アンバーにおしおき         
    
               冬道


休日の遠野屋敷の昼下がり、開かれた部屋の窓から陽光がさんさんと降り注ぐ。
 昨日に引き続いてのうだる様な暑さに、何をするのも億劫になるが、それで
せっか くの休日が勿体無い。
 ベッドでゴロゴロ転がりながら、午後の使い方を模索する。
 外は暑いし、家を出るのは止めとこうか、などと考えながら手足をベッドか
ら放り 出し、ぐでーっと全身を弛緩させる。

 ふふ、こんなだらしないとこ秋葉に見られたら、また説教されかねないな。
 白い目で睨んでくる秋葉の顔が浮かぶ。自分の家なんだからグダグダしてて
もばち は当らないと思うが、秋葉のそんなとこは
確かに見たこと無いからな。秋葉はこの暑 さでも平気なんだろうか?
 そうだ、と力を入れて飛び起きる。
 今日は秋葉と兄妹の語らいでもしようか。久しぶりに二人でゆっくり話をす
るのも 悪くない。うん、たまには機嫌をとってや
らないと。
 兄として、妹のご機嫌伺いに行くのもどうかと思うが、哀しい哉、それが遠
野屋敷 で生き残る為の知恵なのである。
 …ま、いくらなんでも言い過ぎか。秋葉はそこまで独裁政治を敷いてるわけ
じゃな い。
 馬鹿馬鹿しいことを考えつつ、秋葉の部屋へと向かう。
 廊下の窓から照りつける夏の日差しが、小憎らしいほど容赦ない。
「たまには手加減して貰いたい。こう毎日暑くちゃ頭がおかしくなる」
 つい太陽に文句を出しながら、秋葉の部屋のドアをノックした。
「おーい秋葉、いるか?」
 しかし部屋からは何の反応も返ってこない。秋葉はちょうどいないようだっ
た。

 タイミングが悪かったな、と自分の部屋に帰ろうとする……のがいつもの俺
だった のだが、今日は違った。
 この時は、そう、真夏の太陽のうだるような暑さにやられたに違いない。俺
の思考 は常軌を逸し、通常働かない筈の特殊な回
路が、頭の中で起動し始める。
 つまりはどういうことかというと、こういうことだ。

 ………これはむしろ、タイミングがよかったんじゃないか?
 秋葉の色んな秘密を暴いちゃうチャンスじゃないか?
 そしてそれによって遠野家の哀しいヒエラルキーを逆転させる時が来たので
はない でしょうか!

 ……うん、やっぱり妹のことを何も知らないってのは兄貴としてまずいよね。
と、 自分を軽く弁護。
 その行動が兄貴どころか人としてマズいだろ、なんてツッコミもほどほどに、
周り に誰もいないのを確認。
 そしていざ、とドアノブに手を掛ける。
 ふいに、激昂して声を荒げる秋葉の顔がまざまざと浮かんで、思わずノブを
握る手 が震える。
 自分の理性が、ここを越えたらアウトだぞ、と激しく警鐘を鳴らす。

 …いや、ここで退いてどうする。この程度の危険を恐れてなんとする。自身
に折れ るは男の名折れ。人間万事、やらずに後悔
するよりもやって悔やんだ方がいい!
 謎の文句で自分を奮い立たせ、不退転の覚悟を決めて、秋葉の部屋へと侵入
した。

 慎重に、少しの音の立てないようにドアを閉める。ふう、まずは第一関門突
破だ。
 と思った途端、停電でも起こったかの様に部屋中が真っ暗になった。
 続いて部屋の一角にどこからかスポットライトが当てられる。
 そこには、フード付マントを羽織った、ほうき装備の和服少女が一人。
 他人の部屋にも拘らず、中々凝った仕掛けです。

「えーと、今、昼だよね?」
 その人物を軽く無視してまずは真っ暗になった部屋にツッコミをいれる。
「そんな些細な事はどうでもいいじゃないですか、志貴さん」
 本当にどうでもいいと言うように、部屋の明るさが元に戻る。
 そうだな、この遠野屋敷じゃーこんなことの一つや二つは日常茶飯事だよね、
うん うん。とりあえず納得する俺。
 でしょ、と俺からのツッコミを心待ちにしている少女に、しかたなく声を掛
ける。
 
