春の足音が聞こえる。
 冬の様相は瞬く間に溶けて無くなっていく。それを象徴するかのように、木々
は色付き、植物は小さな命の息吹を吹く。
 士郎たちの学校へと続く道に並んだ桜の木。その桜も、一斉に花を咲かせよ
うと小さな蕾があちらこちらに見られる。
 だがまだ、風はひんやりと冷たい。
 その風を受けながらいつもと変わらぬ道を、士郎と凛が歩いていく。
 二人とも制服の格好。だが今は春休み。授業などは無く、せいぜいあったと
してもクラブ活動をしているぐらいである。二人とも、クラブには所属しては
おらず、休みの学校にはとんと縁が無いはずである。
 しかし、二人の足は確かに学校へと向かっている。
 それは、ほんのちょっとした刺激を求めての戯れ。
 そしてそれは、凛の「刺激が欲しい」の一言から始まった。



 
 Secret Dalliance


                                  稀鱗




 休みの校舎へと足を踏み入れる。幸いにも、校門前には誰も居なかった。そ
れを確認すると二人は小さく駆けるように校舎へと入っていった。
 入り口に誰も居ないことを確認すると、士郎は凛に合図を出す。それを確認
すると、凛は士郎の後に続いて入っていった。
 いつもの通りなれた廊下を進み、階段を上る。休み前に清掃してあったから
だろうか、廊下にはごみ一つ落ちていない。
 士郎は、ある部屋の前で立ち止まった。そこは、

 ――生徒会室

 「ちょ、ちょっと待ちなさい、士郎。まさかあんた、此処でしようって言う
んじゃ…」
 「…そうだけど」

 凛は部屋の前に張られている「生徒会室」のプレートを見て狼狽する。まし
てや此処は凛のことを良く思っていない一成の根城とも言っていいところ。そ
こでするなんて…、と凛は士郎に向かって反論をしたのだが、そんな凛を他所
に士郎は、戸を開き入ろうとする。

 「ま、待ちなさい、士郎」

 凛の言葉を無視し士郎は凛の手を取って部屋の中に入り、戸を閉める。これ
で、開けられない限りは中で何をしているのかは分からない。
 生徒会室の中は、長机が長方形をかたどるように置かれている。あとは、ち
ょっとした書類とロッカーがある位である。

 「こ、こんな所でするなんて、恥ずかしいにも程があるわ」
 「…なんでさ?刺激が欲しいって言ったのは遠坂だろ。だからこういうとこ
ろでする方が燃えると思ってさ」

 そういうと、士郎は凛を押し長机の上に座らせる。「あっ」と言う声と共に、
机の上にとんと腰を降ろす凛。少し押されたためか、スカートが開きその奥に
見える白いショーツがちらりと見える。とっさに足を組みそれを隠す。しかし、
士郎は凛の肩を掴み、自分の方へと凛の上半身を引き寄せる。凛は顔を赤らめ
て士郎に抵抗しようとする。やはり、羞恥心が強いためか此処でする事に抵抗
がある凛。

 「ちょっと、士郎、やめなさ……ん、んん…」

 抗議の言葉を口にする凛。しかし、士郎は自分の唇を凛の唇に重ね声を塞ぐ。
しっとりと濡れた凛の唇。程よい温かさが唇を通して伝わってくる。士郎は凛
の口内に舌を差し込んだ。まだ差し込まれた感覚に慣れていないのか、凛の身
体が少しだけ強張る。士郎はゆっくりと舌を動かし凛の唇――その閉じられた
部分をゆっくりと引き剥がしていく。士郎の舌は凛の口内を這いまわり、凛の
舌を探す。

 つん、と士郎の舌が凛の舌に触れた。その感触に凛は舌をそらす。もう一度
士郎は舌を這わす。すると、今度は凛の舌が自ら士郎の舌に触れてくる。絡み
合う舌。くちゅ、くちゅ、くちゅ――とお互いの唾液をかき混ぜながら舌を絡
ませる。ぬるりとした感覚に凛は意識まで跳びそうになる。士郎は凛の口内に
溜まった唾液を流し込む。
 二人の耳には遠くから聞こえる生徒たちの声。その声が、密室の二人に火を
付ける。
 息が荒い。触れ合った唇の端々から漏れる空気の音。その音と同時に二人の
口内に納まり切らなくなった唾液が垂れて、顎を伝い首筋からさらに下へと流
れていく。
 なおも二人は唇を貪る。凛の唇は何物にも変えがたい甘い味。喉は唾液を嚥
下するために蠢き、舌は唾液を搾るために蠢く。それはまるで「蟲」のように
卑猥な味を求めて蠢き続ける。
 刹那、士郎の手が、凛の胸に伸びる。服越しに優しく撫でて、胸の感触を確
かめる。

