月影検Act.4


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1: アラヤ式 (2003/08/02 04:45:00)[mokuseinozio at hotmail.com ]

あんな蒼い水、みたこと無かった。

ねぇ。

あなたはどうして、

そんなにわらうの。

/1.

薄暗い城。その一室の洗面台にわたしはむかう。

手のひらのクレンジングクリームをまぜ、頬を洗った。

タオルで顔を拭く。ふと、何の前触れもなくため息がもれた。

オーテンロッゼ殿は、ブラックモア殿の事件以来、城の地下に篭りっきり。そのお姿を、わたしはまだ拝見していない。

今日は化粧のノリがすこぶる悪いだろう。あんな光景をみてしまったのだから。

ある日、地下へ続く深い螺旋階段へ下っていったあの方を、わたしは追っていた。

あの方はめざとい。注意深く追跡しなければすぐに感づかれていただろう。

だがわたしとて二十七祖一厘の花。とっさに固有結界『虚空幻楼』を展開させ、あの方の『色』の認識を変えた。

死者も連れずに、あの方は湿った地下の階段を、静々とたった一人で降りていく。

いつも取り巻きの死者を囲み、力の顕示を好むあの方にしては珍しい光景だった。

気付かれている様子はなかった。もっとも、気付かれるようなへまなどしない。

城の書庫に隠されていたブラックモア殿の出自の秘密も、この追跡でわたしは得ることが出来たのだから。

完全に壁の色に同化するわたし。スミレには、リタってカメレオンみたいだね♪とよくからかわれていたっけ。

酔っ払い娘の物言いに少し腹は立つが、あながちはずれではなかった。

そして、地下の一際湿潤している一室で、わたしは目撃することになる。

オーテンロッゼ殿の……

洗顔を終え、わたしは自室に戻った。

鏡台に向かう。濃いピンクのラメ入りアイシャドーを丁寧に薄く塗る。

化粧は自らの本性を隠し、社会生活を円滑に営むための手段と、人間だったころ読んだおぼえがある。

化粧という仮面をつける。そうでもしなければ、発狂してしまいそうだ。

昨日の出来事は正直、わたしの今までの認識をひっくり返されるほどの衝撃だった。

わたしはどのようなことも、自分のまなこで確認しないと気がすまない、自他ともに認めるやぶ蛇の性分だ。

だけど、あれだけは見なければ良かった。あれは

「リタ様。」

わたしの思考は、音も無くあらわれた老人の声によって遮られた。

「ノックぐらいしてもらえませんかしら?」

「いや失敬失敬。扉の鍵がかかっておりませんでしたので、勝手に入らせてもらいましたよ。」

いけしゃあしゃあという、割腹のよく、白髪をまとめたこのご老体は『魔城』ヴァン・フェム殿。

オーテンロッゼ殿と親交のある死徒二十七祖の一人であり、最近はオゾンホール拡大に伴う地球温暖化にひどく心を痛めているらしい。

この御仁、普段は礼儀正しく品のよい気質なのだが、時々予想をくつがえす行動をされることがあり、あまり読みきることが出来ないお方だ。

「ヴァン=フェム殿、貴婦人のお色直しにぶしつけに入ってくるとは、よほどの事なのですね?」

皮肉をこめていう。わたしは怒っていた。オーテンロッゼ殿の真意を図りかね、なおかつレディの部屋に勝手に入られて機嫌がいいはずは無い。

だが、ヴァン=フェム殿は、堀の深い顔を豊かにゆがめて笑って会釈する。

「はっはっは、どうかお許しください。一刻もはやくお知らせたかったので慌ててしまいました。
スミレ様が、この国にきていますよ。」

え。

「会いにいかれては、いかがですかな?」

スミレが?

