い・・・。


合唱・・・。


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こんにちは。はじめまして。砌 八雲です。
Fate発売1日前になりまして、もういてもたってもいられず、書いてしまいました。
また、キャラがハッキリしないので、多少脚色を加えましたが、ホントに下手です。勢いだけで書いてるのがよく分かります。
最初の「罪な僕と無邪気な君と」は月姫世界を特殊能力無しで考えたんですが、こういうのも結構あり!かな?
最後に、読んでいただいた皆様、本当に有難うございました!!
とうとう明日、Fate発売日です!楽しみです!

追記、FateのOPでランサーがいない!と、皆さんおっしゃってらっしゃいますが、間桐慎二君もいませんよ!柳洞はいるのに・・・。


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