いつからそこに建てられていたのか。
その建物は、夕陽を背にしてそびえたっていた。
或る、夏の日。思い返せば、泡沫となって消えてしまうような―

Kaleidoscope
                      斉木 雅人


きっかけは、アルクェイドのマンションのポストに入っていたチラシだった。
「ねー、志貴ー。お化け屋敷って、確か文化祭で妹がやってたやつだよねー」
「その話お前にしたっけか」
まぁ、アルクェイドが知ってるってことは言ったんだろうが。
脳裏に秋葉の猫又姿が横切り、あわてて頭を振って打ち消す。
それに、あれは夢の中の話で。
「あ、それとも、レンに聞いたのか?」
「そーだったかな。まーいーじゃない、どっちでも」
「それで、お化け屋敷がなんだって?」
「そーそー、志貴、お化け屋敷って何?」
「何って言われてもなぁ。その、小屋の中に入ってきた人を驚かせたり怖がら
せたりするんだよ」
俺の簡潔な説明はお気に召さなかったらしい。
むー、とか唸って不機嫌な顔をしている。
「それって楽しいの?」
「んー、まぁそれなりには。あ、念のため言っておくけど、こっちが驚かすわ
けじゃなくて、お金を払って驚かしてもらうわけだけど」
「なんのためにそんなことするわけ?意味がないじゃない」
「まぁそうなんだけど」

困った。確かに知らない者にとってはわけがわからないかもしれない。
「ほら、前にホラー映画とかビデオ借りてきて見たろ?ああいう、怖いもの見
たさっていうのかな、そういうのが人間にはあるんだよ」
「ふーん。それじゃさ志貴、巨大迷路って何?」
「…また懐かしい単語だな」
一時期流行ったような気がするけど、行ったことはない。
あの頃は俺は有間の家にいただろうか。
「一言で言うとでっかい迷路だな。人を迷わせるように作ったルートを抜けて
出口まで出るんだよ」
「ああ、庭園とかにあるやつね」
「そういえば発祥はヨーロッパの貴族の暇つぶしだっけか」
そういう話を聞いたことがあるようなないような。

「で、なんでそんな話を突然しだしたんだ?」
「んー、今朝ポスト見たらこれが入ってて」
一枚のチラシを取り出す。
見るとそこには…
『恐怖迷図』
 お化け屋敷と巨大迷路がドッキング!!
 貴方を一夜の夢へと誘います!!
 皆様お誘いあわせの上ご来場下さい!!
…なんだかどきつい色彩にそんな文字が踊っている。
どうみても色物だろう、これは。

「はぁ…。なるほど、コレを見てたから色々聞いてきたわけだ」
「うん。ねぇ志貴、行かない?これから」
「これからってお前、もう夕方だぞ。今から行ったってやってるわけないだろ
う」
「だって24時間営業って書いてあるよ、これ」
「なっ?」
…ホントだ。場所は…病院の近くの草原かな、この住所からすると。
一般・800円、学生・500円、小学生以下・300円とか書いてあるし。
この値段で24時間営業で儲かるのかは知らないが。
…それ以前に、24時間営業のお化け屋敷ってなんだろう。
多少、興味が湧かないでもない。
「ねー、志貴ー、行こうよー」
「…そうだな。まぁ、行ってみるか」
「わーい!だから志貴って好きー」
そのまま俺に抱きついてくるアルクェイド。
…こういうところ、ある意味反則だと思う。
「…アルクェイド…」
う、理性が吹っ飛びそうだ。俺はそのままアルクェイドの身体に手を回し―
「じゃ、すぐ行こうよ!」
―そのまま目標を失ってすっころんだ。
「なに床に寝転んでるのよー。早く早くー」
身を起こすと、お姫様はすでに玄関まで行っていて。
「はいはい…」
俺はようやく立ち上がった。

いつからそこに建てられていたのか。
その建物は、夕陽を背にしてそびえたっていた。
「思ってたよりも大きいな…」
その『迷図』とやらは2階建て。
入り口は2階部分で、1階の所には本来は軽食スタンドが並んでいるのか、た
こ焼きやクレープなどの看板が見て取れた。
今はもう営業時間が終わったらしく、どの店もシャッターを下ろしている。
「だから巨大なんでしょ?志貴さっきそう言ったじゃない」
「まぁそうなんだけどね。本物を見るのは俺も初めてだから」
アルクェイドと二人で階段を上り、入り口から中へ入った。