「えーと…、何やってんの、琥珀さん」
「否!!私はそのような者では有り得ません!!私はこの家を護る秩序の守護
者。人 呼んで、ほうき少女まじかるアン
バー!!」
 なんというか、ノリノリだ。
「という訳で!この家の秩序を乱そうとする志貴さんにはお仕置きを受けて貰
います !他人の部屋に無断で侵入するといった狼
藉を、断じて許すわけにはいきません!」
 アクセル全開でまくし立てる琥珀さん。この家の一番の混沌が何を言ってい
るんで しょうか。
 しかし琥珀さんも全開なら今日の俺も既にトップギア。その程度の脅しに屈
するよ うな弱き心は、どこかに置いてきたので
す!
 ………しかし、お仕置きですか。そうですか。……決めました。今日は秋葉
の秘密 をコソコソ探るのはやめにして、琥珀さん
にダイタンなことしちゃいます!
 
「……志貴さん。何か良からぬ事を考えてません?」
 この不思議空間にも全く動じる様子を見せない俺に、訝しげに尋ねる。
 いーや、と俺は笑って、諭すように琥珀さんにゆっくりと言い返す。
「確かに、ここは俺の部屋じゃないけど、この家の住人ではあるわけで。で、
君が琥 珀さんじゃないんなら不法侵入者はむしろ
君なわけで。この家の唯一人の男である俺 としては、不法侵入者は捕まえな
いといけないよな、やっぱり」
「まあ、普通なら不法侵入者は警察に突き出すもんですが、色々と問題がある
遠野家 としては、荒事は内々に処理しないといけ
ないわけですよ」
 きらーん、と両眼を妖しく光らせる。琥珀さんはその妖気に押されて一歩後
じさっ た。
「し、志貴さん、いったい何する気ですか?」
 ナニする気ですー、なんて下品な冗談は頭の片隅に置いといて。まあ実のと
ころ冗 談でもなんでもないけど。
「何って、狼藉者にはお仕置きでしょ?で、男が女に対してすることと言えば」
 言葉を切っておもむろに姿勢を下げる。
 そして考えなしに人に飛び掛る駄犬の如く、いっきまーす、と、一直線に獲
物に襲 いかかる。
 正面には怯えた顔の琥珀さんがその手に紐を握………って紐?
 琥珀さんの口元がつり上がる。ヤバイ、と思った瞬間、足元が消え、代わっ
て底知 れぬ闇が俺を迎え入れようと口を開けた。
 いや、底が見えないのはシャレにならんだろ!

「はい、行ってらっしゃーい………って、え!?」
 しかし、今日の俺は簡単にはやられない。スピードがついていたおかげで辛
うじて 穴の縁に手を掛けれた俺は、側面を蹴り上
げ腕の力を利用して鮮やかに地上へと舞い 戻る。自分で鮮やかとかいってる
あたり、まだまだ余裕があったかもしれない。

「はー、志貴さんて運動神経すごく良かったんですねー」
「まあね。体は弱いけど、こういう事は出来るんだ」
 と、逃げようとする琥珀さんの前に立ち塞がる。甘いです。逃がす気はさら
さら有 りません。
「あのー、今までの事は軽いジョークって事にしといて頂けませんか?」
「秋葉の部屋でここまでやっといてお咎めなしってのは、少々ムシが良すぎな
い?」
 言いながらじりじりと後退する琥珀さんにこれまたじりじりと詰め寄る。両
手は箒 を握っているが、それを振り回されたとし
ても今の俺は怯まない。琥珀さんもそれを 感じ取っているのか、箒で抵抗す
る気はないらしい。

 僅かばかりの均衡状態の後、
「あっ!」
 よっぽど焦っていたのか、琥珀さんは後ろにある秋葉のベッドに気付かず、
足を取 られてその上にペタンと尻餅をついた。…
もらった!
 その隙に琥珀さんへと近づくと、箒をパッと奪い取り床へ投げ捨てる。その
まま、 俺の素早い動きに呆気に取られている彼女
をベッドの上に押し倒した。


