第一回志貴争奪戦


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1: ササミー (2003/06/07 14:36:00)



                     第一回志貴争奪戦
                                    ササミー

今日俺は琥珀さんと町に出かけていた
なんてことのない、そこら辺にいるごく普通の恋人同士として
なのに

「何でついてくるんだ!」
俺はまわりにいる邪魔者どもに行った
「むー、いいじゃない別に」
「兄さんを監視しているんです」
「・・・すみません」
「遠野君、自分に正直になりましょうね」
「あ、あの、ご、ごめんなさい!遠野先輩がどうしてもって言うから・・・」
「遠野君て、ヒドイ」
「ふっ、お前だけにいい思いをさせてたまるか!天が許してもこの俺が国賊として葬ってくれる!」
・・・
最後のはなんだったんだ?
「おい、有彦」
「なんだ?女の敵」
「・・・とりあえず許してやるから。なんでここにいるんだ?お前確かバイトとか行って北海道に行ったんじゃなかったっけ?」
有彦は俺の問いかけにハッと鼻で笑った・・・ちょっとむかついた
「それは当然、宇宙ができる前から!さらには俺が俺である為に!そう!決っていたのだよ遠野くん」
「わけわかんねーよ」
「ふっ、これをわからずして真のサブキャラと言えようか!答えはノー!」
「俺、主人公だし」
「そのような読者さんにしかわからんことを街中で言うのは常識ある人間と言えるのかね?」
「少なくともお前よりは」
「おう!親友よ。そこまで馬鹿だったとは、ごぶぁ!」
しまった、つい感情に押し流されて拳を放ってしまった
奴は体をくの字にして悶えていた。どうやらイイトコロにクリーンヒットしたみたいだ
「あはー志貴さんみなさん待ちくたびれてますよー」
できればそのまま待っていてほしいのだが
「ちょっと志貴!こんなとこで立ってないで遊びに行こーよ」
「なにいってるんですか、このあーぱー吸血鬼が!とっとと吸血鬼は吸血鬼らしく棺桶に首でも突っ込んで寝てなさい」
「そうです、そしてそこのカレー馬鹿はカレーでも食べて寝ててください。一緒にいるとカレー馬鹿が兄さんに移ります」
「にゃんだとー、このでか尻女!」
「なんですって?」
「ふん!」
ああああああああ・・・
やめてくれ、暴れるのは。暴れないで、お願いだからー
「志貴さま、顔色が優れないようですが・・・」
「ほんとだ、遠野君疲れてるの?」
「志貴さん!大丈夫ですか?ああ、ど、どうしよう」
うう、うれしんだか、迷惑なんだか
そんなことを尻目にあの人外トリオは今にも戦いを始めそうなほどヒートアップしている
「このナイチチのくせにえらそーなことゆーなー」
「なんですって!少しばかり勝ってるからっていい気にならないでほしいですね」
「カレー馬鹿とは何ですか!カレーを馬鹿にするものはカレーの呪いでカレー風呂以外は入れない体質になりますよ!」
なんだよそのカレー風呂って
「ふーっ!」
「むー」
ああ、もうどうしろっちゅうねん!
つんつん
悩んでる俺の袖を琥珀さんが引っ張った
「あれを止めないんですか?秋葉様が髪を真っ赤にして暴れるのを他人に目撃されたらやばいと思いますけど」
いや、あれを止めるのはムリ
「志貴さんのかっこいいとこ見てみたいな・・・」
そう言った。琥珀さんは上目遣いに顔を赤くしながら
くっ、こんなことをされたら断れるはずがない、さあいざゆかん!戦場へ
「おい、三人ともこんなところでって言うかそもそも暴れるな!」
俺は勇気を振り絞って三人の間に立った
が、時すでに遅し。魔獣大戦争の幕は開けていた
町に轟音と人々の悲鳴が響き渡った
俺は遠のく意識の中、一般人には被害が出ませんよーに、と祈った


そもそも始まりは琥珀さんの買出しに付き合うといったところだった
なかなか二人きりという状況を作り出せない今日この頃だったのでチャンス!
が、さすがに黙って行くのはまずいということで翡翠に一言言っていくことにした
「というわけで俺は出かけてくるから」
「留守を頼みましたよー」
翡翠は了承したように頷いたが
「あ、あのよければ私も、その・・・」
「・・・あはー。翡翠ちゃんも一緒に行きたいんですね?わかりました、他ならぬ翡翠ちゃんのお願いですから。一緒に行きましょうか」
まあ、琥珀さんがそういうならいいか
と、ここまではいいのだがここで小姑に見つかってしまって俺は全速力で二人を抱えながら走った
後ろの方からなにやら言って追いかけてくるのがわかる
なんとか撒いたと思ったらばったり晶ちゃんとであった。
そしてアルクェイドに見つかり、シエル先輩に、弓塚さんに、馬鹿に見つかってしまいました
当然騒ぎになってしまいそれを嗅ぎつけた秋葉が・・・という感じだ