「いらっしゃいませ」
中は煌々と蛍光灯が点いていて、一瞬別の場所に出てしまったように感じた。
『入り口』と書かれた所には暗幕がかかっている。
その左側に何故かハンバーガースタンドがあったりする。
「あー、学生2人で」
お金を払ってスタンプカードを2枚受け取る。
どうやら迷路の中にはチェックポイントがあるようだ。
「あ、ここって通り抜けるのにどのくらい時間がかかりますか?」
夕食の心配もあるし、一応聞いておこうと思う。
「詳しいルールや非常時のルートなどはカードの裏に書いてあります。そうで
すね、道を覚えていて走れば15分程度で抜けられます。もちろん迷路ですか
らずっと迷っている可能性はありますが、平均して2時間程度でしょうか」
「抜けられない人もいるの?それってどうするの?」
「ギブアップの場合は外壁沿いに出て非常口から外に出るか、休憩所やそれぞ
れのお化けの装置にお手元のカードを入れてもらえれば係員が案内させて頂き
ます。またトイレも外壁沿いに設置しており、そこまでの順路はわかるように
しておりますので」
…結構ちゃんとしてるんだな。
「あ、そっちにハンバーガーショップがありますけど、買っておいて中で食べ
るのはOKですか?」
「申し訳ありませんが、ゴミ箱は休憩所にしかないので持ち帰りはできません。
休憩所でもスナック菓子等は販売いたしております」
そっか。下手すると夕飯抜きで歩くことになるし、食べておいた方が無難かな。
「お客様方は今日が初めてでしょうか?そうだった場合は、カードの裏面をよ
く読んでおくことをお勧めします」
「あ、どうも。それじゃまず腹ごしらえと行こうか、アルクェイド」

ハンバーガーを食べながらカードの裏面を二人で読む。
「へー、早く通り抜けると賞品とかもらえるんだね」
「そうみたいだな。…何がもらえるのか書いてないけど」
それぞれ30分以内、60分以内、90分以内とかある。
「まぁ迷路もそうだけど、お化け屋敷自体も目的なんだし。無理して早く抜け
ることもないだろ」
「えへへー、そうだね、志貴」
「…そういえばお前、驚かされたからって破壊行為に走るんじゃないぞ。あく
までお遊びなんだからな」
「むー。私はそんなことしないよ?志貴こそパニックになってナイフ振り回し
たりしないでよね」
「俺がそんなことするか!」

夕飯も終わり、いよいよスタートだ。入り口の暗幕をめくると、そこには死神
が待っていた。
『ようこそ亡霊の集いへ。ここに来たらもう戻れない。幻想の夏にようこそ。
さて…』
テープが回り始め、死神の声が響き渡る。
辺りは薄暗く、死神にだけスポットが当たっている。
「えーと、ここが入り口なんだから…この機械にカードを入れればいいのかな、
志貴」
「ああ、多分そうじゃないかな」
おそらく死神の口上を全部聞いてれば案内もされると思うのだが。
身振り手振りも入ってるし。
それを全然聞かないで機械にカードを入れるアルクェイド。ガッチャン、と音
がしてからカードを抜く。続いて俺も同じようにした。
「へー、今の時刻が押されるんだ、ここは。後は似たような機械を見つければ
いいんだよね?」
「そうだな。ギブアップの機械と間違えないようにな」
『…られない。では、第一の領域、日本の亡霊たちの宴を楽しんでくれ』
ふっとスポットが消え、辺りは薄暗い闇に包まれた。

アルクェイドと手を繋ぎながら迷路を歩く。
周りには黒い板塀。歩き始めてすぐ、この迷路は難問だな、と思った。
薄暗い闇。ときどき、非常口の緑のランプやトイレへの順路でそこだけが明る
くなっているが、一度この場を離れたら通った道なのか通ってない道なのかわ
からない。
「夕飯すませといてよかったな…」
一つ目の角に踏み込んだとき。
ヒュ〜〜〜〜〜ドロドロドロという音がして、目の前に亡霊が現れた。
「わ、これがお化け、志貴?」
人魂が舞い、目の上に大きなたんこぶをくっつけたお化け。
「そうだな。これは多分お岩さんってやつで…」
『浪人の民谷伊右衛門をお梅という良家の娘が好きになる。しかし、伊右衛門
にはお岩という女房がいた。お梅の父・伊藤喜兵衛は伊右衛門にお岩を殺すよ
う…』
ストーリーも流れるのか。2時間かかるって言ってたのも伊達じゃないな。