 密着した体に、柔らかい感触が着物越しに伝わる。
 その気持ち良さに思わず頬擦りしたくなるのを抑えて、体を起こして琥珀さ
んを見 つめる。
「ちょ、ちょっと、志貴さん!」
「自分からベッドに上がるなんて。もしかして、誘ってるの?」
「そ、そそ、そんな訳ないじゃないですか!」
「だって暗い部屋で一人で待ってて、その上ベッドにまで誘導されちゃったら、
男だ ったら我慢できないよ?」
「そんなつもりじゃ………」
 今の琥珀さんはかつてないくらい慌てている。いつもならさらりと受け流す
言葉も 真っ向から否定している。しどろもどろな
琥珀さんは、普段が普段なだけに、より一 層可愛らしく見える。

 しかし、琥珀さんがベッドの上で慌てふためいてるというこの稀有な状況。
 もしかして、普段いろいろと好き放題しちゃってる琥珀さんを好き放題しち
ゃうチ ャンスではなかろうか。大義名分?もある
ことだし。

 と、いうか。
 琥珀さんをすきほーだい。
 うーむ、なんと甘美な響きだ……。

 馬乗りになってニヤニヤ笑っている俺に、琥珀さんが不安げに問い掛ける。
「あ、あの、お手柔らかにお願いできます?」

 そんな言葉に、下心を満載した、とびきりの笑顔で答えた。




「とりあえず、これはジャマだよね?」
 まずは、とフードに手を掛けようとした俺を、琥珀さんが慌てて制する。
「これだけはっ、これだけはダメです!」
 フードを取られまいと両手でギュッと握りしめる琥珀さん。この人もバレて
ないな んて思っている訳ではないだろうに、それ
でも暴かれるのはイヤなのか、頑なに顔を 隠そうとする。でもそんな仕草が、
俺をますます意地悪にする。
「そうか。君がそこまで言うのなら仕方ないな」
 フードから手を放し、ホッとしている琥珀さんを両腕で抱きかかえる様にし
て背中 に手を回し、帯に手をかける。

「あっ、志貴さん、なにを」
「ダメなのはフードだけなんだから、此処はいいんでしょ?」
「あ、う……」
 困惑する琥珀さんの反応を楽しみながら、慣れた手つきで帯の結び目を解く。
 ……ああ、我ながらやらしい顔をしてるんだろなぁ、なんて思いつつ、片方
の手で 腰を浮かせ、もう片方の手で帯を引っ張
る。帯を外すシュルシュルという独特の音に 、俺の気持ちが急いていく。
 少しずつはだけだした着物からは、琥珀さんの芳しい香りが立ちこめ、鼻腔
から俺 の脳を刺激する。その官能的な、くらりと
頭を揺さぶるような匂いに、感情は得も言 われぬほど高まり、帯を解く手が
際限なく加速していく。
 帯を解き終わった俺は、そのまま長着に手をかけテキパキと脱がしていく。
琥珀さ んはどうすればいいのか分からないのか、
ただされるがままに衣服を剥ぎ取られてい く。
 すっかり脱がし去られた長着の下には、和服の二枚目、丈が腰の辺りまでの、
夏用 の薄い肌着を着けていた。

 上着を脱がされ、丈の短い肌着だけになった琥珀さんは、なんだかすごく幼
く見え る。
 戸惑いに縮こまるその姿は、まるで初めてに途惑う少女のようだ。
 守るものが最早それ一枚しかないからか、はたまた普段和服で隠されている
身体の ライン浮き彫りになったからか、眼は釘付
けられたまま琥珀さんから離れない。俺の 意識は薄布を透過して、一糸纏わ
ぬ琥珀さんの姿を映し出す。
「あ……、そんなに、見つめられると……」
 俺の視線に耐えられず顔を背ける。恥ずかしがる琥珀さんが、俺をさらに扇
情的に させる。
「和服って下着とか着けないから、その格好だとなんかすごく、いやらしい」
 琥珀さんが真っ赤になるのが分かる。体は緊張のためかふるふると震えてい
る。
 逸る心を抑え、まずは緊張を解してやろうと、肌着の上から琥珀さんを愛撫
する。
 胸、肩、脇腹、腰、と薄布越しに伝わる琥珀さんの柔肌を堪能しながら揉み
解す。 時折、直に感触を楽しもうと太股に手を延
ばす。