 「ん…んんん……」

 凛の身体がもぞもぞと動く。そんなこともお構いなしに、さらに士郎は凛の
胸を制服越しに撫で上げる。身体を走る甘い痺れ。羞恥と相まって感覚が鋭く
まるで鋭利な刃物のように研ぎ澄まされる。ほんのちょっとの刺激で、ビクッ、
と凛の身体が浮く。
 士郎の手は器用に制服のボタンを外し、するりと手を服の中に滑り込ませる。
下着越しに凛の胸を揉む。小振りながらも柔らかい凛の胸。士郎はそれだけで
は飽き足らず、下着の中へと手を入れていく。
 士郎は唇を離した。お互いの唇に架かる透明の橋。士郎はそれを音を立てて
啜る。その橋を切らすまいと、もう一度凛の唇へ軽くキスをする。

 「は…ふわぁ…、し、士郎…」

 凛の口から漏れる甘い吐息。その吐息は胸を揉まれる度に熱く、甘くなって
いく。
 もぞもぞと、士郎は手を動かす。士郎の指は胸の突起を探して這いずり回る。
それはすぐに見つかった。士郎はそれを、つん、と指で触れる。爪でゆっくり
とそれを掻く。

 「ひゃぁ…ん…、士郎…優しくして…」

 痒みにも似た刺激に凛はぎゅっと弄んでいる士郎の手を握る。それを見た士
郎は耳元に口を寄せて囁く。

 「火が点いたか、遠坂」
 「ば、ばかぁ、点くも何もこんな所でしたら、敏感に…、あ、ふあぁん…」

 士郎は意地悪く微笑むと、凛の突起を指で挟んだ。挟んだ指を少し動かす。
コリッとした感触が指に伝わる。それと同時に凛の身体が跳ねる。
 士郎は手で胸を弄り、手で掴んだ。指の間から微かにはみ出る位の胸肉。決
して多く無いそれは、微かに張りがある。それを、士郎はもう一度ゆっくりと
揉む。それと同時に、凛の首筋に軽くキス。何度も何度もキスをし、士郎自身
の“跡”を残していく。

 「あ…はぁ、し、士郎…そんなにキスすると、跡が残…ちゃう…」

 それでも、士郎のキスの嵐は止まない。
 身体を火照らした凛。微かに身体に汗を浮かべる、士郎はその汗を舐め取る
ように、首筋へまたキス。そして舌を這わせていく。
士郎は、息を荒げている凛を見て、首筋から唇を、胸から手を離す。
 士郎は見た。凛は

 「ど、どうしてやめるの?」

 と不満顔で士郎を見た。士郎は凛の言葉を聞いて、しゃがみこむ。士郎は手
を伸ばし組んだ脚解き、凛のスカートを捲り上げる。

 「い、いや…士郎、何を…」
 「お楽しみはこれからだ、遠坂」
 「え…あ…」

 士郎の目の前には凛のショーツ。蒸れた空気が士郎の鼻をかすめる。そこに
は凛自身の臭いと汗の臭いと小水の臭いが混在しているかのような――牝の匂
い。士郎は手を伸ばし、ショーツの下の縦筋に指を這わせる。閉ざされた側壁
の中心に指を置き、掻き分けるようにショーツの上から指を沈めていく。ぐち
ゅ、と言わんばかりのぬめりを帯びた湿り気が指に伝わる。その指を小さく上
下に動かす。指先に硬くこりこりとした突起が当たった。士郎は軽く力を込め
てそれを押す。

 「あ…ふ…ああっ、や…布で擦れ…て…あああっ!」

凛押し込むたびにの身体が小刻みに震える。快感に呼応して、秘裂から溢れた
淫水が、瞬く間に洪水になりショーツを濡らす。
 ショーツから指を離す。
その指を見ると、そこにはぬらぬらと光る透明の粘液が纏わりついている。