わたしは握っていた化粧品の瓶をおとし、カーペットにぶちまけていたことにすら気付かなかった。

「ヴァン=フェム殿!?それはまことですか!?あの子が」

「ウソをついて、私の利潤につながることはなにもありません。
車ならご用意いたしましょう。オーテンロッゼ殿には、私のほうから上手くいいくるめておきますよ。」

嬉しさと懐かしさが同時にこみあげてきた。スミレ。わたしの唯一の友達。

会いたい。

会って、話がしたい。

「結構です。」

本心とはまるで正反対の言葉を、わたしは言っていた。

ヴァン=フェム殿は予想外のことに驚かれたのか、皺の深い額に眉間をよせていた。

「リタ様?スミレ様は流浪の身、この機会を逃せば次は何百年後になるかわかりませんぞ。
スミレ様の動向を掴むことができるのは、彼女が出現したときのみなのですから。」

わかっている。そんなことは。

あの子の水中での動きは、人間たちがつくった魚群探知機ですら掴みきることはできない。

「おほほほほほほ。せっかくの申し出ですが、断らせていただきます。
あいにく、気まぐれな酔っ払い娘に構っているほど、わたくしヒマではございませんの。
ヴラドとも決着をつけませんと、悔しくて絵画に没頭することすらできませんわ。」

わたしは笑った。

うそだ。

本当だったら今すぐにでもあの子のいる場所にいきたい。

ごまかした。自分でも嫌になるくらいの高飛車笑いを、わたしは続けた。

ヴァン=フェム殿はそれに気付いたのか、気付かないのか、気落ちしたように目を伏せる。

「リタ様。それは、オーテンロッゼ殿への義理なのですか?」

「おほほほほほ。出来の悪い親ほどかわいい。というではありませんか。」

そう。わたしにとってオーテンロッゼ殿は、父ともいえる人。

あの方は、自尊心が高く、浅薄なところもあり、人格的に色々と欠けるものがあるのは否定しない。

だけど、わたしはあの方の厚顔のなかにある優しさを知っている。

前15位の一介の死者でしかなかったわたしは、あの方に見初められて今の地位を得ることが出来たのだから。

それに何より、

スミレを、何も知らないあの子を、巻き込みたくない。

「わかりました。無理強いはいたしません。」

ヴァン=フェム殿は、深いブラウンの瞳をゆらした。最近よくみかける仕草だ。

扉に手をかける老人は、退室していく。

「ヴァン=フェム殿!!」

気が付いたら、わたしは美麗とは程遠い、はしたない大声をだした。驚かれたヴァン=フェム殿は、わたしに振り向きなおる。

「かわりにといってはなんですが、一つ頼まれごとをお願いできませんか?」

/2.

空は、雷雲が立ち込め、水滴の飛散が絶え間ない、どしゃ降り模様。

労働者たちが行きつけのくたびれた酒場に、不釣合いな黒塗りのリムジンがとまった。

運転席には、つぎはぎのない人間そっくりの人形がハンドルを握っている。

「まさかあなたが僕を呼びつけてくるとは、夢にも思いませんでしたよ。」

その車内には、後部座席に二人の人影。

長い金髪を後ろでまとめ、純白のスーツに身を包む美貌の紳士は、隣の老紳士と談合している。

老紳士は、アゴヒゲをさすりながら忌々しげに呟く。

「ふん。本来君のような性欲の塊ごとき俗物を、私のリムジンに一秒でも乗せることはタ・イ・ヘ・ン不愉快極まりないことだが、
彼女がどうしてもというから連れてきたのだよ。」