その後も続々とお化けが出てきた。
牡丹灯篭。
番町皿屋敷。
平将門の首。
果ては軍靴を轟かせる旧日本軍の兵士たちとか、樹海で首吊り自殺をした人の
亡霊とか。
お化け屋敷なんだからいいんだろうけど呪われないかと心配になってくる。
そのたびにストーリーも流れ、またそれをアルクェイドが興味津々で聞いてい
るし。
迷路を抜けるのにも一苦労。二人で右だ左だと言い合い、結局番町皿屋敷は3
回も通ってしまった。
そんなこんなで第一のエリアを抜けるまで1時間弱。おそらく俺たちは平均を
大きく上回って通過するか…ギブアップになるんじゃないかな、とか思わせる
出だしだった。

「…これ、相当運動量多いよな」
第一のエリアと第二のエリアの間にある休憩所で一休みしながらコーヒーを飲む。
ちなみに一缶150円。うむ、やっぱりこういう所のジュースは暴利だ。
しかし喉が渇くんだからしょうがない。
「えへへ、でも志貴といっしょにいて楽しいよ。色々な知識も手に入るし」
「まぁ、つまらなくはないしな。俺もアルクェイドといっしょにいられるのは
楽しい」
「それじゃ、次行こ、次!次はどんなのかなー」

第二のエリアは…「世界の吸血鬼」だった。
「むー。私はだいたい知ってると思うんだけどなー」
「お前さんは世界中の吸血鬼と知り合いか」
「それはあちこちに行ったし。人が作ったフィクションのは全部は知らないけど」
しょっぱながノスフェラトゥ。
それからはドラキュラ、ゾンビ、エリザベート・バートリー、カーミラ…
今回はアルクェイドが説明を聞かずに先に進むんで結構早く抜けた。
ちなみに足を止めたのはキョンシーの所。
中国のゾンビは管轄外だったらしい。

第三のエリアは…「もう一人の貴方へ」?
なんだこりゃ?
お化け屋敷には似つかわしくないフレーズだと思う。
一歩中に踏み込んで。
「うわぁ…」
「凄い、志貴がいっぱいいるよ?」
そこは、鏡の迷宮。俺たちの姿があちこちに反射して、まるで万華鏡のようで。
「綺麗、だな、これは」
アルクェイドの姿がいくつもにも増やされる。
闇に映える金髪がその姿を際立たせて。
「うん…」
俺たちは手をつないでその幻想の中を歩く。ここが迷路であることを忘れたか
のように。
少し動くたびに鏡像も動きを変える。…どちらからともなく足が止まる。
「…アルクェイド…」
「…志貴…」
自然にアルクェイドの身体を抱きしめ、口付けをかわしていた。
幻想に、酔ったのかもしれない。
この、闇に。俺たちの他に誰もいない、この空間に―