俺は不意に顔に風を感じた。ついでになにやら騒ぎ声も
「う、いてて。ここは・・・」
俺は痛む頭をさすりながら身を起こした・・・いや、起こそうとした
っていうかなぜか腕が動かない、というより体が動かない
よく見てみると俺はイスに全身をロープで縛り付けられていた
なあーんだ、これじゃあ動けないのも当然じゃないか、はっはっはっは・・・
「じゃねえよ!なんだよこれ!」
俺はおもわず叫んだ。いきなりこの状況に遭遇して冷静である方がおかしいと思うぞ
「あはー、みなさん!志貴さんが起きましたよー」
思わず、体が、固まった
「あ、ようやくおきたの?もう待ちくたびれたよ」
「志貴さま、おはようございます」
ぎゃーぎゃー
ああ、なんか聞こえるなー。さて寝るか
「志貴さーん、現実逃避はいけませんよー」
俺の前に立ち、めっ、と琥珀さんは言った
「琥珀さん。聞きたいことがあるんだけどいいかな」
「はい?なんですか?」
「これはいったいどういうこと?」
「秘密です」
「え?いや、それはないでしょ」
そう追求したが琥珀さんはくるりと背を向けた
「はーい、みなさん志貴さんも納得したみたいなので始めましょー」
おー!
「ちょっとまて!納得したって何が!?」
「では志貴さま、ルールの説明をさせていただきます」
ビクッ
いつもながら翡翠の気配の絶ち方は完璧だった
「ルールって何?」
俺は何とか平静を装い聞くことに成功した
翡翠は怪訝な表情をする
「志貴さま、ルールとは規約のことで・・・」
「あー、そうじゃなくて。そもそもなんの?」
「姉さんから伺いませんでしたか?」
「いや、なにも」と言おうとしたら琥珀さんがひょこっと目の前に現れて翡翠に言った
「あはー、どうやらちゃんと伝わってなかったみたい」
「いや、ちゃんともなにも聞いてないし」
そしたら琥珀さんはぷんすかと怒り出した
「もうっ、なにいってるんですか!ちゃんといったじゃないですか、きいてなかったんですか?」
本気で言っているのだろうか?
「姉さん、ホントに言いました?」
「まあっ、翡翠ちゃんまで。ううっひどいわ。姉さん悲しい。あの翡翠ちゃんが人を無差別に疑うような人になってしまったなんて」
無差別じゃないような・・・
琥珀さんは泣き落としが不発に終わったのがわかるといきなり言った
「ホントに言いました!」
「いつ?」
「志貴さんが気絶してる時」
「わかるかっ!」
思わずつっこんだ
「もう、わがままはいけませんよ」
なんだか激しく納得がいかないがいつまでもこんなことをしている場合ではない
「で、なにをしでかすきなんだ?」
「えへへー、実はですねーあれから皆様と話し合いをしまして」
まじか?あの地獄絵図から話し合いなど生まれるものなのか?
「それは姉さんが説得しました」
どうやったか知りたいような知りたくないような
「それでですね、私と志貴さんのお付き合いを皆様が認めてくれないんですね
みんなが志貴さんは自分の物だって言い合うものですから収拾がつかなくなっちゃって
それでここは誰が一番志貴さんのお嫁さんにふさわしいか勝負をすることにしたんです」
「俺の意思は?」
「あ、でも心配は無用ですよー。殺し合いとか相手を傷つける人は志貴さんの嫌いなことですからお嫁さんにふさわしくない
ということで、失格になるんです」
一応それも心配してたからいいとして
「俺の意思とかは関係ないんですね?」
「それではルールをご説明させていただきます、皆様どうぞおくつろぎください」
みんなそれぞれ適当な聞きやすい場所に腰を下ろした
「すいませーん、くつろげないんですけどー」
体の自由を奪われているのにどうしてくつろげようか
「それでははじめに・・・」
なんか俺さっきから無視されてるような気が
「まず、この勝負は誰が一番お嫁様にふさわしいか、を決めるものです。よって嫁に行く最低条件というのをこちらで決めました」
「ちょっとー、それってふこーへーだよー」
「不公平なのはたしかですね、あなた方に有利に設定されているとか・・・」
珍しくアルクェイドとシエル先輩の意見があった
だが翡翠は静かに言った
「その点は心配無用です。条件はこの本を参考にしたうえで街頭アンケートを実施して決めました」
そういって翡翠が掲げた本は

「これさえマスターすれば彼のハートは確実!お嫁に行った100人の丁寧な指導、更にはQ&Aも付録に収録」

と書いてあった
全員、なんと琥珀さんまでも何も言えずにいた
「では、続けます。勝負はポイント制です。各条件ごとに一番点数が高かった人には10点
2位が7点、3位が5点、4位が3点、5位が1点、6位と7位は0点となり、最終的に合計点が一番高かった人が優勝となります」
「細かいルールはその都度確認させていただきます。以上で説明を終わりたいと思います。何か質問などは・・・」
誰も何も発しない。ただ流れるのは夏の空気だけ
「ではさっそくはじめたいと思います。では総合司会の姉さん、お願いします」
「えっ、あ、はいはいわかりました。ではでは、あらためまして司会の琥珀です。じゃー早速はじめたいと思います。
最初のお題はこれっ!」

続く?



あとがき

えー、なんか琥珀のラブ話を書くつもりがこんなことに
ま、いいっしょ
また暇を見つけて書こうかな


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