「人形作りに没頭している根暗な成金ジジイよりは、幾分マシかと存じ上げますが。アッハッハッハッハ。」

老人は品のよい顔を台無しにして、隣の額に手をついて笑う青年を睨む。

「一応断っておくが、彼女に手をだせば私は許さんぞ。
その時は、アルトルージュ様には申し訳ないが、我七大ゴーレムの総力をあげて君を潰す。」

老紳士の瞳が渦をまく紫に染まった。魔眼。老紳士の人間社会では絶対にさらけ出さない怒りの具現である。

それを叩きつけられる青年の紳士は、同じく魔眼を金色に輝かせ、老紳士の殺意にも似た気迫に臆していない。

「それは彼女の出方次第ですよ。最初に姫様に牙をむいたのは彼女の方ですから。
それと、くどいようですが六大ゴーレムの間違いでしょう?ヴァン=フェム殿?」

ヴァン=フェムは、皮肉が得意な隣の死徒を、今にもゴーレムの腕で引き裂きたい衝動にかられた。

だが、矛をおさめた。ここで怒りにまかせて戦争をはじめるほど、ヴァン=フェムは浅はかではないし、短慮でもない。

「まあいい。行きなさい。彼女はお待ちだ。(とっとと失せろ。ホ○。)」

アルトルージュ護衛の一人、『白騎士』フィナ=ヴラド・スヴェルテンは、雨天のなか、後部座席のドアから颯爽と現れた。

「送迎感謝いたしますよ。美しくない木偶人形のわりには安全運転でしたねぇ。」

「ふん。君に迎えの車などないよ。(一人で帰れ。ホ○。)」

ドアは乱暴にしめられ、リムジンは急発進した。スピンがかかったタイヤのゴムは汚泥を飛ばし、ヴラドのスーツに塗りたくる。

「人形マニアのジジイ、いつか必ず、美しく葬ってあげるから覚悟しておきたまえ!フハハハハハハハ!!」

走り去ったリムジンを、泥だらけのヴラドは魔眼全開でにらみ、雨の中妖しく笑っていた。

/3.

夕方の酒場は、仕事帰りの男たちで賑わっていた。

その喧騒の中に、カウンターに一人の女性がすわっている。

長い金髪は上品にまとめ、若干派手さを抑えたピンクのワンピースをリタは着ていた。

「やぁ、リタ。」

「来てくれたのね。ヴラド。」

リタ・ロズィーアンのとなりの席に、フィナ=ヴラド・スヴェルテンは腰掛けた。

「わかっているとおもうけど、このことは極秘だよ。姫様につまらない心労をかけたくないからねぇ。それで、ご用件は?」

「せっかちですのね。」

リタはカウンターの店員に、ビールを頼む。

店員は、底辺の酒場にはいささか不釣合いな、端麗な男女に一瞥しながらも、グラスにビールをそそぐ。

ヴラドの前に置かれたビールは、美しい白い泡を絶え間なくたて、リタに会釈したヴラドはそれを喉に流し込む。

グラスがカウンターにおかれる音。リタはヴラドに目を合わせずに尋ねた。

「ヴラド。あの子、スミレが、アルトルージュ様の城にきたそうね。」

それを聞いたヴラドは、天を仰がんばかりに笑った。

「君のお友達のウォータ・ボトルかい?彼女の破天荒ぶりは美の極みだねぇ!
下水道を逆流させて、城の浴場を派手にぶち壊してくれたし、
姫様を『ちゃん』づけで呼ぶのは、世界広しといえども彼女くらいなものだろうさ。ハハハハハハ!!」

ヴラドの話を聞いたリタは、無表情を保っていた顔に笑みをこぼしていた。豪勢な仮面の内側の、彼女の本当の笑顔があった。

「ヴラド。スミレは、この戦いには何も関係ありませんわ。」

「君が心配することはないよ。彼女には陽気こそあれ、殺気は微塵も感じなかったからねぇ。」

リタは心のそこから安堵したようだった。

横目でそんなリタの様子をみるヴラドは、疑問をぶつけてみた。

「リタ。一つ聞いてもいいかい?」

「よろしくてよ。」

「どうして君は、ウォーター・ボトルをそんなにかばうんだろう?自分が僕に殺されるとは思わなかったのかい?
頭のいい君らしくないねぇ。」

リタは、ヴラドの質問に笑っていた。

「退屈な昔話を、聞いてくれる?」

「ハッハッハ。退屈になら不自由してないさ。」

/3.

