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 先輩は内股になって立ち、そんな風になぞめかして語る。
 そして、ヴーンヴーンという低い音が、俺と先輩が話し合う空気のそこに漂う。
 何なのだ、この音は……さっきから気に掛かる……一体どこで配電盤か何か
が音を立てて居るんだろうか?

 俺は先輩を見上げて、その笑顔の意味を読みとろうとするが――わからない。
 なんで先輩はこの体育倉庫に俺達を連れてきて、秋葉を縛って、笑っている
んだろう?

「先輩……」
「遠野くんが……悪いんですよ?うふふ」

 先輩はふらり、と漂うようにそんな言葉を口にする。
 俺が悪い?その、先輩に俺が何をしたのか……何もしなかったことが悪かっ
たんだろうか?でも、一体何を言っているのか分からない。

 いつもなら先輩に食ってかかる筈の秋葉も、今ばかりは圧倒されたかのよう
に黙りこくっている。それはそうだ、秋葉もこの事態に着いていけないに違い
ない。

「わる……い?俺が?」
「そうです……私にあんな事やこんな事をしたのに、最近は秋葉さんにご執心で」

 痛いところをつかれて、俺は口元を曲げる。
 先輩と俺はまぁ、そういう仲になったわけだけども最近はいろいろとご無沙
汰で……
 俺がちらりと秋葉を見ると、その優美な顔に疑いの色が浮かぶ。

「あ、秋葉、そのこれは……」
「まぁまぁ遠野くん、私の話を聞いて下さい」
「先輩……?」
「最近遠野くんが私を抱いてくれないから……寂しくて、こんなことをしてるんです」

 そう言って先輩は、ブルマの上にたらりと伸ばしている体操服の裾を上げて――
 そこにあったモノを見て、俺は瞠目した。
 秋葉もはっと息を飲む声が聞こえる。

「ふふふ……」

 怪しく、艶やかに笑う先輩。
 そのブルマのお腹の部分には、毒々しくも思えるプラスチックの箱が3つも
挟まっていた。
 そこから伸びるコードは先輩のブルマの中に入り込んでいて。

「……せ、先輩?」

 驚きのあまり喉の奥で言葉が詰まったような俺に、先輩は近寄ってくる。
 足取りはずいぶんと頼りない。内股になるようにゆっくりと進んでくる。
 無理もない……だって、先輩のブルマの中には3つも……ローターが仕込ま
れて居るんだから。

 それも、学校の中で。
 一体先輩はどうしてしまったんだろう……?

「遠野くんがお相手をしてくれないから……それに、遠野くんがこんなに男の
人の匂いを漂わせてくるから、私は堪らなくなっちゃって……ふふ、いぢわる
しちゃいました」

 先輩はマットの上に来ると、俺にすり寄るようにしゃがみ込む。
 そして、俺の柔道着の衿をそっと掴むと、その汗の染み込んだ胸に――顔を
寄せる。そして、その香りをくんくんと嗅いでいる……先輩が、俺の汗の香りを。

 俺はしゃがみ込む先輩から、咄嗟に目を秋葉に移す。
 秋葉も俺のことをマジマジと見つめている。見つめているというか、こんな
事をしているシエル先輩に絶句しながら様子を窺っているみたいで。

「ふふふ……」
「せ、先輩……そんな、俺が……先輩の所に行かなかったから……」
「そうです、だからこんな風に誘っちゃいました。悪い先輩ですね、私も」

 先輩はくすくすと忍び笑いを浮かべる。
 そして、汗の染みついた俺の柔道着の上をなで回すと、その指を口に含む。
 肉感的な先輩の唇が、ぷちゅりと指を吸って――

 先輩のこんな姿を見せられると、どうしても興奮を隠しきれない。
 おまけに柔道着の下には下着を着けていないから、固く盛り上がる股間を押
さえつけようがない。先輩もそれに気が付いたのか、俺の股間を見下ろして、
笑いながら……立ち上がる。