 「遠坂…、もうこんなに濡れちゃったんだな」
 「ばか、そ、そんなこといちいち口に出さなくてもいいわよ」

 凛は顔を赤らめ、熱い息を吐きながら士郎から視線を逸らす。そんな凛の愚
痴もお構い無しに、士郎は凛のショーツへと顔を近づけていく。より一層香る
凛の臭気。士郎はその臭気だけでイきそうになるほどペニスが勃起していくの
が分かった。
 つ…とショーツ越しに縦筋の部分に舌を這わせた。

 「はあぁっ…、士郎…だめぇ、そんな…そこ汚い…」

 士郎は凛の言葉を無視して、舌を這わせつづける。士郎の口の中には凛の味
が広がる。甘く、脳天を痺れさせるような愛液の味。舐めるほどにそれは溢れ
出し、凛のショーツを濡らしていく。
 舐めるという行為だけでは追いつかなくなるほど凛の秘裂からは愛液が溢れ
出す。士郎はそれを啜る。ショーツ越しに口をつけて、ずず…、と音を立てて
啜った。

 「あ…ん、あああああっ…そんなに音を…たてちゃ…ああっ…」

 凛は顔を真っ赤にして士郎の頭を押さえつける。感じているのか凛の愛液の
粘りは増し、溢れる量もだんだんと多くなってくる。士郎はなおも音を立てて
啜る。時折、舌でなぞる事も忘れない。吸い、なぞる度に凛の口からは甘い嬌
声。それに比例して、身体の振るえも大きくなる。

 「これは、邪魔だな…」

 士郎は一度口を離し、そう呟いた。士郎は手をショーツにかけ、秘裂の部分
だけを捲る。ショーツの下からは隠されていた凛の秘裂が露になる。それと共
に、より一層の淫らな臭気が士郎の鼻を擽った。

 「あふぅ…士郎…見ちゃだめぇ…」

 凛は両足をぎゅっと閉じ、見られないようにと秘裂を隠す。
 しかし、そんな声もお構いなしに士郎は凛の足を開く。士郎にとっては既に
そこは既知の領域。だが何度やっても興奮を覚えずにはいられない。気高く強
気な凛が一転してか弱くなる時。士郎はその変化を気に入っている。
開かれた足。捲られたショーツ。その奥にぱっくりと割れた秘裂がひくひくと
震えている。

 「ほんとは、嬉しいんだろ、遠坂」

 士郎は凛の耳元に口をつけて囁く。凛は否定しない。むしろ、小さな声で
「ばかぁ」と言って士郎を抱きしめる。
 その矢先に、凛が士郎の唇を塞ぐ。これには士郎も驚いたのか、一瞬動きが
止まる。すぐに凛は唇を離し、潤んだ瞳で、

 「ねぇ、士郎。もう、我慢できないの。士郎を感じさせて…」

 凛は長机から下り、士郎の前に膝まづく。凛は唾液で濡れた唇で士郎のジッ
パーを降ろしていく。ズボンの中で収まりきらなくなっていたペニスが凛の目
の前に跳ねるように姿を現す。凛はそれを見ると、右手で掴んで頬に摺り寄せ
る。

 「ふふふ……士郎。もう、こんなになってるんだ…。かわいい…」

 ちゅっと凛はそのグロテスクとも言える士郎のペニスにキスをする。鈴口か
らカリへ、カリから幹へ…、と舌は上から下まで這いずり回る。蟲が這いずり
回るような感触に士郎のペニスが跳ねる。
ビクンとペニスが跳ねるたびに、先端から腺液が溢れ出す。それは幹を流れ、
凛の手を汚していく。凛はそれでも、士郎のペニスを両手で握り、舌を這わす。
 凛は上目使いで士郎を見る。その表情――まるで子供がお菓子を貰った時の
ような無邪気な顔。凛は微笑み、そして、ゆっくりとペニスの先端を口内へと
沈めていく。

 ちゅ、ちゅ、ちゅる…

 凛は士郎のペニスに舌で先端を丹念に舐めまわす。
それと共に、士郎の口から快感を表す吐息が漏れる。
 先端から溢れ出る粘液を凛は口をすぼめ音を立てて啜る。ごくりと喉を鳴ら
し、吸い上げた粘液を嚥下していく。
 何度も、何度も吸い上げ、舌で弄び、手で幹を擦る。

 「遠坂…、はっ、ああ……もう…だ、出すぞ…」

 士郎のペニスは一段と大きく膨れ上がり、射精の時を今か今かと待ちつづけ
ている。凛は士郎をもう一度見上げた。その眼には、悪魔みたいな笑みが零れ
る。
 きゅっと凛は根元を指で作った輪で締め上げる。