わたしの主、前15位は、死者を増やし広大な死都をもつ典型的な死徒だった。

その従者であった私の役割は、雑用担当といったところね。

主人のいうことに従って、人間を狩り、その力を主人に還元する。ほんとう、芸術も何もない乾燥した毎日だった。

そんなとき、あの子はいきなりあらわれたの。

―― こんにちは〜♪あたしスミレっていうの。姓はスミレ、名もすみれ、覚えといてね♪

びっくりなんてものじゃなかった。城内は死者で蠢き、リビングデッドが完全に周りを常に徘徊している完全警護の要塞。

あの子はそれらに一切気付かれることなく、いつのまにか、人間の血をすすっていた私の後ろにいたわ。

吸血鬼には全く似つかわしくない、幼いこどもみたいな笑顔で。

右手には、常にウィスキーを持っていたけど。

―― そんなに構えないでよ〜。ねぇ、そんなことしてないでさ、あたしと一緒に遊びにいかない?行く?OK?決定〜♪

勝手に決められたわ。私はわけもわからず、よりによって日光が燦々とふりまく屋外に連れ出されたの。

直射日光に焼かれかけた私に、あの子は『ごめんね〜。太陽のことすっかり忘れてた♪』とかいいながら、

日焼け止めクリームを必死で私の体中に塗りたくって斜光フードを被せてくれた。もう訳がわからなかった。それと同時に、少し楽しかった。

そんな彼女が私を連れてやってきたのは……

「どうしたんだい?」

リタの語りは、急にとぎれた。

「……なんでもありませんわ。」リタは涙を払うと、話を再開した。

湖だった。

透き通るぐらいに蒼かった。水面にうつる空の蒼さがかぶさって、例えようもなく美しかった。

光が降り注ぐ森の緑は、私が人間だったころハイキングにいった記憶を思い起こさせた。

死者になってからのわたしは、ずっと人間を狩っていて、昼間の世界なんか見たこともなかったから。

―― あたしのお気に入りなんだよ。ここって唯一汚染されてない場所だからさ♪

そういってスミレは、嫌がるわたしの手をひっぱって水の中に誘ったの。最初は殺す気か!って思ったわ。

―― 大丈夫、あたしは泳げるし。あなたもきっと泳げるよ!無問題〜♪

当時、あの酔っ払い娘はウォッカをひっかけていたみたいで、いつもよりさらにデキあがっていたみたいね。

当然わたしは死にかけた。流水と日光の混合色を喰らえば、二十七祖クラスの死徒だって水泡に帰してしまうわ(怒)。

泳いでいるうちに酔いが覚めて、正気に戻ったあの子は、慌ててわたしを岸に引き上げてくれた。

―― 死なないで〜!!あたしがわるかったよ〜!!傷は浅いから〜!!

自分で死地に引き込んでおいて、あの子は目を真っ赤にして泣いていたわ。わたしは水をクジラみたいに噴き出して、なんとか息を吹き返した。

ほんとう、おかしくて、わたし大声で笑った。あの子のはじけぶりは、もうわたしの常識なんか壊していた。

わたしはあの子にたずねたの。どうして二十七祖のあなたが、たかが一人の死者でしかないわたしにこんなことをするの?って。

―― 暇つぶしで城に忍び込んでいたときからさ、あなたのこと気になってたんだ。だってあなた、かわいいもん♪

屈託のない笑みで、あの子はそういったのよ。

『かわいい』なんていわれたこと、わたし、人間だった頃でも一度もなかった。

嬉しかった。嬉しくて、その場でわたしは泣いた。泣くってことをわたしは久しく忘れていた。

―― 大丈夫?もしかしてまだ日光辛かったりするの?

そうじゃないのよ。

―― よかった〜。そういえばまだ聞いてなかったね。あなたのお名前教えてよ♪

わたしの名前はリタ・ロズィーアン。リタって呼んでね。スミレ。

/4.