もう一度唇を重ねる。舌を絡ませ、お互いの口腔内を貪るように。
唇を滑らせ、首筋を吸いながら右手で背筋を、左手で脇腹を撫ぜる。
「あふ…し…きぃ…」
アルクェイドがぎゅっと俺の頭を抱きしめてくる。
ふと思いついてアルクェイドの身体を反転させ、鏡と相対させる。
俺に見えるのはアルクェイドの鏡像。アルクェイドに見えるのは俺の鏡像―
「あ…なんか、志貴、こんなの…」
アルクェイドの瞳が揺れる。それを無視して、服の上から胸をゆっくりと揉む。
「あ…や…」
アルクェイドが目を閉じる。耳元で囁く。
「ほら、目を開けて…アルクェイドのえっちなとこ、ちゃんと自分で見るんだ
よ…」
耳に舌を差し入れながら、服の上から乳首を摘む。
「あ…志貴…いじわる…」
アルクェイドが目を開けたのを確認してから、服をたくし上げて胸を露わにす
る。
「もうこんなにして…アルクェイドは本当にえっちだな…」
乳房の麓から先端までを円を描くように撫で、指の根元に乳首を挟んで刺激す
る。
「や…言わないで…しきぃ…」
「だってもうこんなに尖ってるよ…?」
親指で乳首を押しつぶす。
「はぁっ…だって、志貴が…」
「俺が何?」
乳房全体をゆっくりと揉む。
「えっちなこと…するからぁ…」
「アルクェイドが可愛いからだよ…」
スカートのホックを外し、床に落す。アルクェイドのそこはショーツごしに粘
液を垂れ流し、太腿が妖しく光っていて。
「あ…や…」
アルクェイドの両手が下半身を隠すように動く。
「どうして隠すの…こんなに綺麗なのに…」
掌をお腹からアルクェイドの一番柔らかいところに滑らせ、布越しにそこを押
す。
じゅぷり…と音を立てながら、そこは抵抗なく俺の指を呑み込んだ。
「はぁぁ…ああん…」
「すごい、もうぐちゃぐちゃだよ…いつもより気持ちいい…?」
「や…ぁ…」
布越しにそこを掻き回す。
「あ…んぁ…ふ…ねぇ…しきぃ…」
「何かな?」
「ちょ…直接触って…」
「気持ちいいの?」
「ぅん…すごくいいの…だから…お願い…」
顔を真っ赤にしながらそうおねだりしてくる。
その言葉に答えてショーツを下ろした。下げるときに襞に布地が絡みつく。
「は…あぁぁ…」

「自分で広げて…鏡に向けるように…」
「う…うん…」
素直に両手で中を曝け出すアルクェイド。朱く濡れたそこが鏡に艶かしく写っ
ている。
「綺麗だ…」
その場に跪き、脚の間から舌を伸ばしてそこに触れる。
「はぁっ…しきぃ…」
ちゃぷちゃぷと音を立てながらそこを嘗め回す。押さえる指に触れ、中に入れ
るように。
「おいしいよ…アルクェイドの…」
「ん…ふぁ…」
不自然な体勢から舌を伸ばしているため舌先くらいしか触れてくれない。
それを補うかのように自分から腰を動かしてくるアルクェイド。
それが可愛くて、我慢できなくなってくる。ズボンと下着を脱いで後ろから抱
きしめた。
「あ…志貴のおちんちんが私に生えたみたい…」
素股のような形で自分のモノをアルクェイドの秘裂にこすりつける。
先が充血した肉芽に触れるたびにアルクェイドが高い声を上げる。
「んぁっ!は…はぁ…ああっ!」
それが楽しくてなんども擦りつけた。
「気持ちいいの、アルクェイド…?」
「うん…っ!凄くいいの…」
続けているうちにこっちも高まってきた。
「それじゃ、入れるよ…」
角度を決めて、腰を突きこむ。ほとんど抵抗もなくアルクェイドの中に吸い込
まれていく。
「ああっ…んふぅ…」
アルクェイドが前かがみになり、鏡に手をつくようにして腰をこっちに突き出
す。
その上半身を無理矢理引き起こし、耳元で囁いた。

「駄目だろ、ちゃんと見てないと…」
鏡には秘裂に飲み込まれた俺のモノが映っている。
「しきぃ…こんなの…恥ずかしい…」
顔を真っ赤にして目を逸らす。それとは別の生き物のように、モノに強く絡み
付いてくる。
「…こっちはそんなこと言ってないよ…いつもよりきつい…」
腰をゆっくりと動かす。
「はぁっ!だ、駄目、まだ…」
瞳が揺れる。締め付けがますます強くなってくる。
「くっ…アルクェイドの中、凄くいい…」
鏡にはアルクェイドの粘液にまみれたモノが出入りしているところが映ってい
て。
「あふぅっ!ね、駄目、もう…」
「イっちゃうの?いいよ、イっちゃっても…」
手を伸ばしてその情景を隠さないように充血した肉芽を撫ぜる。
「ああっ、志貴、志貴、しきぃ!」
アルクェイドの全身に力がこもり、次の瞬間に脱力した。
上半身を支えて休ませないように腰の突き込みを強く激しくしていく。
「や、やぁ…そんなにしたらぁ…また…」
「自分で見て興奮してるんだ、アルクェイド」
「ち…違うもん…」
「今日のアルクェイド凄いよ…」
片脚を抱え上げ、もっとはっきり結合部分が見えるようにする。
そのまま、締め付ける襞を掻き分けるように突き上げていく。
「ああっ!こんな、こんなのって…」
「気持ちいいだろ?」
「うん…凄くいいよ、志貴…んんっ!」
紅い瞳が揺れる。万華鏡の中。絡み合う身体がいくつも、いくつも。
締め付ける襞。濡れた床。もう何も考えられなくなって、激しく腰を振る。
嬌声が空間を満たす。我慢できない。欲望の塊を、膣の中に叩き付けた。