 ぞわりとした感覚。凛が先端を強く舐め上げた。その感覚――それで士郎の
意識は吹き飛びそうになる。こみ上げてくる射精感。奥から熱い白濁液が上っ
てくる。士郎は思わず、凛の頭を押さえつけた。

 「んん…んんんんんん…」

 脊椎を走る微弱な電流が脳内に達した時、士郎のペニスは一段と膨れ上がり、
どろりとした青臭い白濁液が幹を通り、先端から凛の口の中に注ぎ込まれる。
生温かい吐き出された精液を凛は喉を鳴らして飲み込んでいく。びくっ、びく
っとペニスは跳ね途切れ途切れに勢い良く精液を吐き出す。口の中には飲み切
れないほどの精液が吐き出され、収まりきらなくなった白濁液が凛の口元から
溢れ、顎を伝う。顎から首筋へ、伝った後に光る筋を残しながら開かれた胸元
へと流れ込んでいく。
 凛は射精が治まるとペニスから口を離し、舌で口の周りに付いている白濁液
を舐めとる。
 そしてまた、凛は士郎のペニスを口に咥えた。萎えかけていたペニスが再び
硬度と大きさを取り戻す。

 「…遠坂…、おれ、もう、我慢できない….」

 ちゅぽっと凛は口を離し、

 「私もよ、士郎…」

 そう言って、長凛は立ち上がり、机に上半身を預け士郎の方に腰を突き出す。
自らショーツをずらし、濡れそぼった二枚の柔らかそうな肉の花弁を露にする。
それはこれからする行為に涎を垂らしているのか。秘裂から溢れ出た淫水が太
腿を伝ってニーソックスへと染み込んでいく。
 士郎はそんな凛の痴態に興奮する。
 既に凛も出来上がっている。
 士郎は凛の腰に両手を置き掴む。その柔らかな肉を乱暴に掴む。
 今か今かと秘裂を広げて待つ凛。そんな凛の秘裂に士郎はペニスを押し当て
る。
 ぬちゃっとした滑りを帯びた感触。士郎のペニスを伝う、凛の愛液。それが
潤滑油の代わりとなる。ペニス全体を濡らすように士郎は一度凛の秘裂を擦る。
 「はぁ・・・」という凛の甘い吐息。凛が息を吐くたびに淫水は溢れ、士郎の
ペニスを濡らす。
いい具合に濡れたペニスを凛の秘裂に押し当て、士郎は腰に力を入れてゆっく
りと前に押し出す。

「あ、ああっ…」

先端がゆっくりと秘裂に飲み込まれていく。

――その時

 ――かつかつかつかつ……

 廊下を歩く足音が聞こえた。その足音はゆっくりとではあるが生徒会室の方
へと近づいてくる。もう少しで入るというところで士郎は凛の秘裂からペニス
を引き抜いた。
 お互い、身体を寄せ合う。二人の表情が強張る。
 
 ――どこかに隠れないと…

 二人は辺りを見回した。あるのは、長机とロッカーぐらいしかない。
 士郎は凛を抱いたままロッカーを開け、何も入っていないことを確認して中
に入った。丁度二人が立って密着して入れるぐらいの大きさ。士郎は凛の身体
を後から抱くような格好で寄せ合い息を殺す。

 ――かつかつかつかつ…

 足音はそのまま生徒会室を通り過ぎる。
 士郎と凛は安堵の息を洩らす。

 「危なかったな…遠坂…」
 「ばか、入ってきたらどうするつもりだったのよ」
 「どうするって、隠れているだけさ」
 「そうじゃなくて、見つかったらどうするかって言うの!」
 「…見つかってもいいんじゃないか。別に俺と遠坂が付き合ってることがば
れるだけなんだし」
 「こ、こんな所見られたらそんなものじゃ治まらな…ん、んむぅ…」

 肩越しに士郎は凛の言葉を遮るように凛の唇に自分の唇を重ねた。凛は、逃
げようとする。しかし、密着した狭いロッカーの中では身動きは殆ど取れず、
士郎の接吻を成す術無く受け入れる。
 
