初めて遠坂を見たときから思ってた。
そのニーソックス、エロくない?

『ニーソ・すていないと』

               一色紫


初めてアレを見たのはいつだっただろう?
もう、覚えていない。
春だったか。
夏だったか。
秋だったか。
冬だったか。
しかし、そんな事はどうでもいい…。
重要なのはそんな事なんかじゃない。
ある日、俺は見たんだ。
アレを。
その時、皆は廊下を歩いている遠坂を見ていた。
クラスメートが「衛宮、あれが噂の遠坂さんだよ」と教えてくれた。
完全無欠な学園のアイドル。
でも、俺はその時。
正に高嶺の花とでもいうべき完璧な少女の顔やらツインテールやらは目に入らなかった。
いや、違う。
見たことは見たのだ。
だが遠坂の美貌もツインテールもその後に見たモノの衝撃に吹き飛ばされていった。
それは彼女のすらりとした美脚を包んでいたもの。
ニーソックス。
それに魂が惹かれているのを感じた。
それに焦げるような衝動を覚えた。
一言、言葉にするなら。
そう。

“なんて、エロい―”

それ以来、俺は遠坂のニーソを見守りつづけてきた。
病める時も、健やかなる時も、聖杯戦争中でも。
そして、今も―。

「ちょっと」
声と共に頭を軽く叩かれ、我に返る。
目の前には怒り半分、呆れ半分といった感じの表情をした遠坂が立っていた。
「あれ?」
周りを見渡す。
遠坂の部屋だ。
………。
思い出した。
魔術講座を受けていたのだ。
「ああっ、すまん。少しボーとしてた」
慌てて言い繕ろう。
俺が頼んで教えてもらっているのに、俺がボケッとしていては元も子もない。
と、遠坂が口を開いた。
「はぁ…、講義はちょっと中止しましょう」
「え、な、なんでさ?確かにボーっとしてたのは悪かったけど…」
それとも何か他の要因でもあるのだろうか。
俺がそんな事を考えていると遠坂が決定的な言葉を放ってきた。
「…あなた、さっきから私の足ばっかり見て話聞いてないじゃない」
ギクリ!
「まあ、足をじろじろ見るのは今に始まったことじゃないけど」
(き、気付かれてたのか…)
更に言い募ってくる遠坂。
「で、なに?私の足がそんなに気になるわけ?」
恐ろしい問いかけ。
否定しなければ不味い。
しなければ俺は一躍、“フェチの国の人”になってしまう―!
さぁ、否定するんだ。
沈黙してしまったら怪しまれる…!
言うんだ、衛宮士郎!
「…ああ、気になる」
駄目だ…。
やっぱり否定できなかった。
俺は自分を偽ることなんて出来ない…。
この時、俺はもう終わったと思った。
下手したら今まで築き上げてきた遠坂との信頼関係もここで潰えてしまうかもしれない。
しかし、ここで遠坂は俺の予想を裏切る反応を示した。
「どうして?」
何と顔に妖しい微笑を浮かべながら、続きを促してきたのだ。
その遠坂の顔を見た時、俺の中で何かが弾けた。
「だって、遠坂の足は綺麗だし、それに…」
「それに…、何?」
もう、止まらない。止まれない。
「何より、そのニーソックスが…」
そう言った瞬間、遠坂が呆気に取られたのが分かった。
「え?ニーソックス??」
俺はその時の遠坂の顔を一生、忘れないだろう。
それ位、不思議そうな表情を浮かべていたのだ。
まぁ、それはそれとして、俺は語りつづけた。
「遠坂…、お前のニーソはエロ過ぎるんだ!もうエロ過ぎて、エロ過ぎて、僕は何がナニやら分かりません!」
既に俺の言っている事は支離滅裂になっていた。
でも俺はその時、興奮しすぎて周りが見えてなかったので勘弁して欲しい。
さておき俺が一通り叫び終えると、
「ふーん…、衛宮君は私の足をそういう目で見てたんだ…」
「いや、その…」
たじろぐ俺。
あそこまでぶっちゃけてしまった今、言い逃れなど出来ない。
遠坂はそんな俺を眺めて軽く笑うと、
「じゃあ、お仕置きね」
なんかとんでもない事を言ってきた。


今の状況が上手く飲み込めない。
気が付いたら俺は遠坂のベッドに縛り付けられていた。
しかも裸で。
「と、遠坂、何を…」
「ふふ…、分かってるくせに…」
そう言いながら遠坂は開かれている俺の足と足の間にゆっくりと座る。
そして―。
「あっ」
俺のペニスに向かって“あの”ニーソックスを履いた足を伸ばしてきた。
そのまますりすりとニーソックスを履いた足がペニスの両側を擦ってくる。
「うっ…ああ…」
堪らず俺のモノが硬さを増す。
「士郎ったら、こんなにして…。士郎の熱さが伝わってくるわ…」
遠坂は責めを続ける。
今度は亀頭の方を集中的に足の指で刺激される。
「う…くぁ…」
ニーソの質感が亀頭の粘膜に擦れて脳を焦がすような快感が伝わってくる。
「可愛い声、出しちゃって…」
遠坂が足の力を緩める。
じれったい刺激。
本能がもっと激しい快感を求めてる。
「ああ…遠坂…もっと強く…」
遠坂はクスリと笑うと、
「士郎は変態ね…」
そう言いながら、足を早く動かし始めてきた。
くるくると遠坂の足に回される俺のペニス。
「あああ…、はぁ…」
摩擦運動にこねまわされる。
「何か…、変な気分ね…」
そう言いながらも更にグリグリと足でペニスを弄ぶ。
「ほらほら…」
快感が増していく。
脳が溶けそう―。
「と、遠坂…、俺もう…」
思わず、うめく。
遠坂はそんな俺を楽しげに眺める。
「士郎は足でされてイっちゃうんだ…」
残酷な笑みを浮かべながら、更に足の勢いを加速させる。
「ふぁぁあ…」
もう、本当に持たない―。
「ねぇ、士郎…。いきたい?」
快感と射精の衝動に悶えながら答える。
「いかせて…くれ…」
その答えに満足したかのように、
「しょうがないわね…」
遠坂が足をグリグリと押し付けてくる。
途端。
「あぅああ―!」
俺は果てた。


その日を境に俺と遠坂の関係に微妙な変化が訪れ、夜のメニューも増えた。
そして、俺自身にも変化が訪れていた。
すなわち―。

「…?シロウは何故、さっきから私の足を眺めているのです?」

足フェチへの道は遠い―。