「んんっ、くっ、はぁ、はぁ」
 体中をまさぐる感触に耐えられなくなったのか、琥珀さんが熱っぽい吐息を
洩らす 。快楽を我慢しているような、そんな琥珀
さんをもっといじめてみたくなる。
「ん?今のでもう感じちゃった?」
「そんな、ことは……」
「じゃあ確めてみよう」
 そう言って胸元から肌着の下に手を侵入させる。琥珀さんの顔を見ながら、
指は肉 付きのよい身体を這う様に降りて行く。薄
らとしたとした繁みを掻き分け、大切な部 分に指の腹でキスするように軽く
触れる。
「ひあっ!」
「確かに表面は濡れてないな。なら……」
 人差し指と薬指で僅かに秘裂を押し広げ、中指を曲げて第一関節までを琥珀
さんの 中に埋没させる。
「いっ、あぁっ」
 指をくりくりと動かす。まだ濡らしてはなかったが、粘膜はじっとりと熱を
帯び始 めていた。
 でもこれじゃあ流石に痛いだろう。早く琥珀さんの中に入りたいと下半身が
暴れる のを抑えて、秘裂を犯していた指を抜い
た。

「まだみたいだね。それじゃまずは上から」
 先ほどの乱暴な行動に、何か訴えかけてくる様子を気にするでもなく、肌着
を左右 にはだけさせた。
 琥珀さんの隠されていた部分が、俺の前にさらけ出される。

 ―――その光景に、息を飲む。
 この状況がそうさせているのか、魔法にかかったんじゃないかって思うくら
い。
 見知った筈の琥珀さんの体。
 だっていうのに。
 呼吸と共に上下する二つの乳房が、透き通るような白い肌が、あまりにも綺
麗すぎ て。
 我知らず、感嘆の言葉がこぼれ出ていた。
「……キレイだ……」
 上下する二つの膨らみが、僅かだけ動きを速めた。
 その動きは、よく似た二つの突起たちが、早く遊びにおいでと誘うが如く―
――。

 導かれるまま、琥珀さんの滑らかな乳房に口付けた。乳首を口に含み、吸い
上げ、 舐めまわす。下から乳房をなぞるように舐
め上げ、乳首に当たったところでちろちろ と舌先で転がす。弾力を持ち出し
た突起は、くすぐったいとでも言うように俺の舌か?
ら逃げ回る。
 もう一人とも遊びたくて、反対側の乳房を手で下から持ち上げる様に揉みし
だく。 形の良い乳房を挟むようにぐにぐにと捏ね
回し、人差し指で乳首を撫でる様に押しつ ぶす。抵抗してくるさまが可愛く
て、何度も乳首を押し込む。

「あんっ!んっ、んうっ」
 乳首への執拗な責めに、堪らず琥珀さんから甘い声が上がる。その声が俺を
さらに 興奮させる。
 もう片方の乳首も舐めまわそうと吸い付く乳房を替える。根元からキスしな
がら丘 を登り、頂上のピンクの先端を口唇で銜え
てきつめに吸う。他方では、俺の唾液が塗 りたくられた乳房を五本の指でわ
しづかみ、指の間から苦しそうにはみ出たしこりを?
キュッ、キュッと挟みあげる。
「ひゃうっ!!そんな、強くされると……んあっ!……やだ、わたし、ヘンに
……」
「うん……、もっとヘンになって、いいよ……」
「ひあっ!……わたし、…ダメ、ダメ……!」
 そんな声が、情欲に一層火をつけて。
 更に更にと、琥珀さんの胸を弄び続けた。


