志貴と真祖と魔物を狩るもの1+2話


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1: ししりい (2002/06/02 18:21:00)[yurikamome6 at hotmail.com]

     志貴と真祖と魔物を狩るもの

【1話】

 なんとなく夜の見まわりを止めて、少し遠くまで足を伸ばすアルクェイド。
「へぇ、今日はいい月じゃない♪」
 頭上には、アルクェイドを象徴するかのような無垢の白い月が
「え〜と、 あ、あそこがいいかな〜」

 こんな良い夜は特等席でと、近くに見えた学校らしき建物に向かって跳躍する。
「おじゃましま〜すっ♪」
 と、一声かけ 何故か開いていた事務員用裏口から進入する。

 月明りの漏れる長い廊下を歩いていくと人影が見えた。
「―――? 誰かいるの?」
 アルクェイドが声を掛けるとその人物は手に持った剣を鞘から抜き出し、
タタタタッッ と、アルクェイド目掛けて向かってきた。

『まさか埋葬機関!? なんでこんな所に?』
 自分に向けて振り下ろされた西洋風の剣を軽やかな身のこなしでやり過ごし
「あなた何者? なんで私を狙うのよ!」

 剣を構え月明りに浮かび上がるその姿はこの学校のであろう制服に身を包んだ
長い黒髪の少女だった。
 少女はアルクェイドを感情の見えない目で見据え、呟く様に言った。
「私は魔物を狩る者だから」



「・・・で? 俺にどうしろと?」
 夜中、眠りに付いていた志貴は相変わらずの不法侵入常習者のアルクェイドに
たたき起こされ、更に連れ去られ深夜営業のファミレスに来ていた。
「まあ、取り合えずあいさつでもしたら?」
 そう言って紹介されたのは二人の制服を着た少女。
しかも今いるファミレスのでは無く何処かの学校のである。
・・・・いや〜な予感が俺を不安にさせる。

「・・・どうも、遠野志貴です」
 俺が挨拶すると
「川澄 舞   よろしく」
 最初に長い黒髪の少女が感情も抑揚の無い声で答える。・・・自分の良く知る
誰かと印象が似てて痛いな〜、と思っていると

「あはは〜♪ 倉田佐祐理です。 駄目ですよ舞、もっと愛想良くしないと〜」
 ・・・もっと痛いのがもう一人の栗色の髪の少女だった。
 あっちゃ〜・・・。嫌な予感が的中した。間違い無いよ。この明るい笑顔のウ
ラには絶対に人には言えないような辛い出来事と、仮面の表情がある・・・・  
 さらに止めは髪の纏め方とリボンまで付いているのには参った。 

     この二人、似すぎてるよ。『あの』双子に〜。

「で、私はアルクェイド=ブリュンスタッド。志貴の恋人だよ♪」
 などと元凶のお天気吸血姫は俺の隣で脳天気に万面の笑顔を浮かべてるし〜。
 ムカツイたのでゲシッ!とテーブルの下で足を蹴ってやる。

「イタッ!? 何するのよ志貴〜」
 非難の声を上げるが、文句は俺が言いたいんだよ
「で? 俺に何の用があってこの二人とあわせたんだ?」
「あ、理由? ん〜とね〜」
 手に持ったコーヒーを置くと、俺と舞さんと佐祐理さんを見渡し
「志貴とこの二人を合わせてみたら面白いかな〜って思ったの」

――――おい!? なんだと〜――――

「お前な〜〜〜〜・・・」
 文句を言う気力も無くそのままテーブルに突っ伏した。
 痛い、痛すぎる。まさかこんな痛い人間と、もう一組関わりを持つ羽目に
なろうとは・・・・

「志貴 どうした、 お腹がすいたのか?」
「あはは〜、志貴さんとアルクェイドさんは仲がいいんですね〜♪」
 コレ以上は関わりたくないな〜と思いつつ逃げる事が出来ない自分が恨めしい。



   【2話】
  
「舞は魔物を狩る者だから   」
「魔物を狩る者、ですか?」
 コーヒーカップを持ちながらコクンと頷く舞さん。
 舞さんの意外なプロフィールにさして驚きもしない俺だが、
「ねえ、七夜って 聴いたことあるかな、舞さん?」
「・・・知らない。 なんだ七夜って?」
 そっか、もしかしたらと思ったんだけど、どうやら俺以外の生き残りとか
そう言うのではないらしい。

「実はさ。俺も退魔を生業とした一族の出なんだよ」
 俺の告白に舞さんは目を丸くして驚いていた
「志貴も 魔物を狩るものなのか?」
「あは〜♪ よかったですね〜、舞。お仲間ですよ〜♪」
 そんな舞さんにすかさず合いの手を入れる佐祐理さん。間の取り方と言い
ホントに誰かとソックリだ。
「仲間・・・」
 俯いたまま上目ずかいに視線を俺に向ける舞さん。こんな仕草で嬉しさを
表現する所も誰かと似てるよな・・・
 俺の大切な家族と重なるこの二人に俺は何をしてあげられるのか・・・と、
しんみり思いに耽っていると

「凄腕なんだよ、志貴は。なんてったって私を殺したんだもん」
 ゴホッ! 思わずコーヒーを吹きそうになる。
「おおおおお、お前な〜!」
 なにやら自慢気に説明するアルクの言葉を舞さんは真剣に聞き入っていて
「志貴・・・ 凄い」
 あ、本気で感心してる? ――― まさか
「舞さん、もしかしてアルクェイドと闘ったとか?」
 コクン、 と頷き肯定する少女。 ・・・よく生きてるな〜
「アルクェイドさんってホントに強いんですもの、私ビックリですよ〜♪」
 何があったか知らないけれど、ビックリで済ます辺り、佐祐理さんも只者
じゃないな。

『えへへ〜』と、誉められた(?)地上最強の生物は佐祐理さんに笑顔で会
釈するが、そこは笑って良いとこではないと思うが・・・・


【あとがき】
 だれか先にやってないかな?このネタ。それが心配。
あ、すこし書き足しました。


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