仮面の復讐騎 予告編2話 M:朱い月


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1: ししりい (2002/05/08 23:32:00)[yurikamome6 at hotmail.com]

仮面の復讐騎 予告編2話



頼まれた物。対化物用の重火器「聖葬砲典」。他、ちょっと趣味が入ったモノ色々。
ここは第十八位の領地。生気の無い巨大な城。約束の場所には喪服の女性がいた。
「―――やってくれましたね?琥珀さん」
「あら?いらっしゃいシエルさん。ナルバレックさんはお元気ですか」
いつもの調子の琥珀に毒気を抜かれるシエル。は〜、と溜息をつき
「まったく、あの局長とココまで気が合う人間がいるなんて・・・。」
「素晴らしい人じゃないですか。上司に恵まれてますよ、シエルさんは」
嫌味なのか本気なのか―――。完全にペースに飲まれるシエル司祭。
クスっと笑う琥珀。しかしこの笑顔の下では悪魔さえも踏み躙る復讐姫が微
笑んでいるのをシエルは知っている。
志貴とアルクェイドがいなくなってからの僅か1年の間に彼女が何をしたか。

彼女が捨てたモノ、裏切ったモノ、利用したモノ。そしてソレ等の先、求め
るモノまで生きて辿りつけるなら、それでも尚、笑顔の仮面を付けていられる
なら最早、死徒など及びも着かないバケモノよ。貴女は――――

かつてシエルは前遠野家当主、槙久による幼い頃から受け続けた琥珀の酷い記憶
を消してやってくれと志貴に頼まれた事があった。
しかし、琥珀はその申し出を断った。
「――?! 何故です?」
「―――人形だった頃は平気だった筈なのに・・・今は・・思い出すと苦しい」
「・・・・なら、何故その記憶を背負うんですか?今すぐにでも消して・・・」
シエルはその哀れな少女を救うべく暗示を掛ける為に手を額に当てようとした、が
「いいえ、それには及びませんよ」
首を横に振り、シエルの手をそっと自分の手で包みそれを拒む。
「分かりません、どうして――――!」
「私が、その事で苦しむとね。志貴さんはずっと私のそばに居てくれるんですよ」
そう言った琥珀さんは、私にはとても幸せそうに見えた。
――――こんな幸せがあるんだろうか。こんな救いがあるのだろうか?
そしてあの時、自分が躊躇ったその結果が「これ」なの?――――
「・・・琥珀さん。実は貴女に局長からの言伝があります」
「はい?なんでしょうか」
私、埋葬機関第七司祭シエル枢機卿に下された新たな任務、それは・・・
「ううっ・・・局長が・・・今後、貴方の指示を仰げと――――」
「まあ、そうですか。それはそれは。―――クスッ」
え?そこで笑いますか?あ、ひょっとして何か企んでますね?
―――嫌です!なんで、どうして?私ってここまで職場運が悪いのでしょう?遠野くん、
私、貴方に会うまで生きていないかも、て言うか死ぬ、絶対に死ぬ――――
「シエルさん?声に出てますよ」
「え?!嘘!!!」
慌てるシエルに喪服の復讐姫は「あの」笑顔で
「はい、嘘ですよ」
クスっとこちらを見て
「では早速お仕事をしてもらいますね――――」

―――――――――――――――――――――――――――――――

死徒に侵された街。いきなり増えたのか、それとも只、隠れていたのが表面化し
たのか分からない。
が、いずれにしてもここ最近の死徒の活動はかつて無いほど異様に活発化してき
ているのは確かだ。そして当然の如く、私の仕事も増えた訳か―――。

紅蓮に燃える街並。一方的な破壊の跡が刻まれる中、転がる死体の数々・・・
正確には最早この街には生きている人間はいなかった。だから死体ではなく
死者のなれの果て、か・・・――――
―――ゴウンッッッ!!!!
と、突然、風が凪ぐような轟音が聞こえる。私はその方向に走った。
もしかしたら・・・・しかし、その期待は意外な形で裏切られた。
「うっ――――!」
眼前に広がる殺戮の数々。先刻まで彼女を取り囲んでいた死徒の群れは今、赤い
霧となって彼女の周りを漂っている。
ゆっくりと振りかえる返り血を浴びた白い衣装の女性の影。
照らされた月明かりを朱く染め、長い髪をたなびかせるのは「彼女」と同じ顔を持つ
「どうした?私がアルクェイドの真似事をしているのがそんなに可笑しいか?」
「何故・・・貴女が・・・・?」
その性が血を好む事を連想させる凄絶なまでに美しい笑み
私に息づくロアの記憶の真祖の姫君とは似て非なるその姿

  ――――――朱い月のブリュンスタッド――――――

「こんな所で第七司祭と会う事になろうとはな。埋葬機関までもがあの小娘に踊らされて
いるのか?」
―――――――ッッ!?嵌められた?


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「――志貴。もう止められません。私ではもう、どうにも出来ないんです・・・」
只、涙を流し、会いたい人間の名を呟くアルトルージュ。
結束を失い分裂していく死徒の群。暗躍を始める埋葬機関。消えたブリュンス
タッド城。そしてその先に待つのは―――――

 BGM 鬼塚ちひろ 「流星群」




   【あとがき】
 シエル先輩がとんでもない目に会ってます。まあ、復讐騎も似たようなものだったり
して。(笑

 


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