 二点責めを一旦止める。刺激から開放された琥珀さんは、はぁはぁと乱れた
呼吸を 正そうとする。しかし俺は休む間を与えな
い。自身の荒ぶる息を押し殺し、努めて平 静を装って琥珀さんにさらに言葉
を浴びせる。
「だいぶ感じてるみたいだね。でもまだまだ序の口だよ。まだ俺はお仕置きを
してな い。俺が何を言いたいのかは分かるだ
ろ?」
 もう全身が滾って抑えられそうになかった俺は、そう言ってズボンを下ろし
男根を 露出させる。
 仁王立ちするその威勢に、無意識にか琥珀さんの内股がきゅっと閉じられる。
俺は そんな彼女の膝を掴んで足を持ち上げる
と、抵抗にも構わずいやらしく股を広げさせ た。

 男を拒む四肢とは、男を怖れる心とは対照的に。
 剥き出しにされたサーモンピンクの淫裂は、蜜を滴らせヒクヒクと淫らにわ
なない ていた。
 お尻まで筋を作るその液体を掬い上げ、琥珀さんに自らの痴態を見せ付ける
ように 糸を引く指を翳した。

「こんなに涎を垂らして。もしかしてお仕置きをされるのを待ってたのかい?」
「そ、そんなわけ――」
「抵抗もせず俺にいいように弄くられて、他人の、秋葉のベッドの上だっての
に突っ 込んで欲しくて堪らなくなってるんだ」
「や………ちが…う……」
 誰だって乳房をあれだけ弄くられればアソコがぐちょぐちょになるのは当た
り前な のだが、秋葉のベッドの上ではしたなく感
じているという事実が、琥珀さんを苛んで いるのだろう。
 俺もその事を分かっている。しかし、…いや、だからこそ更に言葉で責め立
てる。
「本当?…まあ本当かどうかは、これですぐに分かるよ」
 濡れそぼった秘所にいきり立つ怒張を宛がう。琥珀さんの体がブルリと震え
る。
「やだ……!ここでなんて……!」
 そんな言葉も、今の俺には興奮剤にしかならない。一刻も早くとせがむ肉棒
と共に 、待ち焦がれた琥珀さんの中へと押し入っ
た。

「ふぁぁっ!!」
 貫かれた衝撃に琥珀さんは嬌声を押さえ切れない。
 俺も、入れた途端に激しく絡みつく粘膜に圧倒される。
 だがそんな事はおくびにも出さず、
「あっさり咥え込んじゃったよ。やっぱり待ち切れなかったみたいだね」
 琥珀さんに揶揄の言葉を投げつける。
「っ―――――!」
 衝撃のためか羞恥のためか、肯定も否定もできずに震える琥珀さん。
 普段の生活ではとても見れない、そんな可愛い琥珀さん。
 それをもっともっと楽しみたくて、俺は調子に乗って腰を動かした。

「はぁぅっ!んっ、はっ、ふあぁ!」
 ぬっ、ぬっ、と淫猥な音を立てて肉棒が膣口を出入りする。俺が身体を使っ
て押え 付けるように両脚を固定しているため、琥
珀さんの下半身は大股開きにさせられたま ま身動き出来ない。
 さっきは琥珀さんを感じさせたんだから、今度は俺が楽しむ番だ、とばかり
に動け ない琥珀さんに剛直を突き立てる。蜜口は
されるがままに、乱暴に突きこまれる俺の モノを受け入れ続ける。
 肉襞は擦りつけるように侵入する男根をすんなりと招き入れ、上下左右から
やわや わと絶え間なく刺激する。感覚は脊髄を走
り抜け、まるで脳漿が琥珀さんに入り込ん でいるかのように襞の感触をダイ
レクトに伝えてくる。

 刺し込まれるような、しかし包み込まれるようなこの感覚。
 脳漿がシェイクされるようなこの衝撃。
 だが、足りない。
 はち切れるような感覚だが、まだ終わりじゃない。俺はまだ半ばまでしか入
ってい ない。
 頭がおかしくなる。
 全てを埋め込んでしまえば、いったいどれ程の快楽が得られるというのか。