「ん……、ふわぁ…」

  士郎は唇を離した。

 ――はぁ、はぁ、はぁ、……

お互いの荒い吐息がロッカーの中に反響する。

 その時、

 ――がらっ

生徒会室のドアが突然開いた。
士郎と凛は身体を強張らせ、息を止める。
かつかつかつ…、と足音が生徒会室の中に響く。そして、何かを探すかのよう
に部屋の中を動き回っている。
息を殺し、入ってきた者が出て行くのを待つ士郎と凛。
しかし、出て行く気配は一向にしない。それどころか、がちゃ、ばたん…、が
ちゃ、ばたん…、と何かを開いては閉める音が聞こえ始める。

――まずい…

ロッカーの上部の通気孔から射し込む光でお互いの顔がうっすらと見えた。二
人はロッカーのドアを見つめている。士郎の表情は睨むように、凛の表情は恐
れを抱いて。
 がちゃ…、
 ついに隣のロッカーまで来た。
 直ぐに閉まる音がする…、と思いきや少しの間があって、ばたんと閉まる。
それから、かつかつかつ、と足音が聞こえ入り口の戸が開き閉まる音が聞こえ
た。
 
 『はぁ〜』
 
 お互いに大きく息をつく。まるで身体の力が抜けたかのように凛は士郎の方
へともたれかかった。

 「本気で、危なかったな…」
 「今度こそは、駄目だと思ったわ。…これも、士郎の悪運の強さかしら」

 凛は士郎に悪態をつく。
 
 ロッカーの中は通気孔から射し込む光で薄暗い。その中で身を寄せ合う二人。
お互いの吐息が狭く薄暗いロッカーの中に響く。吐く息と火照った身体でロッ
カーの中は熱を帯びている。それ以上に、士郎は凛の身体の火照りを感じてい
る。その火照りが士郎へと伝染し、先ほどまで萎えていたペニスが鎌首を擡げ
る。

 「は…う…、し、士郎…。こんな所で…」

 起立したペニスの先端は丁度、凛の秘裂の辺りを掻いていた。凛は腰を捻っ
て逃げようとするが狭い中ではその行為すらも自らに快感を与えてしまう。濡
れそぼった花弁から溢れ出る蜜が士郎のペニスを伝う。凛が興奮していること
は見るまでもない。
 士郎は腰を少し突き出す。
 するりとペニスが凛のショーツの中へと入っていく。
士郎は腰を動かす。

 「ん、あああぁっ!」

 ぬちゃっという音。押し当てた士郎のペニスが秘裂を擦る。突き戻すたびに
カリが秘裂を掻く。同時に、圧迫するショーツの絹の感触が士郎のペニスに快
感を与える。何度も何度も突き動かす。
 ペニスがビクンと震える。
 先端から灼熱の精液が凛のショーツの中に放たれる。
 凛はその熱とぬるりとした精液の感触に身体を小さく振るわせた。むせ返る
青臭い匂い。その匂いで二人の頭をくらくらとさせる。
 士郎はいきり立ったままのペニスを今度は秘裂に押し当てる。
ぬちゅり、と先端が少しだけ凛の花弁に沈む。生暖かい濡れた肉壁がペニスの
先端をきゅっと締め上げる。

 「なんだ、遠坂、そんなに食べたかったのか?」

 士郎は意地悪く、凛の秘裂からペニスを外す。

 「あ、外さないで…。お願い、入れて」

 凛の表情は我慢できないようで、その熱く潤んだ瞳がより一層士郎の加虐心
を駆り立てる。

 「遠坂、上手におねだり出来たら入れてあげるよ」

 士郎は凛の耳元で息を小さく吐き、囁いた。
ううっ、と凛は顔をさらに赤らめて士郎を睨む。しかし、何時ものような刺の
ある視線ではない。凛は、顔を伏せると、もごもごと、何かを口ずさむ。

 「お願い…、士郎の……ちんを私の、その、……こに入れて……ぐ………ち
ゅに、掻き…して下さい」
 「ん…、遠坂、何を言っているのか聞こえないぞ」
 「お願いします…、士郎の大きいおちんちんを私の厭らしいおま○こにいれ
て、好きなだけぐちゅぐちゅに、掻き回してください!」

 目を閉じ、羞恥に震えながら凛は叫ぶ。士郎は、それを聞くと、口元で笑い、
凛の秘裂にペニスを突き立てた。
 秘裂とペニスが奏でる卑猥な結合音が閉鎖空間に響く。
 それと共に滴る淫らな淫水。止め処なく溢れ、その甘酸っぱい香りに包まれ
る。…いや、それは感覚的なものだろう。しかし、二人にはその匂いが確かに
届いている。それを感じる度に頭の中を蕩けさせ、一体の獣となるような感覚。
 士郎の手は凛の体を抱いて、激しく上下させる。ロッカーががたがたと揺れ
るがもうそんなことは知らない。ただ快感を求めるために士郎は腰を突き、凛
の身体を上下させるだけ。凛の足は宙に浮き、士郎が凛の身体を沈める度に奥
を突かれ、浮き上がるたびにカリで内襞を擦られる。