「志貴…今日の、凄く良かった…」
あれから立て続けに3回。床も鏡も、お互いが出した粘液にまみれている。
「俺も…凄く良かったよ、アルクェイド…」
軽く口付けを交わす。この空間に魔力があるかのように、お互い果てている。
「さて、そろそろ抜けないとな」
「んー…ちょっと無理かも…。その、腰に力が入らなくて…」
「そんなに気持ちよかったんだ」
「だって志貴が加減してくれないんだもん」
「まぁそれは俺が悪かったけどさ。アルクェイドだって嫌がらなかったじゃな
いか」
「………だって」
「だって、何?」
「………」
無言で頬を染めて俯く。なんだか凄く可愛い。
「と、ともかく今日はギブアップだな。今度また来ればいいし」
「え…そんな、毎日これじゃ壊れちゃうよ…」
「そうじゃなくてっ!ちゃんとお化け屋敷と迷路を楽しもうって言ってるの!」
「あ…」
そうなんだ、とか残念そうに呟く。
「あ、いや、別に今日みたいなのが嫌ってわけじゃなくて。どうせだから最後
まで見たいだろ?」
「うん…」
その後「立てない」とか言うアルクェイドを背負って、非常口から外へと出た。
外はもう夜。蒸し暑い夏の日。
今度来たときには、出口から出よう。アルクェイドとの思い出を一つ一つ積み
重ねて。
お化け屋敷も迷路も、無駄の最たるものだから。

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後日談、そのいち。
あの後このお化け屋敷はかなり大盛況になっていて、夕方くらいではもう二人
っきりなんて状況は訪れることなく、無事に出口から出られた。ちなみに第四
のエリアは『天使たち』だった。

後日談、そのに。
都古ちゃんと迷路に来て、大盛況の理由がわかった。
なんでも今小中学生に大人気らしい。
どのお化けを見たとか、何分でクリアできたとか。リピーターが相当多いとい
うことだろう。
ちなみに都古ちゃんと行った時に口裂け女が出てきたので、その話をアルクェ
イドにしたら
「それ私見てないー!もう一回行くー!」
とか騒ぎ出したのでまた行った。なんだか常連になりそうな勢いだな、と思っ
たり。

後日談、そのさん。
アルクェイドが全身が写るような大きな姿見を買った。
「ほら、私だって女の子なんだし、このくらい普通じゃない」
とか言っていたが。
何をしたいかは明白なので、今晩あたり期待に応えてやることにしよう―

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後書き。
きっかけは、阿羅本さんのサイトを訪れたときのことです。
私はMELTY BLOOD→真月譚月姫(DVD)と見たところで、「アルクェイドと志貴の
ラブラブが読みたい!」と思っておりました。
しかしアルクェイド物って思ったよりも少なかったので、そのうち書こうと思
ってました。
その後MeltyBlood ReACT→月姫→歌月十夜とクリアしてやっとここまで来たと
ころです。
SSを書くのは実に4年ぶりなのでお見苦しい所も多々あると思いますが、ご
容赦ください。
それと元ネタの補足などを。
『お化け屋敷の巡業』
20年くらい前までは普通にありました。関東圏以外でもあったのかは不明で
すが。
『巨大迷路の流行』
実際に流行していたのは1985年あたりからでしょうか。いつ頃ブームが終
わったのか記憶していないので作中では曖昧な表現となりました。
『迷図 鏡の迷宮』
小野不由美作 『東亰異聞』より。作中では明治時代の建造となっています。