 俺は何時の間にかもっと奥まで入り込める様にと、琥珀さんを押えつけるの
をやめ て膝立ちになり、彼女の腰を股間の高さま
で抱え上げていた。
 鍵穴がぴったり合わさる様に、腰をスライドさせて根元まで琥珀さんと結合
し、奥 まで入り込んだ亀頭を子宮口に押し当て
る。その感触と、俺のモノを余さずに飲み込 んでいるその姿に、視界がスパー
クする。
 琥珀さんの胎内は抱きしめるように男根全体を柔らかく取り囲み、飽きるこ
となく 絡みつく。男根はまとわりつく襞を引き剥
がし、そしてまた襞の群へと入り込んでい く。

 ―――腰が、止まらない。
 落ち着こうとする心とは裏腹に、肉棒は何度も快感を求めて肉壺に潜り込む。
 受け止める柔肉のしなやかさに、体中が歓喜の声を上げる。
 頭が、一つの、セックスのことしか、考えられなくなる。
 自分の思惑も、何もかもが、遥か、彼方へと―――。

 いつしか琥珀さんの声はくぐもった喘ぎ声に変わり、打ち出す腰のリズムに
合わせ て彼女も腰を振っていた。
 男を咥え込む肉襞は淫靡に脈打ち、俺を高みへと誘っていく。

 体の奥から湧き上がる射精感を捉えたとき、男根を包む柔肉が精を搾り出そ
うとす るかのように収縮した。
 強烈な感覚に思わずうっと呻き声が洩れる。昇り来る感覚をぐっと堪え、琥
珀さん の膣から逃げるように俺のモノを引き抜い
た。

 その行動に、琥珀さんがふふ、と笑ったような気がした。

 ――だめだ。俺が琥珀さんを責めていた筈なのに、気が付けば俺のほうが先
に音を 上げてしまいそうになる。このままじゃ結
局いつもと変わらない。
 今までは彼女の気持ちが乱れていたからこそ、主導権を握って好き放題でき
ていた けど、一旦琥珀さんの心の準備ができてし
まえば、俺なんかじゃ太刀打ちできない。

 どうすれば、というときに、今の彼女には最大の弱点があることに気が付い
た。
 これを使えば琥珀さんにきっと隙が出来る。その隙を突いて激しく責め立て
れば、 こっちのペースに戻るはずだ。
 次なる作戦を組み立てた俺は、琥珀さんの腰を抱えるようにして抱き上げた。

 突然起こされた琥珀さんの両手が、地面を失って宙を掻く。バランスを取る
ため俺 の肩に掴まろうとした琥珀さんに聞こえる
ように、あたかも何気ないように呟く。
「あ、フードが取れそう」
 え…、と反射的に両手でフードを掴むのを見計らって、秘所にあてがったペ
ニスを 奥まで一気に衝き入れた。

「はぁぁぁァァァ!!」

 突然の不意打ちに一際高く声が上がる。琥珀さんに態勢を立て直す暇も与え
ず、二 度、三度と膣壁を抉る様に突き上げる。琥
珀さんの肉壁はさっきとはうってかわって 、まるで押し出そうとするかのよ
うに先端から男根を締め付ける。俺はそれに抗うよ?
うに、腰を抱く手に力を込めて、奥へ、奥へと突き入れる。

「ふあぁぁ!んぅぁっ!うあっ!ふあっ!んあぁぁ!」

 琥珀さんは両手でフードを握っているためふんばりがきかず、膣道を貫く男
根の衝 撃を直に受けて、突き入れる度に悲鳴を上
げる。それにあわせてずりゅっ、ずりゅっ 、と愛液を挟んで陰茎と膣襞の擦
れあう音が淫らに響き渡る。
 俺は我を忘れて悲鳴を上げる琥珀さんに興奮して、さらに悲鳴を上げさせよ
うと何 度も何度も突き上げる。それに答えるよう
に、喘ぎは次々木霊する。