「見て下さい、遠野くん……私がどんな風にしながら遠野くんを想っているのかを」

 先輩は俺の前に、まるで足の裏が泳いで居るかのように頼りなく立っている。
 俺の目の前にある、先輩のブルマ。この中にローターが動き回っているんだろう。
 あのヴーンって音は、ここから……

 俺が先輩のブルマがしとどに湿っていることに気づくと、先輩はまるで、ス
トリップでもするかのように腰をくねらせて、ブルマの裾に指を掛けて……下
げていく。

「う、先輩……そんな……」
「あ……ん……はぁん……」

 先輩の口から漏れる、甘い吐息。
 埃っぽいこの体育倉庫の中でも、先輩の立てる甘酸っぱい女性の香りが俺の
脳裏に染みてきて――先輩の顔と良い、身体といい、まるで俺の身体を狂わせ
てしまいそうな。

 先輩のブルマがずるり、と下がっていく。
 それと共に、そこに挟まっていたローターのコントローラーもこぼれ落ちて
くる。テープでお腹に止めてあったみたいだけども、一つ二つと外れてきて。

「んっ……はぁぁ……ふぅ……」


 先輩は俺の目の前で、膝までブルマを下ろした。
 先輩はブルマーの下に何も履いていなかった。濡れた陰毛の丘からはピンク
のコードが二本、三本伸びている。先輩は手でこぼれ落ちたコントローラーを
太股に張り付けようとするが、一つおいたところで手を止める。

 呆然と見上げるばかりの俺と、先輩の目があった。
 ここまで自分の秘所を晒すと、あの開き直ったように淫猥だった先輩の顔に
も僅かな羞恥の色がある。先輩は笑いながら、体操服を胸までたくし上げる。

 先輩の胸に、目が吸い寄せられる。
 でも、先輩はくるり、と俺に背を向けて。

「こんな風に……しながら……遠野くんのことを……」

 思わず手を伸ばして握りしめたくなる、先輩のお尻。
 そんなお尻にぶら下がった、醜悪なローターのコントローラー。
 俺は秋葉のことも忘れて、この先輩の想像もできない痴態を見つめていた。

 先輩のお尻がぶるり、と震えたかと思うと……

「あ……はぁ……ん……」

 先輩はまるで卵でも産み出すように、あそこから……ローターを産み出した。
 ヴンヴン鳴るその卵は、愛液にまみれ、コントローラーの重みに耐えかねた
ようにずるりと秘裂から顔を覗かせ、そのままぽとり、とマットの上に落ちる。

 俺の目はその落ちるローターが、マットの上で震え蠢く様までを見つめてしまう。
 その目を上げると、先輩の中からはまだ二つのローターが入っている証拠の
コードが伸びていて。

「あ……は……見てくれましたか?遠野くん?」
「み、見た……あ、ああ……」
「も……もうこんなのはやめて下さいっ、シエルさん!」

 腰を抜かしたような俺が聞いたのは、秋葉の叫び声だった。
 俺の前で腰を向けて、淫らに己の痴態を見せつけている先輩の姿を秋葉は見
せつけられていたんだろう。いつもは強気な秋葉が、珍しく――弱気を感じさ
せる声になる。
 それも、涙をにじませるような声で。

「こんなのは……こんなのはおかしいです!だから私の縄を解いて下さい!兄
さんもそんな……魅入られたみたいにしていないで、私を!」

 秋葉の言葉は正しかった。先輩がこんな事をするのはおかしい。誘惑する先
輩を振り払い、秋葉を連れ出してこの体育倉庫から出るのが正しいんだろう。
 でも……もう遅かった。俺はこんな先輩の姿を見せつけられて、乾きを――
肉欲の乾きを覚えている。こんな高ぶった気持ちのままで学校生活に戻れない
ほどの。

 俺も、先輩と同じくらい……おかしくなってしまったのかも知れない。
 そんな俺の内心を読みとったのか、先輩はくるりと秋葉の方を振り向く。

「……ははぁ、秋葉さん……秋葉さんもして欲しいんですね?」
「………!」
「私だけがこんな風に遠野くんを独占しているのが気に入らないから……違い
ますか?」

 先輩の顔は見えないけども、きっと……あのなぞめいた娼婦の顔をして居る
んだろう。
 秋葉の顔はわななき、怒りに震えたが――そのまま激発することなく、顔を
赤らめて俯いてしまう。そんな、先輩の言葉が図星だったのか?

