Eternal Oath  〜第3話〜


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1: 牙鉄 (2003/10/21 23:24:00)





チャリンチャリンチャリリン――――――――――。

“治療用の針の落ちる音”だけが部屋に響く。

・・・今この部屋は異様なほどに静寂していた。

―――――なんでだろう?



―――――そのときシエルとシオン、翡翠は固まり、
―――――秋葉の血の気は引き、
―――――琥珀の微笑みは凍りついていた。
彼女たちの考えていることはただ一つ、




―――――今この女なんつった?―――――




「アルクェイド!?あなた、『アレ』をいつもやっているのですかーー!!?」

「あなたは兄さんと何てことをやっているんですか!!?そんな・・・羨ましいこと!!」」

「そんな・・・志貴様がそのような趣向“も”好みだったなんて・・・」

「不理解です!不可解です!非現実的です!!・・・・・・・」

「あは〜、『いつも』なんて志貴さんって意外とマニアックなんですね〜」

先ほどのアルクェイドの『口移しで飲ませるなんていつもやってるよ』という爆弾発言に対して
シエル、秋葉、翡翠、シオン、琥珀はそれぞれ異なった反応を示していた。

ある者は驚愕し、
ある者は混乱し、
ある者は目だけ笑っていない笑顔を浮かべていた。

五人のそれぞれの反応の根幹には共通して志貴への想いがある。

――――――たしかに今現在、遠野志貴の恋人は目の前にいるこのアーパーだ。
しかし将来何が起こるかわからない。
いや起こしてやる。
だが相手はいろいろな意味で手ごわい。
手段を選んで戦える相手ではない。
ならば・・・。

教会最高の至宝ロンギヌスの槍を
機動戦士の使うビームライフルみたいに改造(無許可)しよう、とか。

洗脳探偵の力でどこかの少年探偵団(神保町在住)を洗脳して
姉もびっくりのミステリーを組みあげてやる、とか。

この前壊された妹そっくりのロボットに
今度は絶対勝利の力(必殺技は理論上防御不可能)を与えて復活させよう、とか。

プライドかなぐり捨てて割烹着の召使い兼まじかるなアンバーに
変身スティック作らせて掛け声と共に変身巨大化してみる(三分限定、ミクロ化も可能)、とか。

だったらこっちは錬金術繋がりで武装できる六角形作ってみる(“鋼”な方ではない)、とか

正々堂々?フェアプレー?道徳観念?版権?
なんだ、それは?
彼の隣には自分がいるべきなのだ!
立て国民よ!(違)大切なのは仮定ではなく結果なのだ!!



・・・ところがだ。今この女はなんと言った?
“いつも”口移しで彼に飲ませているとはなにごとか!!!?

今、彼女たちの中には
どこかの戦闘種族もビックリな"怒り"という感情しかなく、
最優先で排除すべき恋敵しか映っていないはずだった。
・・・しかし、この女を排除するための行動は確実に志貴に、特に今夜の彼に迷惑がかかってしまう。
(((((く、今夜は命拾いしたわ(しました)ね)))))
というわけで、17分割時の志貴も真っ青な冷たい殺気を必死に己達の内に抑え、
五人の脳内にストレス物質がどんどん溜まっていく。



・・・そのはずだった。



―――――――思わぬ人間が余計なことを口走しらなければ。



「そんなあ〜、志貴君ってそんなことできるほど立派になっていたなんて!?
 私そんなことまで教えた覚えはないのに・・・!!」




「「「「「は!!!!?」」」」」

朱鷺恵の台詞を聞いて五人が一斉に彼女のほうへ視線を向ける。
その瞬間大量の殺気にあてられた朱鷺恵はやはりというかなんというか、

「ハヒッ!!?」

と悲鳴を上げた。

五人が五人、 
基本的に一般人の朱鷺恵と違って人外とその影響を受けた元一般人なので
朱鷺恵は恐怖で動けなくなってしまう。

「・・・どういうことなのですか朱鷺恵さん?まさか兄さんの『初めて』の人というのは・・・」

「あは〜、てっきり私は乾さんのお姉様かと思っていたのですが」

(ク、不本意ながら私はエーテライトで知っていましたが・・・)