 その湧き立つ様な、淫らな喘ぎが聞きたくて。
 この清楚な女性をもっともっと乱れさせたくて。
 時には貫く角度を変え、時には“の”の字動かして。
 全てを俺で埋め尽くそうと、有らん限りに蹂躙した。

「やあっ!ああぁぁっ!志貴さん!」
 琥珀さんはもうフードから手を放し、俺にしがみついている。
 俺も彼女を抱き返し、更に激しく突き上げる。
 突き上げる度に湧き上がる射精の衝動を、まだ駄目だ、と懸命に抑えながら、
それ でも琥珀さんから快楽を引き出そうと、琥
珀さんに快楽を与えようと、上下運動を繰 り返した。

「ふっ、はぁっ」
 快楽をひたすら貪りながら、しかし必死にその最後を堪えるといった二律背
反に耐 えられなくなった俺は、一旦琥珀さんの中
からモノを引き抜き、琥珀さんをシーツの 上に座らせた。
 琥珀さんの秘裂から溢れ出す愛液が白いキャンバスに広がる。その姿は、め
くれ上 がり剥き出しになった琥珀さん自身と相
まって、幻想的な一つの絵画を成していた。
 俺はその光景に一瞬忘我したが、まだ終わっていないと我に返り彼女に向き
直ると 、その頬は涙で濡れていた。

「う……あ……、志貴さん、酷いです……、こんな、激しく」

 息も絶え絶えに俺を非難する。しかしその躰は先ほどの衝撃の余韻に打ち震
え、次 なる快楽を求めていた。
 俺は琥珀さんに十分与えられたことを確信して、自分の気持ちを伝える。

「そう、君は、気持ちよくなかった?――俺は、とっても気持ちよかった」
 琥珀さんに十分与えてもらったことを、素直な心で口にした。

 琥珀さんは、何も言えない。答えられない。
 そんな彼女の頭を掻き抱いて、
「どうだった?」
 と、答えを急かす。
「そ、それは…その…………」
 ようやく搾り出そうとした言葉も、核心に近づく前に消えていく。
 言葉を紡げず震えてるその柔らかな唇が、喩えようもなく愛しくて。
 紡げなくても伝わるように。
 琥珀さんに、自分の唇を重ねた。
 
 少しの間の接吻の後。
 頬の涙を舐めとって、耳元でそっと囁く。
「でも君、まだだよね。俺も、まだ、というか、もう我慢できない」
 そう、我慢できない。
 今まで必死に射精感を堪えてきたのは、不意打ちで琥珀さんを好き勝手貫い
た挙句 、そのまま彼女の心をを無視して、勝手に
終わらせるなんてことはしたくなかったか ら。
 そりゃあ琥珀さんが翻弄されるのが見たくて散々責め立てたのは俺だけど、
それで も最後は、心を合わせて一緒にイキたい。
そんな想いを、俺は瞳で琥珀さんへと送る 。
 琥珀さんはコクリと小さく頷くと、俺の胸元に寄り掛かり、蕩けるような声
で呟い た。

「……お願いします………志貴さんを……………ください………」

 その言葉に、精神だけが体から乖離して絶頂に昇りつめた感覚がして―――
―。
 心に追い着こうとした体が、琥珀さんの中心へと押し入るのを、最後の理性
で押し 止め、告げる――。
「琥珀さん!いくよ!」
 彼女が全身で身構えるのを、感覚だけで捉えて。
 子宮まで到らんとばかりに、深く男を突き入れた。

「んうあぁぁぁぁ!」
 反りかえる躰を、追いかける様に打ち付けて。
 喜悦、情欲、愛情全てを。
 俺の想いのありったけを。
 弾けて胎内で溶け合うように。
 
 熱いマグマを、心に任せて放出した。

「あああぁぁぁぁァァァァーー!!」

 ビクン!ビクン!と砲身が脈打つ。
 ドクン!ドクン!と塊をぶつける。
 白い精で琥珀さんを埋め尽くすように、何度も、何度も――。
 


 ――――永遠に続くかと思われた迸りが終わって。

 放出しきった開放感と、全身を満たす達成感に、意識は静かに沈んでいった。






 トクン、トクン、という鼓動に、意識がゆっくりと回復する。頬に当る柔ら
かな感 触に揺り籠に抱かれている気持ちになる。
うっすらと目を開けるとそこには、微かに 上下するこんもりとしたお山。頂
上には、ピンク色した小さな突起。そう、これはき?
っと、女性の胸。しかも、琥珀さんの――
 瞬間、意識が覚醒する。ガバッと起きると、下半身にむず痒い感触。

