法を守る者、法を破る者


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1: グリフィンドール生 (2002/12/08 15:32:00)

ここは<生と死の狭間>。死んで裁判を受ける者、新たに記憶を消され生をやり直す者などが必ず通る場所。
まあたまにここに来て引き返す奴もいるが・・・。

「・・・暇だ。」
僕は<死神>。魂の管理者であり、乱す者を裁く事ができる。と言っても裁けるのは<現世>のみ。この辺りからは<冥府の裁判官>の仕事だ。
人間どもは<閻魔大王>や<冥界の裁判官アヌビス>なんていうのがやってるなんて思ってるらしいがこれは正しくない。
本当の裁く者の数は1000を超える。彼らはその一部にすぎない。どこからかしらないがこれが<現世>に漏れて定着してしまったらしいが。
僕も<閻魔>の名前を持っている。この一族は<閻魔大王>以外は皆<死神>の仕事をしている。これでもこの世界では最強と言われている。しかし・・・。
「鬼狩りでもしたいな〜〜〜。」
一族がすごくても僕のように若く位が低いのはこういう雑用が多い。たまに若くても実力が有り、上と付き合いがうまい奴は昇進しやすい。
でも僕は力はともかく、上司との付き合いが下手で地道にやるしかない。・・・ようは人間社会と変わらなかったりする。
ああ、それと「裁けないのになんで管理しているの?」と思うだろうが、この仕事は死んだ者の魂がこの<狭間>で迷わないように案内するのが仕事だからだ。ここは以外と僕らでも間違いやすい。
裁く事はしない。それにここまで来て引き返せる奴もいるので裁く訳にはいかないのだ。だが、この仕事大変な時と暇な時の差が激しい。
実はこの仕事、魂を連れて行くのではなく、看板見たいに突っ立って待つだけなのだ。他にも僕以外の奴がここの先にいる。僕はこの道の一番最初にいる。
それでも方向を指さしているだけなので暇な時は本当に暇だ。交代時間まで後10時間はある。一応この世界は人間の時間を採用している。
さて今はえらく人通り・・・というか魂通りがない。本当に暇だ。

「暇、ひま、ヒマ。」
こんなに暇なのは一体いつ以来・・・あっ、久々に通る奴がいる。まあ、死んだ事を喜ぶ事になるがそれでも・・・ってあれ?。
「変だな。」
なんというかおかしい。いや・・・そうか。
「転生者か・・・。」
実際に見るのはこれが始めてだ。しかもこいつは何度も転生しているようだ。裁けない。
何故奴を裁けないのか、それは例え法則に背こうがこれは生前の努力の賜物だからだ。それにこちらではこいつは死んでいない扱いになっている。転生できるという時点で十分力が残っているからだ。生きている扱いになる。
だが僕はそんな事より珍しい物を見れたという気持ちが強かった。普通、記憶を持ったまま転生するにはものすごい裁判を受けなければならない。詳しくは知らないがとにかくすごいらしい。
僕は思わず目を見開いていた。すると、
「ほう、私を見て不快感をださない<死神>は始めてだな。」
と言った。
「ええ、好奇心の方が強くて。」

それから何故かお互いの身の上話が始まった。お互い暇だったからかもしれない。

時間が経つにつれ僕は彼にますます興味を持った。

「永遠の命題?。」
「そうだ。私と盟友は不死と不老となりこの果てを目指す。」
「<永遠>は果てがないから<永遠>だと思うけど・・・。」
「確かに矛盾している。まあこの真理は他の者にはわからない。」
「そうか。そういう世界もあるのか・・・。」
「そうだ、君も探りたいならするがいい。もっとも強制はしない。」
この出会いが僕を変えたのだ。これがなければ僕は・・・。

「時間だ。縁があればまた会おう。」
「うん。じゃあね〜〜。」
こうして短い出会いは終わった。
彼には感謝する。何故なら・・・
















血、血、ち、ち、チ、チ、赤、赤、朱、朱、紅、紅、一面、全て・・・
「何故だ・・・武忌・・・お前だけは・・・堕ちないと・・・。」
最後の一人、僕のお父さん。
「バイバイ〜〜〜。」
また服が染まる。ちなみに<死神>の血も赤だ。

<堕ちる>とは<死神>が魂を喰らう事をさす。吸血鬼にも似た事がある。
<死神>は魂を喰らうと<鬼>の扱いになる。まあそれはそれでいい。
家族を殺したのはこいつらの魂を喰らうため。
<死神>も魂を持ちこれがまたうまい。でも、一族全部はさすがに無理だ。
もっと強くなってからにする。
「・・・あああああああああああああああああああああああああっ・・・。」
どうやら妹が泣き出した。まだ生まれて一ヶ月しか経ってない。
「大きくなれよ、華連。」
そうして屋敷を後にした。僕と同じにするか、それとも喰らうかはその時考えよう。復讐されるのもおもしろい。
ちなみに子供作り方などはほとんど人間と同じだ。まあ生まれた時から自我を持つ所や人の何十倍も長生きできる事を除けば。それに・・・
「赤ちゃん連れてくのも面倒だからね。」

僕の命題は<完全な不老不死>に決まった。
だれもが、そう彼でさえ<完全>ではない。全知全能という神さえも。
だから僕が最初の<完全>になる。

彼には感謝する。何故なら・・・

          僕は

              こんなにも

                      幸せ

                            だからだ。    
    

後書き
 どうしてもこの武忌について書きたかったので書きました。               


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