「わ、私が教えたのは、あの、その・・・。
 ・・・そ、そう!応急処置の基本よ、基本。みんなが想像しているようなことじゃないわ!!!」

朱鷺恵、必死の釈明。

そこへ朱鷺恵が落とした“針”をさりげなく拾い終えた翡翠が洗脳探偵と化してつっこむ。
ちなみに先ほどの針の落ちる音はショックのあまり朱鷺恵が起こしたものだった。

「・・・朱鷺恵様、
 あなたはアルクェイド様がおっしゃられた口・・・その行為に対して
 “そんなことまで”と反応されました。
 状況証拠としては十分かと思われますが?」

「そ、それはあくまで状況証拠であって物的証拠じゃないでしょ!?
 決め付けられるのは心外だわ!!」

「確かにその通りですが、今この状況下ではそれだけで十分な根拠になると思われますが?
“我々”にはそれらの状況証拠だけであなたを拘禁することができます」

翡翠はじわじわと追い詰める。

「そ、そんな!?・・・た、助けて!お父さん!!」

父に助けを求める朱鷺恵。

しかし・・・



「そ、そんなばかな・・・朱鷺恵が小僧の・・・小僧の・・・・」



白く燃え尽きていた。



「兄さんの手前、今回は地下王国監禁だけは許してあげますが、見逃すわけにはまいりません。
 シエル先輩、その女を居間に連れてきてください。
 詳しく尋問しますので。シオン、あなたは先生の方をお願い」

「わかりました」

「なんで私が・・・。まあ話の内容には興味がありますがね」

シオンは燃え尽きた宗玄にエーテライトを付けて歩かせ、シエルは朱鷺恵の首根っこを掴む。

「ヒ!!」

悲鳴を合図に女性陣の皆が皆、恐ろしい笑顔で居間に向かおうとする。



―――――アルクェイドとレンを除いて。

「ね〜、妹。私とレン、ここにいちゃ駄目?」

そう言われて普段なら有無を言わさずアルクェイドに噛み付く秋葉だが――――――。

「・・・・好きにして下さって結構です。私達はこの女の尋問に忙しいので」

珍しく許可した。

「えへへ、ありがとう」

「今回だけですよ」

ズルズルズルズル―――――

「イ、イヤーーーーーー!!!!」

バタン。

「珍しいですね、秋葉さん。絶対反対すると思ったのですが」

いまだ暴れる朱鷺恵の首根っこを掴んだシエルが尋ねる。

「・・・残念ながら、
 現段階であの人が兄さんの、遠野志貴の恋人がアルクェイド=ブリュンスタッドであるのは事実です。
 いつか兄さんには私の魅力を気がつかせて振り向かせるつもりですが、
 今はあの人が傍にいることが兄さんのためになるでしょう?」

「秋葉様・・・」

「まあ、志貴さんが元気になるのが最優先ですからね。
 志貴さんが元気になれば機会はいくらでもありますし。
 でもその前に」

琥珀の首が朱鷺恵のほうへクルリと回る。
その途端に朱鷺恵は秋葉のかわいい後輩の狐娘の如く怯えた。

「そうね、
 今はこの泥棒猫から兄さんの『初めて』を奪い取った経緯をねっとりじっくり聞きましょう」

そういって懐からシオンの持つものと同じ腕輪を取り出す。

「秋葉、それは私があげたエーテライトですね。
 ですが、あなたの技術では相手のからだを操るならともかく、
 思考を読むにはまだ無理があると思いますが」

「でも相手の痛覚に直接刺激を与えることならできるわ。それはもう実践済みよ。
 ・・・・・ねえ、琥珀」

「ウッ・・・・(汗)
 そ、その通りですよシオン様。
 まあそれはともかく始めますか♪
 朱鷺恵さま、正直に話してくだされば痛くないですよ〜☆」

「ヒ、ヒイイイイイーーーーーー!!」

「フフ・・・遠野君が眼を覚ますまでいい暇つぶしができそうですねえ」


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