 あ…、繋がってる………。

 んん、と俺の動きに反応した琥珀さんの声に驚いて、収まっていたモノを慌
てて引 き抜く。
 んぁ、という切なげな声。
 あ、やべ、反応してきちゃった。
 琥珀さんを見ると、女の子からはトロトロと二人の交わりが零れ、胸元では
後の付 いた形の良いおっぱいが惜し気もなく曝さ
れ、そして顔には……すっぽりと被られた ままのフード。
 うーん、プライドの為せる業か。恐るべし、琥珀さん。いや、まじかるアン
バー。

「ん……、志貴さん…?」
 琥珀さんも目を覚ましたみたいだ。それといっしょに愚息までムクムクと起
き上が る。
 いやしかし、あんだけ出したのにまだ足りませんかマイサン。どうしたもん
か。
 ……と、待てよ?これは、不法侵入者へのお仕置きだったはず。
 そしてこれはお仕置きがまだ足りないという合図では!
 ということは、私にはお仕置きを続行する権利があるのではないでしょうか。
いや 、あるに違いない!

 俺は開始直前のようにきらーんと目を光らせて、起きたばかりの琥珀さんに
にじり 寄る。…ふふふ、今度はそのかわいいお口
であむあむと咥えてもらいましょーか―― ――


 ふいに、琥珀さんが別の何かにピクリと反応する。それに釣られて振り向く
と、微 かに聞こえる人の足音。そしてそれは、部
屋の前でピタリと止んだ。
 まさか、と思う間も無くドアノブが回され、扉がゆっくり開かれる。
 途端、琥珀さんは自分の持ち物を全て引っ掴むと、一陣の風となって床の大
穴へと 消えていく。一呼吸遅れて自分もその中へ
逃げ込もうとした時、脱出への道はバタン と音を立てて続く逃亡者を拒絶し
た。
 後に残るのは、何の変哲も無い床と、あ然とするわが妹と、呆然とする勃起
したま まの俺。

 思考の停止した俺は前を隠すのも忘れ秋葉と向き合う。
 ……秋葉は、何も言わない。ただ、艶やかな秋葉の黒髪が、先端から鮮やか
な赤に 変わっていくだけである。
 秋葉は部屋に入りドアを閉めると、がちゃり、と後ろ手に鍵を掛ける。

 おいおい、そこまでしますか秋葉サン。
 そのままかつかつやってきて、ふう、と小さくため息一つ。

「…まあ、逃げた者の事は後で詮索するとして……。まずは、どうして貴方が
私のベ ッドでそんな格好をなさっているのか、そ
の辺りからゆっっっくりと聞かせてもらい ましょうか、ねぇ…兄さん……!!」

 ふわりと浮き上がる秋葉の鮮やかな髪を遠い目で見ながら、
 琥珀さんにあんだけのコトやっといてお咎めなしってのは、ムシが良すぎた
んだな ぁ、
 と自分の言葉をむなしく反芻するのだった。







  後書き

 初めまして。初SSで十八禁を書いてしまった、冬道と申す者です。とりあ
えずベ タなオチですいません。

 これのコンセプトというか書いた動機はずばり「琥珀さんをいじめたい」で
す。
 それについては秋葉とかシオンとか上質のキャラがいるとは思いますが、

 それでも俺は!
 琥珀さんを、いじめたい!(主に寝所で)

 という訳で書いたんですが、やっぱ難しいですね。……これに一体何日かか
ったこ とやら。
 改めて他の方達の凄さが解りました。

 まあいろいろ問題点はあるかと思いますが、少しでも気に入って頂ければ幸
いです 。