「なるほどねぇ。そうして二十七祖でも音にきこえた、仲良しこよし2人組が誕生したわけだ。」

「おほほほほ。その後私は、オーテンロッゼ殿に見初められて身分を昇格し、二十七祖第15位の地位を得た。という訳ですのよ。」

語り終えたリタは、頬を桜色にしていた。寂しげに、儚げに、リタは過去の話に幕を下ろす。

グラスをあけたヴラドは、リタの話に、真剣に最後まで耳を傾けていた。

「そしてスミレとの出会いは、私に眠っていた美に対する創作意欲に火をつけてくれたのよ。
湖の蒼の鮮烈かつ強烈なイメージ。あれはもう運命としかいいようがありませんわ!」

今まで聞き入っていたヴラドはずっこけた。リタの常軌を逸したキチ○イ芸術は、どうやらスミレが蓋を開けたらしい。

薄く笑うヴラドは、席を立つ。

「リタ。今宵は面白い話を聞かせてもらったよ。
でもね、だからといって、姫様と敵対する君に、今後も手加減するつもりは一切ないよ。」

「そのような腹積もりはありませんわ。
スミレはしばらくこの国にいるんでしょうけど、あの子は気まぐれ屋さんだから、またあなたの前にあらわれると思うの。
ヴラド。その時には、私のことは黙っていてくれる?
スミレには、いつも自由でいてほしい。あの子のタイトルに『束縛』は似合いませんもの。」

リタに背を向けるヴラドは、しばらく考え込んだ様子を見せる。

彼はリタに振り向くと、一厘の桃色の薔薇を、彼女の前に差し出した。

「了解だ。ビールの代金と引き換えということで彼女には黙っておくよ。この次は戦場で会おう。リタ。」

「おほほほほほ。感謝しますわ。 でも覚えておいて。私、こうみえても負けず嫌いですのよ。」

薔薇を受け取ったリタを残し、ヴラドは酒場を後にする。

芳しき薔薇の香りを、リタはしばらくの間、たんのうしていた。

/5.

「スミレさん!どうしてあなたは正門から入ってこれないんですか!!」

「あはははは。あんまり怒るとかわいい顔が台無しだよ〜。小公女♪」

ヴラドが城に帰還すると、そこには壊れたまな板やら包丁が散乱する廃墟が拡がり、

城のシステムキッチンは、もはや卵焼き1つつくれないであろう破壊の限りを尽くされていた。

その瓦礫の中心で、アルトルージュがスミレに激怒している。

ヴラドは、隣で頭を抱えているシュトラウトに尋ねてみた。

「リィゾ。これは一体どういうことだい?」

「スミレ殿が、今度は台所からの侵入を試みた。」

シュトラウトは、それ以上何もいわなかった。

「人の城を何回破壊すれば気が済むのよ!
志貴くん!エンハウンス!この酔っ払いになにか言ってあげて!!」

ひしゃげたテーブルで胡座をかき、のんきにテキーラをあおっているスミレに、アルトルージュは頬を紅潮させて怒っていた。

「スミレさん。オイタは程ほどにね。」

「姐さん。今夜もイカしてるぜ。」

「……もういいわよ!!」

全然説教していないバカ男二人に、アルトルージュは見切りをつけた。

「水魔、やるわね。いくら私でも、あそこまでアルトルージュには絡めないわ。」

「(秋葉さんに絡んでいることには全く自覚ないんですね。このあーぱー吸血鬼は。)」

瓦礫を掃除するアルクェイドとシエルは、ある意味スミレに尊敬の眼差しを送る。

「ねぇねぇアルトちゃん、このお城にはどのくらいお酒あったりするの?一緒に飲もうよ〜♪」

「あなたに飲ませるお酒は一滴たりともありません。お帰り下さい。さようなら。」

アルトルージュは、半ば諦め半分である。


―― リタ。ウォーター・ボトルは面白いよ。

―― 君のお友達選びは、間違っていないみたいだねぇ。

―― たださ、

―― どうして僕の茶室とキッチンが、いつも水びたしになるのかなぁ〜〜〜〜〜〜〜!!???


九の字に折れ曲がったお気に入りの包丁を手にとって、ヴラドは悲嘆の涙に暮れる。


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