 「あ、ああっ…、士郎のが…奥に、届い、て…。ひゃぁん、そんなに擦っち
ゃ…だめ」
 「気持ち良いか、遠坂?」
 「う…ん、気持ち…イイ…、イイ。し、士郎はどう?私の膣内、気持ち…イ
イ?」
 「凄く、気持ちイイ。う…、締め付けが凄いぞ…、遠坂。こんなのじゃ、も
たない…」

 凛の膣内はまるで蟲が蠢いているかのように脈動し、士郎のペニスを飲み込
んでいく。きつく締まった襞を抉じ開けるたびに先端に快感が走り、抜く度に
ずるりと身体の内側が裏返されるような感覚に襲われる。それほど凛の中は良
い。
 凛が士郎の身体を閉めるように抱きつく。ふるふると肩を震わせ、熱い吐息
を吐く。
 それにも気がつかず士郎は凛の腰を浮かせ、沈めている。沈みきる直前に士
郎も腰を突き出し、奥の奥を抉る。

 「ひゃぁ…、だ、駄目…。そんなに激しく突いたら私…、私、いっちゃ…う、
んん…」

 体を抱いていた片方の手を離し、凛の頭に手を回す士郎。甘い息が漏れる凛
の唇に士郎は吸い付いた。舌を挿し込み、絡み合わせる。舌を動かすたびに凛
の膣内が締まる。
 今度は腰をゆっくりと突き出し、ペニスの先端で子宮の壁をノックする。
 当たる度に凛の膣内が再びきゅっと締まる。まるでそれは仔猫が指に甘噛み
するような優しい感覚。その感触を味わいながらペニスを引き抜く。

 「…とお、さか…、もう…出すぞ…」

 こみ上げてくる射精感。その言葉に凛は応えるかのように、士郎の身体に回
した腕に力を込める。

 「士郎…、私も、わたしも…、……いっしょに、お願い…、一緒にイって…
は、ああぁぁっ」

 その声に、士郎は大きく腰を突き上げる。閉まった膣内を抉じ開け、もう一
度奥を突いた。
 脳髄まで達する快感。目の前が眩むほど程の射精感。

 「う、くっ…、で、出るっ…」
 「は、ふわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………ん…」

 先端が奥に触れた瞬間、幹に溜まり溜まっていた精液が弾けた。どくん、ど
くんとペニスは脈打ち精液が子宮の中を満たしていく。
 熱い。
 その熱さで凛も絶頂へと達した。
 震える腕で士郎の身体をきつく抱きしめる。

 「ん、士郎…」

 気だるい脱力感に凛は士郎に身体を預ける。 
 お互いに重ね合い、身体を引き寄せながら快感の余韻に浸っていた。







 
 /






 夕刻。
 学校から抜け出した士郎と凛。
 勿論、後片付けは済ませてある。
 夕闇に染まりかけた坂道を登っていく。
 二人はお互い自然に手を繋ぐ。

 「なぁ、遠坂…」
 その途中で士郎は立ち止まり、凛の方を向いて口を開いた。
 「何、士郎?」
 「…よかったか?」

 その一言で凛の顔がかあっと赤くなる。

 「ば、ばかっ…、もうちょっと、TPOを考えなさい。でも……、あの、そ
の……、よかった…わよ」

 恥ずかしさの余り徐々に声の大きさが下がっていく凛。

 「今度は、ちゃんとしたところでね。誰にも邪魔されたくないもの…」
 「じゃあ、今から家で…」
 「ばか…」

 凛は士郎の腕に自分の腕を絡ませる。
 もう一度軽くキスをする。
 そして、お互いの身を寄せ合いながら、坂道を登っていった。









 ――あとがき

 士郎に向かって「ばか」と言う凛様に愛を感じずにはいられません。…稀鱗
です。
 普段は凛様主導、Hのときはやっぱり凛様従順だと思います。セイバーが加
わると変わると思いますが…。
 今回は率直にエロと思いましたが、あんまりエロく無いと思います。
 ここまで読んでいただき有難うございます。


                                  稀鱗