 わからない。

 先輩はそんな秋葉から俺に顔を向ける。そして、俺に手を差し伸べてくる。
 ……一体何をするつもりなんだろうか?先輩は。
 俺はそんな先輩の手に触れながら、ようやく……立ち上がった。

 そう、この手を振り払う事よりも、この手に従った方が快感がより強いこと
を知り、その道を進むかのように。
 そんな俺の耳に、泣き出しそうな秋葉の声が聞こえた。

「……兄さんっ、どうして……」
「秋葉……俺は……」

 だが、この後にどんな言葉を続ければいいのか、分からない。
 喋る言葉を考えかねた俺の背中に、先輩はぴったりと身体を寄せてくる。
 俺の汗の匂いと体育倉庫の埃の香り、そして先輩の甘酸っぱい香りが混じり
合った、形容しがたい香りが漂う。

「遠野くん?秋葉さんに見せて上げて下さい」
「え?その……何を?」
「……いいものですよ、秋葉さんにとっての」

 そう言って先輩は、背中から俺の身体に腕を回す。
 先輩のむき出しの胸が背中に当たるけども、惜しいかな……柔道着の布が厚
すぎてあの豊かな肉感は半減している。先輩は後ろから俺を抱きながら、俺の
身体を押してくる。

 ――秋葉の方へと、一歩づつ。
 俺は縛られ、胸をむき出しにされている秋葉に近づいていく。秋葉は伏せて
いた顔をおそるおそる上げて、俺と、俺の背後の先輩を見つめる。
 秋葉は俺に助けを求めていながらも――絶望したかのような表情を浮かべている。
 そんな秋葉に、俺は……一体何と言えばいいのか、どんな顔をすればいいのか。

 わからない。

「さぁ……秋葉さんにも、遠野くんの本当の姿を……」

 先輩の手は俺の帯に掛かる。
 固結びされた柔道着の白帯を、先輩はするりと解いた。帯は俺の身体から滑
り落ち、衿が緩んで胸がむき出しになる。
 体育倉庫の空気が、むき出しの肌に……おかしな程冷たく感じる。
 それほど俺の肌は熱くなっていたのか……それに、下履きの下の俺の股間も。

「先輩、それ以上は……」
「兄さん……一体何を……」
「ふふふ、こういう時って和服は便利ですね……下に何も着けていないので」

 俺はあ、と叫んで先輩の腕を押さえようとした。
 このままだったら先輩の手で全部、秋葉の前で脱がされてしまう――今更そ
れを厭うのもおかしな話だけど、先輩にするする脱がされるのも恥ずかしい……

 だけども、先輩の手は俺の下履きの腰ひもを解いていた。
 そのままずるり、と下がる木綿の柔道着。下には何も履いてないから、必然
的に俺の股間がむき出しになってしまう。

「あ……!」

 ぬくん、と中に佇立する俺の肉棒。
 その隆々とした姿を目にした秋葉が、驚きの――それでいながらほんの少し
喜びの混じった、不思議な声を上げる。その目は秋葉の真上に翳された俺の肉
棒に注がれて離れない。

 先輩は俺の柔道着を脱がすと、片手で俺の胸を抱く。
 傷跡の上を先輩の固く細い指が走ると、俺は思わず声を漏らす。汗ばんだ肌
に先輩の指はこの上もなく官能的で。

 でも、先輩のもう片方の手は一体――

「んっ、んぅ……はぁ……」

 俺の身体を抱き閉めながら、先輩はそんな吐息を漏らす。
 一体何をしているのか?そんな俺の疑問はすぐに解けた。
 先輩の手が、それを掴んで俺と秋葉の前に差し出されたからだった。

「先輩、それは……」
「そうですよ、今まで私のお●んこの中に入っていた……ローターです」

 ヴィンヴィンと音を立てるローターが、先輩の右手に握られていた。
 それもべったりと愛液に濡れててらてらした、なま暖かいピンクの卵。
 先輩はそのローターを掌に置いて、何をする気……

「うぁぁぁ!」
「ひっ!」

 先輩の手が、俺のむき出しの亀頭を握った。
 それも、ローターが俺の尿道口に当たるようにぐいと押しつけて。感じやす
い肉棒の先の粘膜に押さえつけられた振動体の感覚は、目眩く衝撃のような感
覚だった。
 いきなり先が痺れてもげてしまったような、鮮烈な――

「ほぉら、遠野くん?気持ちいいでしょう?」
「うっ、あっ、あああああ!」

 俺が思わずつま先立ちになってしまうほどの快感。
 先輩は愛液を俺の亀頭に絡めるように、ぬたらぬたらと手首を動かし、ロー
ターと掌で俺を責めてくる。俺は先輩が竿をしごき、亀頭と撫で、ローターを
這わせるテクニックに酔いしれた。
 仰け反って倒れそうになるが、背中から先輩が支えている。
 俺は上がる顎を押さえてなんとか、秋葉を見つめようとしたが……

「あっ、あああ……兄さんの、兄さんのおちんちんが……」
「ほぅら、秋葉さん……いいものでしょう?遠野くんったら私の愛液に先走り
を混ぜながら、こんなに喘いでいるんですよ……うふふふ」

 先輩は低く、満足そうに笑う。
 秋葉は俺の股間を、弄ぶ先輩の手を戦慄きながら見つめている。
 やがて秋葉の膝が寄せられて、そわそわと落ち着かない様子になってくる。

 その間も俺は、背中に手を回して先輩の身体に縋り付く。
 柔道着の前をはだけ、むき出しになったペニスを後ろから先輩に弄られ、そ
の光景を縛られた妹の秋葉に見られている。おかしい、どうにかしている。

 でも、この狂おしいほどの快感といったら――ない。理性も何もかなぐり捨
ててしまいたくなるような。沸き出す汗は胸を伝い、脈拍は早く心臓は濁った
熱い血を送り出す。それに何よりも、股間と尾てい骨にビリビリと響く、この
快楽。

「いや……そんな……兄さんが……兄さんがシエルさんだけに……」
「最近遠野くんを独占してきた、お仕置きですよ……でも、このままだったら
可哀想だから、もう一つ良いことをして上げましょう」

 先輩は俺のペニスのシャフトに手をずらしながら、そんなことを言う。
 良いこと……一体何をするんだろう?翻弄されるだけの俺にはわからない。
 先輩の唇が、俺の耳に寄せられる。後ろから毒のように甘い息が耳朶に絡
みつく。

「遠野くん……このまま、秋葉さんのお顔にに射精してください」
「せ、先輩なにをそんな……ああああう!」

 秋葉に掛ける?俺の精液を?
 だがそんな疑問に驚く暇もあればこそ、先輩の手は先ほどとは比べ物になら
ないほどダイナミックになる。今までは快感を高めようとしていたのに、今度
はまるで俺の逸物から精液を絞り出したがるみたいに。

 ぐしゅぐしゅと音を立てて、先輩の手首がスナップを利かせる。
 おまけにローターは握られたまま、熱く痺れる固まりが俺の裏の筋に擦り付
けられて。

 ……まずい、こんなに刺激が強いと俺でも耐えきれない……
 耐えなきゃイケナイ?秋葉に射精することが悪いのか?
 悪いに決まってる――でも、秋葉は俺の湯気を立てそうな股間に、せめて精
一杯に顔を近づけようと身を伸ばしてきて。

「兄さん……お願いです……兄さんの熱い精液を私に……」

 ああ、秋葉もそう望んでいるんだ。
 じゃぁ、我慢することは何もない――

 先輩のもう一方の手が、俺の玉袋を撫で上げる。
 もう、限界だった。俺のシャフトの発射口はシエル先輩の手で、秋葉の顔と
口に据えられて――

「ビクビクしてますよ、限界ですね……遠野くん、さぁ!」
「うっ、あっ、ああああああ!」

                                      《つづく》